なにせ数を読んだので、その他作品のおまけコーナーを設けまする。自分でも、ランクから落としちゃったけど印象的、というのは沢山あったし、振り返りの意味も込めて。
今年は村上春樹「1Q84」から始まった。6巻からなるこの超長編、暗いが、女テロリストと幼なじみの再会、という、春樹にしては俗っぽいストーリーで、集中して読めた。
中島京子「小さいおうち」
お手伝いさん小説。パンチには欠けるが、よい味わいだった直木賞作品。
船戸与一「砂のクロニクル」「虹の谷の五月」
国際的ハードボイルド。殺しに女、なんでもありで面白かった。「虹の」は直木賞受賞作。
奥泉光「シューマンの指」
耽美派小説。「さよならドビュッシー」あたりとセットにして読んだら良いかも。
京極夏彦「姑獲鳥の夏」
長かったが、途中からずんずん進んだ。発行当時の新機軸のミステリーか。来年は他も読もう。
西加奈子「円卓」
小学生の話。なかなか笑えてほやっとして、いい感じだった。
宮下奈都「よろこびの歌」
女子高生の話。さわやかで微笑ましい作品。
村山由佳「星々の舟」
直木賞。なんか作り過ぎな気もしたが、時折胸を刺した。
綾辻行人「Another」
「館」シリーズもいいが、こちらもまずまず。作家本人もお気に入りのようだ。中学生サスペンス。続編を早く文庫に。
乙川優三郎「生きる」
時代もの。派手ではないが、感じるところもある、渋い良作。
小杉健治「父からの手紙」
あり得ないが、最後の手紙には心を打たれた。
金城一紀「GO」
痛快な作品。やはり直木賞。在日コリアンのお話。
辻村深月「凍りのくじら」
内容、オチともにもうふたつだが、設定と味付けは今年最高。恋愛現役世代ぽい感覚も良。
東野圭吾「真夏の方程式」
舞台はきれい、少年のひと夏の出来事。明快なトリック説明が光る。
桜庭一樹「荒野」
黒猫ちゃん、可愛らしいね。やはり「私の男」が特殊でこちらあたりの方が桜庭本流か。
貫井徳郎「乱反射」
実験的作品と言っていいだろう。色んな人の無意識の悪意が積み重なる。トライに評価。
村上春樹
「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」
ミニな作品だが、なんか、とてもハルキらしいと感じてしまうのは私だけだろうか。
奥田英朗「サウスバウンド」
初の奥田英朗。少年の揺れ動く心も描いているが、なんか途轍もなくハチャメチャで、そこが面白い、ロハスな作品である。
梨木香歩「家守綺譚」
意外に良かった。調べてみると、本屋大賞上位の実績あり。不思議な書生もの。続編ないかな。
相場英雄「震える牛」
巷で人気の本。タイトルで先が見えるが、社会ネタの、警察もの。
薬丸岳「天使のナイフ」
江戸川乱歩賞。ううーん、いまいち感が強かったが、心には引っ掛かった。少年犯罪の話。
恩田陸「黄昏の百合の骨」
いやもう、恩田陸が生み出したお気に入りの主人公水野理瀬が向こうの世界の人で・・。続編あるようなので楽しみだ。
三浦しをん
「まほろ駅前多田便利軒」
直木賞。なんか池袋ウエストゲートパーク的な臭いも。基本はマンガの、三浦さん。
道尾秀介「カラスの親指」
暗い道尾秀介にしては、意外にコミカルだったりして。大きな仕掛けが存在するが・・。
柚木麻子「ランチのアッコちゃん」
中身はマンガだが、なぜか吸引力がある。傑作の類に入るだろう。
乾ルカ「メグル」
最初の作品こそホラー色強いが、どの短編もまずまず色が出ている。素養はあるので、大作を書いて欲しい。
桂望実「嫌な女」
巷で評価が高い本。エリート女弁護士と、女が武器の女との対比。一生を追い掛ける、さらりとした感の本。
葉室麟「蜩ノ記」
色々と考えさせられる直木賞作品。優秀過ぎる武士に心酔する監視役。時代ものパターンだが、完成度が高い気も。
綾辻行人「奇面館の殺人」
こうでなくっちゃの、本格派ミステリー、今回も館、仮面と楽しめました。
近藤史恵
「サクリファイス」「エデン」
ミステリーとして読むというよりは、自転車ロードレースものとして楽しむのが良。日本人選手白井誓・チカが世界に挑む。
坂口安吾「不連続殺人事件」
ミステリー界で傑作とされる作品。言動行動ともに荒いが、謎解きミステリー本道として感心する本。昭和23年の発表とは思えない完成度かと思う。
以上、おまけでした!
2013年12月24日火曜日
2013パパ読書大賞の2
はや3年目を迎えたこの企画。今回はいよいよ大賞の発表です。ちなみに昨年までのランキングを振り返っておきましょう。
2011年
大賞 「リセット」北村薫
1位 「対岸の彼女」角田光代
2位 「モルヒネ」安達千夏
3位 「13階段」高野和明
4位 「パレード」吉田修一
5位 「四度目の氷河期」荻原浩
次点 「ドミノ」恩田陸
「神様のカルテ」夏川草助
2012年
大賞 熊谷達也「邂逅の森」
1位 村上春樹
「国境の南、太陽の西」
2位 柚木麻子「終点のあの子」
3位 宮下奈都「スコーレNo.4」
4位桜庭一樹「私の男」
5位北村薫「玻璃の天」
6位辻村深月
「冷たい校舎の時はとまる」
7位窪美澄「晴天の迷いクジラ」
8位北村薫「スキップ」
9位冲方丁「天地明察」
10位誉田哲也「武士道セブンティーン」
となってました。
今回は、年間大賞を決め、ランキングを発表したあと、過去3年間のベスト5を決めたく思います!ひとつ注意は、かつてランキングが下だからといって、今回もそうでないとは限らないこと。かつての5位が、同じ年の3位を抜かすのもあり、です。
改めて、今年は、ここまで131作品146冊を読むことが出来ました!まあここまで読むのは今年だけだろうなー。詳細はひとつ下のコラムに並べて有りますので見て下さいませ。
ではさっそく行きましょう!
2013パパ読書大賞は・・
藤原伊織「テロリストのパラソル」
と、なりました!初の上半期からの大賞。下半期も他の追随を許さず、トップを守り抜きました。なんか、読書慣れして、心が動きにくくなってきたのかと気にしたりもしています。
抜群のエンタメ性、息もつかせぬ展開、そして、横たわる、お気楽さ加減。全てがマッチした作品。そんなにサスペンス&ドンパチ好きではなかったはずなのにな、と思ったりもしますが、面白いことこの上なしです。
さて、年間ランキング。
1位 木内昇「漂砂のうたう」
2位 朝井リョウ
「桐島、部活やめるってよ」
3位 山本兼一「利休にたずねよ」
4位 乾ルカ「あの日にかえりたい」
5位 山本兼一「火天の城」
6位 天童荒太「悼む人」
7位 西加奈子「通天閣」
8位 道尾秀介「月と蟹」
9位 三崎亜記「となり町戦争」
10位 夏川草介「神様のカルテ2」
以上、断腸の想いでランキング付けしました。粒揃い、という自信は有りますが、まあ好みなので。
木内昇「漂砂のうたう」
明治維新から10年、落ちぶれた武士の苦悩を純文学的に描く。暗いが、様々な要素と仕掛けが、計算のもと
文章以上の効果を出している。ブンガク作品を読んだ!と読後に充実感に浸れる一冊。
朝井リョウ
「桐島、部活やめるってよ」
瑞々しさが印象として消えない。このところ高校生ものといえば女性作家が目立っていたが、若い男性の目の付けどころに感心した。
山本兼一「利休にたずねよ」
濃厚で濃密。描写とディテール、主人公の迫力が凄まじい。章立ての妙も含め、まごうことなき直木賞作品。
次点はいっぱいありすぎる。さまざまな形で感性を刺激してくれた、全ての作品に感謝。
という訳で、3年間のベストオブベストランキング!選考は困難を極めましたわよ。
1位 北村薫 「リセット」
2位 熊谷達也「邂逅の森」
3位 宮下奈都「スコーレNO.4」
4位 藤原伊織
「テロリストのパラソル」
5位 角田光代 「対岸の彼女」
と、なりました!
最後は好き、で選んだな。5作品中、直木賞受賞作が3つ、候補がひとつ、ノーマル、というか目ぼしい賞を受けてないのは「スコーレNO.4」だけ。
「リセット」はやわいファンタジーかも知れないが、北村薫はやはり、好きである。大筋とディテールの合致、独特の筆致というところに惹かれている。少し前の作品で、リアルでギスギスし気味な昨今の作品群の中、ほっとする部分もある。2位以下も、私にとってはいずれ劣らぬ名作ばかりだ。「邂逅の森」は迫力を感じたし、「スコーレNO.4」は女性的視点からの超名作だと思う。「テロリストのパラソル」は前述の通り。「対岸の彼女」も女性的視点だが、男性にも訴えかけてくる。
そして、3年間の前の1年、私が本を読み始めたころ、これまでで最も衝撃を受けたのは
角田光代「八日目の蝉」
だった。読了した瞬間、呆然としたのも、続編を書いてでも何とかしたい、と思ったのも、これが最初で、今のところ最後。私の中では、別格の作品。ベストセラーだから、本好きの方はお読みだろうが、もし未読ならばぜひ読みましょう。NHKのドラマもDVD借りてきて見ましょう。
ランキングは難しい。面白い、というのと、構成技術、表現的にキレキレなもの、表面的には面白くないが、感性の深いところへ訴えかけたり、文章を超えた迫力があるもの、それぞれある。どれを上位につけるかなんて、その時の行き当たりばったりだ。印象は、薄れたり、逆に時が経つほど強まったりするし。
しかし、よく読んだ1年だった。来年も、今年ほどではないだろうが、また読んで行きたいと思っている。来年のテーマは、月ごとのテーマ付け。1月はシャーロッキアン本に決めていて、その後推理小説、いわゆる洋書、などを考えている。まああんまり縛りすぎると良くないかもなので、うまい塩梅にしよう。
全国のみんな、元気に読書してますか?この稿、最後までお読み頂き、ありがとう。来年も、よろしくね!
2011年
大賞 「リセット」北村薫
1位 「対岸の彼女」角田光代
2位 「モルヒネ」安達千夏
3位 「13階段」高野和明
4位 「パレード」吉田修一
5位 「四度目の氷河期」荻原浩
次点 「ドミノ」恩田陸
「神様のカルテ」夏川草助
2012年
大賞 熊谷達也「邂逅の森」
1位 村上春樹
「国境の南、太陽の西」
2位 柚木麻子「終点のあの子」
3位 宮下奈都「スコーレNo.4」
4位桜庭一樹「私の男」
5位北村薫「玻璃の天」
6位辻村深月
「冷たい校舎の時はとまる」
7位窪美澄「晴天の迷いクジラ」
8位北村薫「スキップ」
9位冲方丁「天地明察」
10位誉田哲也「武士道セブンティーン」
となってました。
今回は、年間大賞を決め、ランキングを発表したあと、過去3年間のベスト5を決めたく思います!ひとつ注意は、かつてランキングが下だからといって、今回もそうでないとは限らないこと。かつての5位が、同じ年の3位を抜かすのもあり、です。
改めて、今年は、ここまで131作品146冊を読むことが出来ました!まあここまで読むのは今年だけだろうなー。詳細はひとつ下のコラムに並べて有りますので見て下さいませ。
ではさっそく行きましょう!
2013パパ読書大賞は・・
藤原伊織「テロリストのパラソル」
と、なりました!初の上半期からの大賞。下半期も他の追随を許さず、トップを守り抜きました。なんか、読書慣れして、心が動きにくくなってきたのかと気にしたりもしています。
抜群のエンタメ性、息もつかせぬ展開、そして、横たわる、お気楽さ加減。全てがマッチした作品。そんなにサスペンス&ドンパチ好きではなかったはずなのにな、と思ったりもしますが、面白いことこの上なしです。
さて、年間ランキング。
1位 木内昇「漂砂のうたう」
2位 朝井リョウ
「桐島、部活やめるってよ」
3位 山本兼一「利休にたずねよ」
4位 乾ルカ「あの日にかえりたい」
5位 山本兼一「火天の城」
6位 天童荒太「悼む人」
7位 西加奈子「通天閣」
8位 道尾秀介「月と蟹」
9位 三崎亜記「となり町戦争」
10位 夏川草介「神様のカルテ2」
以上、断腸の想いでランキング付けしました。粒揃い、という自信は有りますが、まあ好みなので。
木内昇「漂砂のうたう」
明治維新から10年、落ちぶれた武士の苦悩を純文学的に描く。暗いが、様々な要素と仕掛けが、計算のもと
文章以上の効果を出している。ブンガク作品を読んだ!と読後に充実感に浸れる一冊。
朝井リョウ
「桐島、部活やめるってよ」
瑞々しさが印象として消えない。このところ高校生ものといえば女性作家が目立っていたが、若い男性の目の付けどころに感心した。
山本兼一「利休にたずねよ」
濃厚で濃密。描写とディテール、主人公の迫力が凄まじい。章立ての妙も含め、まごうことなき直木賞作品。
次点はいっぱいありすぎる。さまざまな形で感性を刺激してくれた、全ての作品に感謝。
という訳で、3年間のベストオブベストランキング!選考は困難を極めましたわよ。
1位 北村薫 「リセット」
2位 熊谷達也「邂逅の森」
3位 宮下奈都「スコーレNO.4」
4位 藤原伊織
「テロリストのパラソル」
5位 角田光代 「対岸の彼女」
と、なりました!
最後は好き、で選んだな。5作品中、直木賞受賞作が3つ、候補がひとつ、ノーマル、というか目ぼしい賞を受けてないのは「スコーレNO.4」だけ。
「リセット」はやわいファンタジーかも知れないが、北村薫はやはり、好きである。大筋とディテールの合致、独特の筆致というところに惹かれている。少し前の作品で、リアルでギスギスし気味な昨今の作品群の中、ほっとする部分もある。2位以下も、私にとってはいずれ劣らぬ名作ばかりだ。「邂逅の森」は迫力を感じたし、「スコーレNO.4」は女性的視点からの超名作だと思う。「テロリストのパラソル」は前述の通り。「対岸の彼女」も女性的視点だが、男性にも訴えかけてくる。
そして、3年間の前の1年、私が本を読み始めたころ、これまでで最も衝撃を受けたのは
角田光代「八日目の蝉」
だった。読了した瞬間、呆然としたのも、続編を書いてでも何とかしたい、と思ったのも、これが最初で、今のところ最後。私の中では、別格の作品。ベストセラーだから、本好きの方はお読みだろうが、もし未読ならばぜひ読みましょう。NHKのドラマもDVD借りてきて見ましょう。
ランキングは難しい。面白い、というのと、構成技術、表現的にキレキレなもの、表面的には面白くないが、感性の深いところへ訴えかけたり、文章を超えた迫力があるもの、それぞれある。どれを上位につけるかなんて、その時の行き当たりばったりだ。印象は、薄れたり、逆に時が経つほど強まったりするし。
しかし、よく読んだ1年だった。来年も、今年ほどではないだろうが、また読んで行きたいと思っている。来年のテーマは、月ごとのテーマ付け。1月はシャーロッキアン本に決めていて、その後推理小説、いわゆる洋書、などを考えている。まああんまり縛りすぎると良くないかもなので、うまい塩梅にしよう。
全国のみんな、元気に読書してますか?この稿、最後までお読み頂き、ありがとう。来年も、よろしくね!
2013年12月21日土曜日
パパ読書大賞 その1
写真は最近お気に入りのランチ。
さて、今年も始まりました。2013「パパ読書大賞」。
今回は、各賞の発表です!
まずは恒例どおり、全書名を。
今年は131作品146冊を読み切ることが出来ました。うち直木賞作品は13。「直」マークがそうです。
村上春樹「1Q84」(6)
村上春樹「遠い太鼓」
神永学「心霊探偵 八雲」シリーズ
「1.赤い瞳は知っている」
「2.魂をつなぐもの」
中島京子「小さいおうち」直
蒼井上鷹「ホームズのいない町 13のまだらな推理」
高田郁「今朝の春 みをつくし料理帖 」
北村薫「六の宮の姫君」
船戸与一「砂のクロニクル」(2)
浅田次郎「珍妃の井戸」
藤原伊織「テロリストのパラソル」直
川村元気「世界から猫が消えたなら」
横山秀夫「第三の時効」
藤沢周平「蝉しぐれ」
石田衣良「波のうえの魔術師」
石田衣良「4TEEN」直
奥泉光「シューマンの指」
神永学「神霊探偵八雲」シリーズ
「3.闇の先にある光」
「4.守るべき想い」
船戸与一「虹の谷の五月」(2)直
京極夏彦「姑獲鳥の夏」
和田竜「のぼうの城」(2)
山田悠介「ニホンブンレツ」
ナンシー・スプリンガー
「エノーラ・ホームズの事件簿
〜消えた公爵家の子息〜」
三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズ
「栞子さんと二つの顔 」
高田郁「小夜しぐれ みをつくし料理帖」
天童荒太「悼む人」(2)直
北村薫「朝霧」
伊坂幸太郎「フィッシュストーリー」
アルフレード・ガティウス
ホセ・マリア・ウック
「なぜレアルとバルサだけが儲かるのか? サッカークラブ経営に魔法は存在しない」
江橋よしのり
「世界一のあきらめない心」
夏川草介「神様のカルテ2」
桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」
乾ルカ「蜜姫村」
三浦しをん「風が強く吹いている」
藤原伊織「ひまわりの祝祭」
ヤン・マーテル「パイの物語」(2)
西加奈子「円卓」
山本兼一「利休にたずねよ」直
宮下奈都「よろこびの歌」
北村薫「ニッポン硬貨の謎」
神原一光「辻井伸行 奇跡の音色 恩師との12年間」
高田郁「心星ひとつ みをつくし料理帖」
村山由佳「星々の舟」直
藤原伊織「手のひらの闇」
綾辻行人「Another」(2)
乙川優三郎「生きる」直
三宅博「虎のスコアラーが教える『プロ』の野球観戦術」
小杉健治「父からの手紙」
金城一紀「GO」 直
江國香織「号泣する準備はできていた」直
辻村深月「凍りのくじら」
藤原伊織「名残り火 てのひらの闇 �」
高田郁「夏天の虹 みをつくし料理帖」
東野圭吾「真夏の方程式」
五十嵐貴久「For You」
桜庭一樹「荒野」
スコット・フィッツジェラルド
「冬の夢」
城島充「ピンポンさん」
舞城王太郎
「世界は密室でできている。」
辻村深月「太陽の坐る場所」
貫井徳郎「乱反射」
西加奈子「さくら」
ウイリアム・アイリッシュ
「幻の女」
朝井リョウ
「桐島、部活やめるってよ」
高田郁「残月 みをつくし料理帖」
舞城王太郎「煙か土か食い物」
村上春樹
「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」
泡坂妻夫「しあわせの書 迷探偵ヨギ ガンジーの神霊術」
重松清「君去りしのち」
湊かなえ「少女」
梨木香歩「家守綺譚」
福井康雄「大宇宙の誕生」
江戸川乱歩「孤島の鬼」
太田治子「明るい方へ
父・太宰治と母・太田静子」
村山斉
「宇宙はなぜこんなにうまくできているのか」
西加奈子「通天閣」
百田尚樹「モンスター」
星新一「きまぐれロボット」
スコット・フィッツジェラルド
「グレート・ギャツビー」
ジュリアン・シモンズ
「知られざる名探偵物語」
日々野真理「凛と咲く なでしこジャパン30年目の歓喜と挑戦」
奥田英朗「サウスバウンド」
相場英雄「震える牛」
道尾秀介「月と蟹」直
長谷部誠「心を整える」
高橋克彦「鬼」
桜庭一樹「伏 贋作里見八犬伝」
薬丸岳「天使のナイフ」
恩田陸「黄昏の百合の骨」
藤原伊織「ダックスフントのワープ」
長友佑都「日本男児」
高橋克彦「白妖鬼」
高橋克彦「長人鬼」
吉村昭「吉村昭の平家物語」
東野圭吾「夜明けの街で」
三崎亜紀「となり町戦争」
三浦しをん
「まほろ駅前多田便利軒」直
道尾秀介「カラスの親指」
柚木麻子「ランチのアッコちゃん」
乾ルカ「メグル」
アンソニー・ホロヴィッツ
「絹の家」
殊能将之「ハサミ男」
桂望実「嫌な女」
長友佑都「上昇思考」
ジョン・H・ワトスン著
ローレン・エスルマン編
「シャーロック・ホームズ対ドラキュラーあるいは血まみれ伯爵の冒険ー」
由良弥生「眠れないほど面白い『古事記』」
藤原伊織「シリウスの道」(2)
中村文則「掏摸」
野沢尚「龍時01ー02」
野沢尚「龍時02ー03」
野沢尚「龍時03ー04」
辻村深月「島はぼくらと」
ヴィンセント・スタリット
「シャーロック・ホームズの私生活」
百田尚樹「ボックス!」(2)
三島由紀夫「青の時代」
村上龍「歌うクジラ」(2)
乾ルカ「あの日にかえりたい」
海堂尊
「チーム・バチスタの栄光」(2)
葉室麟「蜩ノ記」直
綾辻行人「奇面館の殺人」
坂口安吾「明治開花 安吾捕物帖」
近藤史恵「サクリファイス」
原田マハ
「総理の夫 First Gentleman」
山本兼一「火天の城」
J・E・ホルロイド編
「シャーロック・ホームズ 17の愉しみ」
近藤史恵「エデン」
木内昇「漂砂のうたう」直
坂口安吾「不連続殺人事件」
雫井脩介「火の粉」
古関順二
「野球を歩く 日本野球の歴史探訪」
昨年の2倍近い量なので、さすがに多い。薦めて下さった方、貸してくれた方、ありがとうございました。
では、今回は、各賞の発表から!
ベストエンタテインメント賞
野沢尚「龍時」シリーズ
文化人類学賞
高橋克彦「鬼」シリーズ
期待する作家賞
西加奈子 乾ルカ
ベストスポーツ賞
長谷部誠「心を整える」
ベストノスタルジー賞
五十嵐貴久「For You」
特別賞 藤原伊織
「ダックスフントのワープ」
なかなか燃えさせてもらった「龍時」シリーズは日本の高校生がスペインリーグに挑戦する話。
文化人類学プライズの(笑)「鬼」シリーズは、陰陽師ものである。「白妖鬼」「長人鬼」「空中鬼」「紅蓮鬼」と続く。
「白妖鬼」から「空中鬼」までは、「鬼」で出て来た陰陽師、弓削是雄を中心としてお馴染みの仲間たちが活躍するエンタテインメント。私は鬼好きなので、楽しめた。
期待する作家さん2人。両方ともすでに直木賞候補に名を連ねているが、決して文壇歴は長くなく、これから数々の大作を書く方々だと思っている。西加奈子はその大阪的テイストと構成力、乾ルカはホラーぎりぎりのファンタジックさ、不思議な魅力をほんの少し大衆的にし、文章を超えた迫力を持つ作品を待っている。
もちろん、このへん、意図的に昨年から読んでいる人は外してあるので、期待する人もそれなりに実は居るんだけど。三崎亜記は、もうひと作品読んでから考えるかな。
ベストスポーツ賞、なでしこの「世界一のあきらめない心」も卓球の「ピンポン!」も良かったが、真面目な長谷部くんはまた新たな面が見えたようで受賞。この本は、スマートで、深いものがある。ここまで多岐に渡って、突き詰めて考えているのかと、プロフェッショナリズムを感じる一冊。
「For You」高校生恋愛もの。オチはどうでもよくって、時代設定も、内容も実にノスタルジック。サザンが聞こえてきそうである。
特別賞は、短編集中、表題作に特に捧げたい。藤原伊織らしくない作品。作品中の挿話が、大変良かったと思う。
以上、各賞でした!次回はいよいよグランプリ!
さて、今年も始まりました。2013「パパ読書大賞」。
今回は、各賞の発表です!
まずは恒例どおり、全書名を。
今年は131作品146冊を読み切ることが出来ました。うち直木賞作品は13。「直」マークがそうです。
村上春樹「1Q84」(6)
村上春樹「遠い太鼓」
神永学「心霊探偵 八雲」シリーズ
「1.赤い瞳は知っている」
「2.魂をつなぐもの」
中島京子「小さいおうち」直
蒼井上鷹「ホームズのいない町 13のまだらな推理」
高田郁「今朝の春 みをつくし料理帖 」
北村薫「六の宮の姫君」
船戸与一「砂のクロニクル」(2)
浅田次郎「珍妃の井戸」
藤原伊織「テロリストのパラソル」直
川村元気「世界から猫が消えたなら」
横山秀夫「第三の時効」
藤沢周平「蝉しぐれ」
石田衣良「波のうえの魔術師」
石田衣良「4TEEN」直
奥泉光「シューマンの指」
神永学「神霊探偵八雲」シリーズ
「3.闇の先にある光」
「4.守るべき想い」
船戸与一「虹の谷の五月」(2)直
京極夏彦「姑獲鳥の夏」
和田竜「のぼうの城」(2)
山田悠介「ニホンブンレツ」
ナンシー・スプリンガー
「エノーラ・ホームズの事件簿
〜消えた公爵家の子息〜」
三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズ
「栞子さんと二つの顔 」
高田郁「小夜しぐれ みをつくし料理帖」
天童荒太「悼む人」(2)直
北村薫「朝霧」
伊坂幸太郎「フィッシュストーリー」
アルフレード・ガティウス
ホセ・マリア・ウック
「なぜレアルとバルサだけが儲かるのか? サッカークラブ経営に魔法は存在しない」
江橋よしのり
「世界一のあきらめない心」
夏川草介「神様のカルテ2」
桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」
乾ルカ「蜜姫村」
三浦しをん「風が強く吹いている」
藤原伊織「ひまわりの祝祭」
ヤン・マーテル「パイの物語」(2)
西加奈子「円卓」
山本兼一「利休にたずねよ」直
宮下奈都「よろこびの歌」
北村薫「ニッポン硬貨の謎」
神原一光「辻井伸行 奇跡の音色 恩師との12年間」
高田郁「心星ひとつ みをつくし料理帖」
村山由佳「星々の舟」直
藤原伊織「手のひらの闇」
綾辻行人「Another」(2)
乙川優三郎「生きる」直
三宅博「虎のスコアラーが教える『プロ』の野球観戦術」
小杉健治「父からの手紙」
金城一紀「GO」 直
江國香織「号泣する準備はできていた」直
辻村深月「凍りのくじら」
藤原伊織「名残り火 てのひらの闇 �」
高田郁「夏天の虹 みをつくし料理帖」
東野圭吾「真夏の方程式」
五十嵐貴久「For You」
桜庭一樹「荒野」
スコット・フィッツジェラルド
「冬の夢」
城島充「ピンポンさん」
舞城王太郎
「世界は密室でできている。」
辻村深月「太陽の坐る場所」
貫井徳郎「乱反射」
西加奈子「さくら」
ウイリアム・アイリッシュ
「幻の女」
朝井リョウ
「桐島、部活やめるってよ」
高田郁「残月 みをつくし料理帖」
舞城王太郎「煙か土か食い物」
村上春樹
「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」
泡坂妻夫「しあわせの書 迷探偵ヨギ ガンジーの神霊術」
重松清「君去りしのち」
湊かなえ「少女」
梨木香歩「家守綺譚」
福井康雄「大宇宙の誕生」
江戸川乱歩「孤島の鬼」
太田治子「明るい方へ
父・太宰治と母・太田静子」
村山斉
「宇宙はなぜこんなにうまくできているのか」
西加奈子「通天閣」
百田尚樹「モンスター」
星新一「きまぐれロボット」
スコット・フィッツジェラルド
「グレート・ギャツビー」
ジュリアン・シモンズ
「知られざる名探偵物語」
日々野真理「凛と咲く なでしこジャパン30年目の歓喜と挑戦」
奥田英朗「サウスバウンド」
相場英雄「震える牛」
道尾秀介「月と蟹」直
長谷部誠「心を整える」
高橋克彦「鬼」
桜庭一樹「伏 贋作里見八犬伝」
薬丸岳「天使のナイフ」
恩田陸「黄昏の百合の骨」
藤原伊織「ダックスフントのワープ」
長友佑都「日本男児」
高橋克彦「白妖鬼」
高橋克彦「長人鬼」
吉村昭「吉村昭の平家物語」
東野圭吾「夜明けの街で」
三崎亜紀「となり町戦争」
三浦しをん
「まほろ駅前多田便利軒」直
道尾秀介「カラスの親指」
柚木麻子「ランチのアッコちゃん」
乾ルカ「メグル」
アンソニー・ホロヴィッツ
「絹の家」
殊能将之「ハサミ男」
桂望実「嫌な女」
長友佑都「上昇思考」
ジョン・H・ワトスン著
ローレン・エスルマン編
「シャーロック・ホームズ対ドラキュラーあるいは血まみれ伯爵の冒険ー」
由良弥生「眠れないほど面白い『古事記』」
藤原伊織「シリウスの道」(2)
中村文則「掏摸」
野沢尚「龍時01ー02」
野沢尚「龍時02ー03」
野沢尚「龍時03ー04」
辻村深月「島はぼくらと」
ヴィンセント・スタリット
「シャーロック・ホームズの私生活」
百田尚樹「ボックス!」(2)
三島由紀夫「青の時代」
村上龍「歌うクジラ」(2)
乾ルカ「あの日にかえりたい」
海堂尊
「チーム・バチスタの栄光」(2)
葉室麟「蜩ノ記」直
綾辻行人「奇面館の殺人」
坂口安吾「明治開花 安吾捕物帖」
近藤史恵「サクリファイス」
原田マハ
「総理の夫 First Gentleman」
山本兼一「火天の城」
J・E・ホルロイド編
「シャーロック・ホームズ 17の愉しみ」
近藤史恵「エデン」
木内昇「漂砂のうたう」直
坂口安吾「不連続殺人事件」
雫井脩介「火の粉」
古関順二
「野球を歩く 日本野球の歴史探訪」
昨年の2倍近い量なので、さすがに多い。薦めて下さった方、貸してくれた方、ありがとうございました。
では、今回は、各賞の発表から!
ベストエンタテインメント賞
野沢尚「龍時」シリーズ
文化人類学賞
高橋克彦「鬼」シリーズ
期待する作家賞
西加奈子 乾ルカ
ベストスポーツ賞
長谷部誠「心を整える」
ベストノスタルジー賞
五十嵐貴久「For You」
特別賞 藤原伊織
「ダックスフントのワープ」
なかなか燃えさせてもらった「龍時」シリーズは日本の高校生がスペインリーグに挑戦する話。
文化人類学プライズの(笑)「鬼」シリーズは、陰陽師ものである。「白妖鬼」「長人鬼」「空中鬼」「紅蓮鬼」と続く。
「白妖鬼」から「空中鬼」までは、「鬼」で出て来た陰陽師、弓削是雄を中心としてお馴染みの仲間たちが活躍するエンタテインメント。私は鬼好きなので、楽しめた。
期待する作家さん2人。両方ともすでに直木賞候補に名を連ねているが、決して文壇歴は長くなく、これから数々の大作を書く方々だと思っている。西加奈子はその大阪的テイストと構成力、乾ルカはホラーぎりぎりのファンタジックさ、不思議な魅力をほんの少し大衆的にし、文章を超えた迫力を持つ作品を待っている。
もちろん、このへん、意図的に昨年から読んでいる人は外してあるので、期待する人もそれなりに実は居るんだけど。三崎亜記は、もうひと作品読んでから考えるかな。
ベストスポーツ賞、なでしこの「世界一のあきらめない心」も卓球の「ピンポン!」も良かったが、真面目な長谷部くんはまた新たな面が見えたようで受賞。この本は、スマートで、深いものがある。ここまで多岐に渡って、突き詰めて考えているのかと、プロフェッショナリズムを感じる一冊。
「For You」高校生恋愛もの。オチはどうでもよくって、時代設定も、内容も実にノスタルジック。サザンが聞こえてきそうである。
特別賞は、短編集中、表題作に特に捧げたい。藤原伊織らしくない作品。作品中の挿話が、大変良かったと思う。
以上、各賞でした!次回はいよいよグランプリ!
12月書評の2
スペインなど合作の「二人のアトリエ」という映画を観た。第2次大戦中ドイツの占領下にある、スペイン国境に近いフランスの街、拾われた娘をヌードモデルにした、著名な彫刻家の話。モノクロ作品である。
穏やかで、よくあるストーリーだったが、映画は最後が難しいとつくづく感じた。特に芸術系の場合は早くきっぱりとオチを付けなければ冗長になるばかりだし。今回は強引だな、というのが感想だった。
さて後半。期待はずれのものもあったが、面白いラインナップだった。
近藤史恵「エデン」
うーん、面白かった。前作「サクリファイス」よりも重くも唐突でもない分楽しめた。締めの事件には同様のことが起きるのだが、あまり気にならず、今度はツールの行方に集中できる。
自転車のロードレースシリーズ第2弾。フランスのプロチームに移籍を果たした白石誓、チカはついにツール・ド・フランスに出場する!
ツール・ド・フランスというものは、ロードレースというものは。今回もちろんこれが最も読んでいて楽しいが、このシリーズの良さは、チカの、透明感とどこかしら茶目っ気を併せ持つようなキャラクターではないかと思う。
同僚ミッコもGood。番外編も出ているようだが、次のポルトガル編も読みたいな。
木内昇「漂砂のうたう」
なんというか、モダンな時代の文学作品に、現代テイストを混ぜたようなイメージのものだ。
明治維新から10年、東京・根津の遊郭で立番をしている元武士の定九郎。世は士族の反乱が相次ぎ、騒然としていた。時代の波の中で落ちぶれた我が身に諦観と割り切れぬものが相混ざった感情を抱く定九郎の周囲に様々な出来事が起こる。
2010年上半期直木賞。道尾秀介「月と蟹」との同時受賞である。木内昇(のぼり)は女性作家さん。これまで直木賞候補になったこともなく、いきなり、という感じで賞をさらった感がある。
「漂砂のうたう」は閉塞感の漂う中、普通の人間がもがく姿を描いた、純文学に近い小説だ。維新後権力を削がれた武士の苦悩ともがく姿を、べったりとした閉塞感をベースとして描き切っている。
どこか幽霊のような感じも漂う噺家のポン太、看板花魁の小野菊、妓夫太郎の龍造、噂話好き、おしゃべりの下男嘉吉、賭場の仕切り、山公など強いキャラクターの人物が出て来て飽きさせない。
また、幽玄のテイストを強める仕掛けとして、噺が効果的に使われている。時代の移り変わりも、折に触れうまく混ぜ込んである。いわゆる痛快さはないが、時代に翻弄された、ある武士の心の有様を描く表現が、次から次へと積まれて行く佳作だ。もちろん現代人へと捧げたテーマでもあるかも知れないが、改めて御一新、というのは想像できないほど劇的な変化だったのでは、と思える。
惜しむらくは、かつての小説よりも、隠喩が直接的なこと、またなぜかうまく事が回ってしまうのに説明が無いこと、、ラストだけがさわやかに出来すぎていることだろうか。
エキサイティングな類のものではなく暗いが、一気に読んでしまった。考えてみれば、反乱ものはあっても、庶民的なこの時代の武士の姿にスポットを当てたものはあるんだろうけど、新鮮で興味ある時代と題材であり、行間の雄弁さはなかなか読み応えがあった。
坂口安吾「不連続殺人事件」
面白く読み進んだ。推理小説の名作として日本では確固とした地位を築いている作品。
立て続けに起きる8件の殺人。歌川一馬家に集まった、多くのクセのある招待客のうち、真犯人は誰なのか?またそのトリックは?
