2012年12月26日水曜日

2012パパ読書大賞!

ベルリン映画祭やベネチア映画祭のように、金熊賞とか金獅子賞とか、タイトルを少し考えたが、まあ、今年はこれで行かせてもらいます。ちなみに写真は、お気に入りの店の、名物パンケーキwithフランクフルト。東京時代はだいぶお世話になった。

2012年は、73作品82冊を読み切ることができました。では、昨年よりグレードアップしてお届けしましょう(笑)。まずは読んだ作品一覧。( )の数字は巻数を表します。

冲方丁「天地明察」
沢木耕太郎「チェーン・スモーキング」
村上春樹「羊をめぐる冒険」(2)
伊吹有喜「風待ちの人」
スティーグ・ラーソン「ミレニアム」(2)
君塚良一・金沢達也「ニュース速報は流れた」
村上春樹「スプートニクの恋人」
宮部みゆき「理由」
辻村深月「冷たい校舎の時は止まる」(2)
村上春樹「うずまき猫の見つけ方」10作品
山崎豊子「沈まぬ太陽」(5)
平山讓「ファイブ」
辻村深月ほか「宇宙小説」
恩田陸「劫尽童女」
北村薫「秋の花」
北村薫「ターン」
渡辺俊介「アンダースロー論」
リチャード・コーフィールド「太陽系はここまでわかった」
伊坂幸太郎「砂漠」
宮下奈都「スコーレNo.4」
北村薫「スキップ」
ジュリアン・シモンズ「シャーロック・ホームズの復活」

葉室麟「風渡る」
三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズ
「栞子さんと奇妙な客人たち 」
「栞子さんと謎めく日常 」
「栞子さんと消えない絆 」
高野和明「ジェノサイド」
百田尚樹「永遠の0」
ローリー・キング「シャーロックホームズの愛弟子 バスカヴィルの謎」
川上弘美「センセイの鞄」
隆慶一郎「一夢庵風流記」
福本豊「走らんかい!」
村上春樹「ノルウェイの森」 (2)
誉田哲也「武士道シックスティーン」
桜庭一樹「私の男」
江國香織「きらきらひかる」
道尾秀介「ソロモンの犬」
貫井徳郎「ミハスの落日」
東野圭吾「ガリレオの苦悩」
畠中恵「いっちばん」 40作品
藤波辰爾 長州力「名勝負数え唄 俺たちの昭和プロレス」
北村薫「街の灯」
北村薫「夜の蝉」
北村薫「玻璃の天」
貫井徳郎「慟哭」
マンリー・W・ウェルマン&
ウェイド・ウェルマン
「シャーロック・ホームズの宇宙戦争」
東野圭吾「聖女の救済」
松谷みよ子「アカネちゃんとなみだの海」
ロバート・B・パーカー「晩秋」
伊坂幸太郎「ラッシュライフ」
窪美澄「晴天の迷いクジラ」
村上春樹「国境の南、太陽の西」
有川浩「クジラの彼」
宮本輝「葡萄と郷愁」
中山七里「おやすみラフマニノフ」
佐々木譲「廃墟に乞う」
北村薫「紙魚家崩壊」
藤島大「スポーツ発熱地図」
誉田哲也「武士道セブンティーン」
誉田哲也「武士道エイティーン」
森絵都「風に舞い上がるビニールシート」
北村薫「空飛ぶ馬」
辻村深月「鍵のない夢を見る」
柚木麻子「終点のあの子」
森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」
高田郁「みおつくし料理帖シリーズ」
「八朔の雪」
「花散らしの雨」
「想い雲」
森博嗣「すべてがFになる」
熊谷達也「邂逅の森」
三浦しをん「舟を編む」
有川浩「海の底」
有川浩「空の中」

やはり12ヶ月で見ると壮観。今年は新しい職場にも慣れたし、いいペースで読めました。では常識?と反対に、グランプリから発表しましょう!

「2012年パパ読書大賞」は ・・

熊谷達也「邂逅の森」

でした!理屈っぽい&どれかというと女性的な感覚が好きなパパからすると、だいぶ武骨な、秋田のマタギの話。雰囲気、舞台設定、話の流れと、迫力。直木賞作品。環境的に、今年他の直木賞を読んだ際、たまたま短編集が多く、がっつりしたものを求めていたタイミングでもあり、またふだん女性的な作品をたくさん読んでいるので、余計に響いた、というのも有るだろうが、唸らされた。

さて恒例のランキング。グランプリの下にランキング1位が有るのは不自然という向きもあろうが、そこはボクシングもチャンピオンの下にランキング1位が居るという事で。

2012年パパ読書ランキング

1位 村上春樹「国境の南、太陽の西」
2位 柚木麻子「終点のあの子」
3位 宮下奈都「スコーレNo.4」
4位桜庭一樹「私の男」
5位北村薫「玻璃の天」
6位辻村深月「冷たい校舎の時はとまる」
7位窪美澄「晴天の迷いクジラ」
8位北村薫「スキップ」
9位冲方丁「天地明察」
10位誉田哲也「武士道セブンティーン」

「国境の南、太陽の西」
ハルキをほんとは1位に持って来たくないのだが(笑)、感銘度、ということになるとやはり1位。自分の心に嘘はつけないな〜。
普遍のテーマに正面から斬り込むハルキの良さが出た作品だと思う。

「終点のあの子」
女子高生もの。フレッシュな心理描写に敬服。いや、みずみずしいとはこの小説のようなもののことを言うのでしょう。

「スコーレNo.4」
思い切った文章表現も好きだし、丁寧に生活と仕事と感性を描いた佳作。書評をたまたま見かけて購入した、掘り出し物。

さて、その他の賞です。

年間特別賞
平山讓「ファイブ」

バスケットボール男子、佐古賢一選手ら、JBLのアイシンに集った個性的なメンバーの物語。ノンフィクションである。個人的に感動する作品。

優秀エンタテインメント賞

三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズ

有川浩「海の底」

「ビブリア」は、古書店の世界を舞台にした「古書ミステリー」とでもいうもの。知的エンタメではまった。

「海の底」は、巨大人食いエビの群れが、横須賀を襲う話。まあ面白いからホントに。騙されたと思って読んでみて、という作品。

エンタメとしては、「武士道シックスティーン」シリーズに、「みおつくし料理帖」シリーズも良かった。

意外にびっくりしたで賞

松谷みよ子「アカネちゃんとなみだの海」

ただの児童書かと思ったら、衝撃的だった一冊。うーん、作家の個人的な話だから、好き嫌いはあるかも。

おすすめハードボイルド賞

ロバート・B・パーカー
「初秋」&「晩秋」

ハードボイルド界では有名なスペンサーシリーズ。両方合わせて読むと傑作と思う。ハードでセクシィで、なおかつ親子の情を考えさせられる。

ライフワーク賞(作家)

北村薫

大ヒットした「スキップ」「ターン」「リセット」の「時と人三部作」に、「ベッキーさんシリーズ」の「街の灯」「玻璃の天」そして直木賞を受賞した「鷺と雪」の三連作。さらに円紫さんシリーズの、「空飛ぶ馬」「夜の蝉」「秋の花」・・今年全般的に、自分の読書の方向性がやや見えたが、ひとつの特徴を成すのが、北村薫であろう。品良く緻密。ここまで知的、感性的独自色を出せるミステリは珍しい。例えば「ターン」は、話としてはまずまずだが、色彩というか、全体に絵画的な印象付けのうまさに感服させられた。全体に、いつも絵が浮かぶような美しささえ感じる。今後もライフワークとなる作家となった。

いかがでしたでしょうか。

総評としては、他の作品も決して質は低くなかったと感じているし、充実した1年だったと思っている。様々な作品を推薦してくださった皆さん、本をお借りした方々に御礼申し上げます。

さあ、来年も、読むぞ〜!

12月書評

クリスマスは、今年もチーズフォンデュ。ワインを飲んで、プレゼントの、バーで動かすサッカーゲームを息子として遊んだ。

クッキーが、耳の腫瘍を手術で取った。レオンがまつわりつくので、パパとクッキー、ママと息子とレオンの取り合わせで寝ようとしたところ、息子がパパと寝たい、と号泣、結局いつものようにパパと息子、ママとクッキーとレオン、というふうにして眠る。

さて、12月もよく読んだ。では9作品の書評スタート!

森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」

山本周五郎賞、直木賞候補、本屋大賞第2位、数人がいいと言った森見登美彦の代表作である。舞台は京都、主人公は黒髪の乙女と、彼女に恋する私。まあ一言で言えば、ハチャメチャな京都の青春ファンタジー・ノベル。

最初は、マンガみたいで、正直小賢しさが鼻についた。読み進めるうち、マンガみたいなのは変わらないが、まあ慣れで親近感が出てきて、まずは面白かった。テンポとスピード感はいい。解説も無かったし、これがどの程度京都に造詣深いかは、分からない。神戸ならある程度分かるのだが。

うーん、へぇーという域を出ないが、薦めてくれた人たちと話をしたほうが良さそうだ。

高田郁「八朔の雪 みをつくし料理帖」

北川景子主演でTVドラマにもなった、「みをつくし料理帖シリーズ」の第1作。途中までは、あまり料理も作らないし暗いし、だったが、茶碗蒸しあたりから、すごく面白くなった。ちょっと泣きが多いのと、分かりやすい悪役が出てきたので、1巻めからパターンづいているが、謎が謎を呼ぶ展開で、2巻め「花散らしの雨」も早く読みたいものだ。

森博嗣「すべてがFになる」
工学博士が書いた、理系の物語。密室殺人、消えた犯人、孤島で連絡が取れない、とミステリーの王道を行く物語だが、物語のベースも、謎も、理系そのもの。10数年も前に書かれたものだけに、コンピュータ用語は、私にもついていけるくらい牧歌的な面もあるが、特殊な味付けが効いている。

この作品はシリーズの第1作で、評判を呼び、人気作になったとか。実は、ミステリーの王道をはっきりと意識して、外している点があるのだが、それを云々言うのは、もう数冊読んでみてからにしたい気がする。ミステリーの匂いがする、それなりに面白い作品だった。

高田郁「花散らしの雨 みおつくし料理帖」
「想い雲 みおつくし料理帖」

シリーズ第2作。次々と起こる災難、そして少しづつ明らかになっていく真実に、澪を中心とした、もはやみおつくしファミリー、とも言っていい人情豊かな人々が立ち向かう。単純に楽しめるし、登場人物は誰もが魅力的。また料理が庶民的で、知的好奇心も掻き立てられて面白い。「ありぇねぇ」には笑ってしまった。

3巻めには、謎についての情報がだいぶ出てくるので、先に進む気になる。料理について、新しいもの、知恵を絞った考え、という部分にも興味を惹かれる。ここまで来たら、シリーズ完読しよう。

熊谷達也「邂逅の森」

直木賞、山本周五郎賞を史上初めてダブル受賞した作品。東北の、あるマタギの数奇な人生がテーマである。

文学、文芸というものは、しばしば理屈ではなく、作品全体が醸し出す雰囲気と迫力が評価される。ミステリなどは、奇想天外な謎にトリック、さらにそのトリックを使わなければならなかった明確な理由、そして犯罪の、のっぴきならない動機、などが求められるし、のみならず、探偵役が魅力的であること、とか、設定の妙まで評価の対象となったりする。

通常の小説でも、意味合い、不幸と幸福のさじ加減、構成の噛み合い、などの分析をする傾向もあるが、時にそれをも凌駕するものが表れる。絵画や彫刻でも同じかと思うが、作品から立ち昇る力強さ、清冽な感覚、などはやはり中心となるべきものだろう。

前置きが長くなったが、「邂逅の森」は、そのような作品だ。最初はあまりに骨っぽく荒っぽい、前時代的なマタギの姿にやや引いたが、主人公富治の数奇な運命と、まっすぐに立ち向かう姿、そして人生の中での、確立されたもの、そして熊との迫真の対決。それらは、やはり丹念にマタギ、というものを、ベースとしてしっかり表現しているからこそ、活きるのだろう。

最後の、宿命の対決は必然である。そう思わせるものがこの作品にはある。全体として、やや偶然性が高い部分もあるし、後半はだいぶ誘導的な匂いが強いのだが、問題にならないと思う。「邂逅の森」は実に力強く、鮮烈である。

三浦しをん「舟を編む」

2012年本屋大賞。2位が「ジェノサイド」だから、今年は本屋大賞の1位2位を読んだことになる。友人2人から、熱烈に薦められた、辞書編集の話である。

確かに、エンタテインメントとして、また知的好奇心を満足させるものとして、面白かったし、ところどころ「上手い」と思ったが、正直感動は、あまり無かった。その理由は、「波がない」ことに尽きるだろう。

有川浩「海の底」

突如横須賀に、巨大人食いエビが大量に出現した。警察と自衛隊が立ち向かう中、潜水艦に取り残された、幹部実習生2人と10人の子供たち。その運命は!

有川浩初期の、自衛隊三部作である。三部作の外伝が「クジラの彼」だ。

いやーメチャクチャ面白かった。睡眠時間を削って読み、寝不足になった。ドラマ自体はヒューマンチックなのだが、なにしろ突飛な設定と、自衛隊の詳細な描写が面白い。傑作なエンタメだ。理屈は無用、昨年恩田陸「ドミノ」を読んだのと同じ感覚。読んでみるべし。

有川浩「空の中」

「海の底」の前作。航空自衛隊の話。未確認の生物体が上空に現れて・・という話。ちょっと理屈が勝ち過ぎて難解な部分もあるが、面白かった。「海の底」と違い、人類の相手も、愛せるという違いがある。ディックもフェイクも愛嬌があるし、土佐弁がまたいい。

はい。まあ読んでみるべし!

てな感じでした。よく進んだ12月。思ったより濃密な読書が出来た。次回はいよいよ大賞発表!

2012年12月17日月曜日

転倒

土曜日の夜、さあ寝ようと階下へ降りた際、階段の最後の一段を踏み外し、横ざまに倒れて、その下の、緩やかな3段の別階段を滑り落ちた。

物音にびっくりした犬と妻が寝室から飛び出て来た。最後の一段は滑って踏み外したわけではなく、その上の段が最後、つまり床のレベルだと勘違いして踏み出したら、都合2段分足が下へ行き、さすがに咄嗟には対応できず、バランスを崩してしまったわけである。

うつ伏せ気味の横ざまに倒れた時、咄嗟に右腕の肘から下で全体重を支えたために、加速度のついた自重を受け止めた、上腕部の筋肉が悲鳴を上げた。

さらに翌日日曜日の昼、犬の散歩を兼ねた投票から帰った際、レオンを2階に上げようと緩やかな階段を昇った瞬間、足を滑らせて腰から落ち、また3段の階段をズルズルと滑り落ちた。クッキーが廊下にしたオシッコを発見してちょっとあせったのだろうか、あっ!と言った瞬間に滑った。

バンテリンを塗って寝たら上腕部の痛みは、日曜日夕方にはかなり和らいだが、腰骨の後ろ側がまだ触ると痛い。今夜またバンテリンしよう。

変な話だが、運動のための運動はしていないものの、やんちゃな息子と格闘遊びその他をしているのが多少助けになったようだ。子どもは手加減を知らない部分もあるから、うまく受け止めないと痛い打撃もあるし、ジャンプして乗っかって来たりするので、腹筋や大胸筋、上腕に力を入れるし、パパの身体もそうそう楽はしてないのである。(笑)。ボールあそびで反射神経と脚は鍛えられるし。身体はまだまだ身を守る程度には硬い。

昔、息子が幼稚園に入って間もない頃、抱っこしたまま階段を上から下まで滑り落ちたことがある。この時は息子を守ろうと、抱っこの体勢を崩さなかったために、腕、脚、背中にダメージを負った。幸い息子は無傷だったし、打身で済んだが。そしてその年のクリスマス、友人の家の階段で、息子を抱えて、同じように滑って落ちた。こちらは、階段、床ともに軟らかい素材の造りだったのでダメージはなし。

しかしそれから、息子を抱っこして何をするにも、かなり慎重になったのは確かである。2回めの後は遅い、という声もあろうが(笑)。

今回は、息子とは関係無いところでの事故だが、これでまた慎重になれるだろう。トホホ。

この土日は、仮面ライダーの映画を見に行って、深夜読みかけの本を完読し、IKEAでランチ買い物、ランチパパ長い席取り待ちの間に、「2012年パパ読書大賞」の上位作品をあらかた決めてしまい、その後トイざらスで買い物とポケモントレッタして帰った。雨がちな、痛い終末。

選挙結果が興味深い。自民から民主への政権交代は、長く与党として君臨した自民に対して、お灸をすえたような意味合いがあったと私は思っている。しかし民主党は、予想された通り学生民主主義で、勢いはあったが理念先行、人間関係の悪さも露わ、勢いを政権与党の実務には活かせなかった、という印象が強い。維新も国政の議席を得て、明日からどうなるのかな。

腰が痛い。寝よう。

2012年12月14日金曜日

清い匂い

生まれ育ったのは、平地田んぼの真ん中。山はよく見えたが、山も海も近いとは言えなかった。

前の家も、今の家も、降りるバス停は渓谷のような川のそばで、夜降り立ったときには、渓流独特の匂いを含んだ空気が漂う。昔家族で山に遊びに行ったとき嗅いで、ワクワクした香り。好きである。

平地より数度は気温が低く、清冽な外気。広い空には、賑やかな冬の星座がさんざめく。その中を帰って、温かい晩御飯。

今は夏のことは考えたくない。嫌いではない、冬の生活である。

2012年12月9日日曜日

寒風に暖

幼稚園の頃、冬に、息子が習ったばかりの「北風小僧のかんたろう」を散歩しながら一緒に歌っていたら、道行くおばさまに微笑みかけられた、という想い出がある。冬場は息子が一度二度は熱を出すし、新型インフルエンザにもかかったしで、そういえば徹夜看病もよくしたが、小学生になってからは倒れてないな。

日本列島が冷え込む中、東京へ出張。今回は、独身の竹馬の友に泊めてもらった。時間があったので、渋谷へ出て、ブックオフで本を買い込み、タワーレコードでグレン・グールドのバッハ、ゴルドベルグ変奏曲を購入。バッハのピアノ曲はすごくいい、とのクラシック友達の弁を聞いて、欲しかったからとても嬉しい。

その後、くだんの友人の帰りを少し待つことになったが、駅の近くの美味いコーヒー屋でコロンビア2杯、読書三昧で幸せな時間を過ごし、また帰ってきた美食家の彼と美味い本格ピザの店でベルギービールの夕べ。写真は焼き玉葱。気のおけない会話に、小粋な晩ごはん。そして居心地のいい部屋。楽しかった。朝には、富士山が見えた。またお願いしよう(笑)。

帰りの新幹線まで、ひたすら読み込む。シリーズものは早いが、森博嗣「すべてがFになる」、高田郁「みおつくし料理帖」シリーズ2冊読み終えて、3日でほぼ3冊。都合1000ページ近くを読破してしまった。今月はもう5冊読了。結構なハイペースだ。

外は寒い!大雪が降るとかで帰ってきた大阪は3度!シャツの上にカーディガン、その上に冬ジャケット、そしてダウン、靴下は手持ちで最厚のものにマフラーの完全防備でも寒い。ひゅーっ。でも、今年最後の出張は、「みおつくし」を含めてほっこりとした、いい2日間でした。

2012年12月2日日曜日

In December

早いもので、今年も師走。こないだまで外仕事が暑くてたまらなかったのに。年賀状の心配もしなくては。

金土日と3連休を取りのんびり。金曜は妻とユニクロ行って、当座の足りないものを買って、昼ご飯食べて帰った。妻はサバ塩焼き定食、パパはアジフライ定食。サバが小さくアジフライがデカかったので、2つある内1つの半分をあげた。あれこれ他にも用事を済ませて、帰りに学校から帰宅途中の息子とばったり。ギリギリセーフだった。

金曜の風呂で、息子が突然気分が悪くなり、早々に寝かせた。幸い、おそらく寝不足が原因で、熱も出ず、翌日は予定通りイナズマイレブンと段ボール戦機のコラボ映画を観に行っていたが、日曜日にパパと行くと言ってた、ポケモントレッタのお出掛けは取り止めで、パパは金曜の午後から一歩も外へ出ず、ゆっくりしていた。また日曜日は寒かったし。

さて、スポーツ2つ。インカレバスケットは、女子は大体大が勝ち、男子は、なんと王者青山学院大が敗れ、東海大が優勝した。青学に最後まで必死さが見られなかったのは、王者ゆえ冷静なプレーを心掛けたからか。

Jリーグでは、ガンバ大阪とヴイッセル神戸がJ2落ち。今年の関西スポーツ界はダメだったなあ。それにしても、いつか上がってくるさと思っていたら、遂に最後まで抜け出せなかったガンバ。監督のコメントを読む限り、どうもポゼッションにこだわっていたようだが、私はリーグワースト2位の失点を記録した守備に、致命的な欠陥があったのではと思う。関西4チームのうち、来季は3チームがJ2。あーあ。

「美の巨人」が、カラバッジョだったので観た。去年の夏、借りた本で、ルネサンス期から、バロックの宗教画を見て名前を覚えた。カラバッジョ、ティツィアーノ、イオあたりは好きである。カラバッジョは、ものすごく写実的で、光が強烈で、迫力があって、上手い。いつか本物を見たいものだ。

12月の読書は、森見登志彦「夜は短し歩けよ乙女」だが、なかなか進まない。人によって評価分かれてるようだが、今のところ、うーん、である。次は森博嗣「すべてがFになる」の予定。

写真は、長年使って、カビや汚れがついた、お風呂のおもちゃを、ハイターして、屋上で干したところ。入浴剤の中に入っていたヒーローやポケモンのミニフィギュアが、気が付いてみればものすごく多い。でもこうしてみると可愛さもある。さて、いつまで遊ぶことやら。

その屋上からは、街の夜景と、広い空が見える。この、半円パノラマのような光景が気に入っている。よくある表現だが、空が近くなったようだ。マンションひしめく中とは違う光景。来年たくさんいいことありますようにと、早くも祈り始めてたりする。あ、天文年鑑買わなくちゃあ。今年の内に、を忘れぬように。

2012年12月1日土曜日

11月書評

11月は7冊。途中忙しかったが、思ったより読めた。では行って見ましょう!

藤島大「スポーツ発熱地図」

土地とスポーツの結び付きを追って旅する、エッセイ集である。「○○に熱い町」というのが意外に多くて、微笑ましくていい。フェンシングやソフトテニスの話は面白かった。酒と食べ物の紹介もあって、楽しいスポーツ紀行ものだと思う。バスケットをやってた身としては、やっぱ能代に行ってみたいなあ!

誉田哲也「武士道セブンティーン」

映画化もされた、「武士道シックスティーン」の続編である。各方面から好評の声を聞く。かつては同じチームで、離ればなれになった2人の女子剣士には、それぞれに苦難があって・・という話。

主人公の1人、早苗が転校したのは、福岡にある、剣道のチョー名門校で、そこには、早苗の親友にしてライバル、全中準優勝者の香織を、決勝で破ったレナがいて、という流れである。

元々この物語の良さはキャラ設定の妙に尽きる、と思っていたが、新キャラクター、博多弁の剣士、レナも、とてもいい。物語的には、あれ?と思うところもあったが、でも上質のエンタテインメントだと思う。

誉田哲也「武士道エイティーン」

こちらも、あっと言う間に読みました。完結編。スピンオフ作品もあり、楽しめる。やはり香織の独白部分のセリフは秀逸。レナ目線も欲しかったかな。「ナインティーン」も、無いことはないらしいので、当てにせず、楽しみに待とう。

森絵都「風に舞い上がるビニールシート」

なんかいい本無いかなと、最近の直木賞受賞作をiphoneで見ながらブックオフで探していたら、行き当たった作品。ある意味奇妙な人の、短編集である。これは、普通の人の人生におけるふとした暗部に光を当てる、ライトな作品かなと思った。最初は。

しかし、途中からは趣きが変わった気がする。6つのうち、3つは前者、ひとつは、何故か重松清風、もう2つは、決して綺麗なだけではない、未来思考ものとなっていて、幅の広さを感じさせる。それにしても、昨今は、女性作家の方が、大胆だ。読めば読むほど、その感は強まる。

ただ、短編集では作家の本当のクセは分からないと感じている。次は長編を読んでみよう。

北村薫「空飛ぶ馬」

北村薫のデビュー作である。この時点では、作者の詳しいプロフィールは明かされておらず、女子大生が主人公であることから、若い女性作家が書いていると思った人もいたようだ。

北村薫を代表するシリーズ、円紫さんシリーズの第一 作でもある。日常に潜む、時にぞっとする謎を、神の視座をも持っているのではないかと思える落語家・円紫が次々と解いていく。ミステリに分類されているが、私はそうではないと思う。文学、落語のうんちくも、半端ではない。

しかし、北村薫は、特殊だ。はっきりとしたテイストを持っていて、はまる人ははまるだろう。一方理屈っぽく品もいいので、敬遠する人も居るだろう。私は好きである。またちょくちょく、「六の宮の姫君」とか「ひとがた流し」とかを読むだろう。

辻村深月「鍵のない夢をみる」

直木賞受賞作品。短編集である。ふうむむ、という感じだ。ここ最近、3冊の直木賞受賞作を読んだが、いずれも短編集だった。内ひとつは連作。そういえば、北村薫の「鷺と雪」も短編連作だ。こちらは短編連作のシリーズ3作めだった。

他の2冊、つまり森絵都「風に舞い上がるビニールシート」と、この作品は、なんら連関の無い短編集。正直に言うと評価に困る。

作家的に言うと、短編の方が小説技巧についてはより分かる、という話は聞いたことがある。収録作品間のテイストやまとまりも見ているのだろう。が、直木賞はやっぱドカンと大作を読みたいのが本音だ。せめて全体として何かが見えるようであって欲しい。私も、まだまだ修行が必要なようだ(笑)。

柚木麻子「終点のあの子」

これも短編集。しかし編ごとに主人公が移る、連作だ。東京、小田急沿線沿いにあるお嬢様女子校が舞台の、友情ものである。

女子と言わず男子でも、やはり友人、については色々有るものだ。全てが丸く収まる話ではないが、オチが微笑ましくついて、それが、解決のつかなかった物語の先をも予感させる。何より未熟な女子高生を未熟なまま描いている子供っぽさと、じれったさ、大げさに言えば瑞々しさが心地良く、久々に、次は次はと読んでしまった。面白かった。

最初のひとつ、「フォゲットミー、ノットブルー」がオール讀物新人賞を受賞し、短編を足した、初の単行本だそうだ。また選択肢が、ひとつ増えた気分だ。

11月終了時点で64冊。いよいよ来月で2012年の読書は終了。大賞発表だ(笑)。楽しく振り返ることが出来ればいいな。

2012年11月23日金曜日

ノエルとコスモとバスケット

街に増えるノエルの風情・・。妻が山下達郎ベストなぞ聴くものだから、当然その曲は入っている。

さて、5年振りくらいに寝込んだ。風邪はいつも発症寸前どまりで、熱が出てもすぐ引いていたのだが、風邪気味になってから東京1週間、ハードな仕事をして治まったかと思いきや、四国から帰って発症した。1日ゆっくり寝て70%くらいまで回復したものの、まだ全快とは言えない。できるだけ暖かく、おとなしくしていた。

長引くのなぞ、思い出せないくらい久しぶりである。なにせ、妻が息子を妊娠してからというもの、手は石鹸で洗うし、口はしょっちゅううがいするしで、およそ風邪とはほぼ無縁の生活だった。東京で1度寝込んだけど1日で回復したし。環境変わったからかな。トシもとったし。

幸いこの週末は、土曜以外はお休み。また、他の家族は妻の実家へ行くので、静かに、暖かく、ゆっくり。雨降ってるし。食の準備は、たっぷりしていってくれたし、日曜日の昼ごはんを心配するくらいで良い。

金曜の午後、日々の勤労に自ら感謝しながら(笑)、コーヒー飲んでテレビ見てソファでまったり。バスケットの全日本大学選手権、いわゆるインカレと、ディスカバリーチャンネルの「天体の全て」を観る。

バスケ女子の準決勝、大体大対筑波大は大体大が勝った。筑波の13番のセンターと、大体大のスコアラー、8番と10番は記憶に残った。もう一つ上、WJBLには将来行くのだろうか。

男子は、王者青山学院大と、大東文化大の試合を観戦。大学ナンバーワンを観るのも悪くない、と思ったのだが、前半は大東文化のリードで終わる。思わず判官びいきで大東文化を応援しだしたが、第3クォーターで逆転されあっという間に大差。しかし最後まで諦めない大東文化には好感を持ったし、ポイントガードの14番岸本選手のクイックネスとパスワークには本当に感心した。JBLでまた観ることが出来るだろうか。

「天体の全て」は、昨今の宇宙ブームもあってか、色んな映像が取り入れられていて、楽しめた。やはり火星は、憧れをかき立てる。火星を走り回ったローバー、オポテュニティとスピリットが送ってきた鮮明な画像は、何回見ても感動する。月のように大気がほぼ無く、真っ暗な星ではなくて、大気があって、空が薄赤く明るくなっているのが、惑星探査のワクワク感をさらに増幅する。土星の衛星タイタンへの突入の話も面白い。あと15年すれば、もっと先へと進めるだろうか。いちおう2035年の皆既日蝕までは生きるつもりでいるのだが。うーん。

閑話休題、東京時代の味の話は、我が家ではよく出る話題である。朝、息子とカートゥーンTVを見ていると、そこでいわゆるフレンチのメニューが出てきた。妻が「あー、ママも食べたい!エスカルゴ!」息子は当然よく分からない。パパは思いついてweb検索。

そして見つけた。思い出の味のひとつ、広尾のフレンチ。まさにママが、エスカルゴを食べた店。その店が、来月大阪にオープンするらしい。やったー、ぜひ行こう!と家内歓声が(笑)。プリフィクスメニューがあれば、有難いけどなあ。

さて夜は、辻村深月の直木賞受賞作品「鍵のない夢をみる」を少し読み進めよう。この辺で。

2012年11月18日日曜日

食の旅

東京1週間泊りが終わったら、次はすぐ今治へ。多忙の秋。不思議と、東京は暖かく、関西は寒く、四国はまた暖かい。

東京は食べ物は何でもあるが特徴がなく、単調でもあったし、今回は少し、らしいものを食べようと思って、まずは駅で「鯛めし御前」を頼んでみた。ご飯にほぐした鯛の身が混ぜ込んであり、いけた。

今治はタオルと、海の近くだけど鶏料理が有名で、夜は鶏。もんの凄く美味かった。一番インパクトがあったのは下の「鳥皮のダブル」このタレが絶品で、キャベツもれんこんはさみ揚げもピーマンの肉詰めもすべてこのタレにつけていただいたし、また白ご飯と相性抜群だった。

私は元来、食にはこだわらないタチでいまでもそこまで求めないが、いやー大満足だった。

日曜日は、久々に爆睡。午後は息子と公園でサッカー、野球にバドミントン。バドは風が強過ぎたが、サッカー野球は、少しづつ上手くなっててびっくり。1年生のときは、ドリブルなんて相手にもならなかったのに。フェイントとか入れてるし。へえーという感じだ。

おやつの時間に帰って、パパは爆睡の続き。夜は鍋雑炊まで。イナズマイレブンカードゲームやって、風呂入って就寝。寝るときのお話で、パパの小学校入学時の身長がいまの息子と同じ、ということが判明。まあ、すぐ伸びるさ。

こうやって話す時間は貴重だな。多忙の時期は過ぎたので、少しづつ増えていくだろう。

2012年11月14日水曜日

神宮の森

今年も、恒例の、1週間東京泊り込み出張。合間に、明治神宮を歩いた。おととし、息子の七五三参りに行った。特段おめかしもせず、普通の服で、同じ神宮の森を歩いた。

風船を空に飛ばしてしまい、パパ咄嗟に樹の幹に、いわゆる三角跳びして紐を掴もうとしたが届かず、だったなあ、とか、息子は不機嫌で、写真も眩しいこともありかなり嫌そうな顔で写ってたな、とか、帰りに原宿のキディランド寄って機嫌が直ったな、とかを木洩れ陽の仲思い出していた。

ちょっと東京感傷。年賀状用の写真を取りに行った六本木ヒルズのイルミネーションは、今年もきれいだった。

2012年11月5日月曜日

なんとか弁当

土日と外仕事で、土曜に、駅で降りて、近くのスーパーで弁当買って昼メシだよ〜明日はローソンかな〜。と気軽に言ったら、早起きして作ってくれた、ナントカベントウ。味わって食べました。はい。

朝持って行く時、息子は、ボクもお弁当がいい、と朝から弁当箱に入れてもらった、湯気の立つ白ご飯と、ウインナーと、卵焼きを食べていた。

2012年11月3日土曜日

味を求めて

前々回、クッキーの困った習性を書き忘れたことをきょう思い出した。こいつは、猛烈に、舐めるのである。一時期レオンも、特に外の人に対してやっていたが、クッキーは、我々に対して、とにかく舐めまくる。顔、首はもちろん、手、腕、二の腕に至るまで、寝かしつける時はやめなさいと叱るまで舐め続けている。