坂口安吾、戦後すぐ「堕落論」を発表、太宰治、織田作之助らとともに新文学の旗手として注目された。1948年この作品を発表、第2回探偵クラブ賞、いまの日本推理作家協会賞を受賞した。
これの前に読んだ、「安吾捕物帖」が、どうももひとつ分かりづらかったのでどうかと思ったが、ずんずん進んで、あっという間に読み切った。
この作品も「捕物帖」と同じく、男女の情欲の話がたくさん出てくるし、なにせ登場人物が相変わらず多いし、会話や態度はあり得ないくらい野卑な面があり、まさに異世界の様相を呈しているのだが、傑作の名に恥じない出来だと思う。
「心理の足跡」がポイントだが、その仕掛けも、トリックとその理由もなかなか唸るものがある。
一つ二つ疑問点はあり、また現代の小説からしたら無駄もとても多いように見えるが、典型的な犯人当てミステリーで充分楽しく読めた。
雫井脩介「火の粉」
古典的なサスペンス、というのがまずもっての印象だ。解説にもあるが、まずベースとなる女性たちの描き方が上手いと思う。そして、違和感から悪意、八方塞がりの状態、どんでん返しと急展開・・。一気に読み切った。
初の雫井脩介、人に薦められた作品である。宮部みゆきのような色を感じるサスペンスである。ゆっくりと日常に時間をかけて描いている部分が印象に残った。
裁判官梶間勲は、一家3人殺害事件で逮捕、起訴された被告に無罪判決を下す。冤罪を晴らした形となったその被告人武内が、ある日梶間の隣の家に引っ越して来た。
裏表紙には、「読者の予想を裏切り続ける驚愕の犯罪小説」とあるが、少なくともこの本については、大まかな成り行きと犯人がかなり早い段階から読めるので、ラストに向かってディテールを追って読み進む感じだ。
ストーリーの最も重要な核となる証言が最初は抜け落ち後で都合良く出て来ていて、どうも捜査を意図的にずさんに描いている、とも思ってしまう部分もある。
八方塞がりの場面を淡々と、しかし巧妙に作りあげている部分など面白かったが、ちょっと色合いと先が見え過ぎてるな、という感想だ。
古関順二
「野球を歩く 日本野球の歴史探訪」
日本の野球史を振り返りつつ、ポイントとなった幾つかの球場を紹介、詳細に述べ、実際見に出かけている。
野球も歴史も好きなので、面白く読めた。私事で言えば、昔福岡に香椎花園という遊園地があって、そこへよく連れて行ってもらった。
香椎花園の隣には、草に覆われ使われていない香椎球場の、蔦に覆われた石のスタンドがあった。繋がりはないが、打ち捨てられた球場に立ち、妙に感慨が湧いてくる気がした。いまはなき平和台球場もまた思い出多く、西鉄福岡駅から、新天町を通って、西鉄グランドホテルの前を通って、裁判所の前のお堀端を歩いて、福岡城址にある球場への道を登る道のりは、ワクワクしてことさら楽しかった。数年前には球場跡地も再訪した。
知識として野球史は面白いし、上のような理由で球場跡巡りもゆかりの地探訪も好きである。著者いわく、神宮球場の描写が美しかったという、ハルキの「ねじまき鳥クロニクル」でも読んでみようかな。
穏やかで、よくあるストーリーだったが、映画は最後が難しいとつくづく感じた。特に芸術系の場合は早くきっぱりとオチを付けなければ冗長になるばかりだし。今回は強引だな、というのが感想だった。
さて後半。期待はずれのものもあったが、面白いラインナップだった。
近藤史恵「エデン」
うーん、面白かった。前作「サクリファイス」よりも重くも唐突でもない分楽しめた。締めの事件には同様のことが起きるのだが、あまり気にならず、今度はツールの行方に集中できる。
自転車のロードレースシリーズ第2弾。フランスのプロチームに移籍を果たした白石誓、チカはついにツール・ド・フランスに出場する!
ツール・ド・フランスというものは、ロードレースというものは。今回もちろんこれが最も読んでいて楽しいが、このシリーズの良さは、チカの、透明感とどこかしら茶目っ気を併せ持つようなキャラクターではないかと思う。
同僚ミッコもGood。番外編も出ているようだが、次のポルトガル編も読みたいな。
木内昇「漂砂のうたう」
なんというか、モダンな時代の文学作品に、現代テイストを混ぜたようなイメージのものだ。
明治維新から10年、東京・根津の遊郭で立番をしている元武士の定九郎。世は士族の反乱が相次ぎ、騒然としていた。時代の波の中で落ちぶれた我が身に諦観と割り切れぬものが相混ざった感情を抱く定九郎の周囲に様々な出来事が起こる。
2010年上半期直木賞。道尾秀介「月と蟹」との同時受賞である。木内昇(のぼり)は女性作家さん。これまで直木賞候補になったこともなく、いきなり、という感じで賞をさらった感がある。
「漂砂のうたう」は閉塞感の漂う中、普通の人間がもがく姿を描いた、純文学に近い小説だ。維新後権力を削がれた武士の苦悩ともがく姿を、べったりとした閉塞感をベースとして描き切っている。
どこか幽霊のような感じも漂う噺家のポン太、看板花魁の小野菊、妓夫太郎の龍造、噂話好き、おしゃべりの下男嘉吉、賭場の仕切り、山公など強いキャラクターの人物が出て来て飽きさせない。
また、幽玄のテイストを強める仕掛けとして、噺が効果的に使われている。時代の移り変わりも、折に触れうまく混ぜ込んである。いわゆる痛快さはないが、時代に翻弄された、ある武士の心の有様を描く表現が、次から次へと積まれて行く佳作だ。もちろん現代人へと捧げたテーマでもあるかも知れないが、改めて御一新、というのは想像できないほど劇的な変化だったのでは、と思える。
惜しむらくは、かつての小説よりも、隠喩が直接的なこと、またなぜかうまく事が回ってしまうのに説明が無いこと、、ラストだけがさわやかに出来すぎていることだろうか。
エキサイティングな類のものではなく暗いが、一気に読んでしまった。考えてみれば、反乱ものはあっても、庶民的なこの時代の武士の姿にスポットを当てたものはあるんだろうけど、新鮮で興味ある時代と題材であり、行間の雄弁さはなかなか読み応えがあった。
坂口安吾「不連続殺人事件」
面白く読み進んだ。推理小説の名作として日本では確固とした地位を築いている作品。
立て続けに起きる8件の殺人。歌川一馬家に集まった、多くのクセのある招待客のうち、真犯人は誰なのか?またそのトリックは?
坂口安吾、戦後すぐ「堕落論」を発表、太宰治、織田作之助らとともに新文学の旗手として注目された。1948年この作品を発表、第2回探偵クラブ賞、いまの日本推理作家協会賞を受賞した。
これの前に読んだ、「安吾捕物帖」が、どうももひとつ分かりづらかったのでどうかと思ったが、ずんずん進んで、あっという間に読み切った。
この作品も「捕物帖」と同じく、男女の情欲の話がたくさん出てくるし、なにせ登場人物が相変わらず多いし、会話や態度はあり得ないくらい野卑な面があり、まさに異世界の様相を呈しているのだが、傑作の名に恥じない出来だと思う。
「心理の足跡」がポイントだが、その仕掛けも、トリックとその理由もなかなか唸るものがある。
一つ二つ疑問点はあり、また現代の小説からしたら無駄もとても多いように見えるが、典型的な犯人当てミステリーで充分楽しく読めた。
雫井脩介「火の粉」
古典的なサスペンス、というのがまずもっての印象だ。解説にもあるが、まずベースとなる女性たちの描き方が上手いと思う。そして、違和感から悪意、八方塞がりの状態、どんでん返しと急展開・・。一気に読み切った。
初の雫井脩介、人に薦められた作品である。宮部みゆきのような色を感じるサスペンスである。ゆっくりと日常に時間をかけて描いている部分が印象に残った。
裁判官梶間勲は、一家3人殺害事件で逮捕、起訴された被告に無罪判決を下す。冤罪を晴らした形となったその被告人武内が、ある日梶間の隣の家に引っ越して来た。
裏表紙には、「読者の予想を裏切り続ける驚愕の犯罪小説」とあるが、少なくともこの本については、大まかな成り行きと犯人がかなり早い段階から読めるので、ラストに向かってディテールを追って読み進む感じだ。
ストーリーの最も重要な核となる証言が最初は抜け落ち後で都合良く出て来ていて、どうも捜査を意図的にずさんに描いている、とも思ってしまう部分もある。
八方塞がりの場面を淡々と、しかし巧妙に作りあげている部分など面白かったが、ちょっと色合いと先が見え過ぎてるな、という感想だ。
古関順二
「野球を歩く 日本野球の歴史探訪」
日本の野球史を振り返りつつ、ポイントとなった幾つかの球場を紹介、詳細に述べ、実際見に出かけている。
野球も歴史も好きなので、面白く読めた。私事で言えば、昔福岡に香椎花園という遊園地があって、そこへよく連れて行ってもらった。
香椎花園の隣には、草に覆われ使われていない香椎球場の、蔦に覆われた石のスタンドがあった。繋がりはないが、打ち捨てられた球場に立ち、妙に感慨が湧いてくる気がした。いまはなき平和台球場もまた思い出多く、西鉄福岡駅から、新天町を通って、西鉄グランドホテルの前を通って、裁判所の前のお堀端を歩いて、福岡城址にある球場への道を登る道のりは、ワクワクしてことさら楽しかった。数年前には球場跡地も再訪した。
知識として野球史は面白いし、上のような理由で球場跡巡りもゆかりの地探訪も好きである。著者いわく、神宮球場の描写が美しかったという、ハルキの「ねじまき鳥クロニクル」でも読んでみようかな。
12月書評の1
ふたご座流星群は、極大の日を過ぎるとすぐ収束したとか。頑張って観て良かったなあ。
さて、12月書評、ちょっと早いが、も打ち止めにする。ここまで9作品9冊。
では行きましょう。
近藤史恵
「サクリファイス」
自転車ロードレースの話。夢中で、あっという間に読み終わる。2007年刊行、本屋大賞2位も取った作品。
陸上の有名選手でありながら勝つための走りに嫌気が差した白石誓は、自転車ロードレースの選手に転身する。エースを勝たせるために犠牲になる選手の存在、自分が勝つために走るのではないこと、に誓は惹かれていた。
この設定は自然なようで不自然だ、と思うが、まあよかろう。一般に馴染みのないネタを気持ち良く俎上に載せたことは評価できるし、実際興味が湧いて、続編の「エデン」もすぐ読みたいほどだ。しかし・・悪意も極みなら、オチも正直あまりに極端な気がする。それを含みこんでのタイトルでもあるわけだが・・
あまり長くはない作品だけに余計唐突感が否めない。ただそれだけ、考えさせるということは、衝撃を与えることに成功しているからとも言える。
原田マハ
「総理の夫 First Gentleman」
なんというか、マンガですね。目のつけどころは面白いと思う。まずもって設定からそうで、何から何まで揃いすぎているかと。エンタメには欠かせない要素かもしれないが。
ただせっかく入り口は良かったのに、もう少し斬り込んで欲しかったのが正直。表層的にうまく完結しているが、どうも上滑りしている。
女性の、スーパーヒーロー誕生。なんでも出来る才媛、凛子さん。そしてスーパーお金持ちでお坊ちゃん、ハンサムなおとなしい旦那、日和さん。おっさん的には女子の願望を全て叶えている作りかと思える。悪意あり、まっすぐな情熱あり、笑いありのエンターテインメントだ。
真面目な話、現実世界でもそろそろ日本にも女性総理が生まれてもおかしくはないのだが、とも思える。イギリスなんかもうかなり前にサッチャーが出現したし。妙に大人になることが流行りの世の中で、まっすぐすぎることも逆に魅力にも映る。こうクールっぽい分析をしてもクライマックスでは、凛子さんのバランスの良さに感心し、その頑張りにウルウル来ちゃったりもしたし。
世の中そんなにうまくいくもんじゃないんだよ・・と思うよりは、真面目に、もっとこちらが意外に思えるくらいの斬り込みが、やはり見たかったかな。シングルマザーへの弱者対策は現代には必要だと思うし、逆に、専業主婦の偉大さとその想いも組み上げて欲しかった気もする。
山本兼一「火天の城」
時代もの好きの女性の友人がイチオシだった作品。直木賞作品「利休にたずねよ」の解説で宮部みゆき氏が評している通り、山本兼一は「働きもの」の作家さんで、この作品では、建築の細部にその評通りのディテールが記してある。
天下布武を目指す織田信長の命により、安土城築城の総棟梁となった岡部又右衛門以言は、息子の岡部又兵衛以俊とともに、苦難に遭いながらも天下に並ぶところのない城を築く。
城を築くということは、土地の設計、建物の配置から始まって、多くの人の差配、膨大な資材、石垣用の石、瓦の調達から、建物の設計デザイン図、届いた資材の精製、正確な木組みの設定ほか気が遠くなるほどの作事工程が必要である。それを紐解いていく物語でもある。
当の信長ほか侍の都合で振り回される棟梁たち、さらに敵対勢力からの妨害も入って築城は困難を極めるが、だからこそ出来上がったときの爽快感は大きい。工程が丁寧に描かれていため、尚更である。
しかしながらその安土城は、完成から時を置かず、信長が本能寺の変で亡くなったため、程なく焼失、幻の城となる。
山本兼一の作品は、濃密である。「利休にたずねよ」もまた別の仕掛けがあって濃いのだが、「火天の城」はスケールも壮大であり、また無常でもあり、夢を見ることができる作品だ。噂に違わぬ一作だった。
J・E・ホルロイド編
「シャーロック・ホームズ 17の愉しみ」
シャーロッキアン本ここに極まれり、という作品である。んーまあ、あまり一般向けではないかも。
ちなみに17、とは1階から、ホームズとワトスンが住んでいる2階へ昇る階段の数にかけてあるそうだ。作中に、見るだけでなく観察しなければ、と説くホームズがワトスンに、例えばいつも使っている階段は何段か知っているかね、と問う印象的な場面があるから、こう持って来たのだろう。
内容は、パスティーシュ、パロディもあるが、よく言われるホームズ作品中の日付けその他の矛盾点についての論文、ワトスンの研究、挿絵画家シドニイ・パジットの絵を用いての研究、はたまた宿敵モリアーティ教授が死亡した後の、家族の、創作された釈明文、ベイカー街221Bは正確にはどこにあったのか、など、これがほんまもんのシャーロッキアンだ!という数々のものが詰まっている。
その多くは、まだホームズものが連載もされていた、ドイルも存命中の前世紀前半、1920年代などに書かれたものだ。
なんというか、私もシャーロッキアンと自称することもあるものの、この人たちのこの作品群を見たら赤ちゃんみたいなものである。(笑)入門本では決してない、ということだけお伝えしておきます。はい。
さて、12月書評、ちょっと早いが、も打ち止めにする。ここまで9作品9冊。
では行きましょう。
近藤史恵
「サクリファイス」
自転車ロードレースの話。夢中で、あっという間に読み終わる。2007年刊行、本屋大賞2位も取った作品。
陸上の有名選手でありながら勝つための走りに嫌気が差した白石誓は、自転車ロードレースの選手に転身する。エースを勝たせるために犠牲になる選手の存在、自分が勝つために走るのではないこと、に誓は惹かれていた。
この設定は自然なようで不自然だ、と思うが、まあよかろう。一般に馴染みのないネタを気持ち良く俎上に載せたことは評価できるし、実際興味が湧いて、続編の「エデン」もすぐ読みたいほどだ。しかし・・悪意も極みなら、オチも正直あまりに極端な気がする。それを含みこんでのタイトルでもあるわけだが・・
あまり長くはない作品だけに余計唐突感が否めない。ただそれだけ、考えさせるということは、衝撃を与えることに成功しているからとも言える。
原田マハ
「総理の夫 First Gentleman」
なんというか、マンガですね。目のつけどころは面白いと思う。まずもって設定からそうで、何から何まで揃いすぎているかと。エンタメには欠かせない要素かもしれないが。
ただせっかく入り口は良かったのに、もう少し斬り込んで欲しかったのが正直。表層的にうまく完結しているが、どうも上滑りしている。
女性の、スーパーヒーロー誕生。なんでも出来る才媛、凛子さん。そしてスーパーお金持ちでお坊ちゃん、ハンサムなおとなしい旦那、日和さん。おっさん的には女子の願望を全て叶えている作りかと思える。悪意あり、まっすぐな情熱あり、笑いありのエンターテインメントだ。
真面目な話、現実世界でもそろそろ日本にも女性総理が生まれてもおかしくはないのだが、とも思える。イギリスなんかもうかなり前にサッチャーが出現したし。妙に大人になることが流行りの世の中で、まっすぐすぎることも逆に魅力にも映る。こうクールっぽい分析をしてもクライマックスでは、凛子さんのバランスの良さに感心し、その頑張りにウルウル来ちゃったりもしたし。
世の中そんなにうまくいくもんじゃないんだよ・・と思うよりは、真面目に、もっとこちらが意外に思えるくらいの斬り込みが、やはり見たかったかな。シングルマザーへの弱者対策は現代には必要だと思うし、逆に、専業主婦の偉大さとその想いも組み上げて欲しかった気もする。
山本兼一「火天の城」
時代もの好きの女性の友人がイチオシだった作品。直木賞作品「利休にたずねよ」の解説で宮部みゆき氏が評している通り、山本兼一は「働きもの」の作家さんで、この作品では、建築の細部にその評通りのディテールが記してある。
天下布武を目指す織田信長の命により、安土城築城の総棟梁となった岡部又右衛門以言は、息子の岡部又兵衛以俊とともに、苦難に遭いながらも天下に並ぶところのない城を築く。
城を築くということは、土地の設計、建物の配置から始まって、多くの人の差配、膨大な資材、石垣用の石、瓦の調達から、建物の設計デザイン図、届いた資材の精製、正確な木組みの設定ほか気が遠くなるほどの作事工程が必要である。それを紐解いていく物語でもある。
当の信長ほか侍の都合で振り回される棟梁たち、さらに敵対勢力からの妨害も入って築城は困難を極めるが、だからこそ出来上がったときの爽快感は大きい。工程が丁寧に描かれていため、尚更である。
しかしながらその安土城は、完成から時を置かず、信長が本能寺の変で亡くなったため、程なく焼失、幻の城となる。
山本兼一の作品は、濃密である。「利休にたずねよ」もまた別の仕掛けがあって濃いのだが、「火天の城」はスケールも壮大であり、また無常でもあり、夢を見ることができる作品だ。噂に違わぬ一作だった。
J・E・ホルロイド編
「シャーロック・ホームズ 17の愉しみ」
シャーロッキアン本ここに極まれり、という作品である。んーまあ、あまり一般向けではないかも。
ちなみに17、とは1階から、ホームズとワトスンが住んでいる2階へ昇る階段の数にかけてあるそうだ。作中に、見るだけでなく観察しなければ、と説くホームズがワトスンに、例えばいつも使っている階段は何段か知っているかね、と問う印象的な場面があるから、こう持って来たのだろう。
内容は、パスティーシュ、パロディもあるが、よく言われるホームズ作品中の日付けその他の矛盾点についての論文、ワトスンの研究、挿絵画家シドニイ・パジットの絵を用いての研究、はたまた宿敵モリアーティ教授が死亡した後の、家族の、創作された釈明文、ベイカー街221Bは正確にはどこにあったのか、など、これがほんまもんのシャーロッキアンだ!という数々のものが詰まっている。
その多くは、まだホームズものが連載もされていた、ドイルも存命中の前世紀前半、1920年代などに書かれたものだ。
なんというか、私もシャーロッキアンと自称することもあるものの、この人たちのこの作品群を見たら赤ちゃんみたいなものである。(笑)入門本では決してない、ということだけお伝えしておきます。はい。
2013年12月15日日曜日
メテオ
流れ星を初めて見たのは小学校の時。私の実家があった所は大きな街が近くに無かったので、それなりに星は見えていた。でも、5年生の夏、山のキャンプ場で見た星空はまったく違って、空を星が埋め尽くしているようだった。
その星々の真ん中を横切るように、尾を引いた流れ星が流れた。星のかけらを撒きながら、流れるストロークも長く、想像していた以上の綺麗さだった。以来今まで、流れ星と言えばその時の流星を思い出す。テレビなんかでよくあるように、BGMにチャララン♪なんて効果音が付くような感じだった。
大人になって流星群を気にするようになったのは最近だが、東京在住時、伊豆へ家族で旅した際、ちょうどオリオン座流星群の時期だったので、皆が寝た後外で安楽椅子に座って眺めていたら、スッ、スッと線のようにいくつか星が薄めの光で流れた。
かつて、ある芸能人が、きょうはオリオン座流星群極大らしいから、ずっとオリオン座眺めていたのに一つも見えなかった、とブロクに書いていたが、この伊豆の観測でなるほどと思った。
伊豆の宿は山の方で、オリオン座は海の方向。間に国道や打ちっ放しだろうか、の灯りがあった。しかし東京や大阪よりよほど良く星が見えた。そんな条件でも、線のような弱い光しか見えないのだから、そもそも流星群ってこんな感じで、都会の明るさでは見えないのが普通じゃないのか、私が小学生の頃見たのは「火球」という部類に入る大型のものじゃないのか、と思うようになった。
なので、あまり流星群の観測には興味が無かったのだが、13日金曜の夜はふたご座流星群の極大ということで屋上テラスでしばらく粘ってみた。って書いて気がついたが、13日の金曜日だったか。ジェイソン♪
月明かりあり、ふたご座には、明るくまたたかない木星が光っている。まあ10分くらいかなあ、そんなに見えるものじゃないし、という気分。冬の星座は狭い範囲に1等星が集まっているので綺麗だが、すばる=プレアデス星団の方向を仰ぐと、ほとんど見えない。実家でははっきり見えていたから、こりゃダメかな・・と思っていたら、突然カストルの上に流れた。
正確には、小学生の頃見たものとも、伊豆とも違い、短いストロークで、一瞬明るくなり、消えて行った。思わず「来た!」と呟いていた。紛れもなく流れ星だった。
一つ見たら欲が出るもので、もうひとつ見るまで粘る!と思ったものの、その後30分近く見ていても、全く流れなかった。(笑)さすがに、寒さに負けて中に入った。
ふたご座は、五角形のぎょしゃ座の下にある。縦に双子の星、カストルとポルックスが並んでいて、下のポルックスの方が明るい。実家では、カペラを中心としたぎょしゃ座の力強さ、そしてふたご座の優しいフォルムには圧倒されたものだが、やはりこちらでは明るさも迫力も足りないような気がする。まあこんなもんだろな、でも見れたからよかった、と思い風呂に入った。
風呂上がり、どこか諦めきれず、日付が変わる頃が極大だと思い、また屋上に出た。もうふたご座は天空高く昇っている。山近くだけに空が広く、星に手を伸ばしたくなる。木星はまたたかず、平べったい光を放っている。放射点が高い方が、良く見えるという話だ。
まあそんなに見れないわなーと軽く眺めていたら、ふたご座の東方向、北斗七星の方で、スッと、明るめの、ストロークが長いものが流れた。おお!と思ったらすぐ、今度は西方向、お隣のオリオン座の方に、流れた。こりゃ運がいい、とちょっと興奮してきたところで、少し後に、ふたご座の真ん中あたりで、最初に見た感じの、ストロークが短いものが横に流れた。
それから風呂上がりであることもしばし忘れて、20分以上見入ってしまった。視界の端では2つ3つ流れ、中には明るいものもあった。オリオン座方向に多いようだ。さすがに冷え切るとまずいな、最後の一つ、と、思い出してしばらく、オリオンとふたご座の中間当たりを見ていると、ちょうど視界の中央に、すうっと、長めのストロークのものが斜めによぎったので、そこで切り上げた。
流れ星は、音が無い。スッと流れて、光って、消える。願いごとを3回唱えるなど、とても無理だ。でもその静けさが、一瞬の煌めきが、記憶に残る。
ふたご座流星群は、年頭のじぶんぎ座、夏のペルセウス座と並び三大流星群と言われ、毎年流れる数が多い良質の流星群のようだが、本格的に観測していた人には、かなり満足度の高い夜だったのではないか。
これからはもっと流星群見てみよう、と思った13日金曜日の夜だった。
翌土曜日は、息子とママお出掛けでワンコとお留守番。もうママいないと、ソファで2頭のダックスとくっついてないとすぐ不安げな行動を取るのでどっかりと、読書の時間にした。夜は近くの新しい店で焼き肉。もうふたつ、だった。夜は雲が広がってしまい、流星群観測はまた来年かな、と思い、寝る。
日曜日は酷寒の中、外仕事。家に帰って、溶けた。さて、年も押し迫って来た。次週は、いよいよ!
その星々の真ん中を横切るように、尾を引いた流れ星が流れた。星のかけらを撒きながら、流れるストロークも長く、想像していた以上の綺麗さだった。以来今まで、流れ星と言えばその時の流星を思い出す。テレビなんかでよくあるように、BGMにチャララン♪なんて効果音が付くような感じだった。
大人になって流星群を気にするようになったのは最近だが、東京在住時、伊豆へ家族で旅した際、ちょうどオリオン座流星群の時期だったので、皆が寝た後外で安楽椅子に座って眺めていたら、スッ、スッと線のようにいくつか星が薄めの光で流れた。
かつて、ある芸能人が、きょうはオリオン座流星群極大らしいから、ずっとオリオン座眺めていたのに一つも見えなかった、とブロクに書いていたが、この伊豆の観測でなるほどと思った。
伊豆の宿は山の方で、オリオン座は海の方向。間に国道や打ちっ放しだろうか、の灯りがあった。しかし東京や大阪よりよほど良く星が見えた。そんな条件でも、線のような弱い光しか見えないのだから、そもそも流星群ってこんな感じで、都会の明るさでは見えないのが普通じゃないのか、私が小学生の頃見たのは「火球」という部類に入る大型のものじゃないのか、と思うようになった。
なので、あまり流星群の観測には興味が無かったのだが、13日金曜の夜はふたご座流星群の極大ということで屋上テラスでしばらく粘ってみた。って書いて気がついたが、13日の金曜日だったか。ジェイソン♪
月明かりあり、ふたご座には、明るくまたたかない木星が光っている。まあ10分くらいかなあ、そんなに見えるものじゃないし、という気分。冬の星座は狭い範囲に1等星が集まっているので綺麗だが、すばる=プレアデス星団の方向を仰ぐと、ほとんど見えない。実家でははっきり見えていたから、こりゃダメかな・・と思っていたら、突然カストルの上に流れた。
正確には、小学生の頃見たものとも、伊豆とも違い、短いストロークで、一瞬明るくなり、消えて行った。思わず「来た!」と呟いていた。紛れもなく流れ星だった。
一つ見たら欲が出るもので、もうひとつ見るまで粘る!と思ったものの、その後30分近く見ていても、全く流れなかった。(笑)さすがに、寒さに負けて中に入った。
ふたご座は、五角形のぎょしゃ座の下にある。縦に双子の星、カストルとポルックスが並んでいて、下のポルックスの方が明るい。実家では、カペラを中心としたぎょしゃ座の力強さ、そしてふたご座の優しいフォルムには圧倒されたものだが、やはりこちらでは明るさも迫力も足りないような気がする。まあこんなもんだろな、でも見れたからよかった、と思い風呂に入った。
風呂上がり、どこか諦めきれず、日付が変わる頃が極大だと思い、また屋上に出た。もうふたご座は天空高く昇っている。山近くだけに空が広く、星に手を伸ばしたくなる。木星はまたたかず、平べったい光を放っている。放射点が高い方が、良く見えるという話だ。
まあそんなに見れないわなーと軽く眺めていたら、ふたご座の東方向、北斗七星の方で、スッと、明るめの、ストロークが長いものが流れた。おお!と思ったらすぐ、今度は西方向、お隣のオリオン座の方に、流れた。こりゃ運がいい、とちょっと興奮してきたところで、少し後に、ふたご座の真ん中あたりで、最初に見た感じの、ストロークが短いものが横に流れた。
それから風呂上がりであることもしばし忘れて、20分以上見入ってしまった。視界の端では2つ3つ流れ、中には明るいものもあった。オリオン座方向に多いようだ。さすがに冷え切るとまずいな、最後の一つ、と、思い出してしばらく、オリオンとふたご座の中間当たりを見ていると、ちょうど視界の中央に、すうっと、長めのストロークのものが斜めによぎったので、そこで切り上げた。
流れ星は、音が無い。スッと流れて、光って、消える。願いごとを3回唱えるなど、とても無理だ。でもその静けさが、一瞬の煌めきが、記憶に残る。
ふたご座流星群は、年頭のじぶんぎ座、夏のペルセウス座と並び三大流星群と言われ、毎年流れる数が多い良質の流星群のようだが、本格的に観測していた人には、かなり満足度の高い夜だったのではないか。
これからはもっと流星群見てみよう、と思った13日金曜日の夜だった。
翌土曜日は、息子とママお出掛けでワンコとお留守番。もうママいないと、ソファで2頭のダックスとくっついてないとすぐ不安げな行動を取るのでどっかりと、読書の時間にした。夜は近くの新しい店で焼き肉。もうふたつ、だった。夜は雲が広がってしまい、流星群観測はまた来年かな、と思い、寝る。
日曜日は酷寒の中、外仕事。家に帰って、溶けた。さて、年も押し迫って来た。次週は、いよいよ!
2013年12月9日月曜日
決定
金曜も休みでゆっくり3連休。歳末はいつも、靴の修理とクリーニング。きょうも夕方に1個靴を持って行って、預けていたシャツを引き取ってきた。
日中は、妻が外出したので、ワンコたちとのんびり、本を読んでいた。我が家の金曜夜はなかなかTV多忙で、6時半からレゴチーマのアニメ、7時からドラえもんSP、8時からフィギュアスケートのグランプリファイナル、9時から金曜ロードショーのルパン3世対名探偵コナン。ここまで息子は起きていて、見終わった後寝かしつける。そしてパパは0時からワールドカップの抽選会。
半分眠りながら見ていたが、ついに決まった。コートジボワール、ギリシャ、コロンビア。私も世界のサッカー情勢に詳しいわけではないが、なかなか特徴のある組み合わせだと思う。
一つは、いわゆる「超強豪」と言われるチームが無い、ということ。コロンビアは現在世界ランキング4位らしいが、それでも超強豪、というにはちょっと遠い。日本は、1998年フランスではアルゼンチン、2006年のドイツではブラジル、先の2010年南アフリカではオランダというそうそうたるチームと同居し、いずれも負けてきた。超強豪がいないといえば2002年の日韓と同じと言える。懸念された死のグループでもなし、パッと見て地味な対戦国で、楽観的にもなれそうに見える。少なくともラッキーなことには変わりがない。
もう一つ、2010年、さらにこれまでと比べ、日本の立ち位置がやや変わったこと。南アフリカでは、はっきり言って、同居チームからも最下位だと見なされていた。2006年のドイツであっさり敗退したこともあり、カメルーンもデンマークも、オランダにはちょっと勝てないだろうけど、日本にはきっちり勝って、両国で2位の座を争うものと思っていたはずだ。デンマークなど最終戦の段階でもまだ余裕のコメントをしていたし、これまでは相手国がナメてくれていた。どこか余裕のプレーをしていて、相手には身体を張っている雰囲気が感じられなかった。初出場のフランスはもとより、日韓でもベルギーの監督は日本に同点に追いつかれてビックリした、と正直に言っていたが、これまではその程度の扱いが続いていたということだろう。
しかし、南アフリカで困難なグループリーグを突破し、その後香川、長友がビッグクラブに移籍し、本田のミラン入りも決まったこと、などから対戦国の態度が変わり始めているのも確かだ。
初戦のコートジボワールは、南アフリカではグループリーグ敗退だったが、忘れてはいけないのが、大会前の練習試合で日本はまるで歯が立たなかったこと。グループリーグ敗退とはいえ、コートジボワールはブラジル、ポルトガルと同居のグループだった。当時攻めたい攻撃陣と、守りたい守備陣の間で対立があった日本は、コートジボワールとの試合を境に守備的な戦術を取ることにチームとして納得したという。
ギリシャは、確かかつての対戦では日本は勝っている。ヨーロッパには珍しい、徹底的な守備戦術でヨーロッパ選手権を制したこともある。ヨーロッパでは相対的に強いとは言えないだろうが、一筋縄ではいかない相手だ。
そしてコロンビアは、かつて国際大会でも、日本は見事に逃げ切り負けをされたこともある、したたかなチーム。相手に攻めさせておいて弱点を探り、勝負どころを逃がさないイメージがある。ここ数年タレントが育ち、監督が知将ペケルマンになって変わったようだ。
超強豪がいないことで、すべてのチームがグループ突破の可能性を最後まで信じて、身体を張って戦ってくるだろう。日本の実力もそれなりに評価され、力の拮抗している、油断できない国ばかり、という風にほかの3ヶ国も思っている。今度は日本をナメてくれない。超強豪がいないこたは反作用する。
確かに悪い組み合わせではない。勝てる、というムードに浮かれて足元をすくわれたドイツワールドカップの経験も我々は持っている。超強豪ではないが、いずれ弱くなどない国が集まったグループ。そこに前述の要素が加わる。とても楽な戦いではない。
個人的には、初戦のコートジボワール戦を心配している。前回初戦のカメルーンは、意外に身体能力の差が目立たず、またル・グエン監督のもと、一枚岩であったとは言い難かった。過去の経験から言えば、コートジボワールは日本がガツンと当たりに行っても、ビクともしないイメージだ。
ワールドカップは様々なことが作用する。環境面を整えるのに、ザックはジーコほど意固地ではないようだが、初めて体験する長期キャンプ的な、ナショナルチームによる世界最高峰の権威ある戦いに、どう手腕を発揮するか。また勝負においては監督の格、というのもある。そこはザックの場合はある意味賭けみたいなものだ。あと半年、3月まで代表戦は無いが、山ほどやることは有るだろう。報道の具合を観察するのも楽しみだ。
土曜日は午前は出掛けて、午後は息子がプールでパパはワンコとお留守番。Jリーグを見ていた。首位横浜FMは点が取れず優勝を逃がす。うずくまってなかなか立ち上がれない中村俊輔の姿に、ちょっと同情した。
日曜日はルパン三世対名探偵コナンの映画。大人のカップルの姿も目立ち、満席だった。ちょっと今回、ストーリーが見えづらいところがあったが、やっぱり面白い。晩ご飯焼肉を食べに行って、家では子供の科学マンガ「宇宙のサバイバル」を読み込んだ。ゆっくり休んだし、子供とも遊んだし、年内のお仕事も残りわずか。頑張ろうかね。
日中は、妻が外出したので、ワンコたちとのんびり、本を読んでいた。我が家の金曜夜はなかなかTV多忙で、6時半からレゴチーマのアニメ、7時からドラえもんSP、8時からフィギュアスケートのグランプリファイナル、9時から金曜ロードショーのルパン3世対名探偵コナン。ここまで息子は起きていて、見終わった後寝かしつける。そしてパパは0時からワールドカップの抽選会。
半分眠りながら見ていたが、ついに決まった。コートジボワール、ギリシャ、コロンビア。私も世界のサッカー情勢に詳しいわけではないが、なかなか特徴のある組み合わせだと思う。
一つは、いわゆる「超強豪」と言われるチームが無い、ということ。コロンビアは現在世界ランキング4位らしいが、それでも超強豪、というにはちょっと遠い。日本は、1998年フランスではアルゼンチン、2006年のドイツではブラジル、先の2010年南アフリカではオランダというそうそうたるチームと同居し、いずれも負けてきた。超強豪がいないといえば2002年の日韓と同じと言える。懸念された死のグループでもなし、パッと見て地味な対戦国で、楽観的にもなれそうに見える。少なくともラッキーなことには変わりがない。
もう一つ、2010年、さらにこれまでと比べ、日本の立ち位置がやや変わったこと。南アフリカでは、はっきり言って、同居チームからも最下位だと見なされていた。2006年のドイツであっさり敗退したこともあり、カメルーンもデンマークも、オランダにはちょっと勝てないだろうけど、日本にはきっちり勝って、両国で2位の座を争うものと思っていたはずだ。デンマークなど最終戦の段階でもまだ余裕のコメントをしていたし、これまでは相手国がナメてくれていた。どこか余裕のプレーをしていて、相手には身体を張っている雰囲気が感じられなかった。初出場のフランスはもとより、日韓でもベルギーの監督は日本に同点に追いつかれてビックリした、と正直に言っていたが、これまではその程度の扱いが続いていたということだろう。
しかし、南アフリカで困難なグループリーグを突破し、その後香川、長友がビッグクラブに移籍し、本田のミラン入りも決まったこと、などから対戦国の態度が変わり始めているのも確かだ。
初戦のコートジボワールは、南アフリカではグループリーグ敗退だったが、忘れてはいけないのが、大会前の練習試合で日本はまるで歯が立たなかったこと。グループリーグ敗退とはいえ、コートジボワールはブラジル、ポルトガルと同居のグループだった。当時攻めたい攻撃陣と、守りたい守備陣の間で対立があった日本は、コートジボワールとの試合を境に守備的な戦術を取ることにチームとして納得したという。
ギリシャは、確かかつての対戦では日本は勝っている。ヨーロッパには珍しい、徹底的な守備戦術でヨーロッパ選手権を制したこともある。ヨーロッパでは相対的に強いとは言えないだろうが、一筋縄ではいかない相手だ。
そしてコロンビアは、かつて国際大会でも、日本は見事に逃げ切り負けをされたこともある、したたかなチーム。相手に攻めさせておいて弱点を探り、勝負どころを逃がさないイメージがある。ここ数年タレントが育ち、監督が知将ペケルマンになって変わったようだ。
超強豪がいないことで、すべてのチームがグループ突破の可能性を最後まで信じて、身体を張って戦ってくるだろう。日本の実力もそれなりに評価され、力の拮抗している、油断できない国ばかり、という風にほかの3ヶ国も思っている。今度は日本をナメてくれない。超強豪がいないこたは反作用する。
確かに悪い組み合わせではない。勝てる、というムードに浮かれて足元をすくわれたドイツワールドカップの経験も我々は持っている。超強豪ではないが、いずれ弱くなどない国が集まったグループ。そこに前述の要素が加わる。とても楽な戦いではない。
個人的には、初戦のコートジボワール戦を心配している。前回初戦のカメルーンは、意外に身体能力の差が目立たず、またル・グエン監督のもと、一枚岩であったとは言い難かった。過去の経験から言えば、コートジボワールは日本がガツンと当たりに行っても、ビクともしないイメージだ。
ワールドカップは様々なことが作用する。環境面を整えるのに、ザックはジーコほど意固地ではないようだが、初めて体験する長期キャンプ的な、ナショナルチームによる世界最高峰の権威ある戦いに、どう手腕を発揮するか。また勝負においては監督の格、というのもある。そこはザックの場合はある意味賭けみたいなものだ。あと半年、3月まで代表戦は無いが、山ほどやることは有るだろう。報道の具合を観察するのも楽しみだ。
土曜日は午前は出掛けて、午後は息子がプールでパパはワンコとお留守番。Jリーグを見ていた。首位横浜FMは点が取れず優勝を逃がす。うずくまってなかなか立ち上がれない中村俊輔の姿に、ちょっと同情した。
日曜日はルパン三世対名探偵コナンの映画。大人のカップルの姿も目立ち、満席だった。ちょっと今回、ストーリーが見えづらいところがあったが、やっぱり面白い。晩ご飯焼肉を食べに行って、家では子供の科学マンガ「宇宙のサバイバル」を読み込んだ。ゆっくり休んだし、子供とも遊んだし、年内のお仕事も残りわずか。頑張ろうかね。
2013年12月1日日曜日
晩秋
晩秋と聞いて思い出すのはやはり紅葉か。我が六甲山系もいい色に染まって、朝からハイキング客が多い。かつてはよく有馬の瑞宝寺公園に行ったものだし、東京の時は、有名な青山のいちょう並木を観に行った。六本木のイルミネーションも綺麗だった。そういえばさだまさしに「晩鐘」という歌があったなあ。
私が乗り降りするバス停はいつも人が多く、ふだんめったに降車ボタンは自分で押さないのであるが、先日はたまたま降りる人がいなくて、つい一つ乗り過ごしてしまった。慌てて次下車したが、より山に登ったところだから、降り立った夜のバス停の寂しいことったらなかった。幸いここなら家からさほど遠くなく、また犬の散歩で近くに来たこともあったから、道も分かって存外早く帰れたが、空気が冷たく、意外なところで晩秋を味わったりした。んーというか、もう冬だろうか。
さて、またブックオフに行って本選び。ブックオフには、通常値引き、つまり250円〜500円くらいの本と、105円コーナーがある。店によって差があるもので、擦り切れた本にこの状態で通常値引き?と思うこともあれば、こんなきれいなのに105円?と思うこともある。
今回の店はよく分かっていて品数も多く、最初通常値引きで手に取った本と同じものが、保存状態も悪くなく105円コーナーにもあったので、取り替えつついい買い物が出来た。
山本兼一「火天の城」
貴志祐介「火の粉」
近藤史恵「サクリファイス」
坂口安吾「不連続殺人事件」
の4つ。その他にも興味ある作品はあったが、まあこんなところで、だった。文芸もさすがに3年やっててお知らせもしているせいか、年末の総合ランキングへの期待の声をいただく。うーん、今年は難しいかな。3年間のベストも出したら、とも言われているので余計混迷するかも。
ジブリの「かぐや姫」。古典の原作にある程度忠実に作っているので興味深くはあるが、どうもよろしくなかった。子供向けのかぐや姫はだいぶ端折っているもので、かぐやは、自分に求婚する男たちに、この世にはあり得ない宝を持ってきて、と無理難題をふっかけるのだが、ここは普通カットされている。
その辺が入っているのははまあ、だったが、ちょっとあまりにまっすぐ創りすぎてて、面白くも深くもない。別のテーマを持たせているために、クライマックスであるはずの月に帰るくだりも唐突で神秘性もなにも薄まりすぎている。どうした!これで上梓したの?という感じであった。
土曜日、朝に息子が「ポケモンセンターに行きたい」と言ったので、じゃあ、朝ごはんと用意を済ませて、あの時間のバスに乗ろうかな、と算段したところで、胃にシクシクとした痛みが来た。
これはちょっとやめておいた方が、と息子に謝って、寝込む。特に午前中は、断続的になかなかな痛みがやってくる。胃液は酸なので、その分泌具合が悪いのか、もしくは寄生虫かと訝しんだ。そのうちに寒気もしてきて、多分疲労性の風邪かいな、と部屋を暖めて寝ていた。
なにも食べずでも腹は減らなかったが、夕夜少しづつご飯を食べて様子を見る。幸い夕方以降は強い痛みは無くなった。しかし妻にお風呂禁止令を頂き、風邪薬を飲んで、息子にうつすわけにはいかないと独り寝。去年も同じ時期に寝込んだなと思い返す。
翌日曜日もご飯以外はベッドで過ごす。だいぶマシにはなってきたがまだ違和感あり、時々痛んだりする。
寒気はなくなった。息子を退屈させて悪かったが、不調は土日で治すのが常。状態的にももう寝ている感じでもないし、早寝して、明日に備えよう。
私が乗り降りするバス停はいつも人が多く、ふだんめったに降車ボタンは自分で押さないのであるが、先日はたまたま降りる人がいなくて、つい一つ乗り過ごしてしまった。慌てて次下車したが、より山に登ったところだから、降り立った夜のバス停の寂しいことったらなかった。幸いここなら家からさほど遠くなく、また犬の散歩で近くに来たこともあったから、道も分かって存外早く帰れたが、空気が冷たく、意外なところで晩秋を味わったりした。んーというか、もう冬だろうか。
さて、またブックオフに行って本選び。ブックオフには、通常値引き、つまり250円〜500円くらいの本と、105円コーナーがある。店によって差があるもので、擦り切れた本にこの状態で通常値引き?と思うこともあれば、こんなきれいなのに105円?と思うこともある。
今回の店はよく分かっていて品数も多く、最初通常値引きで手に取った本と同じものが、保存状態も悪くなく105円コーナーにもあったので、取り替えつついい買い物が出来た。
山本兼一「火天の城」
貴志祐介「火の粉」
近藤史恵「サクリファイス」
坂口安吾「不連続殺人事件」
の4つ。その他にも興味ある作品はあったが、まあこんなところで、だった。文芸もさすがに3年やっててお知らせもしているせいか、年末の総合ランキングへの期待の声をいただく。うーん、今年は難しいかな。3年間のベストも出したら、とも言われているので余計混迷するかも。
ジブリの「かぐや姫」。古典の原作にある程度忠実に作っているので興味深くはあるが、どうもよろしくなかった。子供向けのかぐや姫はだいぶ端折っているもので、かぐやは、自分に求婚する男たちに、この世にはあり得ない宝を持ってきて、と無理難題をふっかけるのだが、ここは普通カットされている。
その辺が入っているのははまあ、だったが、ちょっとあまりにまっすぐ創りすぎてて、面白くも深くもない。別のテーマを持たせているために、クライマックスであるはずの月に帰るくだりも唐突で神秘性もなにも薄まりすぎている。どうした!これで上梓したの?という感じであった。
土曜日、朝に息子が「ポケモンセンターに行きたい」と言ったので、じゃあ、朝ごはんと用意を済ませて、あの時間のバスに乗ろうかな、と算段したところで、胃にシクシクとした痛みが来た。
これはちょっとやめておいた方が、と息子に謝って、寝込む。特に午前中は、断続的になかなかな痛みがやってくる。胃液は酸なので、その分泌具合が悪いのか、もしくは寄生虫かと訝しんだ。そのうちに寒気もしてきて、多分疲労性の風邪かいな、と部屋を暖めて寝ていた。
なにも食べずでも腹は減らなかったが、夕夜少しづつご飯を食べて様子を見る。幸い夕方以降は強い痛みは無くなった。しかし妻にお風呂禁止令を頂き、風邪薬を飲んで、息子にうつすわけにはいかないと独り寝。去年も同じ時期に寝込んだなと思い返す。
翌日曜日もご飯以外はベッドで過ごす。だいぶマシにはなってきたがまだ違和感あり、時々痛んだりする。
寒気はなくなった。息子を退屈させて悪かったが、不調は土日で治すのが常。状態的にももう寝ている感じでもないし、早寝して、明日に備えよう。
11月書評
6作品8冊。今年これまでのペースでいくと11月は極端に少ない。言い訳には何の意味もないが、最初の作品があまりに進まず読了までに10日以上を要し、さらに多忙のため読めない日が10日間ほどあった。ようは残る10日足らずで5作品6冊を読んだことになる。
まあしょうがねえな〜。龍にはちょっと、恨み節。ではスリーツーワン、スタート!
村上龍「歌うクジラ」(2)
難解で、しかも興味のある難解さでは無かった。読み進めるのに難儀し、昨今では最長の10日以上かかってようやく読了した。
期待して映画を観て、外された気分、というのが最も近いだろう。やたらと小難しい理屈が出て来るのもマイナス点。まったく実感として受け入れられない。物語の流れもサッパリだ。大きな曖昧な構想があるだけで、意外に、本当になにも考えられていない小説なのでは、と思った。
初めての村上龍はさんざんだった。まったく面白くなかった。これは読んだ人にしか分からないジョークだが、しばらく助詞の使い方がおかしくなってしまった。
乾ルカ「あの日にかえりたい」
見込み通り、傑作だったと思う。2010年の作品で、 直木賞候補作。webでそのことを知った時に、根拠はないが、ピンと来るものがあって、ずっと読みたかった。
表題作を含む短編集で、乾ルカ定番の、非日常の世界。北海道の気候風土もさりげなく取り入れて、全作品「あの日」をテーマに、書き上げられている。
以前にも書いたが、最初に読んだ「蜜姫村」がグロテスクホラーっぽい作品でがっかりし、次に「メグル」で、おそらくこれが乾ルカの良さなのだろうと少し思った。
そしてこの「あの日にかえりたい」で、全開とは言わないまでも、パワーある特徴を受け取った気がしている。考えてみれば、かえりたい「あの日」というのは誰にでもあり、かつ創作も様々なパターンが考えられるテーマだ。根元的にして、目の付けどころの良さ、感覚的にくすぐる部分も好みである。
もちろん、話の進み方は、先が読めちゃったりして、どこかしら拙いものが見え隠れするのだが、「色」はちゃんとあり、じんわりと読者の読みゴコロに響きしみこむ感じがする。
まさにこれから、の作家さん。もうしばらく楽しめそうだ。自分らしく、でも新境地に踏み込んだ、大作を読みたいな。
海堂尊
「チーム・バチスタの栄光」
次、次と読み進んだが、意外に単純な結末。捜査手法もさほど鮮やかには見えない。医療や大学病院の専門的な知識、現代手術の詳しい描写が入っているからこその話かと思える。
2005年の、このミス大賞。医療エンタメロジカルミステリーである。タイトルの不可解さも相まって、一時期大変もてはやされたベストセラーだ。
書いたのは、現役のお医者さんだ。解説には、一時期この作品の書評が出ない日は無かった、という意味のことが書いてある。それはそれですごい。
キャラ的には、主人公の田口を含め愛せる人物像を生み出しているのは確かだが、探偵役とストーリーが出来すぎているのも予定調和。もうひとつ収まりが悪かった。
葉室麟「蜩ノ記」
武士とは、認めらるべき姿とは。時代もののひとつの極と言える作品かと思う。
藩主の側室と密通したとして幽閉された、有能有志の武士・戸田秋谷。彼には、切腹まで10年の時間が与えられ、その間に家譜編纂の命が与えられていた。
時代ものといえば、江戸人情かエンタメ系でなければ、大体藩に御家騒動などがあって、それを軸に位の低い者や領民が振り回される、という図式がある。また、究極のサラリーマン社会である藩の内政の中で、不条理な命令に悩む主人公、というのもひとつの図式。そして、時代ものは、現代と違い、有形無形のしがらみのために、出来ないことが多いから、ドラマも生まれやすい、という土壌も併せ持つ。
2012年に直木賞を受賞したこの作品は、戸田秋谷という、有能な人格者を中心に進む。彼は光ある道をまっすぐ進める人で、人望を集め、彼の前では、悪はその影の濃さを増す、というキャラクターである。
この秋谷は、有能ゆえに政治の犠牲となるのだが、その因縁や、領民のある種リアリティある性質、彼を取り巻く、やや善悪がはっきりし過ぎている人々とストーリー展開の後、最後は大団円を迎える。
うーむ、さまざまな要素が相まって濃厚な物語にはなっているが、やはりはっきりしすぎているきらいがあると思う。ストーリー建ては勧善懲悪っぽいが、しかしそれを感じさせない噛み合い方で、考え抜かれた深さをも感じることができるのもまた確か。まあまず、だった。俗っぽさと清廉さはよい鏡ではあるが、きれいすぎる秋谷はちと完成度が高く、共感できるかは難しいところだ。
綾辻行人「奇面館の殺人」
これだよね、という感覚。「館」シリーズの第9作。今回も、とても読み応えがあった。ミステリ好きを揺らして、早めにひっくり返して、迷わせて、全ての要素を組み合わせて一気に理詰めで解決する。もはや現代推理小説家の雄、綾辻の本懐がここにあるのではないか。
「十角館の殺人」で鮮烈なデビューを果たし、早いうちから新本格派の旗手とされた綾辻行人は、20年以上の時を経て、未だ輝いている。
新本格派、つまり、舞台が大きな屋敷で、人が集まって殺人が起きて、連絡及び脱出が不可能な状況となり、探偵役が犯人を追い詰める。そこにはおどろおどろしい雰囲気だったり、ミステリ好きが喜びそうな仕掛けを潜ませる。
そして、犯行は、揺るぐことのない動機を持って成され、そのトリックにものっぴきならない事情が存在する。それが本格推理と呼ばれるものだ。私の中にも、この方式がミステリの基準になっているところがあり、ミステリを読む時にひとつの基準を構えてしまう。
資産家影山透一が、奇才中村青司に依頼して建てたという、東京都の外れにある奇面館。現在の主から、6人の男性に案内状が届く。奇態な仮面が数あるこの館で一晩過ごした参加者には200万を差し上げる、という。作家探偵鹿谷門実は、ひょんなことからこの集まりに参加することになる。そして、屋敷の主人が惨殺された姿で見つかった!
まあ、過去作品も、酔狂な集まりに強い動機は無かったように思えるが、今回は種明かしの肝心の部分が、必然性という意味で弱かったかなと。犯人当てのきっかけも、些細すぎるかな、と思った。
館シリーズもあと一つで打ち止めだとか。続けて欲しいなあ。
坂口安吾「明治開花 安吾捕物帖」
明治維新後しばらくの世相、風俗をよく描いている。事件も禍々しく、舞台設定にしても、どこか現代の新本格派を思わせる。
謎の操作に当たるのは洋行帰りの紳士探偵、結城新十郎。そして、取り巻きの剣術使い、泉山虎之介が、事件のことを伺いに行くのが赤坂氷川に住んでいる勝海舟である。
勝海舟と結城新十郎には接点は無く、事件について、両方が推理を披露する、というある意味贅沢な、ある意味混乱しがちな構成となっている。
昭和25年から27年に連載された物語ということだが、出てくる人が多すぎて、間を空けて読むと分からなくなる。それまでに説明の無かった者が突然出て来たりするし、新十郎の解決は、にわかに納得できかねるものある。
まあ、この作品を、安吾について、私にとっての鏑矢として、日本推理小説史上の傑作と謳われる「不連続殺人事件」を読んでみよう。
まあしょうがねえな〜。龍にはちょっと、恨み節。ではスリーツーワン、スタート!
村上龍「歌うクジラ」(2)
難解で、しかも興味のある難解さでは無かった。読み進めるのに難儀し、昨今では最長の10日以上かかってようやく読了した。
期待して映画を観て、外された気分、というのが最も近いだろう。やたらと小難しい理屈が出て来るのもマイナス点。まったく実感として受け入れられない。物語の流れもサッパリだ。大きな曖昧な構想があるだけで、意外に、本当になにも考えられていない小説なのでは、と思った。
初めての村上龍はさんざんだった。まったく面白くなかった。これは読んだ人にしか分からないジョークだが、しばらく助詞の使い方がおかしくなってしまった。
乾ルカ「あの日にかえりたい」
見込み通り、傑作だったと思う。2010年の作品で、 直木賞候補作。webでそのことを知った時に、根拠はないが、ピンと来るものがあって、ずっと読みたかった。
表題作を含む短編集で、乾ルカ定番の、非日常の世界。北海道の気候風土もさりげなく取り入れて、全作品「あの日」をテーマに、書き上げられている。
以前にも書いたが、最初に読んだ「蜜姫村」がグロテスクホラーっぽい作品でがっかりし、次に「メグル」で、おそらくこれが乾ルカの良さなのだろうと少し思った。
そしてこの「あの日にかえりたい」で、全開とは言わないまでも、パワーある特徴を受け取った気がしている。考えてみれば、かえりたい「あの日」というのは誰にでもあり、かつ創作も様々なパターンが考えられるテーマだ。根元的にして、目の付けどころの良さ、感覚的にくすぐる部分も好みである。
もちろん、話の進み方は、先が読めちゃったりして、どこかしら拙いものが見え隠れするのだが、「色」はちゃんとあり、じんわりと読者の読みゴコロに響きしみこむ感じがする。
まさにこれから、の作家さん。もうしばらく楽しめそうだ。自分らしく、でも新境地に踏み込んだ、大作を読みたいな。
海堂尊
「チーム・バチスタの栄光」
次、次と読み進んだが、意外に単純な結末。捜査手法もさほど鮮やかには見えない。医療や大学病院の専門的な知識、現代手術の詳しい描写が入っているからこその話かと思える。
2005年の、このミス大賞。医療エンタメロジカルミステリーである。タイトルの不可解さも相まって、一時期大変もてはやされたベストセラーだ。
書いたのは、現役のお医者さんだ。解説には、一時期この作品の書評が出ない日は無かった、という意味のことが書いてある。それはそれですごい。
キャラ的には、主人公の田口を含め愛せる人物像を生み出しているのは確かだが、探偵役とストーリーが出来すぎているのも予定調和。もうひとつ収まりが悪かった。
葉室麟「蜩ノ記」
武士とは、認めらるべき姿とは。時代もののひとつの極と言える作品かと思う。
藩主の側室と密通したとして幽閉された、有能有志の武士・戸田秋谷。彼には、切腹まで10年の時間が与えられ、その間に家譜編纂の命が与えられていた。
時代ものといえば、江戸人情かエンタメ系でなければ、大体藩に御家騒動などがあって、それを軸に位の低い者や領民が振り回される、という図式がある。また、究極のサラリーマン社会である藩の内政の中で、不条理な命令に悩む主人公、というのもひとつの図式。そして、時代ものは、現代と違い、有形無形のしがらみのために、出来ないことが多いから、ドラマも生まれやすい、という土壌も併せ持つ。
2012年に直木賞を受賞したこの作品は、戸田秋谷という、有能な人格者を中心に進む。彼は光ある道をまっすぐ進める人で、人望を集め、彼の前では、悪はその影の濃さを増す、というキャラクターである。
この秋谷は、有能ゆえに政治の犠牲となるのだが、その因縁や、領民のある種リアリティある性質、彼を取り巻く、やや善悪がはっきりし過ぎている人々とストーリー展開の後、最後は大団円を迎える。
うーむ、さまざまな要素が相まって濃厚な物語にはなっているが、やはりはっきりしすぎているきらいがあると思う。ストーリー建ては勧善懲悪っぽいが、しかしそれを感じさせない噛み合い方で、考え抜かれた深さをも感じることができるのもまた確か。まあまず、だった。俗っぽさと清廉さはよい鏡ではあるが、きれいすぎる秋谷はちと完成度が高く、共感できるかは難しいところだ。
綾辻行人「奇面館の殺人」
これだよね、という感覚。「館」シリーズの第9作。今回も、とても読み応えがあった。ミステリ好きを揺らして、早めにひっくり返して、迷わせて、全ての要素を組み合わせて一気に理詰めで解決する。もはや現代推理小説家の雄、綾辻の本懐がここにあるのではないか。
「十角館の殺人」で鮮烈なデビューを果たし、早いうちから新本格派の旗手とされた綾辻行人は、20年以上の時を経て、未だ輝いている。
新本格派、つまり、舞台が大きな屋敷で、人が集まって殺人が起きて、連絡及び脱出が不可能な状況となり、探偵役が犯人を追い詰める。そこにはおどろおどろしい雰囲気だったり、ミステリ好きが喜びそうな仕掛けを潜ませる。
そして、犯行は、揺るぐことのない動機を持って成され、そのトリックにものっぴきならない事情が存在する。それが本格推理と呼ばれるものだ。私の中にも、この方式がミステリの基準になっているところがあり、ミステリを読む時にひとつの基準を構えてしまう。
資産家影山透一が、奇才中村青司に依頼して建てたという、東京都の外れにある奇面館。現在の主から、6人の男性に案内状が届く。奇態な仮面が数あるこの館で一晩過ごした参加者には200万を差し上げる、という。作家探偵鹿谷門実は、ひょんなことからこの集まりに参加することになる。そして、屋敷の主人が惨殺された姿で見つかった!
まあ、過去作品も、酔狂な集まりに強い動機は無かったように思えるが、今回は種明かしの肝心の部分が、必然性という意味で弱かったかなと。犯人当てのきっかけも、些細すぎるかな、と思った。
館シリーズもあと一つで打ち止めだとか。続けて欲しいなあ。
坂口安吾「明治開花 安吾捕物帖」
明治維新後しばらくの世相、風俗をよく描いている。事件も禍々しく、舞台設定にしても、どこか現代の新本格派を思わせる。
謎の操作に当たるのは洋行帰りの紳士探偵、結城新十郎。そして、取り巻きの剣術使い、泉山虎之介が、事件のことを伺いに行くのが赤坂氷川に住んでいる勝海舟である。
勝海舟と結城新十郎には接点は無く、事件について、両方が推理を披露する、というある意味贅沢な、ある意味混乱しがちな構成となっている。
昭和25年から27年に連載された物語ということだが、出てくる人が多すぎて、間を空けて読むと分からなくなる。それまでに説明の無かった者が突然出て来たりするし、新十郎の解決は、にわかに納得できかねるものある。
まあ、この作品を、安吾について、私にとっての鏑矢として、日本推理小説史上の傑作と謳われる「不連続殺人事件」を読んでみよう。
2013年11月24日日曜日
川
東京から帰って3日、穏やかな日々を過ごしている。きょうは仕事の用で加古川へお出掛け。いまさらだが、加古川っていう川があったんだな、と認識を新たにする。
宝殿駅で降りて、時間のかからない飯屋を探して、駅前にあるシブいたたずまいの料理屋に入った。そこのカツ丼が、安くて意外にうまかった。楽天のパレードの様子を店のTVで見た。
川も丼も撮らず。写真は早暁の南青山3丁目。
息子がパズル&ドラゴン、通称パズドラにハマっている。はたから見ていても、何がどういうゲームなのかはさっぱり分からんが、去年かなりウケたゲームらしい。TVのCMでやってたとか。
行きにブックオフに寄って、坂口安吾の、幕末推理バラエティーを買って来た。ミステリーの傑作を調べていると、引っかかってくる坂口安吾。まあ楽しみだ。いまは「奇面館の殺人」精読中。これからだ。やめらんないなー館シリーズ。
明日は荒れた天候だそうだ。ぼちぼち有馬の瑞宝寺公園も紅葉の見頃かな。
宝殿駅で降りて、時間のかからない飯屋を探して、駅前にあるシブいたたずまいの料理屋に入った。そこのカツ丼が、安くて意外にうまかった。楽天のパレードの様子を店のTVで見た。
川も丼も撮らず。写真は早暁の南青山3丁目。
息子がパズル&ドラゴン、通称パズドラにハマっている。はたから見ていても、何がどういうゲームなのかはさっぱり分からんが、去年かなりウケたゲームらしい。TVのCMでやってたとか。
行きにブックオフに寄って、坂口安吾の、幕末推理バラエティーを買って来た。ミステリーの傑作を調べていると、引っかかってくる坂口安吾。まあ楽しみだ。いまは「奇面館の殺人」精読中。これからだ。やめらんないなー館シリーズ。
明日は荒れた天候だそうだ。ぼちぼち有馬の瑞宝寺公園も紅葉の見頃かな。
2013年11月21日木曜日
ビータ了
東京1週間滞在も了。10月から続いたビータもひと段落。年内東京へもう一度行くかもくらいである。
朝から晩までの毎日で、読書の暇も無く、朝ホテルから富士山を見て、きょうも1日、と思っていた。もうすぐ品川、早くおウチに帰ろう。
朝から晩までの毎日で、読書の暇も無く、朝ホテルから富士山を見て、きょうも1日、と思っていた。もうすぐ品川、早くおウチに帰ろう。
2013年11月10日日曜日
ビータビータ
再び仙台。今度はやっぱり東北、午後夕夜はすごく寒かった。マフラーも薄手のセーターも役に立った。少し時間が空いたので、久々にブックオフへ。駅前のきれいなクリスマスツリー眺めて、お楽しみの本選び。
高橋克彦「鬼」シリーズの続きは無かったが、綾辻行人「奇面館の殺人」きれいなノベルスを105円で、また、探していた乾ルカの直木賞候補作「あの日にかえりたい」も発見。ノベルスはやっぱ売れないんだろうな、サイズ的に、とか考える。
そしていまさらだが、海堂尊「チーム・バチスタの栄光」を購入。最近、人に面白かった、と聞いた。本読みはここ3年くらいなので、ちょっと前のベストセラーは読んでないものが多い。んーでも大売出し中の池井戸潤はいま読もうと思わんが。
最終日は、発達した低気圧の影響で大荒れ。大風に、時間は短かったが叩きつけるような雨も降った。なんとかこなして、2週連続仙台終了。
帰って次は毎年恒例の東京1週間。ぼちぼち寒い。大物の仕事がある時には、風邪引かないように、かなり敏感になる。
さあ風呂入って寝よう。次回の更新は東京から!
高橋克彦「鬼」シリーズの続きは無かったが、綾辻行人「奇面館の殺人」きれいなノベルスを105円で、また、探していた乾ルカの直木賞候補作「あの日にかえりたい」も発見。ノベルスはやっぱ売れないんだろうな、サイズ的に、とか考える。
そしていまさらだが、海堂尊「チーム・バチスタの栄光」を購入。最近、人に面白かった、と聞いた。本読みはここ3年くらいなので、ちょっと前のベストセラーは読んでないものが多い。んーでも大売出し中の池井戸潤はいま読もうと思わんが。
最終日は、発達した低気圧の影響で大荒れ。大風に、時間は短かったが叩きつけるような雨も降った。なんとかこなして、2週連続仙台終了。
帰って次は毎年恒例の東京1週間。ぼちぼち寒い。大物の仕事がある時には、風邪引かないように、かなり敏感になる。
さあ風呂入って寝よう。次回の更新は東京から!
2013年11月4日月曜日
ビータと大阪城
週末は仙台。寒い寒いと言われていたが、むっちゃ暖かった。マフラーまで持って行ったがまったく不要でした。朝晩は10度を切るが、ホテルがまた暖房強かったので、汗かくくらい暑かった。
いつも食べる空港の牛タンカレー、今回も美味かった。
今困っているのは、読書が進まないこと。ちょっと久しぶりについて行けてない。うーん読みにくいよー。
11月は土日に仕事が詰まっているので、貴重な休みは息子とお出掛け。ちょっとグズグズしてしまって出るのが昼になった。ひらかたパーク、ひらパー行こう、と言っていたが、朝の天気予報が変わり、途中乗り換えの京橋で見るとなんと雨が降っていた。
うーん、と急きょひらパー中止。お腹がへった、と言ったのでとりあえず濡れずに行ける大阪ビジネスパーク目指して行く。マックで昼ごはん。もうハッピーセットではなくてりやきバーガーで普通のセットを食べる息子。食べているうちに雨やんだので、大阪城公園方面へ。
もともとこの3連休、買い物と雨とでたいして外出できず、宿題の日記が書けないなあと言っていたので、水上バスでも乗ろうかと思ったが、息子はかつてひどい船酔いをしたので、やだ、との返事。ならばと、最初は行く気で無かった天守閣へ引っ張って行った。
天守閣近くでは、鷹やミミズクを腕にとまらせている人がいたり、またステージでは、小中高生たちによる和風のダンスが行われていた。結構息子は興味深くじっと見つめている。
中に入って展示はさして見ずに8階まで階段で一気に昇る。大阪に出てきた年以来だから22年ぶり。下の石垣から見た風景も、でかくて、お堀がよく見えて良かったが、天守閣からの光景は、素晴らしかった。息子は「さっき渡ってきた(お堀の)橋があんなに小さい!」と言っていた。帰りに、鎧兜と当時の女性の服装に身を固めた男女のグループが写真撮影していて、パパもちょっとあの刀抜いてみたいな、と思った(笑)。ちなみに小学生は入館無料だった。
豊臣秀吉の肖像画だけ見直して、帰る。大阪城は広く、だいぶ歩いて疲れたし、とミスドで休憩。息子ストロベリーのドーナツ食べる。昔の片町、いまの大阪城北詰駅の近くに、昔妻と行った、大阪城が見えるBARが、まだあった。電車バスで帰還。ママには予定変更をメールしておいたこともあり、話が弾んだようだった。
次の休みは寒くなってからかな。ひらパー、きっと行かねば。
いつも食べる空港の牛タンカレー、今回も美味かった。
今困っているのは、読書が進まないこと。ちょっと久しぶりについて行けてない。うーん読みにくいよー。
11月は土日に仕事が詰まっているので、貴重な休みは息子とお出掛け。ちょっとグズグズしてしまって出るのが昼になった。ひらかたパーク、ひらパー行こう、と言っていたが、朝の天気予報が変わり、途中乗り換えの京橋で見るとなんと雨が降っていた。
うーん、と急きょひらパー中止。お腹がへった、と言ったのでとりあえず濡れずに行ける大阪ビジネスパーク目指して行く。マックで昼ごはん。もうハッピーセットではなくてりやきバーガーで普通のセットを食べる息子。食べているうちに雨やんだので、大阪城公園方面へ。
もともとこの3連休、買い物と雨とでたいして外出できず、宿題の日記が書けないなあと言っていたので、水上バスでも乗ろうかと思ったが、息子はかつてひどい船酔いをしたので、やだ、との返事。ならばと、最初は行く気で無かった天守閣へ引っ張って行った。
天守閣近くでは、鷹やミミズクを腕にとまらせている人がいたり、またステージでは、小中高生たちによる和風のダンスが行われていた。結構息子は興味深くじっと見つめている。
中に入って展示はさして見ずに8階まで階段で一気に昇る。大阪に出てきた年以来だから22年ぶり。下の石垣から見た風景も、でかくて、お堀がよく見えて良かったが、天守閣からの光景は、素晴らしかった。息子は「さっき渡ってきた(お堀の)橋があんなに小さい!」と言っていた。帰りに、鎧兜と当時の女性の服装に身を固めた男女のグループが写真撮影していて、パパもちょっとあの刀抜いてみたいな、と思った(笑)。ちなみに小学生は入館無料だった。
豊臣秀吉の肖像画だけ見直して、帰る。大阪城は広く、だいぶ歩いて疲れたし、とミスドで休憩。息子ストロベリーのドーナツ食べる。昔の片町、いまの大阪城北詰駅の近くに、昔妻と行った、大阪城が見えるBARが、まだあった。電車バスで帰還。ママには予定変更をメールしておいたこともあり、話が弾んだようだった。
次の休みは寒くなってからかな。ひらパー、きっと行かねば。
2013年10月31日木曜日
10月書評の2
読む本が尽きたので、きょうの帰りに上下巻の文庫新刊を買った。てっきりハルキかと思い込んでたら、龍だった。初龍、楽しみだ。
では後半。自分の人生の中では、誰もがみな主人公〜♪
野沢尚「龍時01ー02」
めっちゃ面白かったー。サッカーファンとして、文芸好きの端くれとして、今まで読まなかったのが自分でも不思議である。
U-17日本選抜として同じカテゴリのスペイン代表との試合に出場した無名の高校生、リュウジはそのプレーが認められ、スペインの地方チームのユースに入ることになる。
リュウジは日本でサッカーをつまらないと思っていて、スペインでなら、と思っていたが、そうはうまくいかず、というストーリーである。
ひとつひとつのプレーをイメージしながら、緻密に描いてあり、その繰り返しに迫力を感じる。U-17スペインのプレーに、「殺される、と思った」というのは、まさに言い得て妙な表現であり、随所に、当たり、とも言える言葉が出てくる。
スポーツ小説は、うまくいかなくては面白くない。さらに、リュウジはやはり攻撃の選手である。まあそうだよな、というストーリーの進み方ではあるが、鼻白むことなく興奮して読めるのが、この作品のパワーなのだろう。
日本人はやたらに10番タイプが多いが、攻撃的MFはセカンドアタッカーなんだから、パスばっかしてちゃダメだよ、というのは一時期よく議論された。その風潮に乗っ取ったキャラ選びの勝利、とも言えるだろう。
野沢尚「龍時02ー03」
当然のように続けて読んだ。この巻は、最初の仕掛けも長く、恋愛部分も長く、途中で、早くサッカーしろよ、と思ってしまった。
アトランティコのトップチームと契約出来なかったリュウジを代理人が売り込み、強豪ベティスへのレンタル移籍が実現する。
最初はなかなか遠征メンバーに入れないが、だんだん活躍し始めるリュウジ。前巻に続いて、スカッとする。選手名が実名で、もし日本人で本当に戦力になるアタッカーがいたら、その選手がレアルやバルサと戦ったら・・というサッカーファンの願望を叶えてくれている。ジーコジャパンと戦うところなどはもはやノスタルジーだ。(笑)
早く先が読みたいな。
野沢尚「龍時03ー04」
アテネオリンピックに日本代表として挑むリュウジ。しかし監督と温度差があり・・
相変わらず実名と、選手のプレーを詳しく描いているのは面白い。ちなみにリュウジは18歳だから、U-20の世代をスキップした、「飛び級」でのオリンピック代表招集である。
スペインリーグ、リーガ・エスパニョーラでの経験がベースになって、チームメイトやリーガの対戦相手と当たっているのもなかなかそそる。これがまた実在のスーパースターだったりするから尚更だ。ロベカルのフリーキックの壁には、ホンマになりたくないなと、当時私もTVで見ていて思ったものだ。
日本代表に戻ったリュウジ。スペインへと飛び出すきっかけになったのも日本選抜での確執だった。もちろん、ストーリーにはこれまでの流れを踏襲した仕掛けもある。が・・私は、納得できるかというと、そんなんあるんかいな、という感じだった。
面白いのは間違いないけどねー。明らかに続く兆候があるのにもう先は読めない。2014年でリュウジは28歳。誰か、続編を書いておくれよー。
辻村深月「島はぼくらと」
目立つ表紙デザインでストーリーの行く先が見える、ような気がする。
昔「藍色初恋」という台湾映画を観た。恥ずかし系の高校生恋愛ものだったが、特に学生の女子は、やがて来る別れを前提に友人関係を築いている、とその映画のパンフレットで読んで、軽く衝撃を受けた。男は、というか私は、すべて地元の学校に行ったせいか、そこまで考えなかった。
「島はぼくらと」は出逢いと別れがテーマの物語だ。小説の場合作家の調査、取材は表に出ないが、相当の実例を取材しないと描けないだろうと思う。興味深くもあった。
が、島は昔から映画の題材としても取り挙げられやすく、設定として目新しいか、は難しい。文章を超越できるものも感じなかった。もひとつ、上にも書いたが、これは、私はよく言うのだが、お姉ちゃん小説で、この感情に共鳴せよ、うーん、リアライズせよ、というのはかなり難しい。
まとまっていて、読める作品ではあった。
ヴィンセント・スタリット
「シャーロック・ホームズの私生活」
シャーロッキアン本の代表格の作品である。世界のスーパースター、シャーロック・ホームズの誕生秘話、登場から一時的な?死まで、そしてその帰還、ホームズの私生活的性質、ベイカー街221Bの女家主ハドスンさんの研究から、「語られざる事件」、ホームズが書いたとされる論文のタイトル一覧、ドイルの活躍、さらに世界で最初のシャーロッキアン団体「ベイカー・ストリート・イレギュラーズ」通称BSIの設立の経緯なとなど盛り沢山の内容となっている。
この団体がイギリスでなくアメリカで最初に生まれたのは、よりアメリカの方に熱狂的に受け入れられた証左でもある。本国ではそこそこの評価しか受けなかった「四つの署名」が、アメリカではかなりの高評価だったという。
10数年ぶりの再読である。著者はアメリカのシャーロッキアンで、BSI参加者の1人であり、この本は、なんと、1933年に書かれたシロモノだ。「ホームズとハドスンさんが生きていれば、今年は2人とも80歳になるはずである」なんて書けるのが羨ましい。
時代先端の読み物として書かれているので、我々には空気感が読みにくいところもあるが、作品全体を網羅して様々な解説をしているものとして非常によく出来ていると思う。
一つ。訳者は、「緋色の研究」に[「緋色の習作」が正しい訳]などとこだわっておられるが、はっきり言って煩わしい。もはや長年馴染みのある訳だし、「緋色の研究」の方が断然カッコいい!私は「研究」賛成派である。
百田尚樹「ボックス!」(2)
ううーん、百田尚樹は、直接的で、ドラマティックさに重きを置く作家た。「永遠の0」から肌合いの合わなさを感じていたが、この作品もそう思った。
ボクシングの天才で、典型的な大阪のヤンチャ、鏑矢と、その幼ななじみにして親友の優紀。学業の特待生で運動をしたことのなかった優紀は強くなるために、鏑矢のいるボクシング部に入る。
後はもう、アマチュアボクシング、プロのボクシングについての専門的な知識やボクシングへの考え方、そしてリアルな試合の描写と白熱の行き着く先・・面白くて次、次と読むのは確かだが・・。
うん、やっぱ肌が合わない。好みの問題。
三島由紀夫「青の時代」
破滅的な秀才の行動。戦後若者の虚無感を表しているらしい。奇しくも書き終わりの日付が、1950年の10月31日で、読了の日と同じだった。
久しぶりに読んだ三島はまあ、暗い中、やはり何処かに破壊的なところがある物語だった。
千葉の海辺の都市で育った誠は旧制一高、つまり東大に合格するが、詐欺で大金を騙し取られてしまう。その学友とともに嘘の金融会社を設立すると、経営が軌道に乗り高利貸しも始める。
戦争を挟んで復学してからの金融業である。このころのモダンな文学には、割り切った機械的なものではない微妙な、些細な迷いが見られ、たまにあるある、と共感してしまうのだが、今回は秀才のプライドをひたすら見せているだけのような気がして、また難しくていけない。
ストーリーも自滅的で、なにか自らの作り出す理屈に合わせているようである。当時の風俗は興味深い部分もあるが、まあもうふたつ、だった。
では後半。自分の人生の中では、誰もがみな主人公〜♪
野沢尚「龍時01ー02」
めっちゃ面白かったー。サッカーファンとして、文芸好きの端くれとして、今まで読まなかったのが自分でも不思議である。
U-17日本選抜として同じカテゴリのスペイン代表との試合に出場した無名の高校生、リュウジはそのプレーが認められ、スペインの地方チームのユースに入ることになる。
リュウジは日本でサッカーをつまらないと思っていて、スペインでなら、と思っていたが、そうはうまくいかず、というストーリーである。
ひとつひとつのプレーをイメージしながら、緻密に描いてあり、その繰り返しに迫力を感じる。U-17スペインのプレーに、「殺される、と思った」というのは、まさに言い得て妙な表現であり、随所に、当たり、とも言える言葉が出てくる。
スポーツ小説は、うまくいかなくては面白くない。さらに、リュウジはやはり攻撃の選手である。まあそうだよな、というストーリーの進み方ではあるが、鼻白むことなく興奮して読めるのが、この作品のパワーなのだろう。
日本人はやたらに10番タイプが多いが、攻撃的MFはセカンドアタッカーなんだから、パスばっかしてちゃダメだよ、というのは一時期よく議論された。その風潮に乗っ取ったキャラ選びの勝利、とも言えるだろう。
野沢尚「龍時02ー03」
当然のように続けて読んだ。この巻は、最初の仕掛けも長く、恋愛部分も長く、途中で、早くサッカーしろよ、と思ってしまった。
アトランティコのトップチームと契約出来なかったリュウジを代理人が売り込み、強豪ベティスへのレンタル移籍が実現する。
最初はなかなか遠征メンバーに入れないが、だんだん活躍し始めるリュウジ。前巻に続いて、スカッとする。選手名が実名で、もし日本人で本当に戦力になるアタッカーがいたら、その選手がレアルやバルサと戦ったら・・というサッカーファンの願望を叶えてくれている。ジーコジャパンと戦うところなどはもはやノスタルジーだ。(笑)
早く先が読みたいな。
野沢尚「龍時03ー04」
アテネオリンピックに日本代表として挑むリュウジ。しかし監督と温度差があり・・
相変わらず実名と、選手のプレーを詳しく描いているのは面白い。ちなみにリュウジは18歳だから、U-20の世代をスキップした、「飛び級」でのオリンピック代表招集である。
スペインリーグ、リーガ・エスパニョーラでの経験がベースになって、チームメイトやリーガの対戦相手と当たっているのもなかなかそそる。これがまた実在のスーパースターだったりするから尚更だ。ロベカルのフリーキックの壁には、ホンマになりたくないなと、当時私もTVで見ていて思ったものだ。
日本代表に戻ったリュウジ。スペインへと飛び出すきっかけになったのも日本選抜での確執だった。もちろん、ストーリーにはこれまでの流れを踏襲した仕掛けもある。が・・私は、納得できるかというと、そんなんあるんかいな、という感じだった。
面白いのは間違いないけどねー。明らかに続く兆候があるのにもう先は読めない。2014年でリュウジは28歳。誰か、続編を書いておくれよー。
辻村深月「島はぼくらと」
目立つ表紙デザインでストーリーの行く先が見える、ような気がする。
昔「藍色初恋」という台湾映画を観た。恥ずかし系の高校生恋愛ものだったが、特に学生の女子は、やがて来る別れを前提に友人関係を築いている、とその映画のパンフレットで読んで、軽く衝撃を受けた。男は、というか私は、すべて地元の学校に行ったせいか、そこまで考えなかった。
「島はぼくらと」は出逢いと別れがテーマの物語だ。小説の場合作家の調査、取材は表に出ないが、相当の実例を取材しないと描けないだろうと思う。興味深くもあった。
が、島は昔から映画の題材としても取り挙げられやすく、設定として目新しいか、は難しい。文章を超越できるものも感じなかった。もひとつ、上にも書いたが、これは、私はよく言うのだが、お姉ちゃん小説で、この感情に共鳴せよ、うーん、リアライズせよ、というのはかなり難しい。
まとまっていて、読める作品ではあった。
ヴィンセント・スタリット
「シャーロック・ホームズの私生活」
シャーロッキアン本の代表格の作品である。世界のスーパースター、シャーロック・ホームズの誕生秘話、登場から一時的な?死まで、そしてその帰還、ホームズの私生活的性質、ベイカー街221Bの女家主ハドスンさんの研究から、「語られざる事件」、ホームズが書いたとされる論文のタイトル一覧、ドイルの活躍、さらに世界で最初のシャーロッキアン団体「ベイカー・ストリート・イレギュラーズ」通称BSIの設立の経緯なとなど盛り沢山の内容となっている。
この団体がイギリスでなくアメリカで最初に生まれたのは、よりアメリカの方に熱狂的に受け入れられた証左でもある。本国ではそこそこの評価しか受けなかった「四つの署名」が、アメリカではかなりの高評価だったという。
10数年ぶりの再読である。著者はアメリカのシャーロッキアンで、BSI参加者の1人であり、この本は、なんと、1933年に書かれたシロモノだ。「ホームズとハドスンさんが生きていれば、今年は2人とも80歳になるはずである」なんて書けるのが羨ましい。