きょうも帰って来た時、ソファに腰を下ろした私に飛びついて来て「こら、やめ・・」と言おうとした瞬間に、口中にクッキーの舌が入った。しょっちゅうである。舐めるのはアピールの一環というが、かまってかまって、というよりは、こいつは人肌を舐めるのが好きなような気がする。

平日休み、時期的に土日も仕事で忙しいため、ここぞと髪を切りに行く。いつもの店員と、子供を連れて行くところとか、サッカー、野球の話をして、終わって近くの、古めの喫茶店で野菜炒めと出し巻定食。おばあさまたちの団体が来たので、ソファ席を辞してカウンターへ移り、さっさと食べて出た。

平日の昼間、元々本数の少ない帰りのバスには時間があり、駅近くにあるコーヒー専門店を久しぶりに訪れた。楽に座って呑めるスペースがあって、一杯三百円。ゆっくりとコロンビアを味わい、コーヒー豆を炒る香りに包まれて、時間を過ごす。私は、かつてコーヒー好きだった。

大学の近くに、たまたまコーヒー専門店があり、これもたまたま、父親がサイフォンで入れるコーヒーに凝っていた。薀蓄を始めると長いのでやめるが、うまいコーヒーを飲む、というのは外でも家でも、私のひとつのテーマだった。

東京への転勤、単身赴任、引っ越しと多忙ですっかり疎くなっていたが、思い出した気分で、ほっこりとなった。テーブルは3つしかない、決しておしゃれでもない、地味な和風の作りだが、平台に座布団を敷いた長椅子が心地よく、壁のマホガニー色のつやが落ち着く。こうでなくっちゃあ。こんな風に味のある、自家焙煎しているコーヒー専門店は、なかなかない。

たまには上手いコーヒーを呑まなきゃねえ、と、支払いの時店主に言ったら、一瞬の間の後、嬉しい言葉です、ありがとうございます、と返ってきた。突然無理やり言わせた感はあったが(笑)、ともかくいい心持ちで家路に就いたのでした。

2012年11月1日木曜日

10月書評

山の方に移り住んだからか、特に夜中、よく雨が降るな、という印象だ。寒いし。今も降っている。稲垣潤一の、「雨は壊れたピアノさ〜♪」という歌詞を思い出したりする。確か「バチェラー・ガール」というタイトルだ。「雨のリグレット」も良かったなあ。青春時代は稲垣潤一と渡辺美里と久保田利伸、佐野元春、プリプリ、サザンほかもろもろ。

やっと段ボールが出て来て、本とCDの整理をしたが、棚が多くて広いのと、意外に家持ちの本は少ないからか、まだスカスカである。

さて、10月は8冊だ。

伊坂幸太郎「ラッシュライフ」

これは、先に書評を長く書いたので、最後の方だけの繰り返しにする。

大きなだまし絵的なオムニバス、だが、それぞれの話が結論まで行ってない。さらに作品を超えた、登場人物のクロスもあるそうである。そういった作家さんなのだろう。ひとつのジャンルなのかな、という気がする。

窪美澄「晴天の迷いクジラ」

「ふがいない僕は空をみた」で本屋大賞2位ほか各賞を獲った窪美澄の作品。「ふがいない」は、エロとアニメおたくから入って、序盤は最悪、と思った。しかし最後で泣かされた。

「迷いクジラ」もよくもまあこう貧乏や田舎のことや人の死やら極端な不幸を精巧ぽく創りたがるんだろう、タッチ変わってないし、と思ったが、途中で泣かされた。

何かと、なぜか憎たらしいし、前作に比して、クライマックスは偶然性が強くハデ過ぎるし人が相変わらずすぐ壊れるし、話が重いからなかなか読むのが進まないし、と思うが、もう認めねばなるまい。窪美澄には、人を感動させる物語を描くことが出来る、ということを。出来れば次回作は違うタッチのものが読みたいぞ。

村上春樹「国境の南、太陽の西」

これまで、なぜハルキが社会現象になるほど人気があるのか、なぜ周囲の読書家たちにハルキストが多いのか、不思議に思っていたが、この作品を読んで、また少し理解が進んだ気がする。

人生の「欠落」これはハルキ全般に言われるキーワードであるが、この作品では、分かりやすい形でストレートに詰めている、と思う。幸せは、充分にあるが、しかしそれは自分の全てを満たしているわけではない。その希求はこの書を読む多くの青少年に、 家族を持ち通常の幸福を享受している中高年層に、響くだろう。ただ、女性にはもうひとつ響かないような気がしている。

そして、欠落を埋める手段を持っていた主人公に羨望を覚えるか、我が身の経験を顧みるのではないだろうか。少なくとも、人生の岐路には想いを馳せるだろう。

文体、主役とその考え方は、「スプートニクの恋人」や「ノルウェイの森」に通ずるものがあり、考え方と物の言い方が、独特で哲学的。物語のキーワードも、非常に趣味のいいところから取っている。世界的に受けがいいのも、分かる気がする。真っ向から、普遍のテーマに取り組んでいるからだと思う。よく物事を調べて、読み手を楽しませるように、軽妙洒脱に書いているわけではない。

自分の感想としては、今回、村上春樹は他にはいない作家だ、という手応えを得た、というのが一番大きい。だからと言ってハルキストになって、貪り読んだりするわけではないが、これは確かに、芸術の一分野、少なくとも本格派、と言われるものなのだろう。

有川浩「クジラの彼」

本格派というか、重い作品が続いたので、軽めの恋愛小説。自衛隊ネタだが、やはり恋愛もの。意外に時間がかかってしまった。特にはコメントなし。環境的に心地よかった。以上。

宮本輝「葡萄と郷愁」

日本とハンガリー、人生の決断を前に揺れる2人の若い女性。葡萄とワイン、仕込まれた暗合が微妙に効いている。宮本輝は久しぶりに読んだが、ひと昔前の芸術映画を地で行っている感じだ。

ベースからしてちょっと突飛だな、という気はするが、熟練の手管で練り上げられていると言えるだろう。1985年界隈、という空気もよく出ていると思う。

中山七里「おやすみラフマニノフ」

このミス大賞「さよならドビュッシー」の続編である。ドビュッシーは、推理小説というよりは、音楽ものとして楽しめた。「ラフマニノフ」は、大学生もの、というのもあるのか、もっと雰囲気も軽めで、しかしテレビドラマのように大仰だった。

中身はというと、やはりクラシックものとして楽しめる。中盤のヤマ、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の部分は、私自身にとっても思い入れのある曲、ということもあってハマってしまった。

正直前作と同じように、推理小説としてうーん、という部分は有るのだが、でもこれだけ楽しめたからオッケーだ。

佐々木譲「廃墟に乞う」

舞台は北海道。休職中の道警刑事が、個人的な依頼をされて、様々な事件の捜査に当たる。

直木賞受賞作品である。ふうむ。北海道の各地が描かれていて、元北海道好きとしては興味深い。冷静で理性的な主人公、内容には、色気も無い。

本来ならば、正規の仕事では無いところに、このような冷徹な刑事が、のこのこと現れる事は無いのだろう。だから余計、現場復帰の激しい願望がある、と取れなくもないのだが。

抑えた筆致が特徴か。オチはやはり休職のきっかけの事件かな、と期待して読んでいたが、ちょっとすかされた気分になった。

北村薫「紙魚家崩壊」

短編集、アンソロジーである。遊び心に溢れている。3連作があるかと思えば、2連作もあり、単独のもの、短いのと、長いのがあったり、書く方も楽しんで書いたな、と思う。まあすらすら読んだ。私はまだ、北村薫の作品を10も読んでいない。しかし、次は、最新の長編で、北村薫一世一代の大作を読みたいな、と思ってしまった。

11月の初頭は、スポーツエッセイ集を読んでいる。引き続き誉田哲也「武士道セブンティーン」に辻村深月「鍵のない夢を見る」である。あまりテイスト変わらないなあ。でも楽しみだ。

2012年10月29日月曜日

クッキー&レオン

10時半ごろ、トイレに起きた息子に添い寝してやって、そのまま眠ってしまったようだ。なにも掛けてなかったから身体が冷え切っている。いま暖房を点けた。

きょうは、毎年大阪で行われている、世界スーパージュニアテニスの決勝を皆で観に行くつもりだったが、あいにくの雨で断念、神戸のIKEAで、ランチと買い物をした。

寝かしつけの時に、息子に、地球と太陽系の未来のこと、太陽は赤色巨星となり、地球を呑み込むくらいまで膨張する、とかの話をした。最新の研究では、太陽が末期に近づくと、質量の低下のために、重力が弱まり、地球の軌道も外へ広がるので呑み込まれることは無いらしい。ただ地球宇宙規模で言えば、どんな変異が起きるか分からず、昔栄えた恐竜も全くいなくなったし、人類がいるかどうかもわかんないよーなどと話した。

さて、10歳のオス、チョコレートタンのレオンと2歳のメス、ブラックタンのクッキー。好対照である。

レオンは語り尽くせないくらいのクセがある。この犬は、ウチに来た時から頭がいいなと感じたが、それがゆえの神経質さも持ち合わせている。経験もあり、私と妻が言っていることはほとんど分かっているはずだ。

我が家はまだ息子も居ない頃、レオンを猫可愛がりに可愛がった。ドッグカフェにもたくさん行った。構いまくった。しかし息子が生まれ、王子様の座から滑り落ちた。まだそのことを根に持っているフシがあるし、息子より自分がお兄さんだと、確実に思っている。ママが息子に〜しなさい、というと、真似するように吠えに行くし。

エサを食べる時にうーうー、ワンワン言って、パパに遊べと言う。これは幼少の頃、パパが構って、食べている身体に足を当てて遊んでいたからで、未だに毎食遊べと要求する。パパが寝床に入ろうとすると、おそらくママは僕のものという意識が有るせいか、猛然と吠える、が、横になると、ねえパパ撫でて〜とくっついてくるあまのじゃくだ。気に入らないことがあると、ソファだろうが布団だろうがおしっこウンチをしまくる。パパが帰ってくると、息子とクッキーがわーっとくる後ろで、俺を一番先に撫でろとワンワン吠える・・と言った具合だ。

それに比して、クッキーは微笑ましく少々天然でビビりだ。この子はレオンほど構ってなくて、来た当時やや厳しくしつけたため、悪気のあるおいたはほとんどしない。ママが好きだが、パパも大好きで、どんなに遅く帰っても必ずわーっと迎えに来る。オスは女性、メスは男性が好きだというが・・。おしっこウンチ優秀、外出時も布団かソファかで大人しく寝て待っている。しかし、食べ物が前にあるとき、レオンは、ダメだと言ったらほぼ絶対食べないが、クッキーの食い意地は大したもので、取れると思えば少々無理な位置からでもタックルに来る。何回手か箸で持っていた食べ物を取り落としたことか。

ドッグカフェにはほとんど連れて行ってないので、付き合い上手なレオンが大型犬もものともしないのに対し、クッキーは率先して吠えるクセに張り子の虎で、相手がこっち来たら私の後ろに逃げ込むビビりである。夜の散歩は怖くて歩こうとしない。テレビの犬の声にも、猛然と吠える。ある朝、パパがママ車で駅まで送ってもらう途中、外へ向かって激しく吠え出したので何かと思ったら、松岡修造の等身大パネルだった。身体も小さいが、まだ仕草が子犬のそれである。レオンと違って、言葉による注意は意味をなさない、などなどだ。

まあだが、クッキーが来てから、外出時にはレオンも落ち着いたと思う。やはり仲間がいるのはいいものだろうし、仲もいい。好対照な、この2頭。騒がしい我が家の構成員である。

2012年10月22日月曜日

団栗

週末は久々の東京行。今回翌日の現場から最も近いホテルに泊まったが、これが楽で、しかも朝食が悪くなくて、良かった。シングルだが快適だし、お風呂も大きめ。次回以降も決まったな。

日曜日はまた北千里へイナズマイレブンバトルスタジアムをしに行く。ここにしかないガチャガチャ、つまり200円いれてカプセル型のおもちゃが出てくるアレ、が有るからだ。例の、古本も売っている本屋さんもあるし、むしろ楽しみだったりする。で、終わって、佐々木譲の直木賞受賞作品「廃墟に乞う」と、北村薫の短編集「紙魚家崩壊」を買う。ロバート・B・パーカーの「レイチェル・ウォルスを探せ」にも惹かれたが、やめた。比較的保存状態が良くて、ブックオフより少しずつ安いのがここのいいところだ。でもまた積ん読増えたなあ・・。

「おやすみラフマニノフ」は行き帰りの新幹線で進む進む。もうあとは謎解き部分だけ。詳細な書評は定例で書くが、「さよならドビュッシー」よりも、楽しめている。

帰りは、急ぐ。ご用事があって3時までに帰着マスト。小腹がすいた息子はマクドに惹かれていたが、時間が無いので、十三で551の豚まんを買う。これはこれで好きな息子は帰宅後パクパクと食べていた。

夕方、小学校に提出する日記を書くために、公園へどんぐり拾いに行く。まあゲームしに北千里行きました、は書きにくいかな(笑)。もちろんそれだけではなくて、プラスチックボールとバットを持って行く。落ちていたどんぐりと、樹木の特徴をwebで調べると、マテバシイとシリブカガシらしい、ということが判明。

さらに調べると、この2つはブナ科マテバシイ属で日本に自生するたった2つの種類らしく、いわば兄弟だ。街路樹、公園樹によく用いられ、シリブカガシのどんぐりは、渋みが少なくそのまま炒ってたべられる、とか。ブナ、ナラ、シイ、カシ、クヌギとかはよく聞くが、こういう分類になっているとは、と少し賢くなった気分だ。写真の大きなどんぐりは、アベマキか、クヌギだろう。これは神社で拾って来た。いいね、それ、書く、と兄弟の種類、ということも息子は書いていた。

続く野球では、近所の友達と、そのいとこちゃん達と、パパと一緒にたまたま遊びに来ていた5歳の子も巻き込んで野球大会になっちゃった。息子が友達とどう遊ぶのかも興味深かったが、小さい子たちにコーチングしていたのには思わず微笑んでしまった。

軽い運動がたたってか、晩御飯にビール飲んだら眠気が来て、見事に沈没。深夜に起きて風呂入る。屋上から空を仰ぐと、おうし座に光り輝く木星が美しい。カペラ、アルデバラン、ベテルギウス、リゲル、プロキオン、ポルックス、そしてシリウス。冬の一等星たちはまさに宝箱のようだ。さあもう寝よう。

2012年10月15日月曜日

新月

引っ越して1週間。少しずつ周りのことを開拓中。

バス停は、帰りの登りは8分から10分くらい。もうすぐだしと、最近バス帰りを頻繁にしていたせいかあまり違和感は無い。

公園は、前のところに比べると狭いが、近い。角曲がって上がってすぐ。しかし、ここ、草ぼうぼうで、すべり台の下はよく見ると砂場のようになっているが、まったく手入れされてないので堅くなってしまっている。

昨日は午前中、この公園で野球遊び。プラスチックの短いバットに、小さなプラボール。打っても投げても飛ばないからいい。また変化球を投げやすい。ゲームを通じて野球に詳しくなっている息子は、時折覚えたての野球用語を挟みながら、楽しそうに、投げて、打つ。野球好きのパパもなかなか楽しい。

昼ごはんのかにレタスチャーハン食べて、帰って、珍しくうたた寝する息子。金土日は寝るのも遅くなりがちだし、TV見るために起きるのも早いからなあ。

ワンも一緒に寝てくれているので、これ幸いと、夫婦は片付け。向こうを出るときに、パパが自分用に荷造りしたのは�本とCD、�部屋着ほかすぐ開ける用の段ボール箱くらいなのだが、なぜか自分の部屋に運ばれず、箱山に埋もれてしまっていて(笑)、不便を囲っている。東京引き揚げたときに開けてなかった本とCDの、別箱が先に出てきたので、出して並べる。

新しい部屋は収納がたくさんで、主にジャズのCDを、ジャンル分けしながら、2段に並べていくのが気持ちいい。永年衣装ケースの中にあった、映画のパンフレットも軽く入り、本は主にシャーロック・ホームズのコレクションをズラズラと並べていく。我ながらちょっとしたもんだなと悦に入るシャーロッキアン。埋もれているもうひとつの箱は、クラシック全部とジャズの残り、本はやはりシャーロッキアン本と、クラシック関係と、マンガ!整理するのが楽しみだ。