時代先端の読み物として書かれているので、我々には空気感が読みにくいところもあるが、作品全体を網羅して様々な解説をしているものとして非常によく出来ていると思う。
一つ。訳者は、「緋色の研究」に[「緋色の習作」が正しい訳]などとこだわっておられるが、はっきり言って煩わしい。もはや長年馴染みのある訳だし、「緋色の研究」の方が断然カッコいい!私は「研究」賛成派である。
百田尚樹「ボックス!」(2)
ううーん、百田尚樹は、直接的で、ドラマティックさに重きを置く作家た。「永遠の0」から肌合いの合わなさを感じていたが、この作品もそう思った。
ボクシングの天才で、典型的な大阪のヤンチャ、鏑矢と、その幼ななじみにして親友の優紀。学業の特待生で運動をしたことのなかった優紀は強くなるために、鏑矢のいるボクシング部に入る。
後はもう、アマチュアボクシング、プロのボクシングについての専門的な知識やボクシングへの考え方、そしてリアルな試合の描写と白熱の行き着く先・・面白くて次、次と読むのは確かだが・・。
うん、やっぱ肌が合わない。好みの問題。
三島由紀夫「青の時代」
破滅的な秀才の行動。戦後若者の虚無感を表しているらしい。奇しくも書き終わりの日付が、1950年の10月31日で、読了の日と同じだった。
久しぶりに読んだ三島はまあ、暗い中、やはり何処かに破壊的なところがある物語だった。
千葉の海辺の都市で育った誠は旧制一高、つまり東大に合格するが、詐欺で大金を騙し取られてしまう。その学友とともに嘘の金融会社を設立すると、経営が軌道に乗り高利貸しも始める。
戦争を挟んで復学してからの金融業である。このころのモダンな文学には、割り切った機械的なものではない微妙な、些細な迷いが見られ、たまにあるある、と共感してしまうのだが、今回は秀才のプライドをひたすら見せているだけのような気がして、また難しくていけない。
ストーリーも自滅的で、なにか自らの作り出す理屈に合わせているようである。当時の風俗は興味深い部分もあるが、まあもうふたつ、だった。
10月書評の1
わーっと読んだ時期もあり、なんかスポーツに寄っていたような、でもいっぱい読んだ10月だった。ホームズものも2つ読んだし。長く感じる読書月だった。
14作品16冊。では行ってみましょう。
殊能将之「ハサミ男」
だいぶ以前に傑作として名前を聞いたことがあったこの作品。おそらくそれは、出版された1999年の頃の事だったのだろう。最近書評を見かけ、読んでみる気になった。
女子高校生を殺し、死体にハサミを突き立てたり、顔を切り裂いたりする「ハサミ男」。ハサミ男は、次のターゲットにした由紀子の家の近くにある公園で、彼女が殺されているのを発見する。死体にはハサミが突き刺してあった。
いきなりシチュエーションの変換から入る、粋なサスペンスである。なんというか、最後までズレているのが特徴か。そして、どんでん返しにより、再読したくなる内容となっている。またクールさが目立つ文体である。
これはまあ、どう特徴を持たせているかはよく分かったが、すっきりしない部分も含めて、名作かと言われると、私的には疑問符が付く。うーん、といったところだ。
桂望実「嫌な女」
評判が高く、書店で目に入って、思わず買ってしまった一冊。女を武器に詐欺を働く夏子と、その縁戚で夏子が起こすトラブルの火消しをする弁護士・徹子の物語。
夏子と徹子は同い年で、若い頃から始まり、70才を超える頃までの、人生を含みこんだストーリー。徹子は一貫して、過剰なほどクールな女で、一方の夏子は女を武器とし、感情を隠さない性格。しかし、夏子は描写か伝聞としてしか登場せず、両方の主人公と距離があるまま話がずっと続いていく感覚に囚われる。
トラブルは起きるものの、全体としては淡々と進行する。静かに迫る感覚。そして、この作品は、人生における孤独との向き合い方もまた一つの芯にしている。よくもまあこんな構成を、キャラクター立てを考えたものだ。読了したとき、感動こそないが、全体としてストン、と落ちた感じがするから不思議である。傑作とは正直思わないが、読んでみてよかったかなと思わせられた。
長友佑都「上昇思考」
2ヶ月続けて、ナガトモの本。「日本男児」が一代記とすれば、こちらはどのように心を保つか、ということをクローズアップしている作品だ。
だからというか、「日本男児」を読んだ前提で書かれているような部分がちらほら見られる。
インテルのサネッティのことなど、特に人との出会いという点では、具体的で面白い。それ以外は、長友も同様なことを書いているが、同じ事を手を替え品を替え説明している感じである。読んでいて少しじれったくなる時もあった。
いつも読み返すという祖母からの手紙、については胸が温かくなる。まずまず楽しんで読んだ。
ジョン・H・ワトスン著
ローレン・エスルマン編
「シャーロック・ホームズ対ドラキュラーあるいは血まみれ伯爵の冒険ー」
難破した船の操舵輪に自らの手を括り付けた船長の死体、その首には2つの噛み傷があったー。
1978年にアメリカで発行されたパロディで、翌年に日本でも出版されている。私が手にしたのは、1992年に文庫版として再訳出されたものである。これが10年ぶり3度目くらいの再読だ。
まあ、パロディここに極まれり、というくらいのものなのだが、中身は真剣そのもの。ホームズはドラキュラと真っ向から対峙し、ブラム・ストーカーの小説に登場したヴァン・ヘルシング教授一行とも邂逅を果たす。
ホームズもの長編第2作の「4つの署名」を彷彿とさせるような、探偵犬トビーの活躍ほかシャーロッキンの頬をゆるめる要素がいくつかある。突飛な発想だが、なかなかいいな、と今回も思ってしまった。
由良弥生
「眠れないほど面白い『古事記』」
数年に一度、神代ものを読んでしまう。私は、子供の頃に親から与えられたマンガの影響もあり、日本神話が好きなのだ。コンビニでよく見かけ、興味を引かれていたのだが、ついに、品川駅で買ってしまった。
中身は意外に淡々としている。「眠れないほど面白い」というから、もっと削って、絞って、誇張してあるのかと思ったら、上中下巻の大筋を現代語にし、より分かりやすくデフォルメしているだけである。
イザナキとイザナミの話、アマテラス、ツクヨミ、スサノオの誕生、スサノオの乱暴狼藉に、天の岩戸の話。また八岐大蛇、苦労したオオクニヌシ、国譲り、タケミカヅチ、天孫降臨、サクヤビメ、海幸彦山幸彦、勇敢で哀しいヤマトタケル・・
倭は国のまほろば
たたなづく青垣
山籠れる倭しうるはし
今も読むとときめくが、相変わらず前後関係とか、神々の名前についてはうろ覚えで、何回読んでも、正確には覚えない。(笑)
ちなみに、本屋さんにしてもらったカバーは、京都・福知山市の観光案内で、大江山の鬼の博物館にめっちゃ行きたくなった。
藤原伊織「シリウスの道」(2)
伊織色満載の作品。大手広告代理店に在職していた筆者が、ホームグラウンドを舞台に、特殊な物語を描いた作品。代表作である「テロリストのパラソル」へのオマージュともなっている。
専門用語も多く、ビジネスでの話が多過ぎる気もするが、おそらく本人は、書き足りないのではないだろうか。(笑)幼なじみの思い出が大きなウエイトを占めるが、大なり小なり、同じことがあるような、サラリーマン社会の縮図も物語の芯だ。また、藤原伊織ものには欠かせない、微妙な恋愛関係や、主人公のハチャメチャさ、そしてお気楽さも入っている。息をつかせぬダイナミックなストーリー展開も相変わらずだ。
こうして全体としてまた伊織ワールドが形成されているが、いままで読んで来た中では、「ダックスフントのワープ」と「テロパラ」だけが異色の作品で、他は同質感がある。この人の手になる作品で、違う展開のものも読んでみたいな、というのが、正直な感想で、また別の本を手に取ってみることになるのだろう。
中村文則「掏摸」
「スリ」と読む。大江健三郎賞受賞、数カ国後に訳されて海外でも出版されているそうだ。日本がこんなにひどい国だと思われたらどうしよう、そんなストーリーでもある(笑)。
人の懐から財布をスリ盗る、天才スリ師の「僕」は、血も涙もない、会いたくなかった相手、木崎と再会し、厄介な命令を受ける。失敗すれば命は無いー。
純文学風な話でもある。心理的に人の快楽、というものの一部を表そうとしていると思うが、正直もうひとつだという感想だ。
マンガでも小説でも最近特によくあると思うのだが、都合のいい、深い訳は話さないでOKの、スーパーパワーキャラクターを登場させると、話が簡単になってしまう。例えばこの界隈を仕切るヤクザのドンで、この人の耳に入らないことはない、とか裏で全て糸を引いている、とか。
扱っているテーマも分かるような、でもやっぱり違和感があるような感じである。物語を超える力を、残念ながら感じ取ることは出来なかった。ただ先も知りたいので、姉妹編だという「王国」も文庫が出たら読んでみよう。
14作品16冊。では行ってみましょう。
殊能将之「ハサミ男」
だいぶ以前に傑作として名前を聞いたことがあったこの作品。おそらくそれは、出版された1999年の頃の事だったのだろう。最近書評を見かけ、読んでみる気になった。
女子高校生を殺し、死体にハサミを突き立てたり、顔を切り裂いたりする「ハサミ男」。ハサミ男は、次のターゲットにした由紀子の家の近くにある公園で、彼女が殺されているのを発見する。死体にはハサミが突き刺してあった。
いきなりシチュエーションの変換から入る、粋なサスペンスである。なんというか、最後までズレているのが特徴か。そして、どんでん返しにより、再読したくなる内容となっている。またクールさが目立つ文体である。
これはまあ、どう特徴を持たせているかはよく分かったが、すっきりしない部分も含めて、名作かと言われると、私的には疑問符が付く。うーん、といったところだ。
桂望実「嫌な女」
評判が高く、書店で目に入って、思わず買ってしまった一冊。女を武器に詐欺を働く夏子と、その縁戚で夏子が起こすトラブルの火消しをする弁護士・徹子の物語。
夏子と徹子は同い年で、若い頃から始まり、70才を超える頃までの、人生を含みこんだストーリー。徹子は一貫して、過剰なほどクールな女で、一方の夏子は女を武器とし、感情を隠さない性格。しかし、夏子は描写か伝聞としてしか登場せず、両方の主人公と距離があるまま話がずっと続いていく感覚に囚われる。
トラブルは起きるものの、全体としては淡々と進行する。静かに迫る感覚。そして、この作品は、人生における孤独との向き合い方もまた一つの芯にしている。よくもまあこんな構成を、キャラクター立てを考えたものだ。読了したとき、感動こそないが、全体としてストン、と落ちた感じがするから不思議である。傑作とは正直思わないが、読んでみてよかったかなと思わせられた。
長友佑都「上昇思考」
2ヶ月続けて、ナガトモの本。「日本男児」が一代記とすれば、こちらはどのように心を保つか、ということをクローズアップしている作品だ。
だからというか、「日本男児」を読んだ前提で書かれているような部分がちらほら見られる。
インテルのサネッティのことなど、特に人との出会いという点では、具体的で面白い。それ以外は、長友も同様なことを書いているが、同じ事を手を替え品を替え説明している感じである。読んでいて少しじれったくなる時もあった。
いつも読み返すという祖母からの手紙、については胸が温かくなる。まずまず楽しんで読んだ。
ジョン・H・ワトスン著
ローレン・エスルマン編
「シャーロック・ホームズ対ドラキュラーあるいは血まみれ伯爵の冒険ー」
難破した船の操舵輪に自らの手を括り付けた船長の死体、その首には2つの噛み傷があったー。
1978年にアメリカで発行されたパロディで、翌年に日本でも出版されている。私が手にしたのは、1992年に文庫版として再訳出されたものである。これが10年ぶり3度目くらいの再読だ。
まあ、パロディここに極まれり、というくらいのものなのだが、中身は真剣そのもの。ホームズはドラキュラと真っ向から対峙し、ブラム・ストーカーの小説に登場したヴァン・ヘルシング教授一行とも邂逅を果たす。
ホームズもの長編第2作の「4つの署名」を彷彿とさせるような、探偵犬トビーの活躍ほかシャーロッキンの頬をゆるめる要素がいくつかある。突飛な発想だが、なかなかいいな、と今回も思ってしまった。
由良弥生
「眠れないほど面白い『古事記』」
数年に一度、神代ものを読んでしまう。私は、子供の頃に親から与えられたマンガの影響もあり、日本神話が好きなのだ。コンビニでよく見かけ、興味を引かれていたのだが、ついに、品川駅で買ってしまった。
中身は意外に淡々としている。「眠れないほど面白い」というから、もっと削って、絞って、誇張してあるのかと思ったら、上中下巻の大筋を現代語にし、より分かりやすくデフォルメしているだけである。
イザナキとイザナミの話、アマテラス、ツクヨミ、スサノオの誕生、スサノオの乱暴狼藉に、天の岩戸の話。また八岐大蛇、苦労したオオクニヌシ、国譲り、タケミカヅチ、天孫降臨、サクヤビメ、海幸彦山幸彦、勇敢で哀しいヤマトタケル・・
倭は国のまほろば
たたなづく青垣
山籠れる倭しうるはし
今も読むとときめくが、相変わらず前後関係とか、神々の名前についてはうろ覚えで、何回読んでも、正確には覚えない。(笑)
ちなみに、本屋さんにしてもらったカバーは、京都・福知山市の観光案内で、大江山の鬼の博物館にめっちゃ行きたくなった。
藤原伊織「シリウスの道」(2)
伊織色満載の作品。大手広告代理店に在職していた筆者が、ホームグラウンドを舞台に、特殊な物語を描いた作品。代表作である「テロリストのパラソル」へのオマージュともなっている。
専門用語も多く、ビジネスでの話が多過ぎる気もするが、おそらく本人は、書き足りないのではないだろうか。(笑)幼なじみの思い出が大きなウエイトを占めるが、大なり小なり、同じことがあるような、サラリーマン社会の縮図も物語の芯だ。また、藤原伊織ものには欠かせない、微妙な恋愛関係や、主人公のハチャメチャさ、そしてお気楽さも入っている。息をつかせぬダイナミックなストーリー展開も相変わらずだ。
こうして全体としてまた伊織ワールドが形成されているが、いままで読んで来た中では、「ダックスフントのワープ」と「テロパラ」だけが異色の作品で、他は同質感がある。この人の手になる作品で、違う展開のものも読んでみたいな、というのが、正直な感想で、また別の本を手に取ってみることになるのだろう。
中村文則「掏摸」
「スリ」と読む。大江健三郎賞受賞、数カ国後に訳されて海外でも出版されているそうだ。日本がこんなにひどい国だと思われたらどうしよう、そんなストーリーでもある(笑)。
人の懐から財布をスリ盗る、天才スリ師の「僕」は、血も涙もない、会いたくなかった相手、木崎と再会し、厄介な命令を受ける。失敗すれば命は無いー。
純文学風な話でもある。心理的に人の快楽、というものの一部を表そうとしていると思うが、正直もうひとつだという感想だ。
マンガでも小説でも最近特によくあると思うのだが、都合のいい、深い訳は話さないでOKの、スーパーパワーキャラクターを登場させると、話が簡単になってしまう。例えばこの界隈を仕切るヤクザのドンで、この人の耳に入らないことはない、とか裏で全て糸を引いている、とか。
扱っているテーマも分かるような、でもやっぱり違和感があるような感じである。物語を超える力を、残念ながら感じ取ることは出来なかった。ただ先も知りたいので、姉妹編だという「王国」も文庫が出たら読んでみよう。
2013年10月28日月曜日
短い秋
去年、9月半ばのものすごく暑い日に外仕事をして、月末に台風が来て涼しくなって、2週間前はあんなに暑かったのに、と思ったものだ。
今年は、10月に入っても30度を越す日があって、台風はむしろ暖かく湿った気候を持って来ていた。昨日から今朝で台風27号は列島の南に沿う形で行ってしまい、やや涼しかった。
土曜日は、世界スーパージュニアテニスを観に行った。靱テニスセンターのセンターコート。観客席付きの専用テニス場に入るのは初めてである。観客席への通路出口には係員がいてロープを張り、コートチェンジの際にしか出入り出来ない。
女子ダブルスの準決勝。イギリスペアと中国ペアのクォーターファイナル。全員デカい。女子でも、4人のうち3人は180センチあるのでは?という身長。妻曰く「カモシカような足」がスコートから伸びている。
お客さんは3分の1くらいの入りで、一番前で観た。さすがにジュニアとはいえ世界大会。ショットも動きも細かくて速い。プレー中はシーンとして、ポイントが入ると拍手。息子も拍手する。最初の試合はサービスエースの少ない、駆け引きの戦いで、第1セット7-5、第2セット6-4の接戦をイギリスペアが制した。
入場した時は太陽が出て、厚着してきたけど暑いな、と思ったが、曇って風が吹いて寒くなった。インターバルは、喫茶店で温かい飲み物を補給。会場が靱公園で、オシャレな店がたくさんある。パパはパニーニのランチセットを食べた。ケーキセットを頼んだママは、喫茶店でケーキなんて久しぶりよ、と笑っていた。
息子は朝はテニス行きたい、と言ったのだが、試合は長時間だし、やはりそう面白いものでは無く、歩いて15分ほどの、市立科学館へ連れて行って遊ばせる。ママは男子ダブルスを観戦。やはり男子は迫力が違い、リアクションも大きくて盛り上がったとか。
帰ってきて、シングルスかと思ったが、女子ダブルスのクォーターファイナルもう1試合。日本人の選手が、オーストラリア人とペアを組んで、やはり国籍の違う白人ペアと戦い、ワンサイドゲームで勝っていた。この試合は日本人が入ったペアのサービスエースがよく決まっていた。
暗くなってきて、帰りにしばらく歩いて、トマトラーメンと餃子食べて帰った。東京に居た頃から、ママはテニス観に行きたい、と言っていたから、ようやく念願果たしたかな。来年はファイナルを観に行こう、と話した。
で、日曜日はママ友家族を呼んでバーベキュー。前日と同じような天候で、屋上は陽が照ったら暑く、陰ると寒い。先方はママと中2のお姉ちゃんと、小3のぼく。同級生の息子とぼくは家中で遊び回っていた。
大人組はゆっくりソーセージ、パプリカ肉詰め、肉に焼きおにぎりなど食べながら談笑。屋内に移ってお茶にお菓子。長年の付き合いだけあって、なかなか楽しい時間だった。
日本シリーズはマーくん負けず、完投で1勝1敗。頂上決戦の投手戦は、ものすごい緊張感を孕む。面白かった。夜、外はもう寒い。季節はもう短い秋である。のんびりの、動いて快適な土日だった。
今年は、10月に入っても30度を越す日があって、台風はむしろ暖かく湿った気候を持って来ていた。昨日から今朝で台風27号は列島の南に沿う形で行ってしまい、やや涼しかった。
土曜日は、世界スーパージュニアテニスを観に行った。靱テニスセンターのセンターコート。観客席付きの専用テニス場に入るのは初めてである。観客席への通路出口には係員がいてロープを張り、コートチェンジの際にしか出入り出来ない。
女子ダブルスの準決勝。イギリスペアと中国ペアのクォーターファイナル。全員デカい。女子でも、4人のうち3人は180センチあるのでは?という身長。妻曰く「カモシカような足」がスコートから伸びている。
お客さんは3分の1くらいの入りで、一番前で観た。さすがにジュニアとはいえ世界大会。ショットも動きも細かくて速い。プレー中はシーンとして、ポイントが入ると拍手。息子も拍手する。最初の試合はサービスエースの少ない、駆け引きの戦いで、第1セット7-5、第2セット6-4の接戦をイギリスペアが制した。
入場した時は太陽が出て、厚着してきたけど暑いな、と思ったが、曇って風が吹いて寒くなった。インターバルは、喫茶店で温かい飲み物を補給。会場が靱公園で、オシャレな店がたくさんある。パパはパニーニのランチセットを食べた。ケーキセットを頼んだママは、喫茶店でケーキなんて久しぶりよ、と笑っていた。
息子は朝はテニス行きたい、と言ったのだが、試合は長時間だし、やはりそう面白いものでは無く、歩いて15分ほどの、市立科学館へ連れて行って遊ばせる。ママは男子ダブルスを観戦。やはり男子は迫力が違い、リアクションも大きくて盛り上がったとか。
帰ってきて、シングルスかと思ったが、女子ダブルスのクォーターファイナルもう1試合。日本人の選手が、オーストラリア人とペアを組んで、やはり国籍の違う白人ペアと戦い、ワンサイドゲームで勝っていた。この試合は日本人が入ったペアのサービスエースがよく決まっていた。
暗くなってきて、帰りにしばらく歩いて、トマトラーメンと餃子食べて帰った。東京に居た頃から、ママはテニス観に行きたい、と言っていたから、ようやく念願果たしたかな。来年はファイナルを観に行こう、と話した。
で、日曜日はママ友家族を呼んでバーベキュー。前日と同じような天候で、屋上は陽が照ったら暑く、陰ると寒い。先方はママと中2のお姉ちゃんと、小3のぼく。同級生の息子とぼくは家中で遊び回っていた。
大人組はゆっくりソーセージ、パプリカ肉詰め、肉に焼きおにぎりなど食べながら談笑。屋内に移ってお茶にお菓子。長年の付き合いだけあって、なかなか楽しい時間だった。
日本シリーズはマーくん負けず、完投で1勝1敗。頂上決戦の投手戦は、ものすごい緊張感を孕む。面白かった。夜、外はもう寒い。季節はもう短い秋である。のんびりの、動いて快適な土日だった。
2013年10月19日土曜日
神無月にかこまれて
中学生のころ、私はギター少年だった。小学校から一緒の、ギター友達がいた。少年野球でも一緒、中学では、彼が野球部、私はバスケ部だった。
彼はお兄さんもギターを弾いていて、当時のフォークソング全体に詳しかったし、楽譜も持っていた。よく彼の家にギターを持って遊びに行き、お互い弾きながら、ギターのコード表だけじゃなくて、バンドスコアも欲しいねーとか楽しく話していた。一緒にコンサートにも行った。
そんな彼と2人で合わせたのが、井上陽水「神無月にかこまれて」だ。フォークギター的には、最初激しく、途中アルペジオがカッコよく入る部分があった。リードギターは上手な彼が担当し、私はサイドを弾きながら歌った。不思議な歌詞だった。
10月、序盤は暑過ぎた。35度超の10月史上最高気温も出たとか。大阪も、30度超える日もあり、夜は一時期落ち着いていたが、気温が下がらず、先週はまたドライをかけて寝ることもあった。いつも、人間的に見れば異常気象でも、地球の歴史規模で見れば大した変化じゃない、などと偉そうに思っているが、結局のところは、やっぱり暑いのは嫌である。
こないだの土日はいい天気で日中暑く、でもカラッとした気候。何回目かの秋っぽさだなあ、と思っていたら、いきなり台風が来た。しかも関東に上陸する可能性のあるものとしてはここ10年程度で最強、しかもチョー大型。夕方には関西も強風域に入っていた。
ちょっと警戒したが、関西では、雨はそれなりに降ったがさほどでもなく、風も、夜のうちはさほどでもなかった。朝方にはかなり強く吹いて何回も目が覚めたが、ちょうどひと月前に来た台風の時は、何というかパワーがあって、2階に居ると家全体を揺らすような風だった。今回は突風系で、ヒュウウウー、という音が聞こえたが、さほどパワーは感じなかった。
しかし台風は、今度こそ空気を入れ替えてくれたか、朝晩すごく寒くなった。これくらいで、いつもの10月だと思う。すなわち朝晩は寒涼しいが、日中は、秋冬の服にはまだ暑い、といったくらいの。11月まで似たような気候が続き、いきなり寒くなるパターンだ。
にしても、やっと秋っぽい格好をして行けるかな。ポロシャツはついに終了だ。
サッカー、日本は、今はうまく行っていない状況。ベラルーシ戦もさっぱりだった。本田は新しいことにトライしている、と言っているが、最低限の得点パターンは持っておくべきかと思う。今回は、分析はせず、イライラしたし、つまんなかったとだけ言っておこう。負けは、欠点を洗い出し、危機感を募らせる。時間があるうちの自省力に期待する。まだジタバタできる。
この土曜は久々にIKEAに行った。ここのレストランは大人的には美味しくない、不味いが、どこの家でも、子供は行きたがるそうだ。ウチも好きである。息子は定番のミートボールとポテト、大人はクリームソースの冷えたパスタを食べて、パパと息子は隣の市立科学館へ。
6つの展示室回って、斜めの部屋とかクイズとか、体力測定ものとかで適当に遊んで、スタンプ全部のコーナーで押して、地下の自販機でジュース飲んでおしまい。神戸ポートアイランドは、ポートライナー含め、全体にインフラが老朽化しているが、この科学館ではいまだに冥王星が太陽系の惑星扱いである。うーむ。
ただ老朽化、というか古き良き時代を反映し、喫煙所は外と地下の食堂外に設置してある。建て直しになったら、趨勢から行って、完全禁煙になりかねないな、などと思う。
明日は肌寒い涼しさだが、来週はまた最高気温が上がる日もありそう、との予想。10月も終盤で最高気温予想が25度を超えるのはカンベンして、という感じだ。でも、もっと嫌なのは、また来ている台風27号。もう、本当に、来ないで欲しい。いやほんと。
彼はお兄さんもギターを弾いていて、当時のフォークソング全体に詳しかったし、楽譜も持っていた。よく彼の家にギターを持って遊びに行き、お互い弾きながら、ギターのコード表だけじゃなくて、バンドスコアも欲しいねーとか楽しく話していた。一緒にコンサートにも行った。
そんな彼と2人で合わせたのが、井上陽水「神無月にかこまれて」だ。フォークギター的には、最初激しく、途中アルペジオがカッコよく入る部分があった。リードギターは上手な彼が担当し、私はサイドを弾きながら歌った。不思議な歌詞だった。
10月、序盤は暑過ぎた。35度超の10月史上最高気温も出たとか。大阪も、30度超える日もあり、夜は一時期落ち着いていたが、気温が下がらず、先週はまたドライをかけて寝ることもあった。いつも、人間的に見れば異常気象でも、地球の歴史規模で見れば大した変化じゃない、などと偉そうに思っているが、結局のところは、やっぱり暑いのは嫌である。
こないだの土日はいい天気で日中暑く、でもカラッとした気候。何回目かの秋っぽさだなあ、と思っていたら、いきなり台風が来た。しかも関東に上陸する可能性のあるものとしてはここ10年程度で最強、しかもチョー大型。夕方には関西も強風域に入っていた。
ちょっと警戒したが、関西では、雨はそれなりに降ったがさほどでもなく、風も、夜のうちはさほどでもなかった。朝方にはかなり強く吹いて何回も目が覚めたが、ちょうどひと月前に来た台風の時は、何というかパワーがあって、2階に居ると家全体を揺らすような風だった。今回は突風系で、ヒュウウウー、という音が聞こえたが、さほどパワーは感じなかった。
しかし台風は、今度こそ空気を入れ替えてくれたか、朝晩すごく寒くなった。これくらいで、いつもの10月だと思う。すなわち朝晩は寒涼しいが、日中は、秋冬の服にはまだ暑い、といったくらいの。11月まで似たような気候が続き、いきなり寒くなるパターンだ。
にしても、やっと秋っぽい格好をして行けるかな。ポロシャツはついに終了だ。
サッカー、日本は、今はうまく行っていない状況。ベラルーシ戦もさっぱりだった。本田は新しいことにトライしている、と言っているが、最低限の得点パターンは持っておくべきかと思う。今回は、分析はせず、イライラしたし、つまんなかったとだけ言っておこう。負けは、欠点を洗い出し、危機感を募らせる。時間があるうちの自省力に期待する。まだジタバタできる。
この土曜は久々にIKEAに行った。ここのレストランは大人的には美味しくない、不味いが、どこの家でも、子供は行きたがるそうだ。ウチも好きである。息子は定番のミートボールとポテト、大人はクリームソースの冷えたパスタを食べて、パパと息子は隣の市立科学館へ。
6つの展示室回って、斜めの部屋とかクイズとか、体力測定ものとかで適当に遊んで、スタンプ全部のコーナーで押して、地下の自販機でジュース飲んでおしまい。神戸ポートアイランドは、ポートライナー含め、全体にインフラが老朽化しているが、この科学館ではいまだに冥王星が太陽系の惑星扱いである。うーむ。
ただ老朽化、というか古き良き時代を反映し、喫煙所は外と地下の食堂外に設置してある。建て直しになったら、趨勢から行って、完全禁煙になりかねないな、などと思う。
明日は肌寒い涼しさだが、来週はまた最高気温が上がる日もありそう、との予想。10月も終盤で最高気温予想が25度を超えるのはカンベンして、という感じだ。でも、もっと嫌なのは、また来ている台風27号。もう、本当に、来ないで欲しい。いやほんと。
2013年10月6日日曜日
旅読
先週から今週は、全部日帰りで旅から旅となった。岡山に行って、台風が来る中仙台へ。仙台は少しは涼しかろうと思ったら、台風で湿った空気が入ってきてるのか、関西と大差なく、ホンマにはるばる東北まで来たのかな、という気にさせられた。
そして東京。これがまた暑かった。帰りに大阪に着いたらまた生ぬるい空気が出迎えた。30度近くまで上がるのはそろそろやめにして欲しいのだが、いつまで暑いんだろう。バテバテだ。
しかし出張が多いと読書が進む。特にここのところ読みやすい作品が多いせいか、今月は、6日間で5冊。まあここからは本格派の小説や上下巻が控えているので、おそらく月末にはいつもくらいになるだろうが、それにしても早い。
寝かしつけの時の話、イザナキ、イザナミの話をしようとしたら、「それはもう聞いた。桃太郎・完結編にしてくれる?」とリクエストが。
ここまで、桃太郎の話を飛躍させて、犬猿キジだけだなく、猪に熊にムササビにカブトムシなどを加えたり、鬼と来れば、で頼光四天王に請われて渡辺綱の家来になったり、鬼も酒呑童子やいくしま童子や茨木童子に色んな性格付けをしたりエピソードをたくさん作ったりとバラエティに富んだ話をその場で作って来た。しかし確か・・
「桃太郎はもう2回完結したぞ」
「じゃあシーズン3のスタートね。」
ああ言えばこう言う。今回は、10歳で鬼ヶ島に行った桃太郎、2回目で渡辺綱に付き従ったのが20歳、そして今回はさらに20年経って、元のお姫様と結婚した桃太郎は持ち帰った鬼の財宝のおかげで裕福に暮らしているが、子宝には恵まれなかった。ある秋の日に桃太郎が散歩していると、川の上流から大きな梨と大きなイガ栗が流れてきて、年はとっても力持ちの桃太郎は両方拾って持ち帰り、梨の中からは可愛らしいお姫様が、イガ栗の中の2つの実からは2人の男の子が産まれた、という話。
成長した梨姫は過去と未来を見通す能力を持ち、栗太郎と栗次郎は両方とも力持ちで賢く、栗太郎は物書きが、栗次郎は算術が得意という特徴を持つ。噂を聞いた老碓井貞光が、最近暴れ出した鬼の退治のために、3人を迎えに来る、という設定にした。このへんで息子は夢の世界に行ってしまった。
さあこれからどう展開して行こうか。少しは考えとこうかな。きょうはこれまで。それにしても、夜も蒸し暑いこと。せめて写真だけでも涼しげに。
そして東京。これがまた暑かった。帰りに大阪に着いたらまた生ぬるい空気が出迎えた。30度近くまで上がるのはそろそろやめにして欲しいのだが、いつまで暑いんだろう。バテバテだ。
しかし出張が多いと読書が進む。特にここのところ読みやすい作品が多いせいか、今月は、6日間で5冊。まあここからは本格派の小説や上下巻が控えているので、おそらく月末にはいつもくらいになるだろうが、それにしても早い。
寝かしつけの時の話、イザナキ、イザナミの話をしようとしたら、「それはもう聞いた。桃太郎・完結編にしてくれる?」とリクエストが。
ここまで、桃太郎の話を飛躍させて、犬猿キジだけだなく、猪に熊にムササビにカブトムシなどを加えたり、鬼と来れば、で頼光四天王に請われて渡辺綱の家来になったり、鬼も酒呑童子やいくしま童子や茨木童子に色んな性格付けをしたりエピソードをたくさん作ったりとバラエティに富んだ話をその場で作って来た。しかし確か・・
「桃太郎はもう2回完結したぞ」
「じゃあシーズン3のスタートね。」
ああ言えばこう言う。今回は、10歳で鬼ヶ島に行った桃太郎、2回目で渡辺綱に付き従ったのが20歳、そして今回はさらに20年経って、元のお姫様と結婚した桃太郎は持ち帰った鬼の財宝のおかげで裕福に暮らしているが、子宝には恵まれなかった。ある秋の日に桃太郎が散歩していると、川の上流から大きな梨と大きなイガ栗が流れてきて、年はとっても力持ちの桃太郎は両方拾って持ち帰り、梨の中からは可愛らしいお姫様が、イガ栗の中の2つの実からは2人の男の子が産まれた、という話。
成長した梨姫は過去と未来を見通す能力を持ち、栗太郎と栗次郎は両方とも力持ちで賢く、栗太郎は物書きが、栗次郎は算術が得意という特徴を持つ。噂を聞いた老碓井貞光が、最近暴れ出した鬼の退治のために、3人を迎えに来る、という設定にした。このへんで息子は夢の世界に行ってしまった。
さあこれからどう展開して行こうか。少しは考えとこうかな。きょうはこれまで。それにしても、夜も蒸し暑いこと。せめて写真だけでも涼しげに。
2013年10月1日火曜日
9月書評の2
週末は、暑い中運動会で朝から午後まで日なたに座っていた。昔の私の小学校みたく、地区ごとにテントを張ってこの中で見てね、という感じにはならないもんだろうか。あとは、離れたところに喫煙所を設けた方がいいと思う。無いとマナーが悪くなる。
食の細い息子もお弁当のおにぎりはやはり美味しいのか、普通サイズのを3つほぼ完食。パパと同じくらい食べた。
翌日は岡山に出掛けて外仕事。30度近くまで上がっただろう。また焼けたかな。ちょっとバテた。
さてでは後半スタート。記念すべき年間100作品目は、アッコちゃんでした。
三浦しをん
「まほろ駅前多田便利軒」
調子のいいタイトルだが、れっきとした直木賞受賞作だ。東京都から神奈川に突き出した形の地方都市、まほろ市で便利屋を営む多田のところに、ある日、高校の同級生で、何を考えてるか分からない行天が転がり込む。2人は依頼を通じて、さまざまな問題に突き当たる。
三浦しをんは、ここまで「舟を編む」「風が強く吹いている」と読んだが、マンガチックだなあ、という感想だった。タイトルからして、同様の展開を予想していたが、確かにそうではあるものの、こちらは石田衣良にも似た、街の事件簿のようなもので、深刻な過去がやがて浮き彫りにされる。
昔、「イカ天」で、セックス、ドラッグ、バイオレンスでロックンロール、とのたまった女ヴォーカルがいたが、そこを地で行っている感じだ。都合の良さも垣間見えるが、ここに来て初めて、三浦しをんの変幻自在ぶりが分かったような気もしている。
「まほろ」には、作品を超えたパワーがあるのは確かだ。ちなみに、まほろ市はあそこじゃないかな、と思ったら、解説にそんなことも書いてあった。もう一作、続編の「番外地」もあるそうだからいずれ読んでみよう。
道尾秀介「カラスの親指」
ともに哀しい過去を持つ、詐欺師コンビのタケさんとテツさん。2人の住まいへ、ひょんなことから18才のまひろが同居することに。さらにおかしな同居人が増えて、共通の敵に向かい、大掛かりな復讐作戦が発動される!
映画化された、芝居がかった物語。日本推理作家協会賞受賞作品。人情ものでもある。
道尾秀介といえば、暗い、が定番で序盤はコミカルな中にも、かなり暗いエッセンスが多く散りばめられている。サスペンス感も、ミステリー感も、人情ものの感じも、コミカルな雰囲気も、すべて内包した作品と言えるだろう。そういった意味では、これまで読んだ作品とはまた違う、人生観をも問うストーリーだ。
オチをどう評価するか。私的にはあまりにも大掛かり過ぎて納得するのが難しい。まあ物語だから、とも、作者持ち前の暗さを逆に活かした形になってるな、とも考えられる。思い切った、異色の作品であることは間違いないだろう。退屈はしない。
柚木麻子「ランチのアッコちゃん」
身長173センチ、営業部長のアッコさんと、フラれたばかりの派遣社員、三智子。アッコさんは、三智子が作るお弁当に目を留め、1週間、自分とランチを交代することを命じる。
「終点のあの子」で好感を持っていた柚木麻子。この作品はすでに10万部を売り上げ、ベストセラーになっている。大阪・梅田阪急の12Fレストランでは、この本に出てきた料理を出しているという。
私には珍しく、どうしても今すぐ欲しくなってハードカバーで買ってしまった。4編の短編が詰まっている。当初は8編にする予定だったとのことで、第2巻が出るのではないかと踏んでいる。表紙のお弁当写真は、デザイナーの手作りだそうだ。
マンガのような小説で、ストーリーも、そんなにうまく行くかいな、と冷静に思ったりするが、でも、でもね、これは傑作だ。出てくる食べ物も美味そうだが、東京の街が生き生きと描かれているのも見事な彩りとなっている。
何より活気がある。読後感が抜群にいい。柚木麻子、見込んだ通り、只者ではない。
乾ルカ「メグル」
大学学生部の不思議な女性、ユウキ。アルバイトを紹介する係の彼女は、時に強引に学生にアルバイトを引き受けさせ、最後にこう言う「あなたは行くべきよ。断らないでね。」そして学生には数奇な運命が待つ!
「あの日にかえりたい」が直木賞候補になったことで興味を持った乾ルカ。しかし最初に読んだ「蜜姫村」でいたく失望し、この本も買わないでおこうか迷ったが、おそらく、今回はこの作家の本質の一部に迫ることが出来たかな、と思う。
さらりとした筆致で、不思議で、おどろおどろしくもある現象を描く。ベースには、主人公に潜むドラマがある。舞台は北海道だが、さりげなさすぎる程の土地感覚しか表現が無い。不思議な部分には解決も説明もないが、今回はボトムに温かさ、滑稽さがあるため、絶妙のバランスが好感を与える。
これがシリーズになったら、また買っちゃいそうだ。「月光」も「あの日にかえりたい」も、読んでみたくなった。
アンソニー・ホロヴィッツ
「絹の家」
シャーロック・ホームズの正統派パスティーシュ。いや今回はパスティーシュと言っていいのかどうか。ホームズ物語は、56の短編と4つの長編から成っているが、「絹の家」はコナン・ドイル財団から正式に、シャーロック・ホームズ61番目の物語、として初めて認定されている。
ホームズへの依頼人をアメリカから追ってきたというギャングについての捜査中、ベイカー街イレギュラーズのメンバーが惨殺される。責任感を胸に、ホームズはあくまで戦うことを決意するが、相手は途轍もない組織だった・・!
アンソニー・ホロヴィッツの名前は聞き覚えがあったので、持っているパスティーシュ集を探してみたが一つも無かった。重厚にして長大な、迫力のあるホームズ物語。ホームズのセリフを含めて力強いものとなっている。最後まで飽きさせない仕掛けを含め、パスティーシュには珍しく、浮ついたところがあまり無い、パワーのある作品となっている。
冷静な目で見ると、発想の飛躍が見られる気もするし、やはり聖典と比べると丁寧では無いと思う。また、なんというか、ドイルは二重の仕掛けはあまり用いず、読者が絵、もしくはアニメ、もしくは映像として思い浮かぶシーンの構築に長けていたこともあり、ちょっと異質なものも感じる。
ただ、濃厚で傑作と言える、手応えのある、会心の一冊ではあった。最後は見事な展開かと思う。推理小説としてもいい出来である。
食の細い息子もお弁当のおにぎりはやはり美味しいのか、普通サイズのを3つほぼ完食。パパと同じくらい食べた。
翌日は岡山に出掛けて外仕事。30度近くまで上がっただろう。また焼けたかな。ちょっとバテた。
さてでは後半スタート。記念すべき年間100作品目は、アッコちゃんでした。
三浦しをん
「まほろ駅前多田便利軒」
調子のいいタイトルだが、れっきとした直木賞受賞作だ。東京都から神奈川に突き出した形の地方都市、まほろ市で便利屋を営む多田のところに、ある日、高校の同級生で、何を考えてるか分からない行天が転がり込む。2人は依頼を通じて、さまざまな問題に突き当たる。
三浦しをんは、ここまで「舟を編む」「風が強く吹いている」と読んだが、マンガチックだなあ、という感想だった。タイトルからして、同様の展開を予想していたが、確かにそうではあるものの、こちらは石田衣良にも似た、街の事件簿のようなもので、深刻な過去がやがて浮き彫りにされる。
昔、「イカ天」で、セックス、ドラッグ、バイオレンスでロックンロール、とのたまった女ヴォーカルがいたが、そこを地で行っている感じだ。都合の良さも垣間見えるが、ここに来て初めて、三浦しをんの変幻自在ぶりが分かったような気もしている。
「まほろ」には、作品を超えたパワーがあるのは確かだ。ちなみに、まほろ市はあそこじゃないかな、と思ったら、解説にそんなことも書いてあった。もう一作、続編の「番外地」もあるそうだからいずれ読んでみよう。
道尾秀介「カラスの親指」
ともに哀しい過去を持つ、詐欺師コンビのタケさんとテツさん。2人の住まいへ、ひょんなことから18才のまひろが同居することに。さらにおかしな同居人が増えて、共通の敵に向かい、大掛かりな復讐作戦が発動される!
映画化された、芝居がかった物語。日本推理作家協会賞受賞作品。人情ものでもある。
道尾秀介といえば、暗い、が定番で序盤はコミカルな中にも、かなり暗いエッセンスが多く散りばめられている。サスペンス感も、ミステリー感も、人情ものの感じも、コミカルな雰囲気も、すべて内包した作品と言えるだろう。そういった意味では、これまで読んだ作品とはまた違う、人生観をも問うストーリーだ。
オチをどう評価するか。私的にはあまりにも大掛かり過ぎて納得するのが難しい。まあ物語だから、とも、作者持ち前の暗さを逆に活かした形になってるな、とも考えられる。思い切った、異色の作品であることは間違いないだろう。退屈はしない。
柚木麻子「ランチのアッコちゃん」
身長173センチ、営業部長のアッコさんと、フラれたばかりの派遣社員、三智子。アッコさんは、三智子が作るお弁当に目を留め、1週間、自分とランチを交代することを命じる。
「終点のあの子」で好感を持っていた柚木麻子。この作品はすでに10万部を売り上げ、ベストセラーになっている。大阪・梅田阪急の12Fレストランでは、この本に出てきた料理を出しているという。
私には珍しく、どうしても今すぐ欲しくなってハードカバーで買ってしまった。4編の短編が詰まっている。当初は8編にする予定だったとのことで、第2巻が出るのではないかと踏んでいる。表紙のお弁当写真は、デザイナーの手作りだそうだ。
マンガのような小説で、ストーリーも、そんなにうまく行くかいな、と冷静に思ったりするが、でも、でもね、これは傑作だ。出てくる食べ物も美味そうだが、東京の街が生き生きと描かれているのも見事な彩りとなっている。
何より活気がある。読後感が抜群にいい。柚木麻子、見込んだ通り、只者ではない。
乾ルカ「メグル」
大学学生部の不思議な女性、ユウキ。アルバイトを紹介する係の彼女は、時に強引に学生にアルバイトを引き受けさせ、最後にこう言う「あなたは行くべきよ。断らないでね。」そして学生には数奇な運命が待つ!
「あの日にかえりたい」が直木賞候補になったことで興味を持った乾ルカ。しかし最初に読んだ「蜜姫村」でいたく失望し、この本も買わないでおこうか迷ったが、おそらく、今回はこの作家の本質の一部に迫ることが出来たかな、と思う。
さらりとした筆致で、不思議で、おどろおどろしくもある現象を描く。ベースには、主人公に潜むドラマがある。舞台は北海道だが、さりげなさすぎる程の土地感覚しか表現が無い。不思議な部分には解決も説明もないが、今回はボトムに温かさ、滑稽さがあるため、絶妙のバランスが好感を与える。
これがシリーズになったら、また買っちゃいそうだ。「月光」も「あの日にかえりたい」も、読んでみたくなった。
アンソニー・ホロヴィッツ
「絹の家」
シャーロック・ホームズの正統派パスティーシュ。いや今回はパスティーシュと言っていいのかどうか。ホームズ物語は、56の短編と4つの長編から成っているが、「絹の家」はコナン・ドイル財団から正式に、シャーロック・ホームズ61番目の物語、として初めて認定されている。
ホームズへの依頼人をアメリカから追ってきたというギャングについての捜査中、ベイカー街イレギュラーズのメンバーが惨殺される。責任感を胸に、ホームズはあくまで戦うことを決意するが、相手は途轍もない組織だった・・!
アンソニー・ホロヴィッツの名前は聞き覚えがあったので、持っているパスティーシュ集を探してみたが一つも無かった。重厚にして長大な、迫力のあるホームズ物語。ホームズのセリフを含めて力強いものとなっている。最後まで飽きさせない仕掛けを含め、パスティーシュには珍しく、浮ついたところがあまり無い、パワーのある作品となっている。
冷静な目で見ると、発想の飛躍が見られる気もするし、やはり聖典と比べると丁寧では無いと思う。また、なんというか、ドイルは二重の仕掛けはあまり用いず、読者が絵、もしくはアニメ、もしくは映像として思い浮かぶシーンの構築に長けていたこともあり、ちょっと異質なものも感じる。
ただ、濃厚で傑作と言える、手応えのある、会心の一冊ではあった。最後は見事な展開かと思う。推理小説としてもいい出来である。
2013年9月30日月曜日
9月書評の1
今週は、エアコンの必要はなかったが、まだうちわは必須アイテムである。バス停から帰りの坂道を登って汗ばむことが無くなったらやっと秋深まる、というところなんだろう。でも大体毎年、少し暑い、からいきなり寒くなるからなあ。さて、今月は11作品。行ってみましょう!
長友佑都「日本男児」
熱い、あまりにも熱い、ナガトモの本。2011年春の発行で、生い立ちと、北京オリンピック出場、南アフリカワールドカップ、チェゼーナ移籍、アジアカップ2011優勝、インテルへの電撃移籍、東日本大震災の時のこと、インテルでの日々等々が記されている。
彼がハングリーな理由、どのように物事を考え、困難に向かって行くか、が繰り返し本人の言葉で語られている。他のサッカー選手の本には、日本代表で仲の良い選手のことや、プライベートのことも出てくるものだが、そのような副産物はまったくない。ミーハーな読者としては、期待するところではある。ただ、ブログなどでは、必ずしも雄弁ではないナガトモがまっすぐに語りかけた書であることには疑いがない。楽しく読めた。
涙腺が緩いのか、震災の時の話を読んで、あの時のことを思い出し、涙してしまった。
高橋克彦「白妖鬼」
少し前に読んだ、同作者「鬼」の続編と言っていい。陰陽師である弓削是雄は赴任先の陸奥で、突如罷免される。その直後、烏天狗姿の暗殺者が!
時は坂上田村麻呂に制圧された蝦夷がまだ朝廷=内裏に対し怨みを抱いている頃の話。さまざまな術を使い、鬼を退治する陰陽師の活躍を描く。「鬼」は主人公の違う、連作短編集だったが、今回は「鬼」にも登場した、主人公の弓削是雄が、前作をベースに活躍する。
今回は、お色気あり、立ち回りありの時代活劇で、司馬遼太郎の「梟の城」を思い出した。オチも大きく、エンタメとして、面白かった。いやー鬼好きのミニな楽しみである。誰か分かってくれるだろうか(笑)。
高橋克彦「長人鬼」
陰陽師・弓削是雄とその仲間たちの冒険活劇第2弾。凶事相次ぐ都。是雄は関白太政大臣の命で淡路に踏査に出掛ける。一方、是雄不在の都では、人の背丈をはるかに越す大きさの鬼が現れた。
上の「白妖鬼」に続く陰陽師シリーズとしては3つめの作品。一気に読める。半日で読んでしまった。前回も最後は大物だったが、今回も意外な形で大物が登場する。もうシリーズ作は出てないのだろうかと調べてみると、まだ「空中鬼」、是雄ものではないが「紅蓮鬼」とあるらしい。楽しみにとっておこう。この時代の描写も、なかなか好きである。ああ、面白かった。
吉村昭「吉村昭の平家物語」
平家物語の訳出である。ところどころ削ったところもあるらしい。良くある事で、ブックオフでこの本を見つけた折り、呼ばれているような気がして買ってしまった。
なんというか、描写が、あまりにも詳しいので、伝承にプラスして創り話がそこかしこに入っている感じだ。平家、というよりは平清盛をひたすら悪役にしようとしていて、鎌倉時代の成立というのも分かる気がする。
那須与一の話や鵯越の話もありと、さすが800年も長らえて来た物語、読み出すと夢中になった。平家のプライドの高さ、源頼朝の、異常なほどの疑い深さも描かれ、全体に無常観が漂っている。
やはり名作である。
東野圭吾「夜明けの街で」
不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた、妻子持ちの渡部は、会社に来ていた派遣社員、仲西秋葉と深い仲になった。彼女には、15年前に起きた殺人事件の犯人では、との容疑がかかっていた。
不倫について、男の生々しい感情を、素敵な横浜デートとともに描きながら、サスペンスを絡めて行く。最後は、これでおしまいか、という軽さー。お手軽に楽しめる、東野圭吾の本懐の一つだと思う。
まあ特殊な状況だし、グダグダにならないのがまた現実離れしているが、楽しめた。男の本音が垣間見れる。なんか、「モンスター」に似てるかな。あんなにえぐくないけれど。
三崎亜紀「となり町戦争」
三崎亜紀のデビュー作にしてすばる文学新人賞受賞作、直木賞候補作。映画化もされたらしい。
「僕」は、住んでいる町の広報紙で、となり町と戦争状態に入る事を知る。しかし、日常はまったく変わらず、戦いの匂いすらしない。そのうちに、町役場のとなり町戦争推進係から、特別任務を依頼される。
最後までネタはバラされないが、この小説自体が現代社会への、大きな隠喩となっているところは誰もが気付くと思う。筆者は熊本市職員だったそうだが、その経験を土台に、見事にまとめている。
文章は純文学風。またも村上春樹チックというと「なんでもそう思うか?」と言われそうだが、似ているのだから仕方がない。表現を考え抜いて、効果まで計算しているのは素晴らしい。
難を言えば教科書的か。もちろん起きている事それ自体はコケティッシュなのだが、淡々とし過ぎずに、あえて踏み込むことも必要かも知れないな、と思った。直木賞候補時の審査員の評に負けず、これを超える作品を描けるか。楽しみである。
長友佑都「日本男児」
熱い、あまりにも熱い、ナガトモの本。2011年春の発行で、生い立ちと、北京オリンピック出場、南アフリカワールドカップ、チェゼーナ移籍、アジアカップ2011優勝、インテルへの電撃移籍、東日本大震災の時のこと、インテルでの日々等々が記されている。
彼がハングリーな理由、どのように物事を考え、困難に向かって行くか、が繰り返し本人の言葉で語られている。他のサッカー選手の本には、日本代表で仲の良い選手のことや、プライベートのことも出てくるものだが、そのような副産物はまったくない。ミーハーな読者としては、期待するところではある。ただ、ブログなどでは、必ずしも雄弁ではないナガトモがまっすぐに語りかけた書であることには疑いがない。楽しく読めた。
涙腺が緩いのか、震災の時の話を読んで、あの時のことを思い出し、涙してしまった。
高橋克彦「白妖鬼」
少し前に読んだ、同作者「鬼」の続編と言っていい。陰陽師である弓削是雄は赴任先の陸奥で、突如罷免される。その直後、烏天狗姿の暗殺者が!
時は坂上田村麻呂に制圧された蝦夷がまだ朝廷=内裏に対し怨みを抱いている頃の話。さまざまな術を使い、鬼を退治する陰陽師の活躍を描く。「鬼」は主人公の違う、連作短編集だったが、今回は「鬼」にも登場した、主人公の弓削是雄が、前作をベースに活躍する。
今回は、お色気あり、立ち回りありの時代活劇で、司馬遼太郎の「梟の城」を思い出した。オチも大きく、エンタメとして、面白かった。いやー鬼好きのミニな楽しみである。誰か分かってくれるだろうか(笑)。
高橋克彦「長人鬼」
陰陽師・弓削是雄とその仲間たちの冒険活劇第2弾。凶事相次ぐ都。是雄は関白太政大臣の命で淡路に踏査に出掛ける。一方、是雄不在の都では、人の背丈をはるかに越す大きさの鬼が現れた。
上の「白妖鬼」に続く陰陽師シリーズとしては3つめの作品。一気に読める。半日で読んでしまった。前回も最後は大物だったが、今回も意外な形で大物が登場する。もうシリーズ作は出てないのだろうかと調べてみると、まだ「空中鬼」、是雄ものではないが「紅蓮鬼」とあるらしい。楽しみにとっておこう。この時代の描写も、なかなか好きである。ああ、面白かった。
吉村昭「吉村昭の平家物語」
平家物語の訳出である。ところどころ削ったところもあるらしい。良くある事で、ブックオフでこの本を見つけた折り、呼ばれているような気がして買ってしまった。
なんというか、描写が、あまりにも詳しいので、伝承にプラスして創り話がそこかしこに入っている感じだ。平家、というよりは平清盛をひたすら悪役にしようとしていて、鎌倉時代の成立というのも分かる気がする。
那須与一の話や鵯越の話もありと、さすが800年も長らえて来た物語、読み出すと夢中になった。平家のプライドの高さ、源頼朝の、異常なほどの疑い深さも描かれ、全体に無常観が漂っている。
やはり名作である。
東野圭吾「夜明けの街で」
不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた、妻子持ちの渡部は、会社に来ていた派遣社員、仲西秋葉と深い仲になった。彼女には、15年前に起きた殺人事件の犯人では、との容疑がかかっていた。
不倫について、男の生々しい感情を、素敵な横浜デートとともに描きながら、サスペンスを絡めて行く。最後は、これでおしまいか、という軽さー。お手軽に楽しめる、東野圭吾の本懐の一つだと思う。
まあ特殊な状況だし、グダグダにならないのがまた現実離れしているが、楽しめた。男の本音が垣間見れる。なんか、「モンスター」に似てるかな。あんなにえぐくないけれど。
三崎亜紀「となり町戦争」
三崎亜紀のデビュー作にしてすばる文学新人賞受賞作、直木賞候補作。映画化もされたらしい。
「僕」は、住んでいる町の広報紙で、となり町と戦争状態に入る事を知る。しかし、日常はまったく変わらず、戦いの匂いすらしない。そのうちに、町役場のとなり町戦争推進係から、特別任務を依頼される。
最後までネタはバラされないが、この小説自体が現代社会への、大きな隠喩となっているところは誰もが気付くと思う。筆者は熊本市職員だったそうだが、その経験を土台に、見事にまとめている。
文章は純文学風。またも村上春樹チックというと「なんでもそう思うか?」と言われそうだが、似ているのだから仕方がない。表現を考え抜いて、効果まで計算しているのは素晴らしい。
難を言えば教科書的か。もちろん起きている事それ自体はコケティッシュなのだが、淡々とし過ぎずに、あえて踏み込むことも必要かも知れないな、と思った。直木賞候補時の審査員の評に負けず、これを超える作品を描けるか。楽しみである。
2013年9月24日火曜日
残暑
上での予報どおり、まだまだ暑い。日中は30度を越すし、夜も、エアコンの除湿が必要だ。一時期、朝夕はかなり涼しく、薄い上着でちょうどくらいだったが、ここ数日は朝から強い陽射しが照り付け、半袖で充分な感じだ。
この土日は、プチお出かけに終始。学校で流行っているという、アメジストや水晶を売っているアクセサリー屋さんに行ったり、おもちゃや本を見に行ったり。一応全部本人の希望なのだが、息子はつまんない、とおかんむりだった(笑)。月曜はパパ仕事で、ママと梅田に行ったとか。
やっぱり先週のように、早起きして、身体を動かす遠出をしないと、楽しくないよね、と息子に言う。さあ、どこ行こうか。季節柄も良くなるし、パパの腕の見せどころでもある。秋はまた土日大変多忙ではあるのだが。
きのう今日は地元のお祭りだった。お出かけの途中に、前に住んでいたところの近くを通った。息子が子供ながら、懐かしいような、ちょっと遠い目をして、久しぶりー、ここはこうだったっけー?などと言っていた。この坂を一緒に下って行く時、雪が降ったよねえ、駅に行くには近道があって・・、なんて話も出る。子供にとって何が思い出深いか、ということを聞くのは本当にいとおしい感覚だ。おそらくはそんな何気ない記憶が、一生頭の片隅にのこるからだ。
彼は、ゴールデンウィークに、いつも六本木ヒルズから見ていた東京タワーにヒルズから歩いて行って、階段で展望台まで昇った事を、よく覚えている。イベントでなくとも、すでに妻の料理はおふくろの味だし、何気ない会話も、風景の記憶も、これからどんどん増えていく。まだそれが信じられない。
暑くて、2人でペットボトルをガブガブ飲みながら長く歩いた。見上げた空は、秋らしく高かった。
この土日は、プチお出かけに終始。学校で流行っているという、アメジストや水晶を売っているアクセサリー屋さんに行ったり、おもちゃや本を見に行ったり。一応全部本人の希望なのだが、息子はつまんない、とおかんむりだった(笑)。月曜はパパ仕事で、ママと梅田に行ったとか。
やっぱり先週のように、早起きして、身体を動かす遠出をしないと、楽しくないよね、と息子に言う。さあ、どこ行こうか。季節柄も良くなるし、パパの腕の見せどころでもある。秋はまた土日大変多忙ではあるのだが。
きのう今日は地元のお祭りだった。お出かけの途中に、前に住んでいたところの近くを通った。息子が子供ながら、懐かしいような、ちょっと遠い目をして、久しぶりー、ここはこうだったっけー?などと言っていた。この坂を一緒に下って行く時、雪が降ったよねえ、駅に行くには近道があって・・、なんて話も出る。子供にとって何が思い出深いか、ということを聞くのは本当にいとおしい感覚だ。おそらくはそんな何気ない記憶が、一生頭の片隅にのこるからだ。
彼は、ゴールデンウィークに、いつも六本木ヒルズから見ていた東京タワーにヒルズから歩いて行って、階段で展望台まで昇った事を、よく覚えている。イベントでなくとも、すでに妻の料理はおふくろの味だし、何気ない会話も、風景の記憶も、これからどんどん増えていく。まだそれが信じられない。
暑くて、2人でペットボトルをガブガブ飲みながら長く歩いた。見上げた空は、秋らしく高かった。
2013年9月16日月曜日
台風襲来
16日午前3時。1時間ほど前に目覚め、台風情報を見つめている。yahoo!を開くと、自分が住んでいる自治体に「避難勧告」が出ていてびっくりする。だいぶ北の方で川の水位が上がったようだ。いまいる地域が対象ではないが、それにしてもひどい吹き降りだ。大型とはいえ、台風の中心部は潮岬の方だから、こんなに雨風が強まるとは正直思ってなかった。日中は外に出ていて、あまりひどくなる気配を感じなかったので、心理的に油断していた。
昨年実感したのだが、マンションは台風に強い。同じくらいの吹き降りで、向かいの家ではトタンの屋根がバリバリ音を立ててはがれていったりしてても、マンションはびくともしない。ベランダもさほど風は吹かなかった。
一軒家に移った今は心配事が多い。東京でテラスハウスに住んでいた時もそうだった。周囲に置いているものが飛ばないか、窓ガラスの周りに危険なものは無いか、大げさに言えば家族の命は安全か、など、すべて自分の責任だけに、現在の正直な心理は、怖い、だ。風はますます強くなった気がする。たまに家全体が震えるほどの強風が吹く。こうなると、出来ることはテレビで台風の情報を取りながら、少しでも早く過ぎ去ることを祈るだけだ。
京都に、史上初めての特別警報が出た。テレビをつけてソファに横になってうつらうつらしながらしばらく、夜が明けた頃に、雨風ともにようやく弱くなってきた。しかし「吹き返し」というのか、風はまだ時々強く吹く。いずれにしても、ヤマは過ぎたようだ。もうしばらく様子を見て、寝よう。
この3連休は、台風襲来か、とのたことで、まず天気が崩れる前の14日に、天保山に行った。仕事を含めても、17年ぶりくらいだろうか。
大道芸人の、背が高〜い方々がチラシを配ってて、イベント感が高まる。いつも家からは見ているが、やはり、海や船が間近にあるせいか、息子のテンションは上がっている。
チケット買って、いよいよ中へ。最初は、カワウソ。ちょうど餌を与えているところで、ポーンと放った魚を、カワウソが素早く泳いで取りに行く。メイン水槽までには、アシカやラッコやアザラシ、カピバラまでいて、なかなか楽しめる。人は多いが、小学校中学年の息子が、するすると1人で前へ行ける。それくらいの人出だった。
そしてエスカレーターを上がって、メイン水槽!だったが、ジンベイザメを見た時のコメントは「ちっちゃ!」だった。離れたところを泳いでいたこともあるが、息子は、もっともっとどでかい、ちゅら海水族館くらいの大きさを予想してたのだろう。ここから先は、大水槽を廻りながら降りて行く構造、ということもあり、テンション下がり気味。
出て、ショップで物色。ママのお土産はジンベイザメマグネットを買ったが、買った後でジンベイザメ鍋つかみを発見。ありゃ、こっちの方が面白そうだったなと思った。ジュニアはというと、水晶とか、めのうとか鉱石のコーナーでなにやら思案している。
小学校で綺麗な石が流行っているので、どれがいいか考えているのだ。結局透明の水晶、また名前は忘れたが、青の、やはり綺麗な石を買った。宝物袋もかって、しめて1000円。海遊館と観覧車には、設定価格の高さを感じさせるが、売店は安い。
観覧車に乗るには天保山マーケットプレイスの中を通るが、100円ショップがあるというのでのぞいてみた。パパは屋上テラスに置いてある灰皿が錆びて壊れたので、新しいのを買う。息子はというと、テレビでやってる消しカスくん、というアニメの消しゴムを発見して買ってほくほく。東京ではよく一緒に行ったなあ。
観覧車は、この界隈では最も大きなものだが、あまり感慨なし?降りて、マーケットプレイスの中を見物、と、忍者屋敷のアトラクション発見。ところどころ仕掛けがあって、槍が上から降って来たり、床を踏んだ感触をふわっとさせ、落とし穴の擬似体験をさせたり、障子戸を開けたら人形が切りかかって来たりと、息子大興奮。狭いし、まあ子供だましなのだが、子供だからね(笑)。
さらに不思議なトンネルと、海賊アトラクション。海賊の衣装を着た、胸元の甘いお姉さんが案内する。これも客引きか?要は隠し扉付きの迷路で、入る前に、お宝の入ったビニール袋を持ってみて、重さを覚える。迷路を突破してお宝の箱を見つけ、これと同じ重さだけ、ビニール袋に入れて帰って来てください、というゲーム。ちなみに目標の重さは77グラムだ。
かなり狭い迷路で、同じところをグルグル回っているようでさっぱり分からない。途中例のお姉さんが入って来てヒントをくれる。ついに隠し扉を発見して、お宝ゲット。ゴールして、息子が計る。90グラムオーバー。ありゃ。パパも自信ないな、でも76グラム。景品うまい棒2本。息子は悔しかったのかもう一度挑戦。1人で行かせてパパトイレ。帰った頃に、かのお姉さんに「めっちゃ重いやん!」とツッコミを入れられている息子を発見。2回めのミッションも失敗に終わったか。
お腹も減ったので、私はカレー、息子はパンケーキ食べて、出るとクロックスショップ発見。息子はクロックスのサンダルを履いてて、街で見かけたポケモンのワンポイントを買いたいという。なんかませた会話だな、とちょっと思う。ピカチュウ買ってさっそく付けて帰る。
帰りの道のりは暑い、後で見ると最高33度。そりゃ暑いわ。電車バスは時間がかかったけれど、夕方には帰り着き、よく遊んだ1日は終了。夏休みどこも連れてってやってなかったから、ちょっとホッとした。
こうして翌日は雨の中仕事へ出掛け、夜に台風襲来となるのだった。
結局、台風を見送った後、朝9時ごろに寝て、昼に起きて、午後はゴロゴロ。息子とipadでレゴの情報を探して遊ぶ。レゴの無料ゲームを発見して、息子が夢中になっている間にパパは自分の部屋でゴロゴロ。外はまだ風が強いが、いい天気だ。
毎年この時期の台風で空気が涼しく入れ替わるものだが、まだ晴れには最高30度の日もあるとか。ともかく、今年も猛暑超え、台風も超えた。もう来るなよー。
昨年実感したのだが、マンションは台風に強い。同じくらいの吹き降りで、向かいの家ではトタンの屋根がバリバリ音を立ててはがれていったりしてても、マンションはびくともしない。ベランダもさほど風は吹かなかった。
一軒家に移った今は心配事が多い。東京でテラスハウスに住んでいた時もそうだった。周囲に置いているものが飛ばないか、窓ガラスの周りに危険なものは無いか、大げさに言えば家族の命は安全か、など、すべて自分の責任だけに、現在の正直な心理は、怖い、だ。風はますます強くなった気がする。たまに家全体が震えるほどの強風が吹く。こうなると、出来ることはテレビで台風の情報を取りながら、少しでも早く過ぎ去ることを祈るだけだ。
京都に、史上初めての特別警報が出た。テレビをつけてソファに横になってうつらうつらしながらしばらく、夜が明けた頃に、雨風ともにようやく弱くなってきた。しかし「吹き返し」というのか、風はまだ時々強く吹く。いずれにしても、ヤマは過ぎたようだ。もうしばらく様子を見て、寝よう。
この3連休は、台風襲来か、とのたことで、まず天気が崩れる前の14日に、天保山に行った。仕事を含めても、17年ぶりくらいだろうか。
大道芸人の、背が高〜い方々がチラシを配ってて、イベント感が高まる。いつも家からは見ているが、やはり、海や船が間近にあるせいか、息子のテンションは上がっている。
チケット買って、いよいよ中へ。最初は、カワウソ。ちょうど餌を与えているところで、ポーンと放った魚を、カワウソが素早く泳いで取りに行く。メイン水槽までには、アシカやラッコやアザラシ、カピバラまでいて、なかなか楽しめる。人は多いが、小学校中学年の息子が、するすると1人で前へ行ける。それくらいの人出だった。
そしてエスカレーターを上がって、メイン水槽!だったが、ジンベイザメを見た時のコメントは「ちっちゃ!」だった。離れたところを泳いでいたこともあるが、息子は、もっともっとどでかい、ちゅら海水族館くらいの大きさを予想してたのだろう。ここから先は、大水槽を廻りながら降りて行く構造、ということもあり、テンション下がり気味。
出て、ショップで物色。ママのお土産はジンベイザメマグネットを買ったが、買った後でジンベイザメ鍋つかみを発見。ありゃ、こっちの方が面白そうだったなと思った。ジュニアはというと、水晶とか、めのうとか鉱石のコーナーでなにやら思案している。
小学校で綺麗な石が流行っているので、どれがいいか考えているのだ。結局透明の水晶、また名前は忘れたが、青の、やはり綺麗な石を買った。宝物袋もかって、しめて1000円。海遊館と観覧車には、設定価格の高さを感じさせるが、売店は安い。
観覧車に乗るには天保山マーケットプレイスの中を通るが、100円ショップがあるというのでのぞいてみた。パパは屋上テラスに置いてある灰皿が錆びて壊れたので、新しいのを買う。息子はというと、テレビでやってる消しカスくん、というアニメの消しゴムを発見して買ってほくほく。東京ではよく一緒に行ったなあ。
観覧車は、この界隈では最も大きなものだが、あまり感慨なし?降りて、マーケットプレイスの中を見物、と、忍者屋敷のアトラクション発見。ところどころ仕掛けがあって、槍が上から降って来たり、床を踏んだ感触をふわっとさせ、落とし穴の擬似体験をさせたり、障子戸を開けたら人形が切りかかって来たりと、息子大興奮。狭いし、まあ子供だましなのだが、子供だからね(笑)。
さらに不思議なトンネルと、海賊アトラクション。海賊の衣装を着た、胸元の甘いお姉さんが案内する。これも客引きか?要は隠し扉付きの迷路で、入る前に、お宝の入ったビニール袋を持ってみて、重さを覚える。迷路を突破してお宝の箱を見つけ、これと同じ重さだけ、ビニール袋に入れて帰って来てください、というゲーム。ちなみに目標の重さは77グラムだ。
かなり狭い迷路で、同じところをグルグル回っているようでさっぱり分からない。途中例のお姉さんが入って来てヒントをくれる。ついに隠し扉を発見して、お宝ゲット。ゴールして、息子が計る。90グラムオーバー。ありゃ。パパも自信ないな、でも76グラム。景品うまい棒2本。息子は悔しかったのかもう一度挑戦。1人で行かせてパパトイレ。帰った頃に、かのお姉さんに「めっちゃ重いやん!」とツッコミを入れられている息子を発見。2回めのミッションも失敗に終わったか。
お腹も減ったので、私はカレー、息子はパンケーキ食べて、出るとクロックスショップ発見。息子はクロックスのサンダルを履いてて、街で見かけたポケモンのワンポイントを買いたいという。なんかませた会話だな、とちょっと思う。ピカチュウ買ってさっそく付けて帰る。
帰りの道のりは暑い、後で見ると最高33度。そりゃ暑いわ。電車バスは時間がかかったけれど、夕方には帰り着き、よく遊んだ1日は終了。夏休みどこも連れてってやってなかったから、ちょっとホッとした。
こうして翌日は雨の中仕事へ出掛け、夜に台風襲来となるのだった。
結局、台風を見送った後、朝9時ごろに寝て、昼に起きて、午後はゴロゴロ。息子とipadでレゴの情報を探して遊ぶ。レゴの無料ゲームを発見して、息子が夢中になっている間にパパは自分の部屋でゴロゴロ。外はまだ風が強いが、いい天気だ。
毎年この時期の台風で空気が涼しく入れ替わるものだが、まだ晴れには最高30度の日もあるとか。ともかく、今年も猛暑超え、台風も超えた。もう来るなよー。
2013年9月8日日曜日