衣類を片付けて終了。息子起きたところで、買い出しに出る。車中はここのところママが好きな山下達郎の4枚組ベストがずーっとかかっている。息子は「Ride On Time」ならすでに軽くカラオケ出来るであろう。で、家族でマイブームなのが、この中の「ドーナツ・ソング」サビはずっとドーナツ、ドーナツ・・と続く、達郎にしてはカワイイ系の歌詞で、小腹が減っているときなんか、絶対ドーナツ食べたくなる。好きな息子と着くまで歌っていた。買い出しは、なにせ家の周囲にはストアはもちろん自販機の類まで全く無いのであれもこれもとつい買ってしまう。

晩ご飯はそのまま外でお好み焼き。塩焼きそば含め上品で、美味かった!息子もよく食べた。

明けてきょうは、車を車検に出しに行く。息子が学校で習ったという西宮神社が近かったのでぶらりと散策すると、七五三参りがちらほら。行ったなあおととし明治神宮、と夫婦の話題。ここは全国の戎神社の総本山で、毎年の福男を決める境内での競走は全国ニュースで取り上げられる。帰りは、見かけた地中海料理屋でピタパンサンドランチ。豚肉の炒めたものやサラダ、ポテト、コロッケなんかを好きに挟んで食べるのだが、息子なかなか美味かったようで、機嫌良くパクパク食べていた。

ママと分かれて、電車乗り継いで、エディオンで、仮面ライダーゲーム、ガンバライドをしに行く。シリーズが変わったばかりで、新しいバージョンはまだした事が無くて、どうしても行きたい、と息子がごねて親折れた。パパ欲しかったプラスチックバットの大きい版買って、息子は、魔法使いの仮面ライダーウィザードの魔法の指輪買ってもらいほくほく。帰り道はバスで40分。息子よく寝る。

この日の晩ご飯は、あさりの味噌汁と、豚肉と白菜の鍋だったのだが、息子またパクパクとよく食べる。あんなに食べなかったのに、少し変わってきたのかな。

金曜は早起きで、サッカーの日本ーフランスを観戦。歴史的勝利!前半はかなり押し込まれたし、ひとつ違っていたら、大差の負け、という守備の反省は聞かれるものの、時差もある中でのアウェー勝ち。シュートも、スコーンとやられて、相手が勝手に外してくれた、のは少なかったように思う。
長友ー香川という、インテルーマンチェスターユナイテッドラインで決めた事だし、本田も岡崎も前田もいない中で結果を出したのも素晴らしい。ここは素直に喜ぼう。ブラジル戦が楽しみだ。

タイトルは、新生活の、いわゆる隠喩です。きょうあたり暦も新月。これから・・と下弦が怖いな(笑)。

2012年10月9日火曜日

転宅

思い切って引越しをした。

さらに山の方へ登ったので、もう駅まで徒歩では通えない。小学校は近くなった。

夜景は、これまでより遠ざかった分だけ広々と見える。

息子はコンサバなので(笑)嫌がった。確かに、そばに大きな神社も無ければ、広い公園もないが、新しいところに住むのはわくわくする。さて、ともかく新生活の始まりだ。

2012年10月6日土曜日

Love Princess 2

愛媛県は今治に日帰り出張。昨年の暮れに松山に行ったが、愛媛には、独特の土地の風情がある。タイトルは、去年に続き、愛媛を無理やり英語にしてみたものだ(笑)。

新神戸から岡山までのぞみで40分弱、岡山から特急しおかぜで2時間ちょっと。家を出てから、移動4時間、現地滞在3時間、また帰り4時間。ただ、仕事は予定より早く終わり、帰りのしおかぜを早めることが出来た。

帰りのしおかぜはアンパンマン列車で、アナウンスも最後にアンパンマンの声で「また乗ってね!」帰りの新幹線、お腹がすいていたのでたこ飯弁当を食べたのだが、隣の人が写真撮った音を聞いて、あ、俺も食べる前に撮っとけば良かった、と思った。

車中で、窪美澄「晴天の迷いクジラ」を読了した。不覚にも途中泣いてしまった。早く帰り着いたので、新しく出来た三宮の広いブックオフに行って、どこ探しても無かった、中山七里「おやすみラフマニノフ」と、村上春樹「国境の南、太陽の西」を買って来てちょっとほくほく。「武士道セブンティーン」はさすがに無かった。

さあ3連休だ。

2012年10月2日火曜日

理屈と郷愁

昔本読みの友人が言った。「映画は好きではない。映像よりも文章の方が描写力があるから」

私は芸術系映画も見ないでは無い。というか、一般的には数を見ている方だろう。過不足無く、出て来たものを関連付け、全て説明するもの、例えば、古くて恐縮だが、パトリス・ルコント「仕立て屋の恋」のようなもの、も有れば、逆に全てを説明せず、観客の想像力と感性に訴えるもの、こちらも例えば、イランのアボルファズル・ジャリリ監督の「少年と砂漠のカフェ」のようなもあり、また両者の中間のような作品もある。

観客の感性なり想像力にお任せするものは、時として、わけわからん、となりがちだ。ベネツィア映画祭で最高賞を取った、ロシアの「父帰る」とか、カンヌを獲った「息子の部屋」などがそうだろうと思う。

部分には気に入ったところもあったし、全体としてひとつの、ほんのりした印象が残ったなあ・・というのはむしろいい方だろう。

伊坂幸太郎「ラッシュライフ」を読むと、そんな感じがする。「砂漠」よりも芒様としている。大きなだまし絵的なオムニバス、だが、それぞれの話が結論まで行ってない。さらに作品を超えた、登場人物のクロスもあるそうである。そういった作家さんなのだろう。ひとつのジャンルなのかな、という気がする。

ただ、映像と文章では、それぞれの表現に違いが有るのは確かだ、と思う。

さて、最近は、隣の神社の森が美しく見える。季節柄が良くなって来たこともあろうが、木洩れ陽の中を歩いていると気持ちがいい。

人には、いくつか分岐点があり、仕事上では多いし、つくづく結婚というのは大きな分岐だと今更ながら思うし、さらに学生時代から振り返ると、小さな分岐は沢山あって、どこかで異なる方向へ進めば、まったく違う道もあっただろう。思えば遠くへ来たもんだ。きょうも、その日だった。少し忙しくなりそうだ。

夕焼け雲が綺麗だった。

2012年9月30日日曜日

9月書評

日曜日、台風17号が近畿近くを通過。我が家近辺でも、昼から夕方は雨風が強まった。タバコに外に行こうとしたが、道に出ようとした時、「ヒュウゥゥー!」という甲高い音が聞こえたため、反射的に玄関に駆け戻ったところ、目の前の道を激しい突風が通り抜けて行った。危険だった。

目の前の家は、雨除けのトタン屋根が飛ばされていた。風向きにも拠るが、マンションというのは、台風には強いと言える。家の中、ベランダともに平和であった。東京はテラスハウスだったから、台風のたびに自転車なんかが心配だった。

さて、嵐を呼ぶ今月書評?行ってみましょう。

藤波辰爾 長州力
「名勝負数え唄 俺たちの昭和プロレス」

私はかつてプロレスファンであった。社会人になって5年目くらいまでは観に行ってただろうか。しかしその後はさっぱりで今は特に興味が無い。

「ワールドプロレスリング」「全日本プロレス中継」をテレビで観てワクワクしていた世代には長州力の存在感は強烈で、入場曲「パワーホール」は耳に突き刺さった。そのライバル、猪木の後継者、藤波辰爾との対決を、かつて古館伊知郎は「名勝負数え唄」と呼んだのである。世は今から考えると信じられないくらいのプロレスブームだった。

エゴがぶつかり合う世界を40年生き抜いてきたライバルの2人が、自分の道と、当時の、史上空前のプロレスブームをそれぞれに語った一冊。今だから話せる多くの事が、ああそうだったのかと、思わせる。

北村薫「街の灯」

時は昭和7年の東京。良家の才気煥発な娘と、次の世代を育てたいと運転手になった別宮(べっく)女史が事件を解決していく。

第3弾「鷺と雪」が直木賞を受賞した「ベッキーさんシリーズ」の第1弾である。しかしまあ、その筆致で、北村薫は、いつも知的な世界に誘ってくれること。

時代考証とその設定、古き良きころの東京の、いわば写真的な描写や魅力的な登場人物と、心の動きは実に鮮烈だ。扱う謎は大も小ももひとつ感があるが、それをカバーして余りある緻密な筆の力。満足である。「私も自分を千里の馬を待てる器とは思えない」は、響くなあ。

北村薫「夜の蝉」

こちらは女子大生の「私」が主人公の、円紫さんシリーズで、推理作家協会賞受賞作。円紫さんは相変わらず神の視座に立ってる感が有るし、謎そのものも浅めな気がするが、事件が主題でなく、スパイスと思えば気にならない。女性と思われていた北村薫が正体を明かすきっかけとなった作品。

品が良く緻密で、底にあるテーマが響く。これ、推理作家協会賞というよりは、別の、通常の小説としての賞をあげたほうがいいのではないか。女子大生3人の関係も絶妙で清々しい。文学と落語がまた彩りと味を出している。好きな人ははまるだろう。私もはまりかけである。次はぜひ「空飛ぶ馬」も読んでみよう。

北村薫「玻璃の天」

もうここまでいくとキタムラ月か。ベッキーさんものは、ブックオフで、状態がいいのがあったので2冊とも購入した。シリーズ2冊目である。ベッキーさんの秘密も絡み、なかなかミステリーチックな、綺麗な出来となっていて、面白かった。戦前の日本を、殊更批判する気も無いが、明治維新からこの方、世相はなにかとあったんだなあ、という感じだ。

貫井徳郎「慟哭」

デビュー作である。1996年の作品。「ミハスの落日」の解説ページで、作品、経歴について詳述してあったことと、読書仲間が結構読んでいることが発覚し、読む気になった。

連続幼女誘拐殺人犯の話である。うーむ、貫井徳郎に独特の筆致があるのは認めるものの、ネタバレ感があるのと、どうも既存の警察小説のような臭さがあり、正直インパクトに欠けた。次は「乱反射」を探してみよう。

マンリー・W・ウェルマン&
ウェイド・ウェルマン
「シャーロック・ホームズの宇宙戦争」

地球上に降り立ち、人類に向かって、強烈な攻撃を仕掛けてきた異星人に、シャーロック・ホームズが立ち向かう!

1980年発行の、その筋では有名なパロディである。ずっと欲しかったが、絶版なのであきらめていたところ、神田神保町のミステリー専門書店にあったので、喜び勇んで買って来た。コレクションのひとつである、「シャーロック・ホームズ対ドラキュラ」が、なかなか面白かったこともあり(笑)、楽しみに読んだ。

結果は・・こちらも面白かった!ホームズが宇宙に飛び出すハチャメチャなパロディまで予想していたのだが、そうではなく、シャーロッキアンをゾクゾクさせる、渋い仕掛けがいくつもあり、ホームズは、論理と知識と勇気を以って異星人に立ち向かう。時代考証もしっかりしているし、聖典=原版との絡みのみならず、ドイルの「ロスト・ワールド」という別の小説の主人公、チャレンジャー教授が生き生きと描かれている。加えて、さらにはH・G・ウェルズの「宇宙戦争」も濃く意識している。

だいたいパロディはアイリーン・アドラーが艶やかに出て来て、マイクロフトが重々しく登壇し、聖典との絡みも浅薄さを感じさせるものも多いのだが、今回はまさに渋くて、新境地を見た思いだった。満足である。ここのところそれで良しとしながらも、いくつかのパスティーシュの内容には不満を覚えていたので、面白くて良かった。

東野圭吾「聖女の救済」

東野圭吾では、ガリレオシリーズだけ読んでいる。前作「ガリレオの苦悩」は苦言を呈させてもらった。

そしてこの「聖女の救済」。面白かった。テーマは完全犯罪、である。イメージから極めて狡猾な女が完全犯罪を目論んだ、と思っていたが、暑苦しくも無く、捜査をせせら笑うようなあざとさも無かった。そう心掛けたのだろう。

また、前回登場した女性刑事が、福山雅治の曲を聴いている場面も出て来て、東野圭吾はプロだな、とほくそ笑んだ。難を言えば、殺害された男の、子供を求める心がもう一つ分からないし、女性の心と行動が不自然にも思える。あまり言うとネタバレするから遠慮するが、最後の畳み掛け方は面白さを味わえるものの、都合良すぎ感もあり、完全犯罪を行うことに対する感じ方もうーんだし、偶然に任せている部分も見受けられた。

さらに言えば、ガリレオ独特の科学的手法・・やめておこう。一読めは面白い。筆力もある。それは確かだ。

松谷みよ子「アカネちゃんとなみだの海」

最初はただの児童書かと思ったが、離婚や離れて暮らす父の死というショッキングなテーマについて、児童文学の手法で表現されており、こりゃ成人文学か、と少々驚いた。作者自身の身に起こったことになぞらえている。

正直、複雑である。左ウイングな思想が露わなことよりも、いや、だからか、こうもストレートに表現することにびっくりする。児童書の在り方に逆行していて、離婚に伴う子供の心情、悲しみに対して自分を正当化している、自己満足だ、と断定する事も出来るだろう。作者自身、書く事で自分が自由になった、というような事をあとがきに記している。

しかし、シングルマザーがこれだけ多い世界で、この手法にトライした事は斬新である、と言わざるを得ない。だからむしろ、成人文学では、と思ってしまうのだ。そちらで評価されるのはむしろ必然かと思う。実体験を通した、心の叫びだ。正直、子を持つ親として、片方の親が居なくなると、少なくとも子供が傷付くのは否めず、そんなことは可哀想で考えたく無いのだが、だから、作品として胸に突き刺さるのもまた事実。大人にこそ、一読をお薦めします。はい。

ロバート・B・パーカー「晩秋」

人気ハードボイルド、スペンサーシリーズ。以前、「初秋」を読んだが、「晩秋」はその続編。10年前に父母に疎んじられた息子、ポールを引き取り、男としての生き方を教えたスペンサー、25歳に成長したポールに、またしても母親絡みの、深刻なトラブルが起きた・・。

スペンサーシリーズは20作品以上出ているが、「初秋」は中でも最も売れた作品だという。2冊セットにして読むと「晩秋」は、大した名作だと思える。ポール母子、そしてスペンサーの情、ギャング親子の情がうまく絡み合っていて、味わい深い。もちろんお馴染みのスーザンや相棒ホークといった登場人物の活躍も見ものである。いやー楽しめた。楽しく9月は9作品。

年間60作品が目標だが、ここまでで50を突破。あと3カ月の間に、なにかしら衝撃を受けたい今日この頃だ。

2012年9月29日土曜日

秋のイベント

ママ朝5時に起きてお弁当作る。パパ東京出張で歯を磨く。息子が起きたという6時、パパは品川発の新幹線に乗る。

ママがお弁当持って場所取り兼ねて、早めに家を出た時、パパは名古屋あたりで、ひたすら睡眠時間の補填に努める。

開会の9時を過ぎた頃駅に着いて、自宅に帰ったのが9時20分過ぎ、朝早くから取り残されたワン達がいつもより激しく飛びついてくる。

あやして、スーツを着替えて、あれこれやって、家を出たのが9時40分、学校は、近くはなく、しかもかなりの登り坂、暑い。ヒーヒー言いながら登ると、学校が見えたところでEXILEの曲が聞こえてくる。最後の、心臓破りの坂を登りながら、終わらないでくれ〜と祈るが、校門に着いた時にちょうど曲終了。3番目のプログラムのダンス、間に合わなかった。

バトンの代わりに小さなフープを持ってのリレー。カラーコーンまでまっすぐ走って往復する。トラックは、来年から。今年も第一走者。ビデオで追う。すると、1番で帰って来た。ほお、良かったなあ、で昼ごはん。場所取りシートの上で特製弁当を食べた。

去年も書いたが平和である。麓の駅近くの小学校は入りきれないくらい人が来て、お弁当、親子で一緒には食べられないんだとか。山の小学校はのんびりだ。高学年のリレーは抜きつ抜かれつで盛り上がるが、去年書いた理由で、抜かれるほうの子の、必死な顔を見て涙してしまうのでした。

今年は赤買って白負け、皆で帰って、シャワー浴びて寝る。夜はお弁当作ったときの残りご飯。今年も一大イベントは、無事終了したのでした。去年は半袖で寒いくらいだったけど、今年はえらい暑かった。ま、台風前に終わってめでたし、でした。

2012年9月23日日曜日

秋の気配

あれがあなたの好きな場所・・。

朝晩だいぶ涼しくなった。ようやく気配だけ感じるが、まだ最高気温が30度という予想の日もあって、油断はできない。

金土と東京、きょうはご用事と、ちと多忙。パパ誕生日週なので、晩ご飯、ステーキディナーを食べました。この週は地元のお祭りで、昼は息子と一緒に神社のもち撒きに参戦、夜も、山車を見に行った。

去年は単身赴任中で、誕生日に台風が来て、帰宅難民になりかけた。えらい差である。

今月も読書は好調で、すでに既読8冊。買っても買ってもすぐ読んでしまう循環だったが、友人に借りたり、安く購入したりと対策もとったため、いまどちらかというと積ん読状態である。

私を待つのはロバート・B・パーカー「晩秋」、窪美澄「晴天の迷いクジラ」、有川浩「クジラの彼」、宮本輝「葡萄と郷愁」、浅田次郎「珍妃の井戸」などなど。会社の抽斗にも「心霊探偵八雲」や伊坂幸太郎が眠っている。ここから先はこれらを減らしていくべし、だ。クジラ多いな。金曜の文芸仲間宴会は、クジラ料理だったな、そういえば。

そんな中、松谷みよ子「アカネちゃんとなみだの海」にちょっとした衝撃を受けた。う〜む。詳細は定例書評に譲るが、子を持つ親として、考える、深く入り込まれた気がする。

東野圭吾「聖女の救済」もまずまず面白かったし、シャーロックホームズのパロディも読んだし、楽しみながら読めている、読書の初秋、なのでした〜。

2012年9月17日月曜日

晩夏・・

土日と外仕事。確か生まれて初めて、神鉄、神戸電鉄に乗る。有馬温泉方面など、山間部を走る鉄道だ。手塚治虫の漫画「アドルフに告ぐ」で、戦前の描写の中に出てくるので、その歴史は意外と?古いのだろう。

さてそんな土地での外仕事、太陽が雲に隠れていればいいのだが、出ているとかなり暑い。終わった瞬間自販機で缶コーヒーとスポーツ飲料のペットボトルを買って立て続けにガブ飲みした。ここまで汗かくとトイレも行かない。

休みのきょうは、北千里へ。大阪府は地図で見ると南北に細長いのだが、その上の方の部分、大阪市より北の地域を北摂(ほくせつ)と呼ぶのだが、千里はその北摂、大阪市の北隣の吹田市(すいたし)にある。イナズマイレブンGoのバトルスタジアムのメモリーカードを売っているところが少なく、いちばん近いのがここだった。東京都下でも、なんと1ヶ所、なのだから驚きである。西宮とは言わないから、三宮とか、せめて大阪駅周辺であって欲しいもんだ。そないに大それた遠隔地では無いが、通常千里は用が無い限り行かない。

阪急北千里の駅に着いて、駅前のイオンの中。なんとか目的達成。最近ゲームばかりだなあ、次は少し身体を動かさななあ・・。などと思いながら、また帰る。それにしても、また夏は大型スーパーばかり行ったなあ。

駅前の本屋さんでは、古書コーナーがあって、といってもふつうの古本だが、そこで東野圭吾「聖女の救済」を安く買った。キャンペーン中だったから特に安く買えたのだが、ブックオフより安かった。これからの本屋さんは、こうなっていくのかも知れないなあ。新刊も古本も買えるとなると、使い分けが出来るし。

帰りは川沿いをずーっと歩いて帰る。時々遊びながら約1時間。もう幼児ではないが、少しは疲れさせないと、いつまでも寝ない。思惑はあるものの、やはりこちらも汗みずく。3日続けてだいぶ水分を使ったのでした。終わり

2012年9月10日月曜日

オータムは遥か・・

金土と東京。新幹線の中は、もう上着を着てちょうどくらいのなのだが、外はまだまだ暑い。秋は気配だけで未だ実体なし。確かおととしが酷暑で、去年も猛暑、どちらも、9月20日くらいに台風が来て、劇的に秋の空気に入れ替わった気がするのでもうすぐか。台風は来て欲しくないけどねー。去年は帰宅難民になりかけたし。

渋谷で時間があったので、久々にタワーレコードでクラシックを見て試聴していた。グレン・グールドのゴルドベルク変奏曲と、内田光子のモーツァルトピアノ協奏曲24番弾き振り。どちらも素晴らしかった。バッハは敬遠していたが、なんか好きになれそうな気配。内田光子のは最近録音されたもので、持ち前の柔らかさが際立った感じに思えた。タワーレコードは次の日から9月いっぱい改装でクラシックフロアーもしばらくクローズ。いま思えば、バッハだけでも買っておけば良かった。だって関西ではあんなに安く種類豊富には売ってないからなあ多分。

帰りの新幹線の中では、webで、横光利一の「旅愁」を読破しようとして失敗する。未完らしいが、それなりに長かった。これ、確か中学だが高校だかの現国の問題集に載っていて、気になっていたのだ。以来真紀子、と聞いただけで思い出す。読書かぶれのこの時期にトライしてみたが、webの横書きもまた読みにくかった。ちゃんといつか本を買おう。

土曜帰って来て、日曜日は昼前まで睡眠。ここ数日あまり眠れてなかったので調整睡眠(笑)。朝が涼しくなってきたこともあるか。よく眠れて良かった。

で、午後はお出掛けでハーバーランド。だったが、息子は新しいサンダルで靴ずれしまくってまともに歩けなくなり、イナズマイレブンのゲームがあるはずのゲームセンターは春で無くなってしまっていたという踏んだり蹴ったり状態だった。

息子はげんなりしていたが、昼ごはん、お子様オムライスセットを食べると多少元気になる。ポートタワーと海洋博物館が向こうに見える港を見て、イナズマイレブンが有ることが分かっているダイエーへ、電車で向かう。何とか目的達成。おみやげ発注のママに、新しいケーキ屋でミルフィーユとプリンア・ラ・モード買って、おしゃれなパン屋でパンと牛乳買って、足痛い息子とタクシー乗って帰った。

写真はちなみに、夏のパパバッグ。息子が2才にならない頃から使っている。ディズニーランドへも持ってってた。今でも、タオルにウエットテイッシュに、もしもの時の携帯トイレまで入っている。さすがに替えパンツは入れるのやめたが。夏はペットボトルを持つことも多いし、買ったものも入るから便利で、また肩掛けは両手が自由になるのである。コンビニなどのビニール袋も入れておくと意外と有効だ。まあ、思い出も入っていると綺麗に言っておきましょう(笑)。

月曜日代休。午前中は爆睡。午後ママと昼ご飯兼買い出しに行って息子を迎える。夕方はすごい雷&雨。今回は雷雲の動きが早かったらしく、ほどなく止んだ。おかげで涼しい。ただ天気予報によると、しばらくは残暑大変に厳しいらしい。いやー秋は遥か彼方?やれやれ。

2012年9月3日月曜日

食欲と小ネタ

週明け多くの仕事に見舞われたせいか、仕事酔いで食欲が無く、晩ご飯のカレーを半分しか食べられなかった。これもサザエさん病の一種なのだろうか。

ともかく、このワタクシがママの作ったごはんを完食出来ないなぞ、何年に1度の大事件である。息子の寝かし付けはいいから、休んでなさいと言われる。ふうむ、東日本大震災直後、気分の問題で食欲が無く昼ご飯を残したことはあったが、その時もママの晩ご飯は食べていた。小難しいことを考えすぎているような気もするので、少しクスッと笑えるお笑いネタでも。笑えないかな〜自信は無いなー。

以前スポーツニュースのタイトルで

「ベッカム、息子をFBに」

というのがあった。私は、さすがイングランドはラグビー発祥発展の国。シャーロックホームズにも「スリー・クォーターの失踪」という物語があり、その中でホームズを訪ねて来たケンブリッジのラガーマンが、ラグビー・フットボールの事情を全く知らないホームズに呆れびっくりする場面が出て来る。彼は、失踪した有名なスリー・クォーターの名を挙げ、「このイングランドで知らない人が居るとは思わなかった。いまの今まで、一体どちらにいらしたんです?」とまで言うのである。ちなみに、この物語で私は、新聞表記で、ラグビーのセンターは「CTB」ウイングは「WTB」と略すホントの意味を知った。「センター・スリー・クォーター・バックス」ですよね。

ともかく、昔から彼の国ではそれほど人気があるスポーツということだが、パパのベッカムはサッカーの有名選手でも、息子は

『フルバックかあ〜』

と思ってしまったのでした。
正解はもちろんFacebookに息子の写真を公開した、というものでした。ちーん。

またもニュースネタで、こちらはいささか不謹慎。

「北島、急死のライバルを語る」

私はなぜか、尾崎紀世彦を思い浮かべてしまい、そうかー知らんかった〜、

『尾崎紀世彦って、サブちゃんのライバルだったんだ〜』

などと思ってしまったのでした・・。もちろん、競泳の北島康介選手が、先に亡くなった金メダル争いのライバル、ノルウェーのアレクサンデル・ダーレオーエン選手を悼むコメントをした、というニュースだったのでした。

高校野球が終わったら少し涼しくなったが、少し前までは熱帯夜の連続だった。またマンションのどこかにスズメバチの巣があるらしく、夜廊下の照明にたかってたこともあった。加えて、隣の神社を根城にしているイノシシとはこれまで平和的互恵共存関係でやってきたのだが、最近私の存在にイライラしている様子。悪意ある所作で、追い払うようにこちらへ寄って来たりする。夜にタバコに外に出るのも楽じゃない。

さて、先日の昼間同僚から電話がかかってきた。「きゅういちろうくんについて、○○さんが訊きたいことがあるらしいので替わりますねー」私は瞬間的に、きゅういちろうくん、とは誰の事だろうと考えた。

警察ものの小説を読んでいたせいか、その時は、私は小さな子供を殺した容疑で、いまから刑事に尋問されるのではないか、実はこの平和な世界は虚構で、そういった立場こそが真の現実なのではないか、などと悪い想像をした。もちろんクロである。きゅういちろうくんはきっと被害者なのだろう、可哀想に。

電話を替わった刑事がまた聞き取りにくい早口で喋る。「ああ、どうもお疲れ様です。きゅういちろうくんの事なんですけどねー、○▲※☆・・」いまに厳しい追及が始まると思われるが、何言ってるかさっぱり聞き取れない。それとも耳がきつい質問を拒絶しているのだろうか。おそらく最初はソフトに入って、こちらの話で不自然な所に、鋭い質問をしてきて、私が動揺してじどろもどろになった所をたたみかけてきて、罪を認めさせてしまうのだろう。きゅういちろうくん、というのは九一郎、とでも書くのだろうか。それともボールで球一郎、だろうか。

一瞬呆然としたが、それでも聞き取れないのだから仕方が無い、「はいはい?えーっと、きゅういちろうくん、ですよね?」「そう、きゅういちろうくんなんですよ」取り敢えず、おうむ返しにすると、相手も、聞き取れなかったと考えてか、もう一度同じ説明をする構えだ。いやいやこれも、とぼけている、という刑事独特の掴み方なのかもしれない。私は追い込まれたような気分になり、もう一度繰り返した。

ところが、場面は一瞬にして「きゅういちろうくん・・9/16・・はそのシフトでいいですよー」日常に戻った。先ほど聞き取れなかった部分もあっさり理解できた。刑事は、取引先の人になった。

デイドリームにもほどがある、という現実のお話でした。

まあこんなもんで。ちょっとおなかがすいてきたので、カレーの残りを、食べようっと!

2012年9月1日土曜日

8月書評

7月に続き、8月も好調だった。10冊プラスα!

隆慶一郎「一夢庵風流記」

傾奇もの前田慶次郎の一代記で、漫画「花の慶次」の原作本である。もちろん命がけなのではあるが、こんなに痛快な人生、というのは読んでても気持ちいいものだ。

福本豊「走らんかい!」

世界の盗塁王、福本豊さんの著書。「自分の勲章は、通算208本のホームラン」という通り、決して走るだけの選手ではなかった。あんなに小さいのに、ホントに大したものだ。野村監督が福本対策で、日本で初めて投手にクイックモーションを練習させた、とか、日本シリーズでも堀内からは走れなかった、とか、昔の野球好きが唸るエピソード満載。

村上春樹「ノルウェイの森」

さあこれをどう評価すればいいのか?という感じである。読みやすく、上下巻あっという間に読める。目立たない主人公が、うそのようにモテるし、女性はセックスに異様に積極的だし、どうもリアリティというよりは、ファンタジックな物語、と捉えるのがいいような気がする。

誉田哲也「武士道シックスティーン」

ほぼ1日で読んだ。すぐ映画のDVD借りて観た。まずは原作の方だが、よく対象を研究し、彩り深い作品になっている、と思う。キャラクターは、特に香織は、かなり極端で、展開し易いように設定してある感じ、また、一方早苗は、どこかつかみどころが無いような気もした。読み込みが甘いのかも、だけれど、なぜここで、香織の「大きな歯車が狂った」のかがもう一つ読み取れなかったし、もう少しかみ合わせれば、2人の関係性がより鮮明になったのに、とも思う。

DVDは、原作を読んだ後では、時間の関係でディテールを省いたり変更したりしているので、正直不完全燃焼だった。早苗の、不思議な間合いの理由も分からないし、バイプレーヤーたちも、設定が浅いとしか言いようがない。成海璃子は良かったが、早苗が北乃きいというのがちょっと・・だった。

でも、心象はやはり表情で、後半は惹きつけられて観ていた。心の動きも、不思議と小説より映画の方が分かる気がした。たくさん意見を書くのは、面白かったからである。「セブンティーン」も「エイティーン」もあるとのことで、楽しみにしている。

桜庭一樹「私の男」

近親相姦もの、である。直木賞受賞作品。なぜ、を全て書いてある訳では無い。読みながら考え、またそういったケースもあるのだろうか、と思うしかない。

もちろん発覚する訳だが、主人公よりも、周りの人が言うことの方がよほど真っ当に聞こえる、というのは珍しい事だ。近親相姦、というタブーに踏み込むことで、センセーションを呼ぶ計算、もしくは踏み込む好奇心がほの見える。

最近気にしていることに「筆致」「筆力」というものがある。極端に言えば、理詰めでなくとも、緻密で無くとも、例え訴えるものがはっきりしてなくたって、文章から迫り来る力、迫力、といったものがあれば名作なのではないか、とも思う。

「私の男」は、境界線を超えることで逆になにかを問うている作品かも知れない。当たり前だが読者である私には受け入れられないし、理由も薄弱に見える。ただ、筆力はある作品、なのは間違いない。

江國香織「きらきらひかる」

1991年の作品である。ホモと、精神不安定な女の物語。私には、「ノルウェイの森」の気分はわかんないが、この作品の気分は分かる。バブル末期で満たされた気分の中、世界は激動していた時代。時代は平成に変わり、旧共産圏諸国の独裁政権が次々と倒れ、ソ連は無くなった。

日本の人々は、世相を感じながらも、まだ切羽詰まらずに、新しい価値観を、ぬるく探していた。こんなんがあってもいいんじゃない?的なノリであった。

バブルが崩壊、金融破綻、大災害、大規模テロ、徹底的なリストラを経て、舞台設定として、ひたすら悲しみ、不幸なベースを創り出そうとする現在の文芸界とはエラい違いである。

当時はヨーロッパの映画にもホモセクシャルものは実に多かったが、個人的には、その系統に入る平和な小説だと思う。中身的にも、平和でおしゃれな生活だなあ、という感想だ。

道尾秀介「ソロモンの犬」

最近文芸カフェになりつつある、行きつけのドッグカフェで読み始めてしまい、結局買って帰って一晩で読破した作品。

読みやすいが、正直何とも浅いような気がしている。主人公は愛せる性格をしている。なぜ、がもう一つ解消されない。ミステリー?