本の記憶
手に入れるだけで嬉しい本はあるものだ。最近で言えば「小さいおうち」とか「月と蟹」がそうだった。情報を仕入れた時の直感で、一刻も早く手に入れたいと思う。そんな心理現象がよくある。
そんな本がここ数日で出て来て、さっそく買って来た。私には珍しくハードカバーである。何かというと・・それは、来月1日の9月書評で書こうと思う。(笑)分かるように書きます。
私は子供の頃、よく本を読んでいたから近隣の口の悪い子らから「本読みきちがい」と言われたりした。父親は、私が良く読むのを見て、数冊の本を私に与えた。
よく覚えているのが「無人島の三少年」という、漂流ものである。無人島で工夫をして生き延びたり、隠れた洞窟を見つけたりするのが面白かった。
次に覚えているのは、「漫画 日本神話」である。古事記の、イザナギ、イザナミの話から、天の岩戸、ニニギノミコトの天孫降臨のあたりまでを、時にギャグを交えながら、描いてあった。難しい言葉もあったが、私には、すごく面白かった。手に入るなら、もう一度読みたい本だ。
そして、「ベッドタイムストーリーズ」これは、聖書のエピソードを子供向けに分かりやすく書いたものだった。
他にもマンガや、小学校で借りてくる「怪人二十面相」など、本は溢れていたが、上の3種類の本は、ことさら覚えている。特に後の2冊は、どちらも学校では教えないもので、今考えると父の意図を感じる。
とまあ、幼い頃の本の思い出はこんな感じだ。今に影響しているとは言わないが、これからも、忘れないだろう。
土曜は、お昼食べてから外出。息子が、ふもとのコンビニでゲームのカード買いたい、その後どこか遊びに行きたい、と言い出したので、とりあえず出る、と結構な雨が降り出した。
バスに乗って、コンビニ前のバス停で降りてカードゲーム買った後もまだまだ降り続いている。私は小さい折りたたみ傘しか持ってなくて、これではかなわん、と大きなビニール傘を買い、コンビニのポリ袋に濡れた折りたたみを入れて再出発。
駅前の本屋に立ち寄って、息子のポケモン漫画を購入、本屋から出ると雨は止んでいたが、まだ雲行きはあやしく、時間的にも遠出は出来ないと、西宮ガーデンズへ。Joshinでおもちゃ見て、イナズマイレブンのカード買って再び本屋へ。
駅前の本屋ではベストセラーのはずなのに無かった、目指す本が、こちらでは一冊だけあって即購入。あああ良かった、と帰路に就く。雨の西宮はいつもの事ながらまあ車が混んで、30分のバスが50分近くかかってようやく地元のバス停に帰り着く。家に入ったすぐ後にまた激しい雨が降り出し、ラッキーだった。
朝、息子が、「オリンピック、東京だって」と起こしに来た。「ええーっ、ほんと?」と返したが、そのまま寝ていた。オリンピック開催決定は誠に喜ばしいが、これでまた過度の東京一極集中が進むなあ、という気持ちもある。
午後はパスポートを受け取りに行った。息子はメモ用紙で紙飛行機を折っていた。私はまたブックオフ。合流してから息子のポケモントレッタに付き合った。この日はあまり強いポケモンは対戦相手に出なかった。さんちかでそば定食食べて、ゴディバでチョコレートの飲み物テイクアウトして帰る。雨がちの日、また夏休み疲れもあるのだろうか。都市高速はガラガラだった。
帰って、ママは男子バレー、パパはU-18の野球を観るが、負け負け。男子バレーは女子復活に比してまだまだ感がある。野球はどの年代でも、アメリカは永遠のライバルだ。
次週の3連休はどこかへ出掛けたいな。
そんな本がここ数日で出て来て、さっそく買って来た。私には珍しくハードカバーである。何かというと・・それは、来月1日の9月書評で書こうと思う。(笑)分かるように書きます。
私は子供の頃、よく本を読んでいたから近隣の口の悪い子らから「本読みきちがい」と言われたりした。父親は、私が良く読むのを見て、数冊の本を私に与えた。
よく覚えているのが「無人島の三少年」という、漂流ものである。無人島で工夫をして生き延びたり、隠れた洞窟を見つけたりするのが面白かった。
次に覚えているのは、「漫画 日本神話」である。古事記の、イザナギ、イザナミの話から、天の岩戸、ニニギノミコトの天孫降臨のあたりまでを、時にギャグを交えながら、描いてあった。難しい言葉もあったが、私には、すごく面白かった。手に入るなら、もう一度読みたい本だ。
そして、「ベッドタイムストーリーズ」これは、聖書のエピソードを子供向けに分かりやすく書いたものだった。
他にもマンガや、小学校で借りてくる「怪人二十面相」など、本は溢れていたが、上の3種類の本は、ことさら覚えている。特に後の2冊は、どちらも学校では教えないもので、今考えると父の意図を感じる。
とまあ、幼い頃の本の思い出はこんな感じだ。今に影響しているとは言わないが、これからも、忘れないだろう。
土曜は、お昼食べてから外出。息子が、ふもとのコンビニでゲームのカード買いたい、その後どこか遊びに行きたい、と言い出したので、とりあえず出る、と結構な雨が降り出した。
バスに乗って、コンビニ前のバス停で降りてカードゲーム買った後もまだまだ降り続いている。私は小さい折りたたみ傘しか持ってなくて、これではかなわん、と大きなビニール傘を買い、コンビニのポリ袋に濡れた折りたたみを入れて再出発。
駅前の本屋に立ち寄って、息子のポケモン漫画を購入、本屋から出ると雨は止んでいたが、まだ雲行きはあやしく、時間的にも遠出は出来ないと、西宮ガーデンズへ。Joshinでおもちゃ見て、イナズマイレブンのカード買って再び本屋へ。
駅前の本屋ではベストセラーのはずなのに無かった、目指す本が、こちらでは一冊だけあって即購入。あああ良かった、と帰路に就く。雨の西宮はいつもの事ながらまあ車が混んで、30分のバスが50分近くかかってようやく地元のバス停に帰り着く。家に入ったすぐ後にまた激しい雨が降り出し、ラッキーだった。
朝、息子が、「オリンピック、東京だって」と起こしに来た。「ええーっ、ほんと?」と返したが、そのまま寝ていた。オリンピック開催決定は誠に喜ばしいが、これでまた過度の東京一極集中が進むなあ、という気持ちもある。
午後はパスポートを受け取りに行った。息子はメモ用紙で紙飛行機を折っていた。私はまたブックオフ。合流してから息子のポケモントレッタに付き合った。この日はあまり強いポケモンは対戦相手に出なかった。さんちかでそば定食食べて、ゴディバでチョコレートの飲み物テイクアウトして帰る。雨がちの日、また夏休み疲れもあるのだろうか。都市高速はガラガラだった。
帰って、ママは男子バレー、パパはU-18の野球を観るが、負け負け。男子バレーは女子復活に比してまだまだ感がある。野球はどの年代でも、アメリカは永遠のライバルだ。
次週の3連休はどこかへ出掛けたいな。
2013年9月1日日曜日
小ビータ
またしばらく出張はないのだが、丹波の方へ出掛けて来た。
尼崎から丹波路快速で1時間。終点の篠山口から各駅停車に乗り換えて45分、福知山線の市島という駅近辺に用事があった。
近くの、モダンな蕎麦屋で昼食。ざるそばと蕎麦の実雑炊。美味かったが、正直腹は膨れなかった。
丹波は山深い。天気を調べると、朝方はもう18度。自宅近辺でもここのところ朝晩涼しいが、日中の陽射しの中でも、爽やかな感じがした。いいお出掛けだった。
我が家のカブトムシは、メスが土に潜ったまま出てこなくなった。貰った人によれば、エサ食べずに潜ってても生きてますよ、とのこと。オスは相変わらずガサガサ動いては、ひっくり返って、足をバタつかせている。ボールペンで起こしてやるのが帰って来てからの日課になった。
さらに別の人がオオクワガタをくれた。こいつは、居所を移すと、さっそく土に潜ったまま、やはり出てこない。カブトムシと違って冬を越して2〜3年は生きるという話である。
平日休で、パスポートを作りに三宮へ。申請はすぐ済み、中華の昼ごはん。その後パパはブックオフへ。息子ママはそごうへ。そごうにはポケモントレッタがあっらしく、息子は超レアのトレッタをゲットできほくほく。
パパは買いたかった本が無かった。今回は、高橋克彦「鬼」の続編、陰陽師もの。シリーズらしく、鬼好きの私はついついあった2冊とも買ってしまった。息子を寝かしつける時は、なんらかのお話をする。数日前は、「ダックスフントのワープ」の寓話。砂漠にワープしたダックスフントが、アンゴラうさぎと行動し、長い舌が鋭い刃となるよこしま鳥と戦い、動物を消滅させるという毒の息を持った蛇を操る「しゃべる樹」という難関を超えて元の街に戻る話。最近は、渡辺綱、金太郎、桃太郎が配下の動物たちとともに、いくしま童子、茨木童子などの鬼軍団と戦う、オリジナルの話が多かった。ヤマタノオロチの話もした。草薙の剣、髭切りの太刀、それに「南総里見八犬伝」から村雨丸も登場させる。ネタが無い時は、iphoneで昔話を探して話をする。
ママはハワイに行きたいという。息子もすでに盛り上がっている。「日本人ばっかだけど、絶対いいから、一生に一度は行っとけ」というハワイ。うーん、これまで興味も無かったので、これを機会に調べてみよう。一番行きたいのはすばる望遠鏡見学ツアーかな。
土曜は台風一過で、大風。時折突風が吹く。午後に息子とサッカーしに出るが、雨が降り出し、家に戻る。ここ数日、息子は腹痛が続いている。感じない時もあるらしいが、便通が無いらしい。夜大きなのが出た、と言っていたが、まだ不安があるらしく、おなかをさすりながら寝かしつける。
翌日も雨で一日中家に居る。息子は口に出さないが、退屈そうだ。雨がち、しかも時に激しく降る中で、腹痛の息子を連れ歩くことも出来ず、日がな1日本を読んで、晩ご飯は外でイタリアン。食欲が無かった息子もこどもピザをがっついていた。やれやれ。
夜、バレーボールを見るが、2日連続の、粘り負け。新チームが起ち上がってしばらくになるが、セッターも18歳に任せた時点で、この結果は仕方ない。ホームということを決して忘れてはならないが、中国、アメリカとの競った試合が大きな糧になる時期ではないのだろうか。面白いのは、野球、サッカーはあまりじっと観ない息子が、バレーボールは自ら観ていることだ。ふうん、と思う。バレー独特の試合のシステムを理解するのが面白いようだ。
さあ9月、2学期も始まり、パパも忙しくなる。涼しくなってきて、動きやすいな。
尼崎から丹波路快速で1時間。終点の篠山口から各駅停車に乗り換えて45分、福知山線の市島という駅近辺に用事があった。
近くの、モダンな蕎麦屋で昼食。ざるそばと蕎麦の実雑炊。美味かったが、正直腹は膨れなかった。
丹波は山深い。天気を調べると、朝方はもう18度。自宅近辺でもここのところ朝晩涼しいが、日中の陽射しの中でも、爽やかな感じがした。いいお出掛けだった。
我が家のカブトムシは、メスが土に潜ったまま出てこなくなった。貰った人によれば、エサ食べずに潜ってても生きてますよ、とのこと。オスは相変わらずガサガサ動いては、ひっくり返って、足をバタつかせている。ボールペンで起こしてやるのが帰って来てからの日課になった。
さらに別の人がオオクワガタをくれた。こいつは、居所を移すと、さっそく土に潜ったまま、やはり出てこない。カブトムシと違って冬を越して2〜3年は生きるという話である。
平日休で、パスポートを作りに三宮へ。申請はすぐ済み、中華の昼ごはん。その後パパはブックオフへ。息子ママはそごうへ。そごうにはポケモントレッタがあっらしく、息子は超レアのトレッタをゲットできほくほく。
パパは買いたかった本が無かった。今回は、高橋克彦「鬼」の続編、陰陽師もの。シリーズらしく、鬼好きの私はついついあった2冊とも買ってしまった。息子を寝かしつける時は、なんらかのお話をする。数日前は、「ダックスフントのワープ」の寓話。砂漠にワープしたダックスフントが、アンゴラうさぎと行動し、長い舌が鋭い刃となるよこしま鳥と戦い、動物を消滅させるという毒の息を持った蛇を操る「しゃべる樹」という難関を超えて元の街に戻る話。最近は、渡辺綱、金太郎、桃太郎が配下の動物たちとともに、いくしま童子、茨木童子などの鬼軍団と戦う、オリジナルの話が多かった。ヤマタノオロチの話もした。草薙の剣、髭切りの太刀、それに「南総里見八犬伝」から村雨丸も登場させる。ネタが無い時は、iphoneで昔話を探して話をする。
ママはハワイに行きたいという。息子もすでに盛り上がっている。「日本人ばっかだけど、絶対いいから、一生に一度は行っとけ」というハワイ。うーん、これまで興味も無かったので、これを機会に調べてみよう。一番行きたいのはすばる望遠鏡見学ツアーかな。
土曜は台風一過で、大風。時折突風が吹く。午後に息子とサッカーしに出るが、雨が降り出し、家に戻る。ここ数日、息子は腹痛が続いている。感じない時もあるらしいが、便通が無いらしい。夜大きなのが出た、と言っていたが、まだ不安があるらしく、おなかをさすりながら寝かしつける。
翌日も雨で一日中家に居る。息子は口に出さないが、退屈そうだ。雨がち、しかも時に激しく降る中で、腹痛の息子を連れ歩くことも出来ず、日がな1日本を読んで、晩ご飯は外でイタリアン。食欲が無かった息子もこどもピザをがっついていた。やれやれ。
夜、バレーボールを見るが、2日連続の、粘り負け。新チームが起ち上がってしばらくになるが、セッターも18歳に任せた時点で、この結果は仕方ない。ホームということを決して忘れてはならないが、中国、アメリカとの競った試合が大きな糧になる時期ではないのだろうか。面白いのは、野球、サッカーはあまりじっと観ない息子が、バレーボールは自ら観ていることだ。ふうん、と思う。バレー独特の試合のシステムを理解するのが面白いようだ。
さあ9月、2学期も始まり、パパも忙しくなる。涼しくなってきて、動きやすいな。
8月書評の2
とにかく暑く雨の予感も無かった盛夏。比較的忙しくしていた割には読めたな、という感じだ。では、ヒアウイゴーナウ、お待たっせしました♪2番。
高橋克彦「鬼」
時は平安時代、菅原道真公の怨霊が都に変事をもたらしているとされた頃、陰陽師たちは、鬼の仕業とされた事件の解決に挑む。
年代順に、賀茂家から安倍晴明まで幅広く陰陽師たちの活躍を描く創作ものである。蝦夷の乱や平将門の乱まで取り扱っていて興味深い。
私の好きな、渡辺綱や坂田金時、酒呑童子などに連なる話でもある。ただもちろん、角をはやした巨漢の鬼が金棒持って暴れ回る、という類のものでは無い。
とっつきにくいかな、と思ったがすらすら読んだ。同じパターンが多いが、好きな方ではある。鬼の本は、また探して読もうっと。
桜庭一樹「伏 贋作・里見八犬伝」
山から出て来た女子猟師の浜路は、兄の道節とともに、人と犬との間に生まれたという怪物、伏の退治に乗り出す。
「鬼」に続き、夏の怪奇ものシリーズ(笑)。里見八犬伝は、子供のころ、NHKの人形劇でやっていた。薬師丸ひろ子主演で映画にもなった。
これはまた、まったく違う物語である。伏は生臭く、ひどく人間臭い面もある。また、桜庭一樹独特の、各作品に共通したクセにより、悠久の物語となっている。
密度は濃いが、相変わらず名前が変わっているのを始め、ではどう思いを馳せればいいか、方向性がもひとつ見えない。それなりにワクワクしたが、どうももう一つ消化不良、かな、という感じだった。
薬丸岳「天使のナイフ」
記念すべき今年100冊目。数冊前から計画して、この、2005年江戸川乱歩賞受賞作を持ってきた。
主人公桧山は、妻を3人の中学生に殺された。事件から4年が経ったある日、桧山の勤め先近くで、加害者の少年が殺される。警察が桧山を疑い、4年前の事件も一気に動き出したー。
まったく予備知識は無く、これまで乱歩賞には楽しませてもらったので、という理由だけだったが、少年法と犯罪被害者というものに正面から取り組んでいる作品だ。
解決部分も、何やら暗示的なものがある。すべてを善悪に振り分けないのは好みで、それなりに濃厚な作品だと思う。ミステリとしても最後にちょっとした痛快さを味わう。よく練られていると思う。
が、ボトムに本当の重さが感じられないような気もしている。不思議なもので、作品一冊まるまる読んで、テクニック先行、という気がしたし、解決のきっかけもあいまいだし、文章を超えるパワーも伝わってこない。「13階段」や「テロリストのパラソル」や「放課後」のような。もちろんいわば新人賞の乱歩賞に多くを求めるのも酷かもしれないが、力作だけど、なんか足りない、という感じだった。
恩田陸「黄昏の百合の骨」
「三月は深き紅の淵を」の第四章と、それを拡大して物語にした「麦の海に沈む果実」の主人公、水野理瀬。学園から出て、イギリス留学の後、長崎の高校に帰って来た理瀬は、亡くなった祖母の、「魔女の館」と地元で噂されている洋館に住み、「ジュピター」を探す。しかし、次々と事件が起こって・・
久々に読んだ、恩田陸。不思議な謎があって、「こちら側の世界」なんぞがあって、青春があって、特別な館がある。相変わらずお姉ちゃん小説を地で行っているのが微笑ましい。この調子だとまた理瀬が活躍する長編が出る様子なので、楽しみに待とう。
藤原伊織「ダックスフントのワープ」
久しぶりに、藤原伊織が読みたくなって、借りた。これは純文学の中編集。ちなみにダックスフントは、原産のドイツ語ではダックスフント、英語読みではダックスフンド、とのことである。
表題作は1985年の発表なので、もう30年も昔、私が高校の頃というと何だが信じられない。さて、中身はと言うと、解説の藤沢周も書いているが、村上春樹である。哲学的で知性を感じさせる会話、孤独感の表し方、文中の喪失感、とそっくりだ。
「ダックスフントのワープ」は作品中で少女に語られるいわば童話で、この話を軸に、物語が展開する。この表題作はなかなか秀逸、後の藤原伊織イズムにつながる気楽さも伺える。他も、突飛な設定で、まあ面白い。
「ダックスフントのワープ」はすぐに、デフォルメして、息子の寝かしつけに使った。
高橋克彦「鬼」
時は平安時代、菅原道真公の怨霊が都に変事をもたらしているとされた頃、陰陽師たちは、鬼の仕業とされた事件の解決に挑む。
年代順に、賀茂家から安倍晴明まで幅広く陰陽師たちの活躍を描く創作ものである。蝦夷の乱や平将門の乱まで取り扱っていて興味深い。
私の好きな、渡辺綱や坂田金時、酒呑童子などに連なる話でもある。ただもちろん、角をはやした巨漢の鬼が金棒持って暴れ回る、という類のものでは無い。
とっつきにくいかな、と思ったがすらすら読んだ。同じパターンが多いが、好きな方ではある。鬼の本は、また探して読もうっと。
桜庭一樹「伏 贋作・里見八犬伝」
山から出て来た女子猟師の浜路は、兄の道節とともに、人と犬との間に生まれたという怪物、伏の退治に乗り出す。
「鬼」に続き、夏の怪奇ものシリーズ(笑)。里見八犬伝は、子供のころ、NHKの人形劇でやっていた。薬師丸ひろ子主演で映画にもなった。
これはまた、まったく違う物語である。伏は生臭く、ひどく人間臭い面もある。また、桜庭一樹独特の、各作品に共通したクセにより、悠久の物語となっている。
密度は濃いが、相変わらず名前が変わっているのを始め、ではどう思いを馳せればいいか、方向性がもひとつ見えない。それなりにワクワクしたが、どうももう一つ消化不良、かな、という感じだった。
薬丸岳「天使のナイフ」
記念すべき今年100冊目。数冊前から計画して、この、2005年江戸川乱歩賞受賞作を持ってきた。
主人公桧山は、妻を3人の中学生に殺された。事件から4年が経ったある日、桧山の勤め先近くで、加害者の少年が殺される。警察が桧山を疑い、4年前の事件も一気に動き出したー。
まったく予備知識は無く、これまで乱歩賞には楽しませてもらったので、という理由だけだったが、少年法と犯罪被害者というものに正面から取り組んでいる作品だ。
解決部分も、何やら暗示的なものがある。すべてを善悪に振り分けないのは好みで、それなりに濃厚な作品だと思う。ミステリとしても最後にちょっとした痛快さを味わう。よく練られていると思う。
が、ボトムに本当の重さが感じられないような気もしている。不思議なもので、作品一冊まるまる読んで、テクニック先行、という気がしたし、解決のきっかけもあいまいだし、文章を超えるパワーも伝わってこない。「13階段」や「テロリストのパラソル」や「放課後」のような。もちろんいわば新人賞の乱歩賞に多くを求めるのも酷かもしれないが、力作だけど、なんか足りない、という感じだった。
恩田陸「黄昏の百合の骨」
「三月は深き紅の淵を」の第四章と、それを拡大して物語にした「麦の海に沈む果実」の主人公、水野理瀬。学園から出て、イギリス留学の後、長崎の高校に帰って来た理瀬は、亡くなった祖母の、「魔女の館」と地元で噂されている洋館に住み、「ジュピター」を探す。しかし、次々と事件が起こって・・
久々に読んだ、恩田陸。不思議な謎があって、「こちら側の世界」なんぞがあって、青春があって、特別な館がある。相変わらずお姉ちゃん小説を地で行っているのが微笑ましい。この調子だとまた理瀬が活躍する長編が出る様子なので、楽しみに待とう。
藤原伊織「ダックスフントのワープ」
久しぶりに、藤原伊織が読みたくなって、借りた。これは純文学の中編集。ちなみにダックスフントは、原産のドイツ語ではダックスフント、英語読みではダックスフンド、とのことである。
表題作は1985年の発表なので、もう30年も昔、私が高校の頃というと何だが信じられない。さて、中身はと言うと、解説の藤沢周も書いているが、村上春樹である。哲学的で知性を感じさせる会話、孤独感の表し方、文中の喪失感、とそっくりだ。
「ダックスフントのワープ」は作品中で少女に語られるいわば童話で、この話を軸に、物語が展開する。この表題作はなかなか秀逸、後の藤原伊織イズムにつながる気楽さも伺える。他も、突飛な設定で、まあ面白い。
「ダックスフントのワープ」はすぐに、デフォルメして、息子の寝かしつけに使った。
8月書評の1
8月は11作品。スポーツもの、ホームズもの、また怪奇?シリーズなどバラエティに富んだ感じがする。年間トータルで100冊を突破した。では行くぜっ〜レッツゴー〜♪
ジュリアン・シモンズ
「知られざる名探偵物語」
イギリス推理小説の重鎮である筆者が、シャーロック・ホームズ、ネロ・ウルフ、ミス・マープル、エラリー・クイーン、メグレ警視、エルキュール・ポワロ、フィリップ・マーロウといった7人の名探偵についてのサイド・ストーリーを創作して集めた一冊。日本では昭和62年、1987年の発行である。
シャーロック・ホームズは、「冒険」の一編になぞらえてあり、他にもパスティーシュが書かれてあるものは比較的面白かったりしたが、全体には眠い本であった。この本を読んでいる時期はこの半年で最も体力を使って仕事をしていた頃だったのですぐ眠気が来たのかも知れないが。
ホームズはもちろん、エラリー・クイーンやポワロは若い頃よく読んだのである程度おなじみさんである。またメグレ警視は.、映画「仕立屋の恋」の原作だったので好感情があるが、他はほぼノータッチ。パスティーシュでなくて研究的な創作であれば眠くなるのも無理はないかと思う。
まあ、東京時代に神田神保町の推理小説専門の古本屋で買ったもので、まだ手をつけてないうちの一冊だったから、読了してちょっとほっとした。
日々野真理「凛と咲く なでしこジャパン30年目の歓喜と挑戦」
女子ワールドカップにリポーター・インタビュアーとして帯同した筆者が語るなでしこジャパン優勝の軌跡。
筆者は長年女子サッカーを取材していて、また女性同士、ということもあり、選手インタビューの答えは、真に迫っていると思う。
これだけ実績を残しても、女子サッカーの環境は、とてもいいとは言えない。だからこそ、好きでなければ、やる気が無ければ、続けられないとも言えるのだが。
女性らしさもあり、すごく綺麗な一冊だった。
奥田秀朗「サウスバウンド」
2004年、「空中ブランコ」で直木賞を受賞した奥田英朗が、その次に刊行した小説である。私も、本当にたくさんの読書仲間から、奥田英朗はいい、と聞かされ続け、ここに来て初めて読んだ。
東京に住む小学6年生、二郎は変人で偏屈な父に振り回される生活を送っている。嫌なことはあったが概ね良好だった日常に事件が起こり、父が引っ越し先に選んだのは、はるか南の島だったー。
久しぶりに日本の現代長編小説に戻った。まあこの作品が連載されていたのは10年前だが。正直な感想は、ホンマに面白かった、だ。
10年前というとロハスとかスローライフという言葉が流行っていた頃であろうか。この作品は、そんなニーズを批判もしているようで、逆に応えている、と思える。
二郎の父の生き方は、現代社会で鬱屈のたまった我々に、明らかに一石を投じているように見える。それにしても、次から次へと事が起こるので、最後まで飽きさせないし、訳の分からないハチャメチャの展開も微笑ましく、楽しめる。正直深さがあるとはもう一つ思えないが、次も読んでみよう、と思わせる。まだ作家的な特徴は分からないが、楽しみだ。
相場英雄「震える牛」
大ヒットした、社会派警察小説。警視庁刑事で迷宮入りしそうな強盗殺人事件の再捜査を指示された田川。調べを進めて行くうちに、日本を揺るがす真相に突き当たる。
ほぼ1日で読んでしまった。なるほど面白い。日本の食品全般に警鐘を鳴らす作品と言えるだろう。誰もがうっすら分かっていながら日常に流されている事実に目を向けている。そう、真相が分かって行く捜査の過程も面白いが、新聞などで取り上げられても社会的には意図的に目を背けられて来たことに、シンプルに斬りこんでいる感じがいいのではないか。
ストーリーはもちろん作った物語だが、中身は濃厚である。オチはあれれ、となったし、ではそうならないためには、という代案提起も無いが、充分に面白かった。
道尾秀介「月と蟹」
やっと出た、待っていた文庫化。2011年の直木賞作品である。それにしても、経歴紹介を読むと華々しい。ファンが多いという「カラスの親指」で日本推理作家協会賞を、「光媒の花」で山本周五郎賞を取っている。「このミス」ベストワンの「向日葵の咲かない夏」それから「ソロモンの犬」と、私的にはイマイチだったものの、特殊な筆致も感じ、また評判もいいので、期待が大きかった。
感想は、小手先ではなく真っ向勝負の作品、という感覚だ。ただし表現は抑えてなく、直接的だと思う。そして、やはり暗い。とっても。
小学生が抱く感情や行動は、納得できるものがある。もちろん全面的にでは無いが、そこには丁寧な、考え抜かれた表現を目指す姿勢がある。今回は、危うさを漂わせながらも、極端な壊れた行動は無かった。そう思わせて、読んだ後どこかホッとできる自分がいた。どこかで、こんなに小学生が考えた行動や言動ができるものかは、とも思うが、濃厚な作品だったことは間違いない。
長谷部誠「心を整える」
誠、は私の祖父と同じ名前である。息子を名付けてしまってから気がついたのだが、苗字に座りが良く、中身もあって、正直言って新撰組もイメージできて、いい名前だと思う。長谷部も誇りに思っているということで、嬉しくなった。
さて、こ存じ、日本代表キャプテン、長谷部誠選手が、テーマを持って書いた本。彼の真面目でクレバー、博識な部分が溢れんばかりの作品になっている。
これまで沢山の自伝を読んだし、選手が直接書いているものにこだわったりした。ドゥンガ、レオナルド、ストイチコフ、ベンゲル、トゥルシエ、中村俊輔、遠藤保仁。
今回ほどプロフェッショナリズムについて考えさせられる本は他に無い。ビジネスをしている人なら、仕事に際し、準備と人に対する接し方を考えると思うが、サッカーのプレーやゲン担ぎの部分だけでなく、こうまで具体的に準備したり考えているのか、と思わされたのは初めてだ。
思うに、どれほど突き詰めて思考しているか、がよく表れている、という事だろう。ただ最近の流行りなのかな、あまり特殊な立場で一般ビジネスの場を相対化しない方が良いかと思う。
ジュリアン・シモンズ
「知られざる名探偵物語」
イギリス推理小説の重鎮である筆者が、シャーロック・ホームズ、ネロ・ウルフ、ミス・マープル、エラリー・クイーン、メグレ警視、エルキュール・ポワロ、フィリップ・マーロウといった7人の名探偵についてのサイド・ストーリーを創作して集めた一冊。日本では昭和62年、1987年の発行である。
シャーロック・ホームズは、「冒険」の一編になぞらえてあり、他にもパスティーシュが書かれてあるものは比較的面白かったりしたが、全体には眠い本であった。この本を読んでいる時期はこの半年で最も体力を使って仕事をしていた頃だったのですぐ眠気が来たのかも知れないが。
ホームズはもちろん、エラリー・クイーンやポワロは若い頃よく読んだのである程度おなじみさんである。またメグレ警視は.、映画「仕立屋の恋」の原作だったので好感情があるが、他はほぼノータッチ。パスティーシュでなくて研究的な創作であれば眠くなるのも無理はないかと思う。
まあ、東京時代に神田神保町の推理小説専門の古本屋で買ったもので、まだ手をつけてないうちの一冊だったから、読了してちょっとほっとした。
日々野真理「凛と咲く なでしこジャパン30年目の歓喜と挑戦」
女子ワールドカップにリポーター・インタビュアーとして帯同した筆者が語るなでしこジャパン優勝の軌跡。
筆者は長年女子サッカーを取材していて、また女性同士、ということもあり、選手インタビューの答えは、真に迫っていると思う。
これだけ実績を残しても、女子サッカーの環境は、とてもいいとは言えない。だからこそ、好きでなければ、やる気が無ければ、続けられないとも言えるのだが。
女性らしさもあり、すごく綺麗な一冊だった。
奥田秀朗「サウスバウンド」
2004年、「空中ブランコ」で直木賞を受賞した奥田英朗が、その次に刊行した小説である。私も、本当にたくさんの読書仲間から、奥田英朗はいい、と聞かされ続け、ここに来て初めて読んだ。
東京に住む小学6年生、二郎は変人で偏屈な父に振り回される生活を送っている。嫌なことはあったが概ね良好だった日常に事件が起こり、父が引っ越し先に選んだのは、はるか南の島だったー。
久しぶりに日本の現代長編小説に戻った。まあこの作品が連載されていたのは10年前だが。正直な感想は、ホンマに面白かった、だ。
10年前というとロハスとかスローライフという言葉が流行っていた頃であろうか。この作品は、そんなニーズを批判もしているようで、逆に応えている、と思える。
二郎の父の生き方は、現代社会で鬱屈のたまった我々に、明らかに一石を投じているように見える。それにしても、次から次へと事が起こるので、最後まで飽きさせないし、訳の分からないハチャメチャの展開も微笑ましく、楽しめる。正直深さがあるとはもう一つ思えないが、次も読んでみよう、と思わせる。まだ作家的な特徴は分からないが、楽しみだ。
相場英雄「震える牛」
大ヒットした、社会派警察小説。警視庁刑事で迷宮入りしそうな強盗殺人事件の再捜査を指示された田川。調べを進めて行くうちに、日本を揺るがす真相に突き当たる。
ほぼ1日で読んでしまった。なるほど面白い。日本の食品全般に警鐘を鳴らす作品と言えるだろう。誰もがうっすら分かっていながら日常に流されている事実に目を向けている。そう、真相が分かって行く捜査の過程も面白いが、新聞などで取り上げられても社会的には意図的に目を背けられて来たことに、シンプルに斬りこんでいる感じがいいのではないか。
ストーリーはもちろん作った物語だが、中身は濃厚である。オチはあれれ、となったし、ではそうならないためには、という代案提起も無いが、充分に面白かった。
道尾秀介「月と蟹」
やっと出た、待っていた文庫化。2011年の直木賞作品である。それにしても、経歴紹介を読むと華々しい。ファンが多いという「カラスの親指」で日本推理作家協会賞を、「光媒の花」で山本周五郎賞を取っている。「このミス」ベストワンの「向日葵の咲かない夏」それから「ソロモンの犬」と、私的にはイマイチだったものの、特殊な筆致も感じ、また評判もいいので、期待が大きかった。
感想は、小手先ではなく真っ向勝負の作品、という感覚だ。ただし表現は抑えてなく、直接的だと思う。そして、やはり暗い。とっても。
小学生が抱く感情や行動は、納得できるものがある。もちろん全面的にでは無いが、そこには丁寧な、考え抜かれた表現を目指す姿勢がある。今回は、危うさを漂わせながらも、極端な壊れた行動は無かった。そう思わせて、読んだ後どこかホッとできる自分がいた。どこかで、こんなに小学生が考えた行動や言動ができるものかは、とも思うが、濃厚な作品だったことは間違いない。
長谷部誠「心を整える」
誠、は私の祖父と同じ名前である。息子を名付けてしまってから気がついたのだが、苗字に座りが良く、中身もあって、正直言って新撰組もイメージできて、いい名前だと思う。長谷部も誇りに思っているということで、嬉しくなった。
さて、こ存じ、日本代表キャプテン、長谷部誠選手が、テーマを持って書いた本。彼の真面目でクレバー、博識な部分が溢れんばかりの作品になっている。
これまで沢山の自伝を読んだし、選手が直接書いているものにこだわったりした。ドゥンガ、レオナルド、ストイチコフ、ベンゲル、トゥルシエ、中村俊輔、遠藤保仁。
今回ほどプロフェッショナリズムについて考えさせられる本は他に無い。ビジネスをしている人なら、仕事に際し、準備と人に対する接し方を考えると思うが、サッカーのプレーやゲン担ぎの部分だけでなく、こうまで具体的に準備したり考えているのか、と思わされたのは初めてだ。
思うに、どれほど突き詰めて思考しているか、がよく表れている、という事だろう。ただ最近の流行りなのかな、あまり特殊な立場で一般ビジネスの場を相対化しない方が良いかと思う。
2013年8月25日日曜日
一転雨涼
しばらくは一滴の雨も降らなかったのに、高校野球が終わってから雨がちとなった。特に日曜日は、早朝から午前中、ずっと強い雨が降り続いた。なんでこんなに、というくらいの雨、朝にはひょうも降ったそうだ。
金曜日、帰りのバスで山の雨。けっこう降っていて、小さい折りたたみ傘にすぼまるようにして帰った。翌土曜日も雨。雨勢はそうでもなかった。久しぶりにアウトレットに行った。息子のレゴを見て、addidasで息子の靴を買おうと入ったら13時まで半額、とのこと。あわててパパの薄い上着も買う。前から言っておいたので、この日はパパの財布と出張バッグも購入。ご飯食べて、食器買って帰る。息子は前回来たときに明石焼きが気に入ったらしく、この日も食べていた。