貫井徳郎「ミハスの落日」

スペイン、スウェーデン、サンフランシスコ、ジャカルタ、カイロでの物語。それぞれ主人公は現地人だ。どんでん返しに人間模様が絡む短編集である。男が哀しい話が多い。

「ストックホルムの埋み火」が最も親しみ易かっただろうか。救いが有るのは「サンフランシスコの深い闇」だけで、「ジャカルタの黎明」は、先が読めた。

いろいろと工夫が凝らしてあり、退屈はさせないのだが、ミステリー的フェアの観点から言うとちょいと違い、やはり物語だなと思う。短編集、ということもあって軽い感じもする。ただ、どこか独特の、好感が持てる雰囲気はある。「慟哭」や「乱反射」はそのうち読んでみよう。

東野圭吾「ガリレオの苦悩」

ガリレオシリーズはすでに7作目が出ている。「探偵ガリレオ」に始まり「予知夢」、そして直木賞受賞作「容疑者Xの献身」それからこの「ガリレオの苦悩」。文庫になったばかりの「聖女の救済」を経て「真夏の方程式」があり、最近単行本で「虚像の道化師」が出て、第8作「禁断の魔術」が刊行予定だそうだ。

「苦悩」には、ついに、テレビドラマに気を遣ってか女性刑事が登場した。草薙に替わりあっさりガリレオの最も近くにいる役となった。まあ別に良い。私が気になるのは少々パワーダウンしているのが気になる。

前作「容疑者Xの献身」は、設定こそありきたりだったが、トリックはシンプルかつ単純かつ的を得ていた。作業としては古典的ながらも、人物も魅力的で、受賞も納得がいった気がした。ただ、ガリレオならではの、科学実験も、その筋のトリックも出てこないのが異様であった。

それが意識されているのか、今回は、科学的なトリックは必ず出てくるのだが、どうも必然性が無いように思える。設定と、動機が弱い気がしてならない。筆力を感じないのである。以上。「聖女」に期待する。

畠中恵「いっちばん」

「しゃばけ」シリーズの第?弾である。どうにも気楽なものが読みたくて、借りてきた。江戸の商家の若だんなとその周囲に集う様々な妖(あやかし)が巻き起こす騒動。面白おかしく、調子の良い文体で、親近感を抱く物語となっている。

さらさら読めるし、絵が頭に浮かぶ。人気なのも、分かる気がする。

8月は、これに加えて「はじめてのオーケストラ・スコア」や、息子の「ピーターラビット」シリーズも読み、なかなか充実した読書月であった。

ただ、これだけ読むと、ブックオフなどで買っても追いつかない。借りれるものは借りようっと。

2012年8月27日月曜日

夏の終わり

夏は冬にあこがれて、冬は、夏に戻りたい。

日曜日は、今度はイナズマイレブンのゲームをしたいというので、再度つかしんに出掛ける。

マクドナルドで昼ごはん、目的のゲームをして、おもちゃ屋を見て、本屋に行って、もっかいだけゲームして帰る。地元の駅馴染みのドッグカフェでアイスクリーム食べた。川沿いに水遊びしながら帰ると、もう河原は赤とんぼでいっぱいだ。夜はイナズマイレブンのカードゲームして、寝かす。

パパは夜、本屋で買ってきたマンガ「シャーロッキアン!」2、3巻を一気読み。幸せである。マンガやパスティーシュとともに、シドニイ・パジットの挿絵のTシャツとかマグカップとかブックカバーを売れば儲かると思うのは私だけだろうか。ああ、そういえば忘れていたが、日本シャーロックホームズ協会に入会しようかなあ。

さて月曜日も休み。夏休みの自由研究工作どうしよう〜と言っていた妻は、結局、小惑星探査機「はやぶさ」を作ることにしたらしい。ホームセンターに行って厚紙やらセロファンやらを購入。ボディの黄色は何?という質問があったので、アルミホイルのような素材だよ、と答える。

パパは、うたた寝。夕方起きて、公園サッカー。いや暑い。帰ってすぐ風呂。筑波宇宙センターで買ってきたはやぶさTシャツを着てほうら、と言うと、妻は「そういうものを、本当に買う人って居るんだなあ、ていう感じ」などと憎たらしいことをのたまう。

晩ご飯は、息子の好きな枝豆、南瓜、おからに納豆、キュウリトマトのサラダに豚肉炒め。食べて夏休みの読書一緒にピーターラビット読んで、読み終わったら息子パパの膝の上赤ちゃん抱っこ状態で入り込み、寝る。もう抱えるのも重い。布団に寝かせて、今に至る。

夏休みも、もうすぐ終わり。土日にしか息子を連れ出せないのは不自由だが、こう暑いとどうもねえ、という感じでもある。行くとこ限られるし。昨年の夏は単身赴任中で、フルで付き合ったのは初めて。これが、普通なんだな。

2012年8月19日日曜日

一気

昨日は、まだ雨が降り雷がゴロゴロする中傘さして馴染みのドッグカフェで晩ご飯食べた。

ここは最近文芸カフェ化しつつあり、客がいらなくなった本を引き取っている。私もつい、道尾秀介「ソロモンの犬」を読み始めて、結局持って帰って一気に読破した。軽く読むにはいい物語だった。

最近一気読みが多い。「ノルウェイの森」も「武士道シックスティーン」も「ビブリア古書堂の事件手帖」もそうである。明日は早いので、「ミハスの落日」少しだけにしよう。

明日は妻子犬が遂にご帰還だ。間に合わせの掃除(内緒・笑)をして、牛乳と卵と食パン買って、妻子の布団の敷布を洗い、タオルケットも洗い、パパ仕様になっているテーブルを片付けて、後は明日からベッドに戻る用意をすればおしまいだ。

終わったらさっさと寝よう。ではこの辺で。

2012年8月18日土曜日

サンダー&ライトニング

土曜の夕方、すごい雷だ。ただ、近くの甲子園では大雨なのに、こちらではさほど降っていない。高校野球の試合は、降雨の前から、雷のため中断している。

一時は晴れ間が遠くに見えていたが、どうやら雷雲は、停滞しているようである。この文章を書きながら、横目に稲光が何度も走る。雷鳴も、ガラス戸が震える程だ。

晩ご飯食べに出て行けるかなあ。

2012年8月16日木曜日

お盆の恒例

妻子が実家に帰省し、しばらくの独居期間。きょうはど早朝のお仕事で、夕方には帰ってきた。

水曜映画1000円デーなので、三宮か大阪に流れて映画観て帰ろうかなとも思ったが、正直眠かったのでさっさと帰って、夕方涼しく寝て、起きてサッカー日本代表戦を観た。まあ、久々に集まったし、こんなもんかという感じである。親善試合だし。ベネズエラは、上り調子の南米のチームで、それなりに強かったし。

単身赴任は、何でも自分でしなければならないし、寂しいし、留守宅と東京の往復に体力を使う。しかし引き換えに手にした、良いこともあった。それは、「家事を、自分のペースで出来ること」だ。これを言うと、女の人はびっくりするのだけど。

例えば、服を洗うとする。妻に任せると、つい、2、3日後には来て行きたいけど大丈夫かな、会社用だからきっちり仕上げて欲しい、とか思うが、一旦自分で全部やるとなると、いつ乾いて、どんな状態で、何をケアすべき、というのが全部把握出来る。

妻子がこの時期帰省してからすぐ取り掛かるのは、まず冷蔵庫の検査。卵や牛乳は賞味期限いつまでか、他に、速く食べるべき食材や惣菜はないか、等々をチェックして計画を立てる。きょうの晩御飯はカップ焼きそばだったのだが、2個あった賞味期限明日までの卵でダブルの目玉焼き作って焼きそばの上にのせた。

洗濯も小まめにする。その日の服を選ぶとき、「これは使えない」というのは減らしたい方だし、犬の毛が気になるので、シーツなども総洗いである。普段家の中で着ている服や、会社用のズボンなんかもこの際と洗ってしまう。

流しも、カビ等々ケアし、ぬめりが取れないものは干す。掃除は割り切って、妻子が帰る直前の休みにする。まあ、こんな感じだ。ちなみに、帰ってきた後、褒められたことはほとんど無い(笑)。ま、結局のところ、そこまで大したことをしてるわけでも無いんだけど。

たまには、あくまでたまに、だけど、単身赴任なんてもうしたくも無いけど、独居はいいな。何というか、見つめ直せるし。さあ、夜更かしせずに寝よう。

2012年8月13日月曜日

想ひ出めぐり

平日の休み、神戸ハーバーランドから三宮まで歩いた。

福岡から出て来た頃、遊びに行くと言えば神戸で、ハーバーランドが出来てからは、朝一番の映画を観に行って、昼ご飯を食べて、元町商店街をぶらぶら歩いて帰るのが、休日の基本的な過ごし方だった。

元町商店街は、三宮に比べれば派手さは無いし、前時代的だ。でも私は大好きでだった。ふと見かけるセンスのいい店に入って絵葉書を買ったり、テーラーの店先で3枚1000円の靴下を買ったり、道行く人に配っているお茶屋さんの抹茶の匂いを嗅いで、なんてこたない屋外の煉瓦造りの休憩所で煙草を吸い、楽器屋や古本屋に立ち寄って、たまに果物屋さんの店先で売っている搾りたてジュースを飲んだり、煙草店でパイプを眺めたり・・。

楽しい時も、独りで辛く寂しい時も、同じように歩いた、この道。もう昔行っていた名画座は無いし、美味しいビーフシチューを食べた洋食屋も無い。ほろ苦い想いが蘇る。でも新たに元町映画館が出来ていたし、不思議なチーズケーキの店、観音屋も、お茶屋もあった。震災があったものの、以前通りの風情を未だ色濃く残している。

子供が出来てからは、全く来ていなかったから、もう8年振りくらいだっただろうか。きょうは至る所に花やおもちゃを入れた氷柱が立っていて、目に涼しかった。感傷的な、夏の散歩だった。

2012年8月12日日曜日

突き抜けた

今回のオリンピックは、多くの団体スポーツで、これまでの殻を破った印象がある。次の世代は確実に育っている、のだろうか。メダル数も史上最高タイだそうだ。

男女とも、サッカーはよくやったと思う。特に男子は、ここ最近を考えると素晴らしい躍進だ。ひとつ言うとすれば、あと一つのOA枠には、大きな大会を経験している攻撃的なフィールダーを配するべきだったろう。監督でさえ、オリンピックの上位なんて初めてなんだから。やはり上に行くと、ギリギリの勝負がさらに厳しくなるものだ。

一番燃えたのは、女子バレーの準々決勝。かつて高校生日本代表として騒がれた木村沙織がエースとなり、いまやさらに若い江畑が獅子奮迅、エース格の働きをしている。サッカーもバドミントンも、卓球も突き抜けたんだ、長い間低迷したバレーも突き抜けろ!という想いで観ていた。すべてのセットが接戦となった中国戦はフルセットで競り勝ち、ソウル以来24年振りのベスト4進出を見事勝ち取った。いやー燃えた〜。ちなみにオリンピックで中国に、セットを取ったのも、勝ったのも初めてだそうだ。

以前も書いたが、真鍋監督は選手の選出も上手いし、用兵も、戦術も巧みで、伝統ある日本バレーにおいては、まさに新時代の監督、という印象を受ける。

勝負のかかった場面での選手交代は、選手への信頼が感じられ、ジョーカー、という雰囲気を醸し出す。これでは選手もやる気が出るだろうし、策が当たるひとつの要因だろう。

さて、フィリップ・ル・ゲイ監督のフランス映画「屋根裏部屋のマリアたち」を観た。

1960年代のパリ。上流階級の多くの家庭では、当時フランコ独裁政権下のスペインから出稼ぎに来たメイドを雇っていた。彼女達は狭く環境の悪い住居に住み、朝から晩までの重労働に就いていた。証券会社を経営するジャン・ルイは新しく来たメイドのマリアを通じて、彼女達の世界を垣間見、興味を持つ、というお話。

ストーリーとしては単純な傾向があるし、映画的なカットやエピソードも通りいっぺんだし、なのだが、新鮮だった。

まずは、主な舞台となるアパルトマンでの撮影は、照明に工夫が成されていて、昔よく観たフランス映画を想起させ、はっとさせてくれる。カメラワークも、派手さはないがところどころスパイスが効いていた。

また、ヌーベルバーグの伝統を持つフランス映画界はやはり単純ではない。当時の社会情勢も折り込みながら、どこの家庭にも当たり前のように居たというスペイン人メイドにスポットを当てている。キャストの絶妙さと、彼女達の生き生きとした様を見せる、コミカルな演出は好感が持てる。

ラストはいささか単純だが、確かにこうした方が筋は通る、かも知れない。ただあっさり家庭を捨てるのはなんかあまりにもストレートなんじゃないの〜とも思える。マリアを認め信頼を寄せたり、夫が変わった原因に取り乱さず、理解を示したりする妻を描いているだけに、余計齟齬を感じたりするのだが、まあ後味は悪くなかった。

私が大学生の頃、世間で大流行した村上春樹「ノルウェイの森」を完読した。なかなか夢中になって読めたものだが、感想となると、うーん、である。

読書と音楽。かなり格好良く織り交ぜてある。これもスタイルだろう。ただ、中身は、ペラペラ喋る女と、やたらもてる主人公、女の喪失、自殺者ばかりの周囲、また登場人物はよく酒を飲む。と、けっこうワンパターンだなと思ったりした。

登場人物の妙もあるのだろうか。作者は、アメリカンハードボイルド風味だが、実はヌーベルバーグの影響を受けているのではないだろうか。

最近一気読みが多く、この後は誉田哲也「武士道シックスティーン」を、ほぼ一日で読み切った。いまは、桜庭一樹「私の男」をゆっくり読んでいる。

立秋を過ぎた。いつも行く、何ということも無い公園は、蝉が喧しい。脱け殻の周囲の土の部分には、夥しい数の小穴がある。木陰だし、好きでよくぼーっとしに行く。「立秋を過ぎたら『残暑見舞い申し上げます』なのよ」と、19歳のとき教えてくれた女の子は、風の噂にもう大きな子の母親と聞いた。なあんかちょっとだけハードボイルドな?締めでした。

2012年8月5日日曜日

夏と言えば

淀川の花火大会。ベランダから観た。息子が喜んでいた。

先日はスイカが食卓に並んだ。仮面ライダーフォーゼの映画観て、おもちゃ買って、桜庭一樹「私の男」、誉田哲也「武士道シックスティーン」買って来た。

水遊びして帰り、汗だくでビールが美味い。サッカー日本買った!44年振りのベスト4!バドミントン決勝藤垣応援中。

2012年8月1日水曜日

7月書評

ひと月というのは早いものだ。7月はよく読み進んだし、色々な事があったものだが、だいぶ早く過ぎたような気がする。

葉室麟「風渡る」

先頃直木賞を受賞した作家の作品。受賞作は「蜩ノ記」である。「風渡る」は久々の時代劇で新鮮だった。時は戦国クライマックス、主人公は希代の策士、黒田官兵衛と、異国人の容貌を持った日本人修道士、架空の人物ジョアンの2人。時代と権力者によって翻弄されるキリシタン達の姿を描く、といったところか。歴史小説は、そうでない作品とはまた評価の基準が違う部分が有るようだ。日本におけるキリシタン、という部分は知っているようでなかなか知識を得る機会も無いので、本能寺の変、秀吉の権力奪取、名うての武将が続々登場する、という舞台装置と相まって、面白く読めた。

三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズ
�栞子さんと奇妙な客人たち
�栞子さんと謎めく日常
�栞子さんと消えない絆

大人気シリーズとなり、出版社の部数記録を塗り替えた作品。北鎌倉にある古書店。そのオーナーの栞子は、若いながら、書籍のことなら無類の知識を持ち、弁も立つが本以外は極度の恥ずかしがり屋。ひょんなことから古書堂で働くことになった無職の五浦とともに、古書にまつわる事件、問題を解決していくが、思わぬ危険も招く、という話。

以前、美術ミステリーを読んだが、構成はそれに近く、古書をベースにハートフルな問題がいくつか展開される。主人公は、いかにも男性が守ってやりたくなるような感じの設定で、「萌えアニメ」すら想像させるので、実は女性受け悪いんじゃないかと邪推してしまう。古書、というのがやはり古めかしいだけに、なのか、文体も平易で、展開される問題なり事件は難解では全くない。

栞子さんはこの巻では入院していて、いわゆるロッキングチェア・デテクティブ、安楽椅子探偵役なのだが、こういうケースにありがちな、不自然な切れ過ぎ感、北村薫流に言うと「神の視座」に立っているのではと思わないでもない。

しかし、本がテーマ、というのは面白いものだ。古本業界のことなども描かれていて興味深く、ライトノベルのわりに新機軸で奥が深いと思う。シリーズ3巻まで出ていて、すらすらと読んでしまった。次が楽しみだ。

高野和明「ジェノサイド」

いやあ、タイトルだけで暗澹たる予感がしたのだが、軍事もので、描写が残酷で、その一方難病の新薬開発の方はなかなか難解で、また突飛な物語でもある。ハードで分厚い一冊であったが、一気に読まなければと3晩で読み切った。

この方の作品では、江戸川乱歩賞を取った「13階段」を昨年読み、個人的年間ランキングでも上位に入れた。よく調査している、といつのが伝わってくるし、テーマも重めである。

今回の作品では、感想らしい感想を出すのは難しい。ハードだったな、というのが最もピタリとくる。色々知識を仕入れることは出来たが、オチがどうも突飛である。もちろん突飛な仮定というものはそれなりに面白く、ふううむ、となってしまうのではあるが。

もうひとつ、前作を通じてだが、意図的にそうしているのか否か、作者自身に、ジャーナリスティックに主張したいような意見が有るように見えるのも特徴か。それはやや、物語の邪魔になっている感がないでも無い。

百田尚樹「永遠の0」

零戦、特攻の話である。主人公として出てくるパイロットが実在の人物かどうかは分からない。途中は泣ける。最後もうまく閉まるが、どうもステレオタイプ、という感じが抜けきれない。よく調べてあるし、日本軍首脳はやはりダメだったのだろうし、主人公の懊悩も表現されているのだけれど、きれい過ぎるような気がする。カウンターパートの新聞記者も、ちょっと弱過ぎるきらいがある。物語、ということを意識し過ぎなのかな、と。ただ途中は泣いた。当時の状況も、おそらく本物の元パイロットが言っていることもよく分かった。

ローリー・キング「シャーロックホームズの愛弟子 バスカヴィルの謎」

ホームズとその妻ラッセルが、あまりにも有名な「バスカヴィル家の犬」の舞台、ダートムアの地で魔犬の噂と陰謀に立ち向かう。

最初の電報といい、夫婦で「ホームズ」「ラッセル」と呼び合っていることといい、なかなかシャーロッキアン的にはくすぐられる。

ちなみに、最初の電報とは、かつてホームズがワトソンに当てた「ツゴウガヨケレバコイ、ツゴウガワルクトモコイ」のもじりであり、ホームズとワトソンは、どんなに親しくなっても、ファーストネームではなく、お互いのファミリーネーム、姓で呼び合っていた、という事実に基づくものである。

しかしながら、相変わらず、ラッセルの女の子らしい心の動きを中心に描いているせいか、明らかに不必要と思われる叙述も多く、もっと早く展開出来るやろ、と思う。やはり愛弟子シリーズは・・って、ここのところパスティーシュは同じような嘆きが多いな。私はシャーロッキアンとしてミーハーなのだろうか(笑)。

川上弘美「センセイの鞄」

人に薦められた本である。2001年の作品で、谷崎潤一郎賞を受賞している。ウィキペディアによれば、当時ベストセラーにもなったそうだ。飲み屋で偶然再会した、老いた教師とその教え子の中年女性の物語、である。

老教師には、どこか「天才柳沢教授の生活」のような色が漂う。このマンガは男性誌に不定期連載されているにも関わらず、女性受けが非常に良い印象を持っている。

女性は、ある意味等身大、社会的にはなんら不足も無いが、結婚もせず、何かしらに強い情熱も持てず、気持ちを素直に出せないタイプ。この基本的に情熱皆無、というのは、ある意味現代の女性に横たわる感性のような気がしている。

悪く取らないで欲しいのだが、無理して何かに情熱的になる必要は無い、自分らしくありたい、冷静で社会的な反面、内向的な自分がちゃんと有る、という性向は女性だけでなく人間一般のものであると思う。そこでもがく事を好む人も存在するような気がする。しかし、理解して欲しい、自分の内面を解放したい、という強烈な願望というのは、必ず隣り合わせて有ると思う。それはセンセイも最終的には、同じなのであろう。

悪くはない恋愛も、無いと寂しいが、決してベストでは無い。ベストに飛び込むにはリスクを伴うが、そちらを選んでしまうのも、また女性というものだ、といえば言い過ぎか。

何やかやと、現代の縮図のような主人公の女性の設定と、その内面の描き方と、センセイとの理想的な関係に、読者は強烈に惹かれたのではないかと思える。丁寧さと、素朴さ、最後のスピード感と切なさを持ってすれば、この作品の評価が高かったのも頷けると思う。

7月は、8冊。夏は去年もよく進んだ。8月は、どうだろな。

2012年7月30日月曜日

2年連続のサターン

オリンピックのサッカー男子。もはや多くは言わないが、スカッとした!スペインに勝つなんて。波に乗って勝ち進んで欲しい。

いや暑い。土曜は早朝から開会式。なぜか目が覚めて見る。賑々しいもんだなあ。

午前、再放送の聖火の点火をほらほらと息子に見せようとするが興味無し。まあそりゃそうか。私自身、幼少の頃にオリンピックを観た記憶は全く無い。姉がフィギュアスケートをやっていたので、スケートを観た感覚はあるが、はっきり覚えているのでさえ、1980年の冬季レークプラシッドオリンピックである。13才にならないとオリンピック覚えてないんですから。渡部絵美が出場し、スピードスケートのエリック・ハイデンが3冠か4冠か取ったと思う。ちなみに一番印象に残ったのは、ビールマンスピンの生みの親、デニス・ビールマンだった。私は今でも、彼女のビールマンスピンがナンバーワンだと思っている。

1度目のビールマンスピンは足をあまり高く上げない、優雅なビールマンスピン、そして、フィニッシュとなる最後のスピンに向かうとき、回り始めて彼女が後ろを向き、エッジを掴むときのドキドキ感はなんとも言えないものがあり、最後に、長い足を上半身とほぼ並行に上げる様はまさに白鳥といった美しさ。これぞフィニッシュ、と感じさせる大技だった。

話が脱線したが、同じ1980年のモスクワオリンピックは日本がボイコットしたため、夏季で記憶に残っているのは、すでに高校生になっていたロサンゼルスオリンピックを待たなければならない。瀬古が負け、山下が負傷しながらも金、体操ではメアリー・ルー・レットンというゴムまりの様な身体の選手が優勝した。

さて夕方、約束通り出かける。息子と2人。近くの小学校でいわゆる盆踊りイベント。金魚掬い、スーパーボール掬いして、ホットドッグ食べる。幼い頃、東京の夜店で、初めてスーパーボール掬いをしたときに意外にめっちゃ興味を示したのを、親は思い出す。

早々に出て、電車でひと駅、きょうは天体観測会。去年の今頃もあって、2年連続出場。口径30センチクラスを筆頭に、たくさん天体望遠鏡が出る日である。着いて夕食のオムライス食べていたら出遅れて、すでに長〜い行列。土星が何せ長かった。やはり土星は惑星の中の惑星(笑)、人気者である。けっこうな時間待って土星を観て、月を観て、ベガとアルタイル観ておしまい。

夜もすごく蒸し暑かったけど、満足の帰宅。

翌日はまた、酷暑の中、ポケモントレッタしに出掛ける。何回対戦しても、ビリジオン、テラキオン、コバルオンはゲット出来ずで息子悔しがる。経験値が溜まり、レベルも上がって来たので次こそ、だ。

駅で息子が甘えて抱きついて来て、突然「パパとママが死んじゃったら・・」とべそかきだした。どうやら頭の中で想像が飛躍した様だ。電車も来たし、テキトーに笑わせたが、一人っ子という事をどこかで、小学生なりに考えたのかも知れない。

夜は焼き肉食べに行ってスタミナつける。水分補給優先でおやつ無しだったからか、息子も肉とご飯とチヂミ食べてお腹いっぱい。パパが所用で席を外して外へ行くと、息子が着いて来て道路を渡る。もうそろそろ1人である程度の範囲は行動させてもいい年頃なのだが、目の前で道路渡るのを見るのは心臓に悪い。こわこわ。まあともかく帰ってシャワー浴びて、早寝したのでした。

明日も暑いか、たまには涼しい雨を。

2012年7月23日月曜日

犬と花火とサッカーと

続きは、雨が上がった夕方にさっと1人晩メシしに行って帰ったらワンたちがギャーギャー騒ぐのを散歩に連れてった。すると街の夜景に花火が見えた。帰ってビール片手に花火大会をベランダから鑑賞。去年妻子はなんと海上から観ようと遊覧船に乗ったものの、船酔いで花火見物どころでは無かったと言っていた。

花火観て、デルピエロ観て、買ってきたおつまみ食べながらオリンピック代表のメキシコ戦。相手は、日本がグループリーグで敗退したトゥーロン国際優勝チーム。後日Webには批判的な論調も有ったが、なにせ調整試合のはずが、メキシコ強かった。ちなみにメキシコはグループリーグで韓国と対戦する。前線からの守備が強いし、攻撃ではパス回る回る。日本は前半戦はヒビリモードだったのが、後半は劣勢ながらも正しく立ち向かい、大津のビューティフルゴールで勝った。今回は、勝ったことで問題点が糊塗されるのでは無く、進歩のひとつをしたと思う。それにしても肴が豊富な、独り酒盛りだった。

で、寝て、ゆっくり起きてのんびりと読書。夕方近くにブックオフと隣の電化製品店に行く。マンガを売って、代金と同じ値段くらいの本を買う。川上弘美「センセイの鞄」、隆慶一郎「一夢庵風流記」に、いつか読むならの「ノルウェイの森」上下巻をついに購入。今回いずれも人に薦められた本である。明日から電車読書だ。

で、ハードディスク整理用のDVD買って帰る。桜庭一樹は、見るのを忘れて、また次回。さらに駅前のスーパーで惣菜とおにぎり買って帰ってみると、もうフラストレーション溜まりまくりの犬たちが、さあいますぐ連れて行かんかい、的な感じだったので散歩に連れ出す。この日この後はひたすらダビング後消去その間に読書だったので、静かだった。息子のサッカーゲーム今の日本代表に名前を入れ替えたりもしていた。ひとつビックリしたのは、最近ごはんを食べず、実際我々だけになってからここまで殆ど食べなかったクッキーが、自分の分をたいらげたかと思うとそのままレオンの分までペロリと完食しちゃった事だ。あっけにとられた感じのレオンちゃんには、ちゃんともう一度あげた。こんなに食べるクッキーは私も初めてである。この夜はパパだけ、にも慣れたワンたち、早くもめっちゃくつろぎモードでゴロゴロ。夜は平和だったのでした。

で、寝て、休みの月曜はゴミ出しのため早起き。まだ涼しめなので引き続き散歩に連れ出す。この後用が出来て外出したが、いやー犬たちの騒がないことったら(笑)。レオンなんかイビキかいて寝てるし。昼はのんびり犬たちと過ごす。夕方掃除してから、涼しかったので全員で(笑)ドッグカフェに行きご飯。ドライカレーを食べて帰って風呂入り、待つ。この間って、もう、ワンたちは今夜もパパと寝るものと思って完全くつろぎ体制。そこへママたちが突然帰って来たもんだからいきなり狂乱状態だった。

やれやれ、ようやく犬の世話の3日間から解放された。前にも経験があるが、頼りはパパだけ、となると、彼らは本当にべったりになる。暑かったこともあって2時間以上の外出は控えたけど正解だった。ママも息子も、久しぶりに東京行けて旧交を温められたし、こちらものんびりしたし、めでたしめでたし、でした。

2012年7月21日土曜日

お留守番

ここのところ寝不足。というのも、夜更かし承知で「ジェノサイド」と百田尚樹「永遠の0」を読み切った事による。感想は後日。次に読み始めたのは「シャーロックホームズの愛弟子 バスカヴィル家の謎」だ。外国小説にありがちな、多少苦手めの文章。でもバスカヴィルというだけで胸踊る。今月早くも7冊め。なぜか夏は進むんだよな〜。

昨日は東海方面に出張。終日雨だった。途中「リニモ」に乗った。日本唯一、アジアでも3つしかないリニアモーターカー。磁気で浮いてて静か。ただ、駅のホームは車両の長さピッタリになっているので引きの写真が取れず、終点で車両が基地に向かうため動き出したのを追ってようやく遠目の1枚だけ撮れた。

きょうから休みだがお留守番である。妻子は東京のお友達に会いに行った。1年半ぶりである。

私は、去年の冬にもあったが、犬たちとともにお留守番。雷鳴って大雨でずっとお家。CSチャンネルでたまたま映画「HAYABUSA」をやってたので、張り付きで観て涙に咽ぶ。何でこんなに感動するのだろう。やっぱいいよなあ。

今夜はいつもアニメラッシュで見ることの出来ない時間帯で、サッカーの復興支援スペシャルマッチを観よう。デルピエロである。

人それぞれヒーローは違うと思うが、アレッサンドロ・デルピエロほど多くのファンの心を捉えているサッカー選手もいないだろう。ユベントスの至宝、決して体格に恵まれているわけではないが、皆が望む場面で望む以上のゴールを決めてしまうファンタジスタ。セリエAからサッカーに入った私に取ってもスーパーヒーローである。当時の彼は22、3才。その風貌だけで、これが天才か、と唸ったものだ。サッカーファン的に言うと、デルピエロが銀河系軍団なんぞに入らなくて良かったと思う。

全英オープンは、遼くん予選落ちだしいいや観なくて。女子に期待しよう。さあ、HDDの整理と片付け、夕ご飯の買い出しだ。雨やめよー。

2012年7月16日月曜日

炎の・・

先週は「ビブリア古書堂の事件簿」にハマり1週間でシリーズ3冊読み切った。この3連休はおウチ読書で高野和明「ジェノサイド」本のカラーは違い過ぎるのだが、順調に読めている。

で、3連休初日は息子プールがあったので、昼寝をして、夕方から公園サッカー。中日は、大阪のポケモンセンター。バトリオが終了し、新たにポケモントレッタという新ゲームが投入開始され、今日はつかしんまでトレッタをするために出掛けた。

暑い。この夏一番の猛暑。稲野から歩き10分の道のりも灼けるように暑い。つかしんには2カ所ゲームセンターがあって、そこで2回遊ぶ。ポケモンたちを、探して、戦って、ポケモンのボールでゲットする。運が良ければ3匹同時にゲット出来て、そのポケモンのトレッタが出て来る。でも100円では1匹だけで、2匹め3匹めのトレッタを手にするためにはそれぞれ100円払わなくてはならない。

息子は最初3匹、次はビリジオンが欲しかったがゲット出来ず1匹のみの戦果で、最初はもう100円出してやった。ミスドでランチして大きいペットショップでフクロウやらタカやら珍しいペットを見て、帰ろうとすると、息子はポケモンスタンプラリー、今日中に4つ揃えてシールセットが欲しい、と言い出した。しかも帰り道の地元のセブンイレブンはマッギョなので嫌だと言う。

去年は店舗数が多い東京でさえあっちこっち行って1人で揃えたのに、店舗間が離れているこちらでしかもあと数時間というのは覚悟が要った。息子に何度も念を押した。「ホンマに暑いぞ、いいか?」息子の頭にはポケモンしかないので、うんと言われた所で意味ないのだが。

で、開始。塚口で降りて駅近くで一つ目をゲット。塚口なら開けてるし、近くに有るだろうと思ったのは間違いで、子供と一緒に歩いて10分くらい。心配なのでチューブ型アイスを食べさせながら、出来るだけ日陰を通って行き、2つめゲット。その店で凍らしたペットボトルを買って、タオルでくるんで首や頭に当てながら帰る。それでもクラクラするくらい暑い!ここが一番ツラかった。駅前に辿り着き、駅前のスーパーにもトレッタあるの知ってたので1回させて涼を取る。でも昨今の店は節電で設定温度が高いので、あー涼しい、とはならないのだが。

ともかく息子はウソッキーとツタージャをゲット。電車に乗って西宮北口へ。駅からアクタの中を通ってずっと北側へ歩いて出て踏み切り渡って3つめのビリジオンゲット。最後は、駅に戻ってガーデンズ行って、中を端まで歩いて出て少し歩いてやっと最後のケルディオでシールを貰った。

この間、凍らせたペットボトルは大活躍で、タオルでくるんでたのでなかなか溶けず、我々に涼を与えたばかりでなく、息子の興味を持続させ、溶けた水分を飲むのも楽しそうだった。これがなければどうなったか。買って良かった。

なんとか持ったが、パパはフラフラでだったのでした。でも、息子と2人は、やっぱ冒険が楽しいな。季節柄が良ければだけど。晩はビールに宅配のタイ料理。美味しく食べた。さあ、明日も暑いぞ。いつも夏の始めは、慣れるまで食欲無くなるので、トレーニングとしては良かったかな。(笑)

2012年7月8日日曜日

愛読作家

昨日は、買い物に行って、地元のハンバーガー・パブのような所で遅い昼ご飯を食べた。高いだけあって、というのはマクド的価格感覚なのだが、確かに美味かった。

買い物の際、久々にブックオフにも寄って、欲しかったローリー・キングのシャーロック・ホームズの愛弟子シリーズ「バスカヴィルの謎」を買った。実は愛弟子シリーズはあんましどうでもいいのだけれど、バスカヴィルと聞いちゃあいわゆる聖典との繋がりを期待しないわけにはいかないでしょ、というシャーロッキアン気質で、この巻だけ欲しかったのである。私が買わないと多分誰も買わないまま廃棄だろうし(笑)。

もひとつ、迷った挙句、貫井徳郎「ミハスの落日」を買った。かつて友人のオススメだったので、買う気になった。貫井徳郎は直木賞候補らしいし。これも推理小説とのこと。

さて、ここのところ、本の話が続いたが、今日日曜日は、私の愛読作家中の愛読作家である(笑)、手塚治虫の記念館に、ついに行って来た。

鉄腕アトムはリアルな世代ではないが、なんと言っても「ブラックジャック」、少年期は「プライム・ローズ」に「七色いんこ」に「ミッドナイト」というマイナー作品を読み、成人してからは「アドルフに告ぐ」「火の鳥」全巻「ブッダ」「奇子」「どろろ」「陽だまりの樹」ほかマイナー作品多数既読で、「陽だまりの樹」はいまだ全巻自宅にある。読んでない、とはっきり言えるメジャー作品は「三つ目がとおる」だけである。先頃このマンガがすごい!男性1位になった「ブラックジャック創作秘話」ももちろん読んだ。

一般に手塚作品は、時代の雰囲気を反映してか、やや左ウイングなものが多い。反戦、反自然破壊、反大企業等々。しかしながら「ブラックジャック」は着想、設定、内容、説得力、主人公いずれも飛び抜けて素晴らしく、我が国に与えた影響たるや物凄いと思う。さらに、「火の鳥」の世界観は他の誰にも真似出来ないと断言していい。私は最も好きな「乱世編」上中下巻は持っている。「火の鳥」に代表されるように、「アドルフに告ぐ」「陽だまりの樹」などの成人向けの大作は、大きな流れの中で、善悪や明確な結論をきっぱりとは分けない、ハッピーエンドではない仕上がりになっていて、そこにまた漫画という表現方法を最大限生かしながら、漫画を超越している感覚を見ることが出来る。小説でもこんな出来のいいものはないと思うくらいだ。

たぶん息子は手塚作品を知らないから「マンガの王国へ行こう」と、だまくらかして連れて行った(笑)。

宝塚駅から、関西以外の方、そう、あのタカラヅカです。ともかく駅から、宝塚大劇場に続く「花のみち」を歩いて行く。風がそよそよと気持ちいい。宝塚シロウトなので、ちょっとだけ迷ったが、無事記念館に到着。

表門には、ばばーんと、火の鳥像。おおお〜と感動する。息子は伝説の火の鳥、という言い回しは聞いたことが有るようで、興味が湧いたようだ。ほかアトムのことはアストロボーイと言っていた。入ったロビーには、天井一面に手塚キャラクターの絵、館内にはレオ、アトム、ブラックジャックの人形。おお〜ではあるのだが、館内は狭い。多くの展示はおそらく無理やりくっつけたエヴァンゲリオンに割かれている。はて?