雨の日曜日はママ髪チョキチョキでお留守番。パパ読書して、眠くなる。息子とポケモンバトルして、サッカーゲームして、本読んでなでしこリーグカップ準決勝を見て、晩ご飯は回転寿司。帰ってまたなでしこリーグカップ準決勝もう1試合を見て、息子を「新・桃太郎 頼光四天王と伏」(笑)で寝かしつけた。
涼しい。山でさえ、8月はもう夜もかなり暑かったが、今夜は冷房なしでよさそうだ。まだ残暑はあるだろうが、暑いのも、あとひと月だ。
金曜日、帰りのバスで山の雨。けっこう降っていて、小さい折りたたみ傘にすぼまるようにして帰った。翌土曜日も雨。雨勢はそうでもなかった。久しぶりにアウトレットに行った。息子のレゴを見て、addidasで息子の靴を買おうと入ったら13時まで半額、とのこと。あわててパパの薄い上着も買う。前から言っておいたので、この日はパパの財布と出張バッグも購入。ご飯食べて、食器買って帰る。息子は前回来たときに明石焼きが気に入ったらしく、この日も食べていた。
雨の日曜日はママ髪チョキチョキでお留守番。パパ読書して、眠くなる。息子とポケモンバトルして、サッカーゲームして、本読んでなでしこリーグカップ準決勝を見て、晩ご飯は回転寿司。帰ってまたなでしこリーグカップ準決勝もう1試合を見て、息子を「新・桃太郎 頼光四天王と伏」(笑)で寝かしつけた。
涼しい。山でさえ、8月はもう夜もかなり暑かったが、今夜は冷房なしでよさそうだ。まだ残暑はあるだろうが、暑いのも、あとひと月だ。
2013年8月17日土曜日
お盆の涼
お盆の週は1日休みが取れたので、神戸の元町商店街に出来たミニシアター、元町映画館に初めて行って来た。この時期、戦争ものはご勘弁なのだが、大地康雄企画・主演の親子もの「じんじん」を上映していて、泣かされた。いやー泣いた。誰もが子供に絵本を読んであげた記憶があるはず、そこをうまく衝いた作品だった。
また、舞台が北海道で、ああーっ北海道行きてぇ〜!と思った。レオンが来る前の旅行といえば毎年のように北海道だったのである。やっぱすべてが雄大だ。映画のストーリーは偶然性が強く無理も多少あったが、久々に観た映画が当たりだったのは嬉しかった。
ブックオフ寄って3つ買って帰る。今回は変わったラインナップで、桜庭一樹「伏」、高橋克彦「鬼」そして恩田陸「黄昏の百合の骨」。
「伏」は南総里見八犬伝のファンタジーものと聞いている。4年くらい前に文芸仲間が薦めていたのを思い出して買った。「鬼」は、先だっても触れたが、私は鬼ものが好きだから。それから最近あまり積極的には買わなかった恩田陸を買ったのにも理由がある。
恩田陸は、デビューから4作めの実験的作品「三月は深き紅の淵を」から派生した物語をいくつか書いている。「三月」はオムニバスで、その第4章だけの間口を広げ一作品にした「麦の海に沈む果実」、やはり「三月」の第4章にタイトルのみ出てくる「黒と茶の幻想」、また短編で「麦の海」の番外編も書いている。
で、「黄昏の百合の骨」は「三月」と「麦の海」のヒロイン、理瀬が主人公のお話らしいのだ。というわけで久々に食指が動いた。
ちなみに、「三月」は、私の周りでは、あまりの訳わからなさに途中で挫折した者が相次いでいた。ははは・・。
久しぶりに飲みに行く。なじみの十三の居酒屋で、生ビールに焼酎を最後はロックでいただく。ちょっと酔ったが22時閉店になったとの事で、早帰り。しばらくしたら酔いも醒めて来た。
しかし4日連続の40度超えは並じゃない。参るねこりゃあ。
妻が留守の間、外周の植栽には2日に1度ホースで水撒き、屋上テラスの野菜たちには毎日、自分でも意外なほど丹念に水を遣っている。
それでも熱と陽射しで枯れる葉が出るのは致し方ないな、とちょっと寂しく思っていたらある日、気が付くと茄子の花が咲いた。
なんか単純に嬉しかった。嬉しくて写真を撮ったらピンぼけの画像になった。翌日見ると、花はもう萎んでいた。
ここのところ、こないだ書いてたバスケットボール自分史をスタートさせてみたら、あれこれ本当にたくさん思い出す事があって、睡眠時間を削って深夜まで書いている。こりゃ、脳の活動にはいいかも。にしても、眠い。
17日土曜日は、USJの花火大会屋上テラスから正面に見えた。しばらく夜も暑かったが、最近は涼風が吹く。
来週からは、社会も動き、家族も帰って来る。もう少し、日中涼しくならんかな。
また、舞台が北海道で、ああーっ北海道行きてぇ〜!と思った。レオンが来る前の旅行といえば毎年のように北海道だったのである。やっぱすべてが雄大だ。映画のストーリーは偶然性が強く無理も多少あったが、久々に観た映画が当たりだったのは嬉しかった。
ブックオフ寄って3つ買って帰る。今回は変わったラインナップで、桜庭一樹「伏」、高橋克彦「鬼」そして恩田陸「黄昏の百合の骨」。
「伏」は南総里見八犬伝のファンタジーものと聞いている。4年くらい前に文芸仲間が薦めていたのを思い出して買った。「鬼」は、先だっても触れたが、私は鬼ものが好きだから。それから最近あまり積極的には買わなかった恩田陸を買ったのにも理由がある。
恩田陸は、デビューから4作めの実験的作品「三月は深き紅の淵を」から派生した物語をいくつか書いている。「三月」はオムニバスで、その第4章だけの間口を広げ一作品にした「麦の海に沈む果実」、やはり「三月」の第4章にタイトルのみ出てくる「黒と茶の幻想」、また短編で「麦の海」の番外編も書いている。
で、「黄昏の百合の骨」は「三月」と「麦の海」のヒロイン、理瀬が主人公のお話らしいのだ。というわけで久々に食指が動いた。
ちなみに、「三月」は、私の周りでは、あまりの訳わからなさに途中で挫折した者が相次いでいた。ははは・・。
久しぶりに飲みに行く。なじみの十三の居酒屋で、生ビールに焼酎を最後はロックでいただく。ちょっと酔ったが22時閉店になったとの事で、早帰り。しばらくしたら酔いも醒めて来た。
しかし4日連続の40度超えは並じゃない。参るねこりゃあ。
妻が留守の間、外周の植栽には2日に1度ホースで水撒き、屋上テラスの野菜たちには毎日、自分でも意外なほど丹念に水を遣っている。
それでも熱と陽射しで枯れる葉が出るのは致し方ないな、とちょっと寂しく思っていたらある日、気が付くと茄子の花が咲いた。
なんか単純に嬉しかった。嬉しくて写真を撮ったらピンぼけの画像になった。翌日見ると、花はもう萎んでいた。
ここのところ、こないだ書いてたバスケットボール自分史をスタートさせてみたら、あれこれ本当にたくさん思い出す事があって、睡眠時間を削って深夜まで書いている。こりゃ、脳の活動にはいいかも。にしても、眠い。
17日土曜日は、USJの花火大会屋上テラスから正面に見えた。しばらく夜も暑かったが、最近は涼風が吹く。
来週からは、社会も動き、家族も帰って来る。もう少し、日中涼しくならんかな。
2013年8月10日土曜日
SOUNDS OF FROGS
多忙の時期は終了。田んぼで囲まれた家で育ったので、梅雨から夏は、雨や湿気の多い夜となると、ゲコゲコゲコゲコ、物凄いカエルの合唱がおなじみだった。
関西に来てからは、比較的田畑から離れていたので久しく聞かなかったが、山に越して来て、すぐ下が大きな畑。用水路もあるし、久々にゲコゲコを多少耳にしている。
しかし暑い。お盆の週は毎年妻子犬は実家に帰る。家を出る前、パパとのしばしの別れを惜しんでくれる息子を有難いなと思い、送り出す。さてこの間は高校野球つけて、独りでひたすら読書と書きもの。いまは自分に影響を与えた野球とバスケットボールについて、整理して書いてみようと思っている。公開するかどうかはハテナマークだ。
高校野球今年の1回戦屈指の好カード、浦和学院対仙台育英の試合を見届けた。センバツ王者、浦和はやはりエースの序盤の不調が響いた。夜植栽に水を遣ってテラスに出てみると、重低音の音響が聞こえ、淀川の花火大会が見えた。
お盆を過ぎれば、晩夏、ほどなく秋。だいたい9月20日過ぎたら涼しくなる。暑いのは嫌だが、いまは盛夏の最後を楽しむ風情である。
関西に来てからは、比較的田畑から離れていたので久しく聞かなかったが、山に越して来て、すぐ下が大きな畑。用水路もあるし、久々にゲコゲコを多少耳にしている。
しかし暑い。お盆の週は毎年妻子犬は実家に帰る。家を出る前、パパとのしばしの別れを惜しんでくれる息子を有難いなと思い、送り出す。さてこの間は高校野球つけて、独りでひたすら読書と書きもの。いまは自分に影響を与えた野球とバスケットボールについて、整理して書いてみようと思っている。公開するかどうかはハテナマークだ。
高校野球今年の1回戦屈指の好カード、浦和学院対仙台育英の試合を見届けた。センバツ王者、浦和はやはりエースの序盤の不調が響いた。夜植栽に水を遣ってテラスに出てみると、重低音の音響が聞こえ、淀川の花火大会が見えた。
お盆を過ぎれば、晩夏、ほどなく秋。だいたい9月20日過ぎたら涼しくなる。暑いのは嫌だが、いまは盛夏の最後を楽しむ風情である。
2013年8月4日日曜日
カブトムシ
ちょっと仕事のヤマがあって多忙である。連日遅く帰って来て、すぐ風呂浴びて、エアコンと扇風機で身体を冷やしている間だけ サッカーゲームして、カブトムシにエサやって、息子のベッドに潜り込む。
さっさと眠ろうとするのだが、やはりスローダウンの時間が短いせいか気持ちが昂ぶっているからか、寝付きは悪い。もともと起きてから家を出るまでと、帰って来てから眠るまでの時間が長い方である。
深夜、玄関のドアを開けた瞬間、2頭の犬がワワワーンと一斉に吠える。そしてガサゴソいう音が聞こえるので、寝室のドアを開けるとクッキーがじゃれついてくる。レオンは吠えるだけで7割方は出て来ない。クッキーういやつ、である。
妻とも話すが、レオンは仔犬の頃、我が家の王子様だった(息子が産まれてからその座から転落した)が、2頭めのクッキーには、あんまりかまってやってない。その辺が差となって表れているようだ。また、オス犬はやはり人間の女性が好きで、メスは男が好きな傾向がある、というのも分かるような気がしている。
そして、着替えにパパの部屋に入った途端に、つがいのカブトムシがガサガサ動き出す・・ような気がする。もらって来た時から、昼間はおとなしく、夜は一晩中激しくガサガサ動く。もともとは、息子の部屋に置いていたのだが、気になって眠れないので、いまはパパの部屋に置いている。深夜には、ジュイ、ジュイ、という鳴き声のような音まで発しているのがよく聞こえる。パパの部屋にいて、エサをあげるのはパパだから、帰ってくると悦ぶのかなあ、と錯覚している。
で、また朝いつもより早く出て会社に行く。その繰り返しである。上司がヘロヘロさかげんを見兼ねたのか、タフマンパワーをくれた。時間が無いので、昼も夜もコンビニ弁当、という感じで、ちょっと顔ふっくらしました?とか訊かれるが、むしろ睡眠不足で、顔と身体がむくんでいるのだろう。
土曜日も働いて、夜に、ふもとの駅近の小学校のお祭りに行ってた妻子と落ち合い、焼き肉食べに行く。たまにはパワーを・・特にいま、である。夜遅くて朝早いので、家族との団欒も久しぶりで新鮮だ。
ふにゃふにゃだが、ヤマ越え目指してがんばろう。鼻唄は、aikoの「カブトムシ」である。
さっさと眠ろうとするのだが、やはりスローダウンの時間が短いせいか気持ちが昂ぶっているからか、寝付きは悪い。もともと起きてから家を出るまでと、帰って来てから眠るまでの時間が長い方である。
深夜、玄関のドアを開けた瞬間、2頭の犬がワワワーンと一斉に吠える。そしてガサゴソいう音が聞こえるので、寝室のドアを開けるとクッキーがじゃれついてくる。レオンは吠えるだけで7割方は出て来ない。クッキーういやつ、である。
妻とも話すが、レオンは仔犬の頃、我が家の王子様だった(息子が産まれてからその座から転落した)が、2頭めのクッキーには、あんまりかまってやってない。その辺が差となって表れているようだ。また、オス犬はやはり人間の女性が好きで、メスは男が好きな傾向がある、というのも分かるような気がしている。
そして、着替えにパパの部屋に入った途端に、つがいのカブトムシがガサガサ動き出す・・ような気がする。もらって来た時から、昼間はおとなしく、夜は一晩中激しくガサガサ動く。もともとは、息子の部屋に置いていたのだが、気になって眠れないので、いまはパパの部屋に置いている。深夜には、ジュイ、ジュイ、という鳴き声のような音まで発しているのがよく聞こえる。パパの部屋にいて、エサをあげるのはパパだから、帰ってくると悦ぶのかなあ、と錯覚している。
で、また朝いつもより早く出て会社に行く。その繰り返しである。上司がヘロヘロさかげんを見兼ねたのか、タフマンパワーをくれた。時間が無いので、昼も夜もコンビニ弁当、という感じで、ちょっと顔ふっくらしました?とか訊かれるが、むしろ睡眠不足で、顔と身体がむくんでいるのだろう。
土曜日も働いて、夜に、ふもとの駅近の小学校のお祭りに行ってた妻子と落ち合い、焼き肉食べに行く。たまにはパワーを・・特にいま、である。夜遅くて朝早いので、家族との団欒も久しぶりで新鮮だ。
ふにゃふにゃだが、ヤマ越え目指してがんばろう。鼻唄は、aikoの「カブトムシ」である。
2013年8月1日木曜日
7月書評の2
最近、そんなに数読むなんて、並行して3、4冊読んでるでしょう?という質問を受けた。実のところ2冊は並行して読んだ事があるが、自分はそんなに器用ではないと気付いてからやめている。
通勤と、夜間に読んでるだけだ。なんというか、あまりその他の余暇の過ごし方をしてないからかな。では第2弾。
村山斉
「宇宙はなぜこんなにうまくできているのか」
東京大学数物連携宇宙研究機構の機構長が書いた、宇宙についての本である。太陽、地球といった身近なものから、ブラックホール、ダークマター、ダークエネルギーや素粒子、マルチバース理論など最新の理論まで、重力やエネルギーをキーワードに語られている。
非常に興味深く、優しい本である。かつての著名な学者の、発見の歴史もひもといているので、コペルニクス、ガリレオからケプラー、ニュートン、アインシュタイン、シュバルツシルド、ガモフ、ハッブルらの「発見」について紐解かれているのも、宇宙好きには面白い。
夢中で、あっという間に読了した。やっぱ夏は宇宙だな。
西加奈子「通天閣」
孤独のまま、一生を終えようと考えている男。ゲテ物揃いのスナックのチーフをしている、振られた女。同時進行の物語に、やがて・・。
西加奈子は3作め。暗くも明るくもなく、大阪テイストを過剰なばかりに敷き詰めている部分もある、いつもの感じ、いつもよりかなり淡々としたストーリーが進行する。
まあこれは、最後の仕掛けの物語だ。明るい色が途中からほの見えるのが微笑ましい。女の方は、店が過剰すぎるな、やっぱ。ちょっと大阪を強調し過ぎのような気がする。でも、振られた気持ちの描写は、すごく良かったと思う。仕掛けも、オモロイ。
百田尚樹「モンスター」
人並外れて醜い顔の和子は、高校生の時に、好きな男に対して事件を起こし、家族にも疎まれて故郷を出る。しかし整形手術をきっかけにその人生は大きく変わり、やがて故郷の街に帰って来る。彼女の最終目的はー。
ある意味単純なストーリーの流れだし、すらすら読める。しかし中身は、整形の施術のリアルさや、男の浅はかさが満載で、考えさせられる内容である。
解説にもあるように、女性にとって美醜は大変な問題だろうな、と思う。また社会的にも、女性が独りで生きて行くのは大変で、それらは現実だ。
結の部分はうーんと難しいものがあるが、和子の人生、また生活、男というもの、は、うーん、と唸るところの多い作品だった。
星新一「きまぐれロボット」
小学生向けショートショートの本である。夏休み用に、息子が借りて来ている本の中にあった。1969年、私2歳のころの発行。
星新一は、1000以上の作品を書き、さらに時代の様相と共に、改稿を重ねていたそうだ。おかげて、今でも、特に違和感なくヒョイヒョイ読めた。
植物学者のエス博士、動物学者のエイ博士、エス氏、エヌ氏、お金持ちのアール氏など、固有名詞が出て来ないのはいつもの事だそうだ。
中学の頃友人が持っていて、読んだ以来の星新一か。感想は、新鮮で、不思議と納得できて、平易で面白かった。長編も、読んでみたいな。
星新一の他、小学生に流行っている科学漫画「サバイバルシリーズ」も読んでいる。今回は原子力のお話で、結構難しい。そういうと、皆読んでるよーと軽く言われた。
スコット・フィッツジェラルド
「グレート・ギャツビー」
村上春樹訳
最近も映画になった、スコット・フィッツジェラルドの代表作である。最初に記しておくが、この本には時間がかかった。なにせ、表現がどの方向を目指しているか、さっぱり分からなかった。
東海岸、ニューヨーク近くのウエスト・エッグに引っ越して来たニック・キャラウェイは、隣の、とてつもなく大きな屋敷に住み、頻繁にパーティーを開くジェイ・ギャツビーという青年と仲良くなる。謎めいた魅力を持つ彼は、ニックの友人と古いつながりがあった。
正直言って、不意を衝かれたようなストーリーだった。もっともっと、いろんな意味でスマートな話かと思った。
訳者の村上春樹は、この作品が自己のベストワンだと書く。私はその他大勢と同じくうーむ、である。欧米の小説の、よくある無軌道な会話や行動の描き方は苦手だな。それによって、主人公のまともさを浮かび上がらせるのは、ひとつの手法と思われるとはいえ。
いいなと思えるのは、村上春樹の作品は、影響を受けたとはいえ、全く違うものと思われる事だ。それにしても、世界の名作には憧れるが、まだまだ修行が足りないようである。
通勤と、夜間に読んでるだけだ。なんというか、あまりその他の余暇の過ごし方をしてないからかな。では第2弾。
村山斉
「宇宙はなぜこんなにうまくできているのか」
東京大学数物連携宇宙研究機構の機構長が書いた、宇宙についての本である。太陽、地球といった身近なものから、ブラックホール、ダークマター、ダークエネルギーや素粒子、マルチバース理論など最新の理論まで、重力やエネルギーをキーワードに語られている。
非常に興味深く、優しい本である。かつての著名な学者の、発見の歴史もひもといているので、コペルニクス、ガリレオからケプラー、ニュートン、アインシュタイン、シュバルツシルド、ガモフ、ハッブルらの「発見」について紐解かれているのも、宇宙好きには面白い。
夢中で、あっという間に読了した。やっぱ夏は宇宙だな。
西加奈子「通天閣」
孤独のまま、一生を終えようと考えている男。ゲテ物揃いのスナックのチーフをしている、振られた女。同時進行の物語に、やがて・・。
西加奈子は3作め。暗くも明るくもなく、大阪テイストを過剰なばかりに敷き詰めている部分もある、いつもの感じ、いつもよりかなり淡々としたストーリーが進行する。
まあこれは、最後の仕掛けの物語だ。明るい色が途中からほの見えるのが微笑ましい。女の方は、店が過剰すぎるな、やっぱ。ちょっと大阪を強調し過ぎのような気がする。でも、振られた気持ちの描写は、すごく良かったと思う。仕掛けも、オモロイ。
百田尚樹「モンスター」
人並外れて醜い顔の和子は、高校生の時に、好きな男に対して事件を起こし、家族にも疎まれて故郷を出る。しかし整形手術をきっかけにその人生は大きく変わり、やがて故郷の街に帰って来る。彼女の最終目的はー。
ある意味単純なストーリーの流れだし、すらすら読める。しかし中身は、整形の施術のリアルさや、男の浅はかさが満載で、考えさせられる内容である。
解説にもあるように、女性にとって美醜は大変な問題だろうな、と思う。また社会的にも、女性が独りで生きて行くのは大変で、それらは現実だ。
結の部分はうーんと難しいものがあるが、和子の人生、また生活、男というもの、は、うーん、と唸るところの多い作品だった。
星新一「きまぐれロボット」
小学生向けショートショートの本である。夏休み用に、息子が借りて来ている本の中にあった。1969年、私2歳のころの発行。
星新一は、1000以上の作品を書き、さらに時代の様相と共に、改稿を重ねていたそうだ。おかげて、今でも、特に違和感なくヒョイヒョイ読めた。
植物学者のエス博士、動物学者のエイ博士、エス氏、エヌ氏、お金持ちのアール氏など、固有名詞が出て来ないのはいつもの事だそうだ。
中学の頃友人が持っていて、読んだ以来の星新一か。感想は、新鮮で、不思議と納得できて、平易で面白かった。長編も、読んでみたいな。
星新一の他、小学生に流行っている科学漫画「サバイバルシリーズ」も読んでいる。今回は原子力のお話で、結構難しい。そういうと、皆読んでるよーと軽く言われた。
スコット・フィッツジェラルド
「グレート・ギャツビー」
村上春樹訳
最近も映画になった、スコット・フィッツジェラルドの代表作である。最初に記しておくが、この本には時間がかかった。なにせ、表現がどの方向を目指しているか、さっぱり分からなかった。
東海岸、ニューヨーク近くのウエスト・エッグに引っ越して来たニック・キャラウェイは、隣の、とてつもなく大きな屋敷に住み、頻繁にパーティーを開くジェイ・ギャツビーという青年と仲良くなる。謎めいた魅力を持つ彼は、ニックの友人と古いつながりがあった。
正直言って、不意を衝かれたようなストーリーだった。もっともっと、いろんな意味でスマートな話かと思った。
訳者の村上春樹は、この作品が自己のベストワンだと書く。私はその他大勢と同じくうーむ、である。欧米の小説の、よくある無軌道な会話や行動の描き方は苦手だな。それによって、主人公のまともさを浮かび上がらせるのは、ひとつの手法と思われるとはいえ。
いいなと思えるのは、村上春樹の作品は、影響を受けたとはいえ、全く違うものと思われる事だ。それにしても、世界の名作には憧れるが、まだまだ修行が足りないようである。
7月書評の1
7月は、とても忙しい月で、あっという間に過ぎてしまった。
もう8月、というのが信じられない。では、10冊、2回に分けて行ってみましょう。やっぱ夏は宇宙だな。
湊かなえ「少女」
それぞれに屈折した想いを抱える女子高生の友人同士、敦子と由紀。「人の死を見たい」という願望のもと、それぞれに行動を起こすが・・
登場人物が絡まり合う、毒のある小説、である。未熟な考えと危険な行動、刹那的な感情、冷めた目線、など割り切った部分も多い。
うーむ、あまりきれいすぎるのも何だが、これについては、心情的に動かされるものはなかった。むしろこちらも冷めてしまう。
梨木香歩「家守綺譚」
時はおよそ100年前の京都の山すそ。売れない作家綿貫征四郎は、亡くなった友人の実家に住みながら文筆活動に励むのだが、奇怪なことがまるで日常のように相次ぐ。
河童、仲裁犬ゴロー、恋するサルスベリ、桜鬼、化かす狸にキツネ、人魚、亡友の霊、長虫屋など、奇怪な中にも憎めない面々が入れ替わり立ち代わり登場する。またそれを当然のことと受け止める、アクセントのある周囲の人たち、隣のおばさん、近くの和尚、編集人山内、そしてダァリヤの君。
季節感、山すそ、湖、疎水と周り変化と植物の情報を豊富に取り入れながら、一編の興味深い物語が出来ている。これで完結するなら、どこかで種明かしなり、例えば都会へ出て来た後年の征四郎の話など入ってたらいいかも、などと思ってしまった。
続きが読みたくなった。これはこれでひとつの形であろう。
福井康雄「大宇宙の誕生」
名古屋大学大学院教授の、研究成果をまとめた本である。1998年、すばる望遠鏡が稼働する前の発行で、古いので、第3部のみ大幅に改訂してある。
星の一生からひもとき、星のたまご、星の誕生のプロセスまでの研究の結果を詳しく書いてある。なかなか興味深かった。
が、やたら自分のところが偉業を打ち立てた、というようなフレーズが出て来るのはやはり気持ちのいいものではないし、最初の方こそ繰り返し優しく解説してくれているが、中盤以降は、それを放棄してしまったように、説明のない言葉も出て来るので、理解の助けが無い状態である。
あとがきも、自分の中だけで言葉を消化している感じだ。全体的に、書いた人というよりは、編集の問題であろう。ただ、宇宙研究には、世界最高の設備を、国は準備すべきだ。世界に先駆けて、国策として、どんどんやるべし!
江戸川乱歩「孤島の鬼」
若く美しい青年、蓑浦の婚約者初代が密室状況で殺された。さらには、探偵と依頼した男も、人の多い海水浴場で、犯人不明の状況で殺された。 2つの不可能殺人の裏には、確かな目的と、途方もない犯罪があった。
江戸川乱歩傑作選で出ているものを借りて読んだ。いや、本当に面白かった。出だしと終わりの暗明は矛盾を感じるものの、読後感は非常に良い。
いわゆる障害者、文中では不具者、片輪、などと呼ばれる、が多く登場する。現代ならとても出版できない代物だろう。しかし、そこがこの物語を面白くしていることは否めない。
小学生の頃、学校の図書館にある限りの「怪人二十面相シリーズ」を読んだ。その筆の具合、というのも垣間見えてナイスだった。シャーロッキアンとしては、「六つのナポレオン」のネタが出て来たのは嬉しいし、まさに乱歩が西欧の推理小説に通暁していたのが如実に表されていると感じた。乱歩は、今後趣味のひとつに入ってくるだろう。
太田治子「明るい方へ
父・太宰治と母・太田静子」
太宰治の愛人の子である作者が、母と太宰の関係を綴った作品。ベストセラーとなった「斜陽」は太田静子の日記が下敷きになった。
母と過ごす日々から、母の日記から、娘の目線から母の所作、言葉を元に書き上げていくものは他には真似のし得ない説得力を持つ。母の行動に不満もあっただろうし父からの仕打ちに恨みもあっただろうなと思わせる。
感想としては、研究本としては興味深い。しかしこう、生身の人間についてこれほどまで細かい行動を推測するのは、少なくとも私的には魅力が少々薄いといものだった。毎度この手のものは、当時の文壇を知る材料としてそそられはするのだが、まあ太宰作品をあまり知らないから、というのもあるだろう。
もう8月、というのが信じられない。では、10冊、2回に分けて行ってみましょう。やっぱ夏は宇宙だな。
湊かなえ「少女」
それぞれに屈折した想いを抱える女子高生の友人同士、敦子と由紀。「人の死を見たい」という願望のもと、それぞれに行動を起こすが・・
登場人物が絡まり合う、毒のある小説、である。未熟な考えと危険な行動、刹那的な感情、冷めた目線、など割り切った部分も多い。
うーむ、あまりきれいすぎるのも何だが、これについては、心情的に動かされるものはなかった。むしろこちらも冷めてしまう。
梨木香歩「家守綺譚」
時はおよそ100年前の京都の山すそ。売れない作家綿貫征四郎は、亡くなった友人の実家に住みながら文筆活動に励むのだが、奇怪なことがまるで日常のように相次ぐ。
河童、仲裁犬ゴロー、恋するサルスベリ、桜鬼、化かす狸にキツネ、人魚、亡友の霊、長虫屋など、奇怪な中にも憎めない面々が入れ替わり立ち代わり登場する。またそれを当然のことと受け止める、アクセントのある周囲の人たち、隣のおばさん、近くの和尚、編集人山内、そしてダァリヤの君。
季節感、山すそ、湖、疎水と周り変化と植物の情報を豊富に取り入れながら、一編の興味深い物語が出来ている。これで完結するなら、どこかで種明かしなり、例えば都会へ出て来た後年の征四郎の話など入ってたらいいかも、などと思ってしまった。
続きが読みたくなった。これはこれでひとつの形であろう。
福井康雄「大宇宙の誕生」
名古屋大学大学院教授の、研究成果をまとめた本である。1998年、すばる望遠鏡が稼働する前の発行で、古いので、第3部のみ大幅に改訂してある。
星の一生からひもとき、星のたまご、星の誕生のプロセスまでの研究の結果を詳しく書いてある。なかなか興味深かった。
が、やたら自分のところが偉業を打ち立てた、というようなフレーズが出て来るのはやはり気持ちのいいものではないし、最初の方こそ繰り返し優しく解説してくれているが、中盤以降は、それを放棄してしまったように、説明のない言葉も出て来るので、理解の助けが無い状態である。
あとがきも、自分の中だけで言葉を消化している感じだ。全体的に、書いた人というよりは、編集の問題であろう。ただ、宇宙研究には、世界最高の設備を、国は準備すべきだ。世界に先駆けて、国策として、どんどんやるべし!
江戸川乱歩「孤島の鬼」
若く美しい青年、蓑浦の婚約者初代が密室状況で殺された。さらには、探偵と依頼した男も、人の多い海水浴場で、犯人不明の状況で殺された。 2つの不可能殺人の裏には、確かな目的と、途方もない犯罪があった。
江戸川乱歩傑作選で出ているものを借りて読んだ。いや、本当に面白かった。出だしと終わりの暗明は矛盾を感じるものの、読後感は非常に良い。
いわゆる障害者、文中では不具者、片輪、などと呼ばれる、が多く登場する。現代ならとても出版できない代物だろう。しかし、そこがこの物語を面白くしていることは否めない。
小学生の頃、学校の図書館にある限りの「怪人二十面相シリーズ」を読んだ。その筆の具合、というのも垣間見えてナイスだった。シャーロッキアンとしては、「六つのナポレオン」のネタが出て来たのは嬉しいし、まさに乱歩が西欧の推理小説に通暁していたのが如実に表されていると感じた。乱歩は、今後趣味のひとつに入ってくるだろう。
太田治子「明るい方へ
父・太宰治と母・太田静子」
太宰治の愛人の子である作者が、母と太宰の関係を綴った作品。ベストセラーとなった「斜陽」は太田静子の日記が下敷きになった。
母と過ごす日々から、母の日記から、娘の目線から母の所作、言葉を元に書き上げていくものは他には真似のし得ない説得力を持つ。母の行動に不満もあっただろうし父からの仕打ちに恨みもあっただろうなと思わせる。
感想としては、研究本としては興味深い。しかしこう、生身の人間についてこれほどまで細かい行動を推測するのは、少なくとも私的には魅力が少々薄いといものだった。毎度この手のものは、当時の文壇を知る材料としてそそられはするのだが、まあ太宰作品をあまり知らないから、というのもあるだろう。
2013年7月28日日曜日
やや久しぶり
ここのところ、あまり出張が無く、ちょっと久しぶりのビータである。今回は宇都宮。東京まで新幹線、そして東北新幹線に乗り換え。向かいのホームにはスーパーこまちが停まっていた。
50分で宇都宮。以前来た時、地元の方は、ようこそゲリラ豪雨と雷の名所、南東北宇都宮へ、と言われていたが、暑さは東京と変わらない。宇都宮は降らなかったが、この日の夕方は、東京ではゲリラ豪雨となったようだった。
着いて駅ビルで餃子定食をたいらげた。写真は餃子のモニュメントである、宇都宮のいいところは、タクシーの接客がいい事だ。以前は仕事先までの15分で宇都宮の産業のあらましを知る事が出来た。今回も、ワンメーター乗っても全く嫌な感じが伝わって来ない。駅前タクシー乗り場のナビゲーターらしきおじさんも、実に気持ちいい対応だ。
東京まで帰る前に、また駅ビルで、焼き、揚げ、水餃子をビールとともに完食。いい感じで東京まで爆睡した。
翌日東京でひと渡り仕事して、夕方に帰る。たったひと月ぶりくらいでしょうが、と人には言われたが、なんか新幹線乗るのも新鮮な、変な気分だった。(笑)
それにしても、暑い。猛暑に、熱帯夜。エアコンなしでは耐えられなくなった。天神祭、大阪の街はそこかしこに夜店も出て、祭りの風情である。土曜日は小学校の夏祭り。妻はPTAの役員で準備から本番の受付から後片付けまで出張っていた。当日は私も行って息子の相手をしていた。コロッケとカレーライスとフランクフルトと焼きおにぎりを食べて夕食。息子はビンゴゲームがまったく当たらず、不機嫌だった。買った水鉄砲で、友達と遊んでびしょ濡れになっていた。遊びに夢中であまり食べてなくて、帰って来ておなかがすいた、とポケモンカップラーメンを食べていた。
さて、サッカー東アジアカップ、オーストラリア戦は総入れ替えのチームBが頑張って、3点取って勝った。日曜日の、韓国戦はまた総入れ替え。柿谷、いいねえ。またやってくれた!
各国も日本と似たり寄ったりで、ベストメンバーからは程遠いが、それでも、期待の若手チームが必死にプレーする姿は観てて面白いものだ。豊田、斎藤、そして高萩に柿谷はフル代表に入って来るだろうか。あと、柏の鈴木大輔は、オリンピックのときから好きである。ボランチは、層が薄いか・・
楽しみを抱かせてくれるのは嬉しい事である。さて、息子が夏休みで借りて来た本を完読しようっと。
50分で宇都宮。以前来た時、地元の方は、ようこそゲリラ豪雨と雷の名所、南東北宇都宮へ、と言われていたが、暑さは東京と変わらない。宇都宮は降らなかったが、この日の夕方は、東京ではゲリラ豪雨となったようだった。
着いて駅ビルで餃子定食をたいらげた。写真は餃子のモニュメントである、宇都宮のいいところは、タクシーの接客がいい事だ。以前は仕事先までの15分で宇都宮の産業のあらましを知る事が出来た。今回も、ワンメーター乗っても全く嫌な感じが伝わって来ない。駅前タクシー乗り場のナビゲーターらしきおじさんも、実に気持ちいい対応だ。
東京まで帰る前に、また駅ビルで、焼き、揚げ、水餃子をビールとともに完食。いい感じで東京まで爆睡した。
翌日東京でひと渡り仕事して、夕方に帰る。たったひと月ぶりくらいでしょうが、と人には言われたが、なんか新幹線乗るのも新鮮な、変な気分だった。(笑)
それにしても、暑い。猛暑に、熱帯夜。エアコンなしでは耐えられなくなった。天神祭、大阪の街はそこかしこに夜店も出て、祭りの風情である。土曜日は小学校の夏祭り。妻はPTAの役員で準備から本番の受付から後片付けまで出張っていた。当日は私も行って息子の相手をしていた。コロッケとカレーライスとフランクフルトと焼きおにぎりを食べて夕食。息子はビンゴゲームがまったく当たらず、不機嫌だった。買った水鉄砲で、友達と遊んでびしょ濡れになっていた。遊びに夢中であまり食べてなくて、帰って来ておなかがすいた、とポケモンカップラーメンを食べていた。
さて、サッカー東アジアカップ、オーストラリア戦は総入れ替えのチームBが頑張って、3点取って勝った。日曜日の、韓国戦はまた総入れ替え。柿谷、いいねえ。またやってくれた!