息子は早くもつまらなそうで、「つまんない。お家に帰りたい。パパが来たかっただけやろー」などと言い出す始末。マウス操作で手塚アニメがどれでも見れるシステムが休憩コーナーにあり、それで「ジャングル大帝」を見せてから、アニメーション体験に参加する。絵を2枚書いて背景を1枚書いて、取り込んでもらい目の前のモニターで合成し、動かすという簡単なものだが、面白がってやっていた。やっと息子の機嫌が良くなったところで、唯一欲しいと言った火の鳥の記念メダル買ってやって帰る。パパはブラックジャックのマグカップが、ちょっとだけ欲しかったが、高めだったのでやめる。長谷川町子のサザエさんの記念館はもっとお手ごろ価格だったぞ。それでも山ほど買うお客さんも居たので、やはりファンが多いということであろう。

工夫はあるし、人も少なくは無かったのだが、やはり狭いのが結構致命的だと個人的には思う。1人で行ってもすぐ終わるし、子供連れはなおさら。再度足を運びたいと思わせる工夫が欲しい。

駅までの帰り道、モデルルームがあったので、景品ありそうなやつだけ見て回る。息子は好きだし、お菓子も貰えてホクホクだった。

帰って来てカレーライス食べてトイストーリー3をやってたので途中まで観て就寝。ウィンブルドンの季節、昨夜は女子決勝だが寝てしまった。それなりに動いた週末。ちょっと本読んで、寝よう。

2012年7月6日金曜日

上半期Books

今かけている眼鏡がだいぶ古くなって来てたので、最近変えた。涼しげに見えるかなとシルバーのフレームにした。ところがこれが不評で、「顔が大きく見える」「前の方が良かった」とまあさんざんである。優しい後輩は「見慣れないからですよ。そのうちなじみますって」となぐさめてくれる。いやーいいやつだなあ。

外は荒れた天気。雨風が強く先ほどまでカミナリがピカピカ光っていた。

さて、なんか気合いがもひとつ抜けているが、並べてみましょう。上半期読書総括!

冲方丁「天地明察」、沢木耕太郎「チェーン・スモーキング」、村上春樹「羊をめぐる冒険」、伊吹有喜「風待ちの人」、ルース・スタイルズ・ガネット「エルマーとりゅう」「エルマーと16ぴきのりゅう」、スティーグ・ラーソン「ミレニアム」、君塚良一・金沢達也「ニュース速報は流れた」、村上春樹「スプートニクの恋人」、宮部みゆき「理由」、辻村深月「冷たい校舎の時は止まる」、村上春樹「うずまき猫の見つけ方」、山崎豊子「沈まぬ太陽」、平山讓「ファイブ」、辻村深月ほか「宇宙小説」、恩田陸「劫尽童女」、北村薫「秋の花」、北村薫「ターン」、渡辺俊介「アンダースロー論」、リチャード・コーフィールド「太陽系はここまでわかった」、伊坂幸太郎「砂漠」 、宮下奈都「スコーレNo.4」、北村薫「スキップ」 、メアリー・ポープ・オズボーン「マジック・ツリーハウス 第32巻 救助犬バリー」、ジュリアン・シモンズ「シャーロック・ホームズの復活」

25作品、32冊。冊数は、「沈まぬ太陽」でだいぶ稼ぐことが出来た。上下巻が結構多かったし、ハードカバーもあったので、半期としてはまずまずかと思う。

で、ベスト5!

1位 「冷たい校舎の時は止まる」
2位 「スキップ」
3位「スコーレNo.4」
4位 「天地明察」
5位 「羊をめぐる冒険」
次点「風待ちの人」「劫尽童女」
特別賞 「ファイブ」

以上。精度などはあまり考えず、心に残った順とした。正直、飛び抜けていたり、特に鮮烈な作品、というのは無かった。「砂漠」や「スプートニクの恋人」も面白くはあった。北村薫の完成度に唸り、村上春樹の超俗的作風は興味深かった。北村作品は選外とはなったものもあるが、質は高かったと思う。

読書生活も長くなり、ややすれて来たのも確か、ではあるが、かつて読了後しばし呆然とした「八日目の蝉」やゾッとした吉田修一「パレード」のような作品求む。下半期も楽しく、読めればいいなあ。

2012年7月2日月曜日

6月書評

6月は児童書も入っているので4.5冊といったところか(笑)。では行ってみましょう!

人生初の伊坂幸太郎「砂漠」

どこか昭和文芸的な香りもする。大学生活もの。最近は生々しい描写の作品が流行りなせいか、どこか牧歌的で、キャラの違う、そしてそれぞれ立っている登場人物達が仲良く過ごす。エピソードも、どっから考えたの?という感じの、何かしっくり来ない出来事が多く、さして現実感の無い青春群像劇である。さらっと読めて、キャラも愛せるが、うーんといったところ。

宮下奈都「スコーレNo.4」

最初のほうの印象は、だらだら書いてるし、だらだら感は、安達千夏に勝るとも劣らないどころか、心の飛び跳ね様が、サガンを意識してるな、と思ったりもしたのだが、ともかく、またあまりにお姉ちゃんぽいし、とあまりいいものでは無かった。しかし特に後半就職してからは、テーマに興味も有るせいか、はたまた社会人になってからの「こりゃ大変なことになった」と思って努力を重ねた感覚を懐かしく思い出すからか、ぐいぐい引き込まれてすらすら読んだ。夢中になる余り電車乗り過ごして遅刻した(笑)。

何かが順調だと、どこかで終わりが来る。そういう女の子の頃は終わり、女性になっていく姿が良く分かるような気がしている。設定も、登場人物も何気なく、何の必要性と戦略を持ってこのようなベースでこのようなエピソードを書き重ねたのかと思ったりするが、全体としてしっくり来るから不思議である。うーん。やっぱりこのテのは好きなのかな。目立たない女の子がおそらく、一般的には普通の、上向きの道を歩む。都合よ過ぎ感というか、出来過ぎ感が無いでもないが、丁寧に書き込んでいるので新鮮さが有るのも事実。この方は前に読んだ「宇宙小説」にも寄稿していて、独特の世界を持っている。上半期の上位には入って来るだろう。

そして帰りに夢中になって電車ひと駅乗り過ごした(笑)、

北村薫「スキップ」

いや、短い期間にこんなに乗り過ごすのも珍しい。「リセット」「ターン」と並ぶ、時と人3部作最後の1冊。結局逆に辿ってしまった。書かれたのは3部作で最も先である。幅広い女性層に受け、大変売れ行きが良かった作品である。

この人はとかく、女性的な、というよりは女性の心を捉えそうな表現に力がある。突飛なシチュエーションでありながら、話はトントン、と進んで行く。隅々にまで気を配った、計算されたような感覚が冴えを見せる。主人公の女性は、なんとも憎めない、清潔で、才気煥発な設定で、はみ出したところが無い。穿った見方をすれば、その部分にリアル感の無さを覚えないこともないが、総じて愛せる、知的なキャラクターと言えるだろう。安心して読める、誤解を怖れず言えば知的読者層には受ける物語ではないだろうか。ラストは、私的には有る意味ショッキングだったが、そこは読んでみての楽しみとしたい。

メアリー・ポープ・オズボーン「マジック・ツリーハウス 第32巻 救助犬バリー」

これ、知ってますか?小学校低学年の子供達に、大人気のマジック・ツリーハウスシリーズ。ジャックとアニーの兄妹が、不思議なマジック・ツリーハウスに入り、過去のいろんな土地に行く、冒険シリーズである。前に読んだエルマーシリーズのようなものだ。恐竜時代に始まり、古代エジプトのピラミッド、古代ローマのポンペイ、ムガール帝国のインドや南極やロンドン、パリ、アフリカのサバンナなどなどでの大冒険。今年初めには映画も公開された。最新刊「救助犬バリー」は、南極で石にされてしまったペンギンの魔法を解くために、ナポレオンの時代、スイスアルプスのベルナール峠へ出掛ける、というもの。ナポレオンも登場する。ベルナール峠の修道院は救助犬発祥の地で、そこで交配された大型犬を、サン・ベルナール、英語読みでセント・バーナードと呼ぶようになったそうである。

冒険も楽しいが、出てくる言葉が少し難しくなっているのに気付く。漢字も習い始めて、いま息子のボキャブラリーは飛躍的に伸びているのだが、なるほど、小学校低学年というのはそういう年頃なのだと思う。紹介でお分かりの通り、世界地理と歴史文化、そしてファンタジーを学べるようにもなっている。本屋に行った際、興味深そうに見ていたので買ってあげたが、私の方が先に読んだ。面白かった。ははっ。その時買ったのは、葉室麟「風渡る」と三上延「ビブリア古書堂の事件簿」だ。やはりたまには流行りも追わないとね。ブックオフ近くに無いし。

さて、6月最後は
「シャーロックホームズの復活」

である。ジュリアン・シモンズ、という有名なシャーロッキアンが書いたものだ。私はこの人の「コナン・ドイル」も持っているし、「知られざる名探偵物語」も持っている。さて、中身の方は、というとコアなシャーロッキアンならでは、なのかどうか、だいぶ回りくどい物語だった。ホームズ役を当てたが視聴率の低迷のため、シリーズを打ち切られそうな役者が、ふって湧いた事件の解決に乗り出すが・・という感じのもの。時は移り、馬車と電報から自動車と電話の時代、というのが妙にスパイスだし、女性が強くなった、というのも顕著。しかしまあ、あまり面白くはなかった。パスティーシュ、パロディにはこんなものも多いので気にしないが。神田神保町で買い求めたのが懐かしい。そんな感じの6月でした。

上半期ベスト5は別稿で!

乾坤一擲

土日と雨がち。昨日は、ポートアイランドIKEAに行って、隣の神戸市科学館で遊んで帰って来た。遊ぶ時間が少し短かったので、夏休みにはまたゆっくり行こう。なんつったって、暑い時の科学館は、天国です。屋内だし。夜は、イナズマイレブンのカードゲームして就寝。

日曜は、近くのコジマに出掛けて、隣のTSUTAYAにも行って、お茶して買い物して帰る。家ではポケモンカードゲームして就寝。てな週末だった。

さて、ずっと女子バスケのオリンピック最終予選を観ていた。負けたら終わり、を2回もなんとか回避して、最終5戦目まで持ち込んだが、遂に力尽きてしまった。オリンピックには、行けなかった。

負けたのは、全て高さのある相手である。特に序盤の入りが致命的に悪く、常にリードを追いかける形となった。16点差をつけられたトルコ戦も、世界ランキング4位のチェコとの試合も、そして最終戦となったカナダ戦も、勝てる試合だったと思う。後の2試合は、3点差まで詰めたのだから。

ただ、問題点があったのも確かだった。やはり序盤の入りと、セカンドチョイスがない、ということに尽きる。

色々書いていくとだいぶ長くなるし、悔しさが増すので、今夜はこの辺で。あーあ、くっそう。

2012年6月24日日曜日

痛い朝

昨日は、昼から公園サッカー。12時前から行って、途中砂場遊びを挟んで、2時半までやっていた。今は蹴るのが楽しくてしょうがない様だ。幼稚園の頃は、あんなに飽きが来るのが早かったのに、大した違いである。

夕方は西宮ガーデンズに出掛け、買い物&晩ご飯。中華食べて、本屋に行った。私はスポーツ雑誌Numberと、葉室麟「風渡る」三上延「ビブリア古書堂の事件簿」と珍しく流行りのものを買った。たまにはね〜。東野圭吾の「聖女の救済」と迷ったけれど、こちらはずっと売ってるだろうし、どこかで読めるだろうということで。さて、息子はというと

メアリー・ポープ・オズボーン「マジック・ツリーハウス 第32巻 救助犬バリー」

が欲しい、というので買ってあげた。これ、知ってますか?小学校低学年の子供達に、大人気のマジック・ツリーハウスシリーズ。ジャックとアニーの兄妹が、不思議なマジック・ツリーハウスに入り、過去のいろんな土地に行く、冒険シリーズである。前に読んだエルマーシリーズのようなものだ。恐竜時代に始まり、古代エジプトのピラミッド、古代ローマのポンペイ、ムガール帝国のインドや南極やロンドン、パリ、アフリカのサバンナなどなどでの大冒険。今年初めには映画も公開された。息子はこの日風呂にも入らずぐーすか寝入ってしまったので、パパが先に読んだ。ははっ。感想は、後日。

明けて日曜日の朝。ママと息子は早めに寝るが、私はたいてい深夜まで起きているので、最近はベッドのある別の部屋に寝ている。また、深夜に寝に行くと、レオンが凄い勢いで吠えるのだ。ワンワン吠えて、私が寝っ転がるとパパ撫でて〜と寄って来たりするのでひねくれている。今朝起きて仮面ライダーフォーゼを見た後ゴロンとしたくなったので、和室の布団に行ったらまたワンワン。横になるといつものごとく寄って来たので、口を押さえ、こら!ワンワンいらんぞ、と叱った瞬間ガブリとやられた。レオンは1年に1度くらい本気で噛んで来る。その度にかなり叱るのだが、きょうも機嫌が悪かったようだ。右手薬指先の腹、最も柔らかい、よく使う部分に結構深く行った。流水で洗い、指の根元をぎゅっと押さえて血をストップ、バンドエイドすぐ貼る。痛い。

昔、中2の頃、にやはり飼っていたチワワにやられたことがあって、噛まれた晩には指が腫れて膨れ上がり、病院へ行ったことがあった。噛まれたのもさる事ながら、犬の歯なんて雑菌の塊で、化膿したのだった。その時の事をまた、思い出した。

痛い指をそのままに、またサッカー。西宮浜まで行き、2時間蹴って、お茶ブレイクの後さらに1時間半。たとえパパの蹴ったボール止められなくて追い掛ける回数が多くても、楽しいようである。たまに、あ、これは俺の真似してるな、という時があって、妙に嬉しい(笑)。蹴り上げたり、高く跳ねるボールを止めたり、が楽しいようだ。

パパもまあ、そこまで走りっぱなしでもないので、いい運動になっている。さすがに最近は暑いけど。とはいえその時はもつスタミナも家に帰るとどどっと疲れだらりと過ごさずにはいられない。まあいいか。

指はまだ痛い。周囲どころか爪を触っても痛い。早く痛みだけでも引いてくれんかな。やれやれ。