各国も日本と似たり寄ったりで、ベストメンバーからは程遠いが、それでも、期待の若手チームが必死にプレーする姿は観てて面白いものだ。豊田、斎藤、そして高萩に柿谷はフル代表に入って来るだろうか。あと、柏の鈴木大輔は、オリンピックのときから好きである。ボランチは、層が薄いか・・
楽しみを抱かせてくれるのは嬉しい事である。さて、息子が夏休みで借りて来た本を完読しようっと。
2013年7月22日月曜日
ハート
日曜日だけ休み。身体も目も疲れていたので、息子の遊べ遊べ攻撃をかわしてのんびりした。
午後に選挙に行く。写真は山道ではなく、投票所への坂道。まあ野趣溢れるところにある(笑)。
このまま帰ると面白くないだろうなと、バス停まで下って自販機で飲み物を買う。息子は「みどりのハート」。スポーツ飲料系だ。私は息子の幼少のころからよく2人で散歩に行っていたが、暑い時などはスポーツ飲料も買ってやっていた。
ある時妻が、「きいろいハートって何?」と訊いて来たことがあった。くだんのスポーツ飲料は、白いハートと黄色いハートがあり、その前の散歩で飲ませていたのだ。
当時は正式な名前で覚えていたので、この言い方には、なるほど、幼児はそう言うのか、と感心したものだった。白、黄色は、ハートの色ではなく、ペットボトルそのものの色である。ハートのマークが付いていて黄色いの、という意味だったのだ。ちなみにぐずった時や機嫌がどうしようもなく悪い時も、よく冷えたスポーツ飲料を飲ませたら収まったこともあった。熱中症防止には、水だけよりも、甘みや塩分も入ったスポーツ飲料系がいいらしいし、熱が出た時にも有効である。小さなお子さんをお持ちの親御さん、覚えておきましょう(笑)。
パパはペットボトルのコーヒー。息子はこれも絵柄で覚えていて、ふだん、ママと買い物行くならコーヒー買って来て、と言うと「あの、青くて白い山の絵が描いてあるやつねー」と正しく買って来る。
バス停のとこの雑貨店で涼をとってまた10分歩き。暑かったので2人とも、家に帰り着くまでにペットボトル完飲。帰ってから折り紙紙飛行機、ガチャガチャサッカーゲームをする。また、夏の定番、ポケモンスタンプラリーをipadで調べたりする。
パパは夜東アジアカップを観る。前線はよく頑張ったが、どうもディフェンスがあかんなあ。3-3は明日への糧か。次戦は他のメンバーも見たいぞ。山田大紀とか。
休日終わり。夏だし、どっか連れてってやらないかんなあ。
午後に選挙に行く。写真は山道ではなく、投票所への坂道。まあ野趣溢れるところにある(笑)。
このまま帰ると面白くないだろうなと、バス停まで下って自販機で飲み物を買う。息子は「みどりのハート」。スポーツ飲料系だ。私は息子の幼少のころからよく2人で散歩に行っていたが、暑い時などはスポーツ飲料も買ってやっていた。
ある時妻が、「きいろいハートって何?」と訊いて来たことがあった。くだんのスポーツ飲料は、白いハートと黄色いハートがあり、その前の散歩で飲ませていたのだ。
当時は正式な名前で覚えていたので、この言い方には、なるほど、幼児はそう言うのか、と感心したものだった。白、黄色は、ハートの色ではなく、ペットボトルそのものの色である。ハートのマークが付いていて黄色いの、という意味だったのだ。ちなみにぐずった時や機嫌がどうしようもなく悪い時も、よく冷えたスポーツ飲料を飲ませたら収まったこともあった。熱中症防止には、水だけよりも、甘みや塩分も入ったスポーツ飲料系がいいらしいし、熱が出た時にも有効である。小さなお子さんをお持ちの親御さん、覚えておきましょう(笑)。
パパはペットボトルのコーヒー。息子はこれも絵柄で覚えていて、ふだん、ママと買い物行くならコーヒー買って来て、と言うと「あの、青くて白い山の絵が描いてあるやつねー」と正しく買って来る。
バス停のとこの雑貨店で涼をとってまた10分歩き。暑かったので2人とも、家に帰り着くまでにペットボトル完飲。帰ってから折り紙紙飛行機、ガチャガチャサッカーゲームをする。また、夏の定番、ポケモンスタンプラリーをipadで調べたりする。
パパは夜東アジアカップを観る。前線はよく頑張ったが、どうもディフェンスがあかんなあ。3-3は明日への糧か。次戦は他のメンバーも見たいぞ。山田大紀とか。
休日終わり。夏だし、どっか連れてってやらないかんなあ。
2013年7月15日月曜日
三つの休み
個人的に、「四つの署名」「六つのナポレオン」というシャーロックホームズもののタイトルをもじってみたのだが、面白くもなんともないな(笑)。ともかく海の日がらみの3連休は全休。仕事の具合の問題だが、おそらくは9月まで土日はさほど忙しくない。
土曜日。妻が実家に泊まるため、パパと息子の2人暮らし。ポケモンの映画を見に行った。「神速のゲノセクト」実は2年前観に行った時は眠くなったのだが、今回は全部起きていた。初日だし多いかな、と思ったがまあ概ね8割の入り、といったところだった。「神速」場面は、あるにはあったが、あまり強調はされてなかったようだ。最初聞いた時には「神速て!」と思わずツッコミを入れたものだったが。でもまあ面白かった。
ただ、これがウルトラマンなり仮面ライダーなら、どうしてそうなったのか理屈付けをするだろな、と言ったところ、息子はポケモンをけなされたと感じたのか、不機嫌になった。
本編の前に、ポケモンしか登場しない短編があって、その中で、「ゴチルゼルは、遠く離れた宇宙を映し出すことができる」という場面があった。ゴチルゼルがいたら、天文学は格段に発展するのにと少し本気で思ってしまった。(笑)
翌日の朝ご飯のポケモンパンと、昼ご飯の一平ちゃん夜店の焼きそばを買ってバスで帰る。晩御飯はママが買って来ていたお弁当。さっさと風呂に入って、ポケモンカードゲームして、この日は寝る。寝かしつけた後、江戸川乱歩「孤島の鬼」を読んでいた。
乱歩は小学生の頃、「怪人二十面相シリーズ」を全部読んで、高校の頃好きなやつに「白髪鬼」を借りて以来か。怖くて面白かった。もちろん大掛かりに作られたものではあるが、日本における推理小説の嚆矢、乱歩の色が大いに出た作品だろう。
息子と2人で夜を過ごすのは、幼稚園の最後のほうにママが引っ越し準備で関西へ帰って以来だから、2年半ぶり3回め。まだ10ヶ月の頃、妻が10日ほど入院した時が1回め、である。前回は、だいじょうぶ、と口では言いながらも寂しがって夜中に起きて来たものだったが、さすがに3年生、今回はなんの問題も無かった。夜は羽アリがポツポツとフロアを這っていた。屋上テラスを見てみると、窓際に集まっている。ただしよくあるようなアリの行列ではない。なんじゃこりゃ、と思いながら殺虫剤で駆除。このへんは東京の家で経験あり、である。
翌日曜日は、宿題の日。算数の宿題につきあって、朝昼ご飯を食べさせて、ポケモンカードゲームをして、ママとワンの帰りを待つ。暑いなーと思っていたら激しい夕立ち。ママ、山を登っている最後もう一息のところで降られたらしい。帰って来た時はすでに弱まっていた。いつも通りの柿の葉鮨がお土産の晩御飯。食べたらパパは異様に眠くなってしまい、朝方まで寝てしまった。
で、起きて風呂入って2度寝して、ちゃんと起きて、朝一番からポケモンセンターオオサカへ。バス乗って、JRでいつも通り開店と同時に入って、人の少ない店内でポケモントレッタフェス。また新しいシリーズになっていたが、映画で貰った赤いゲノセクトが強く、史上初のトリプルゲット達成。買い物して、中華のご飯食べて、ずっと降った雨の中早々に帰って来た。
帰ってポケモンフィギュア使ってサッカー遊び、風呂入る前にまたポケモンカードゲーム。ポケモンと息子三昧の3日間。いいかげん遊びのバリエーション増やさなきゃあ、と話をしていたら、山登りなんか1回もした事ないとか、けっこう考えなきゃ、というコメントも出て来た。山は秋にしといて、とりあえずなんか考えよう。
でもさ、ウチの父は、毎週のように、4人の子供を遊びに連れ出して、山も行ったし、釣りにも行ったし、海にも行ったし、ドライブしたしで、けっこう頑張ってたんだな。ほっぽらかされたこともそりゃあったけど。ちょっと考えてしまったのでした。
土曜日。妻が実家に泊まるため、パパと息子の2人暮らし。ポケモンの映画を見に行った。「神速のゲノセクト」実は2年前観に行った時は眠くなったのだが、今回は全部起きていた。初日だし多いかな、と思ったがまあ概ね8割の入り、といったところだった。「神速」場面は、あるにはあったが、あまり強調はされてなかったようだ。最初聞いた時には「神速て!」と思わずツッコミを入れたものだったが。でもまあ面白かった。
ただ、これがウルトラマンなり仮面ライダーなら、どうしてそうなったのか理屈付けをするだろな、と言ったところ、息子はポケモンをけなされたと感じたのか、不機嫌になった。
本編の前に、ポケモンしか登場しない短編があって、その中で、「ゴチルゼルは、遠く離れた宇宙を映し出すことができる」という場面があった。ゴチルゼルがいたら、天文学は格段に発展するのにと少し本気で思ってしまった。(笑)
翌日の朝ご飯のポケモンパンと、昼ご飯の一平ちゃん夜店の焼きそばを買ってバスで帰る。晩御飯はママが買って来ていたお弁当。さっさと風呂に入って、ポケモンカードゲームして、この日は寝る。寝かしつけた後、江戸川乱歩「孤島の鬼」を読んでいた。
乱歩は小学生の頃、「怪人二十面相シリーズ」を全部読んで、高校の頃好きなやつに「白髪鬼」を借りて以来か。怖くて面白かった。もちろん大掛かりに作られたものではあるが、日本における推理小説の嚆矢、乱歩の色が大いに出た作品だろう。
息子と2人で夜を過ごすのは、幼稚園の最後のほうにママが引っ越し準備で関西へ帰って以来だから、2年半ぶり3回め。まだ10ヶ月の頃、妻が10日ほど入院した時が1回め、である。前回は、だいじょうぶ、と口では言いながらも寂しがって夜中に起きて来たものだったが、さすがに3年生、今回はなんの問題も無かった。夜は羽アリがポツポツとフロアを這っていた。屋上テラスを見てみると、窓際に集まっている。ただしよくあるようなアリの行列ではない。なんじゃこりゃ、と思いながら殺虫剤で駆除。このへんは東京の家で経験あり、である。
翌日曜日は、宿題の日。算数の宿題につきあって、朝昼ご飯を食べさせて、ポケモンカードゲームをして、ママとワンの帰りを待つ。暑いなーと思っていたら激しい夕立ち。ママ、山を登っている最後もう一息のところで降られたらしい。帰って来た時はすでに弱まっていた。いつも通りの柿の葉鮨がお土産の晩御飯。食べたらパパは異様に眠くなってしまい、朝方まで寝てしまった。
で、起きて風呂入って2度寝して、ちゃんと起きて、朝一番からポケモンセンターオオサカへ。バス乗って、JRでいつも通り開店と同時に入って、人の少ない店内でポケモントレッタフェス。また新しいシリーズになっていたが、映画で貰った赤いゲノセクトが強く、史上初のトリプルゲット達成。買い物して、中華のご飯食べて、ずっと降った雨の中早々に帰って来た。
帰ってポケモンフィギュア使ってサッカー遊び、風呂入る前にまたポケモンカードゲーム。ポケモンと息子三昧の3日間。いいかげん遊びのバリエーション増やさなきゃあ、と話をしていたら、山登りなんか1回もした事ないとか、けっこう考えなきゃ、というコメントも出て来た。山は秋にしといて、とりあえずなんか考えよう。
でもさ、ウチの父は、毎週のように、4人の子供を遊びに連れ出して、山も行ったし、釣りにも行ったし、海にも行ったし、ドライブしたしで、けっこう頑張ってたんだな。ほっぽらかされたこともそりゃあったけど。ちょっと考えてしまったのでした。
2013年7月7日日曜日
Not Sleepy
いつも夜は、いかんいかんと思いながらも、読書やケイタイゲームで遅くまで起きていて、翌朝眠い頭を抱えて行くのがパターンだ。
そんな日が続くと、夜早く眠くなったりして、息子の寝かし付けでそのまま眠ってしまい、朝方に近い夜中に目が覚めることもある。こういうときは、しばらくぼーっとして、風呂に入ってから、本なぞ読んで身体の熱を冷ましていると、外が明るくなる時間帯くらいに再び眠くなってくる。
で、二度寝するのだが、すぐ起きなければならないため、やっぱり眠い頭を抱えて行かなければならない。ようはいつも眠いのだ。(笑)
しかしながらこの数日は夜も暑い。山ゆえ、2階1階を網戸にして風通しを良くすればある程度風が通るが、雨でムシムシして気持ちが悪い。おまけに息子はまた成長痛で足が痛いらしく、夜中にうなされて起き、寝かし付ける。朝方やたら暑くて汗かいたりして、やっぱり良く眠れなくて眠い。
土曜は休み。夕方にレオンクッキーを連れて、行ったことのない、3つ隣町の公園までプチ遠征。今年初めて外短パンを着た。曇っていて風もあり、そんなに暑くは無かった。長雨で散歩に行けてなかったワン達も、やはり初めての場所はワクワクするのか、いつもより歩みが早かった。たっぷり1時間歩いて帰る。住宅街だが山なので、たまに見える緑の風景に、和んだりする。
夜また雨。大いに霧が出て、屋上に出ると、ちょっと煙臭いような感じもした。これでムシムシして、今年初めてエアコンのドライを点けた。でも点けていると涼しすぎる、点けないと暑いの悪循環。
日曜の朝、息子は早起きしてテレビ見る。パパは9時に起きて「題名のない音楽会」を見たが、天気カンカン照りでもう汗だく。午前息子と動かすサッカーゲームして遊ぶ。これが惨敗。昼ごはんのペンネミートソースの後ママと息子は買い物で午睡を楽しむ。起きたころまた汗だく。またサッカーゲーム、また惨敗。
少し涼しくなった夕方、Tシャツ替えて、エアコンの室外機カバーを組み立てる。そんなに難しくは無いが、あれこれで小1時間。それから息子と公園。キャッチボールのあと、バットを持った息子に初めてホームラン打たれる。公園からボールが出て、あれあれと取りに行く。犬の散歩のお爺さんに、すごいね〜ホームラン、と褒めてもらって嬉しそう。
キャッチボールも、もちろん軽いボールでだが、ちゃんと取るし、右も左もそれなりに投げるしで、幼少のときから数えて、初めてまともなキャッチボールだった。その後はサッカーして、またキャッチボールして、ボールが外に出てしまってパパ探しに行って、用水路水際の急な坂道だったから、無いだろうと思ったら奇跡的にあって、戻ってブランコしてたらママから晩ご飯電話。
風は吹いていたが、もう汗みずく。ビールでトンカツ。酔っ払って、レオンとクッキーを散歩に連れて行く。風呂入って、暑いので屋上でしばらく涼む。夏の大三角形はまだ出たばかり。うっすらと牽牛星見える。きょうは七夕ナイト。織姫は、相変わらず光度強く、ピュアホワイト。
先に息子のベッドで待ってたら、目の前に、顔から落ちて来た。滑って階段落ちてあちこち打って泣いちゃった。この日は、ドライも、除湿できたかな〜というころに弱まるというのを発見。これなら点けて寝てもそこまで寒くなんない。
土日終わる。さすがにきょうは早めに寝ようかな。
そんな日が続くと、夜早く眠くなったりして、息子の寝かし付けでそのまま眠ってしまい、朝方に近い夜中に目が覚めることもある。こういうときは、しばらくぼーっとして、風呂に入ってから、本なぞ読んで身体の熱を冷ましていると、外が明るくなる時間帯くらいに再び眠くなってくる。
で、二度寝するのだが、すぐ起きなければならないため、やっぱり眠い頭を抱えて行かなければならない。ようはいつも眠いのだ。(笑)
しかしながらこの数日は夜も暑い。山ゆえ、2階1階を網戸にして風通しを良くすればある程度風が通るが、雨でムシムシして気持ちが悪い。おまけに息子はまた成長痛で足が痛いらしく、夜中にうなされて起き、寝かし付ける。朝方やたら暑くて汗かいたりして、やっぱり良く眠れなくて眠い。
土曜は休み。夕方にレオンクッキーを連れて、行ったことのない、3つ隣町の公園までプチ遠征。今年初めて外短パンを着た。曇っていて風もあり、そんなに暑くは無かった。長雨で散歩に行けてなかったワン達も、やはり初めての場所はワクワクするのか、いつもより歩みが早かった。たっぷり1時間歩いて帰る。住宅街だが山なので、たまに見える緑の風景に、和んだりする。
夜また雨。大いに霧が出て、屋上に出ると、ちょっと煙臭いような感じもした。これでムシムシして、今年初めてエアコンのドライを点けた。でも点けていると涼しすぎる、点けないと暑いの悪循環。
日曜の朝、息子は早起きしてテレビ見る。パパは9時に起きて「題名のない音楽会」を見たが、天気カンカン照りでもう汗だく。午前息子と動かすサッカーゲームして遊ぶ。これが惨敗。昼ごはんのペンネミートソースの後ママと息子は買い物で午睡を楽しむ。起きたころまた汗だく。またサッカーゲーム、また惨敗。
少し涼しくなった夕方、Tシャツ替えて、エアコンの室外機カバーを組み立てる。そんなに難しくは無いが、あれこれで小1時間。それから息子と公園。キャッチボールのあと、バットを持った息子に初めてホームラン打たれる。公園からボールが出て、あれあれと取りに行く。犬の散歩のお爺さんに、すごいね〜ホームラン、と褒めてもらって嬉しそう。
キャッチボールも、もちろん軽いボールでだが、ちゃんと取るし、右も左もそれなりに投げるしで、幼少のときから数えて、初めてまともなキャッチボールだった。その後はサッカーして、またキャッチボールして、ボールが外に出てしまってパパ探しに行って、用水路水際の急な坂道だったから、無いだろうと思ったら奇跡的にあって、戻ってブランコしてたらママから晩ご飯電話。
風は吹いていたが、もう汗みずく。ビールでトンカツ。酔っ払って、レオンとクッキーを散歩に連れて行く。風呂入って、暑いので屋上でしばらく涼む。夏の大三角形はまだ出たばかり。うっすらと牽牛星見える。きょうは七夕ナイト。織姫は、相変わらず光度強く、ピュアホワイト。
先に息子のベッドで待ってたら、目の前に、顔から落ちて来た。滑って階段落ちてあちこち打って泣いちゃった。この日は、ドライも、除湿できたかな〜というころに弱まるというのを発見。これなら点けて寝てもそこまで寒くなんない。
土日終わる。さすがにきょうは早めに寝ようかな。
2013年7月1日月曜日
2013上半期読書ランキング!
6月も終わり、2013年も前半が終了。毎年恒例の、上半期ランキングである。
グランプリ=大賞は、年末のこととして、今回はランキングのみ。
6カ月で、70作品、81冊読了。
今年はかなりのハイペースで来ている。毎年前半は、もひとついい作品に巡り会えなかったりするのだが、今年は数も増えたせいか、とても濃厚な上半期だった。
では、おなじみ読んだ作品の一覧。( )は巻数を表します。
村上春樹「1Q84」(6)
村上春樹「遠い太鼓」
神永学「心霊探偵 八雲」シリーズ
「1.赤い瞳は知っている」
「2.魂をつなぐもの」
中島京子「小さいおうち」
蒼井上鷹 「ホームズのいない町 13のまだらな推理」
高田郁「今朝の春 みをつくし料理帖 」
北村薫「六の宮の姫君」
船戸与一「砂のクロニクル」(2)
浅田次郎「珍妃の井戸」
藤原伊織「テロリストのパラソル」
川村元気「世界から猫が消えたなら」
横山秀夫「第三の時効」
藤沢周平「蝉しぐれ」
石田衣良「波のうえの魔術師」
石田衣良「4TEEN」
奥泉光「シューマンの指」
神永学「神霊探偵八雲」シリーズ
「3.闇の先にある光」
「4.守るべき想い」
船戸与一「虹の谷の五月」(2)
京極夏彦「姑獲鳥の夏」
和田竜「のぼうの城」(2)
山田悠介「ニホンブンレツ」
ナンシー・スプリンガー
「エノーラ・ホームズの事件簿
〜消えた公爵家の子息〜」
三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズ
「栞子さんと二つの顔 」
高田郁「小夜しぐれ みをつくし料理帖」
天童荒太「悼む人」(2)
北村薫「朝霧」
伊坂幸太郎「フィッシュストーリー」
アルフレード・ガティウス
ホセ・マリア・ウック
「なぜレアルとバルサだけが儲かるのか? サッカークラブ経営に魔法は存在しない」
江橋よしのり
「世界一のあきらめない心」
夏川草介「神様のカルテ2」
桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」
乾ルカ「蜜姫村」
三浦しをん「風が強く吹いている」
藤原伊織「ひまわりの祝祭」
ヤン・マーテル「パイの物語」(2)
西加奈子「円卓」
山本兼一「利休にたずねよ」
宮下奈都「よろこびの歌」
北村薫「ニッポン硬貨の謎」
神原一光 「辻井伸行 奇跡の音色 恩師との12年間」
高田郁「心星ひとつ みをつくし料理帖」
村山由佳「星々の舟」
藤原伊織「手のひらの闇」
綾辻行人「Another」(2)
乙川優三郎「生きる」
三宅博「虎のスコアラーが教える『プロ』の野球観戦術」
小杉健治「父からの手紙」
金城一紀「GO」
江國香織「号泣する準備はできていた」
辻村深月「凍りのくじら」
藤原伊織「名残り火 てのひらの闇 �」
高田郁「夏天の虹 みをつくし料理帖」
東野圭吾「真夏の方程式」
五十嵐貴久「For You」
桜庭一樹「荒野」
スコット・フィッツジェラルド
「冬の夢」
城島充「ピンポンさん」
舞城王太郎「世界は密室でできている。」
辻村深月「太陽の坐る場所」
貫井徳郎「乱反射」
西加奈子「さくら」
ウイリアム・アイリッシュ
「幻の女」
朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」
高田郁「残月 みをつくし料理帖」
舞城王太郎「煙か土か食い物」
村上春樹
「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」
泡坂妻夫
「しあわせの書 迷探偵ヨギ ガンジーの神霊術」
重松清「君去りしのち」
そして、上半期のランキングは、こうなりましたー!
数も多いし、がっつりしたものが多かったので20位までやっちゃいます。
1位 藤原伊織
「テロリストのパラソル」
江戸川乱歩賞、直木賞ダブル授賞。サスペンスと独特のお気楽さの同居、素晴らしくテンポの良い構成、そして深みを与える、大学紛争の名残り。落ち着いてよく読むとまた違う面も見えてくるが、初見は夢中になること間違いなし。
2位天童荒太「悼む人」
これは正直、積極的にはお薦め出来ない作品だ。痛快でも無い、目的が分からない、そしてオチがついているわけでもない。おまけに暗い。しかし、生と死、というテーマに対して、作者がもがいた末に表現しようとしている、と思える。理屈では無い、不思議なパワーを持った直木賞作品である。
3位朝井リョウ
「桐島、部活やめるってよ」
朝井リョウは、才を感じさせる。1位の「テロパラ」と同じように、文壇がその才能を早々に認めたのが解る気がする。正直「桐島」と同様の高校生小説はいくらでもある。が、恩田陸にも、辻村深月にも、宮下奈都にも無いものが、朝井にはある、と、思わせる。まあ読んでみましょう。すぐ読めます。
以下、このようになった。
4位金城一紀「GO」
5位山本兼一「利休にたずねよ」
6位川村元気
「世界から猫が消えたなら」
7位夏川草介「神様のカルテ2」
8位辻村深月「凍りのくじら」
9位奥泉光「シューマンの指」
10位村上春樹
「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」
11位綾辻行人「Another」(2)
12位五十嵐貴久「For You」
13位乙川優三郎「生きる」
14位西加奈子「円卓」
15位船戸与一「砂のクロニクル」(2)
16位宮下奈都「よろこびの歌」
17位桜庭一樹「荒野」
18位京極夏彦「姑獲鳥の夏」
19位東野圭吾「真夏の方程式」
20位中島京子「小さいおうち」
特別賞
江橋よしのり「世界一のあきらめない心」
城島充「ピンポンさん」
20位に入り切れなかったものでも読みごたえのあるものはたくさんあった。村上春樹の「1Q84」、横山秀夫「第三の時効」、三浦しをん「風が強く吹いている」、村山由佳「星々の舟」、貫井徳郎「乱反射」、小杉健治「父からの手紙」等々は、ランキング内に入ってもおかしくない作品だ。
特別賞の2つには、なでしこにはストレートな感激を、ピンポンには、人生という意味での心の揺れを味わうことができた。
もひとつ、舞城王太郎は、ランク外が似合う。その方がいいような気がする(笑)。
充実した上半期読書でした。さて、下半期も、読むぞ〜!
グランプリ=大賞は、年末のこととして、今回はランキングのみ。
6カ月で、70作品、81冊読了。
今年はかなりのハイペースで来ている。毎年前半は、もひとついい作品に巡り会えなかったりするのだが、今年は数も増えたせいか、とても濃厚な上半期だった。
では、おなじみ読んだ作品の一覧。( )は巻数を表します。
村上春樹「1Q84」(6)
村上春樹「遠い太鼓」
神永学「心霊探偵 八雲」シリーズ
「1.赤い瞳は知っている」
「2.魂をつなぐもの」
中島京子「小さいおうち」
蒼井上鷹 「ホームズのいない町 13のまだらな推理」
高田郁「今朝の春 みをつくし料理帖 」
北村薫「六の宮の姫君」
船戸与一「砂のクロニクル」(2)
浅田次郎「珍妃の井戸」
藤原伊織「テロリストのパラソル」
川村元気「世界から猫が消えたなら」
横山秀夫「第三の時効」
藤沢周平「蝉しぐれ」
石田衣良「波のうえの魔術師」
石田衣良「4TEEN」
奥泉光「シューマンの指」
神永学「神霊探偵八雲」シリーズ
「3.闇の先にある光」
「4.守るべき想い」
船戸与一「虹の谷の五月」(2)
京極夏彦「姑獲鳥の夏」
和田竜「のぼうの城」(2)
山田悠介「ニホンブンレツ」
ナンシー・スプリンガー
「エノーラ・ホームズの事件簿
〜消えた公爵家の子息〜」
三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズ
「栞子さんと二つの顔 」
高田郁「小夜しぐれ みをつくし料理帖」
天童荒太「悼む人」(2)
北村薫「朝霧」
伊坂幸太郎「フィッシュストーリー」
アルフレード・ガティウス
ホセ・マリア・ウック
「なぜレアルとバルサだけが儲かるのか? サッカークラブ経営に魔法は存在しない」
江橋よしのり
「世界一のあきらめない心」
夏川草介「神様のカルテ2」
桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」
乾ルカ「蜜姫村」
三浦しをん「風が強く吹いている」
藤原伊織「ひまわりの祝祭」
ヤン・マーテル「パイの物語」(2)
西加奈子「円卓」
山本兼一「利休にたずねよ」
宮下奈都「よろこびの歌」
北村薫「ニッポン硬貨の謎」
神原一光 「辻井伸行 奇跡の音色 恩師との12年間」
高田郁「心星ひとつ みをつくし料理帖」
村山由佳「星々の舟」
藤原伊織「手のひらの闇」
綾辻行人「Another」(2)
乙川優三郎「生きる」
三宅博「虎のスコアラーが教える『プロ』の野球観戦術」
小杉健治「父からの手紙」
金城一紀「GO」
江國香織「号泣する準備はできていた」
辻村深月「凍りのくじら」
藤原伊織「名残り火 てのひらの闇 �」
高田郁「夏天の虹 みをつくし料理帖」
東野圭吾「真夏の方程式」
五十嵐貴久「For You」
桜庭一樹「荒野」
スコット・フィッツジェラルド
「冬の夢」
城島充「ピンポンさん」
舞城王太郎「世界は密室でできている。」
辻村深月「太陽の坐る場所」
貫井徳郎「乱反射」
西加奈子「さくら」
ウイリアム・アイリッシュ
「幻の女」
朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」
高田郁「残月 みをつくし料理帖」
舞城王太郎「煙か土か食い物」
村上春樹
「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」
泡坂妻夫
「しあわせの書 迷探偵ヨギ ガンジーの神霊術」
重松清「君去りしのち」
そして、上半期のランキングは、こうなりましたー!
数も多いし、がっつりしたものが多かったので20位までやっちゃいます。
1位 藤原伊織
「テロリストのパラソル」
江戸川乱歩賞、直木賞ダブル授賞。サスペンスと独特のお気楽さの同居、素晴らしくテンポの良い構成、そして深みを与える、大学紛争の名残り。落ち着いてよく読むとまた違う面も見えてくるが、初見は夢中になること間違いなし。
2位天童荒太「悼む人」
これは正直、積極的にはお薦め出来ない作品だ。痛快でも無い、目的が分からない、そしてオチがついているわけでもない。おまけに暗い。しかし、生と死、というテーマに対して、作者がもがいた末に表現しようとしている、と思える。理屈では無い、不思議なパワーを持った直木賞作品である。
3位朝井リョウ
「桐島、部活やめるってよ」
朝井リョウは、才を感じさせる。1位の「テロパラ」と同じように、文壇がその才能を早々に認めたのが解る気がする。正直「桐島」と同様の高校生小説はいくらでもある。が、恩田陸にも、辻村深月にも、宮下奈都にも無いものが、朝井にはある、と、思わせる。まあ読んでみましょう。すぐ読めます。
以下、このようになった。
4位金城一紀「GO」
5位山本兼一「利休にたずねよ」
6位川村元気
「世界から猫が消えたなら」
7位夏川草介「神様のカルテ2」
8位辻村深月「凍りのくじら」
9位奥泉光「シューマンの指」
10位村上春樹
「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」
11位綾辻行人「Another」(2)
12位五十嵐貴久「For You」
13位乙川優三郎「生きる」
14位西加奈子「円卓」
15位船戸与一「砂のクロニクル」(2)
16位宮下奈都「よろこびの歌」
17位桜庭一樹「荒野」
18位京極夏彦「姑獲鳥の夏」
19位東野圭吾「真夏の方程式」
20位中島京子「小さいおうち」
特別賞
江橋よしのり「世界一のあきらめない心」
城島充「ピンポンさん」
20位に入り切れなかったものでも読みごたえのあるものはたくさんあった。村上春樹の「1Q84」、横山秀夫「第三の時効」、三浦しをん「風が強く吹いている」、村山由佳「星々の舟」、貫井徳郎「乱反射」、小杉健治「父からの手紙」等々は、ランキング内に入ってもおかしくない作品だ。
特別賞の2つには、なでしこにはストレートな感激を、ピンポンには、人生という意味での心の揺れを味わうことができた。
もひとつ、舞城王太郎は、ランク外が似合う。その方がいいような気がする(笑)。
充実した上半期読書でした。さて、下半期も、読むぞ〜!
6月書評の2
暑涼しい気候。梅雨明けの暑さがちと怖い。さて2部スタート!
高田郁「残月 みをつくし料理帖」
久しぶりに出た最新刊。見てすぐ買ってしまった。前刊で良き料理人、又次を喪ったつる家。しかし事件は次々と起きる。ついに、失踪していた佐兵衛が姿を現す!
前回は、大きな災害に見舞われた巻だったが、今回もまた、次から次へと、エピソード満載の巻となっている。鼈甲珠が小憎らしい。澪もフル稼働で美味しそうな一冊。干瓢の海苔巻きが旨そうだ。
舞城王太郎「煙か土か食い物」
2001年の作品。これでメフィスト賞を受賞し舞城王太郎はデビューした。前読作「世界は密室でできている。」とよく似ているが相対的に品が良く見えてしまうのはデビュー作だからか。(笑)
ハチャメチャで暴力的で、家庭環境が陰惨、というのはパターンなのか。そして遊びを交えつつ織り込まれる大胆なトリック。ほとんどトリックのためのトリックだが考え抜かれていて、スピーディーな文体とあいまって確かにパワーを感じる。この口語を交えるセリフ回しや、やたら急ぐ雰囲気は独特なものだ。
今回もまた、大事なところは明示されなかった。うーん、面白い要素はあるだけに、そこの緻密さはもう少し・・というところか。まあ分かってやってるのだろうが、やはり動機に重きを置いて無いのがねえ、という感じだった。また、ちょっと都合良すぎるかな。
村上春樹
「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」
誰一人欠かせなかった仲良しの男女5人組。多崎つくるは、突然他の4人から拒絶されてしまう。なぜそうなったのか、16年後に、理由を求めて、つくるは動き出した。
「1Q84」に比べると、小さなエピソードを描いた作品だが、じっくり読める。初期の作品のようなフワフワ感も無い。関東への出張の時ちょうど売り出しで、東京駅の本屋の店員が声を張り上げていた。
けっこう引き込まれた。相変わらず会話は、これまでと同じように独特で、話の流れも、登場する女性達が理知的、という点でもほとんど同じ。しかし孤独と喪失というものを、種類を変えて、設定を変えて丹念に描いている。ファンタジックな部分もあるが、落ち着いた作風で、没頭できた。
泡坂妻夫「しあわせの書 迷探偵ヨギ ガンジーの神霊術」
亜愛一郎など名探偵を世に送り出した、故・泡坂妻夫のヨギ・ガンジーシリーズである。信者の多い惟霊講会という新興宗教団体に、紛れ込んだガンジー一行は、断食の行を手伝うことに。しかしその裏には・・!
あれあれという間に、いつのまにか話がうますぎる方向へ進むが、ふむまあそうか、と思えるオチがつく。1987年の作品で、冴えている部分と、当時の牧歌的な雰囲気も出ている。さらさらと読めた。皮肉でない意味で、往時の推理小説の匂いがした。
重松清「君去りしのち」
最新の文庫である。幼い我が子の突然死にいやおうなしに向き合う両親。夫は、長く会ってなかった前妻との娘とともに、旅を繰り返す。前妻は、病に犯され、余命いくばくも無い身だった。
借りた本で、「泣きますよ〜」と言われ手渡された。重松清は「春夏秋冬」シリーズを読んだだけで、長編は初めて。あの短編集はなかなかツンツンと心を衝いただけに、言われた通りぐじゅくじゅになるかも、と思ったが、程遠かった。
旅を重ねる姿は痛々しいし、そこに微妙な父娘関係が絡むのは、旅の風景とエピソードをベースに、揺れ動く心を描く設定としては良いのかもしれない。
ただ重ね過ぎてしまうと、立ち直りつつある姿の光がぼやけてしまい、どうも暗くなり過ぎて終わってしまう、という感慨を持った。
高田郁「残月 みをつくし料理帖」
久しぶりに出た最新刊。見てすぐ買ってしまった。前刊で良き料理人、又次を喪ったつる家。しかし事件は次々と起きる。ついに、失踪していた佐兵衛が姿を現す!
前回は、大きな災害に見舞われた巻だったが、今回もまた、次から次へと、エピソード満載の巻となっている。鼈甲珠が小憎らしい。澪もフル稼働で美味しそうな一冊。干瓢の海苔巻きが旨そうだ。
舞城王太郎「煙か土か食い物」
2001年の作品。これでメフィスト賞を受賞し舞城王太郎はデビューした。前読作「世界は密室でできている。」とよく似ているが相対的に品が良く見えてしまうのはデビュー作だからか。(笑)
ハチャメチャで暴力的で、家庭環境が陰惨、というのはパターンなのか。そして遊びを交えつつ織り込まれる大胆なトリック。ほとんどトリックのためのトリックだが考え抜かれていて、スピーディーな文体とあいまって確かにパワーを感じる。この口語を交えるセリフ回しや、やたら急ぐ雰囲気は独特なものだ。
今回もまた、大事なところは明示されなかった。うーん、面白い要素はあるだけに、そこの緻密さはもう少し・・というところか。まあ分かってやってるのだろうが、やはり動機に重きを置いて無いのがねえ、という感じだった。また、ちょっと都合良すぎるかな。
村上春樹
「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」
誰一人欠かせなかった仲良しの男女5人組。多崎つくるは、突然他の4人から拒絶されてしまう。なぜそうなったのか、16年後に、理由を求めて、つくるは動き出した。
「1Q84」に比べると、小さなエピソードを描いた作品だが、じっくり読める。初期の作品のようなフワフワ感も無い。関東への出張の時ちょうど売り出しで、東京駅の本屋の店員が声を張り上げていた。
けっこう引き込まれた。相変わらず会話は、これまでと同じように独特で、話の流れも、登場する女性達が理知的、という点でもほとんど同じ。しかし孤独と喪失というものを、種類を変えて、設定を変えて丹念に描いている。ファンタジックな部分もあるが、落ち着いた作風で、没頭できた。
泡坂妻夫「しあわせの書 迷探偵ヨギ ガンジーの神霊術」
亜愛一郎など名探偵を世に送り出した、故・泡坂妻夫のヨギ・ガンジーシリーズである。信者の多い惟霊講会という新興宗教団体に、紛れ込んだガンジー一行は、断食の行を手伝うことに。しかしその裏には・・!
あれあれという間に、いつのまにか話がうますぎる方向へ進むが、ふむまあそうか、と思えるオチがつく。1987年の作品で、冴えている部分と、当時の牧歌的な雰囲気も出ている。さらさらと読めた。皮肉でない意味で、往時の推理小説の匂いがした。
重松清「君去りしのち」
最新の文庫である。幼い我が子の突然死にいやおうなしに向き合う両親。夫は、長く会ってなかった前妻との娘とともに、旅を繰り返す。前妻は、病に犯され、余命いくばくも無い身だった。
借りた本で、「泣きますよ〜」と言われ手渡された。重松清は「春夏秋冬」シリーズを読んだだけで、長編は初めて。あの短編集はなかなかツンツンと心を衝いただけに、言われた通りぐじゅくじゅになるかも、と思ったが、程遠かった。
旅を重ねる姿は痛々しいし、そこに微妙な父娘関係が絡むのは、旅の風景とエピソードをベースに、揺れ動く心を描く設定としては良いのかもしれない。
ただ重ね過ぎてしまうと、立ち直りつつある姿の光がぼやけてしまい、どうも暗くなり過ぎて終わってしまう、という感慨を持った。
6月書評の1
土曜の晩はなでしこのドイツ戦を見た。ハイペースで真っ向勝負も、気合いの入りまくったホーム、ドイツに押し込まれての負け。でも、1年ぶりの3連戦としては悪くないと思った。リーグではキレキレの宮間がもひとつ、なのはちょっと気になったが。
さて、6月は出張が多かったせいか、11作品11冊読めた。ではスタート!
舞城王太郎「世界は密室でできている。」
英語のサブタイトルを入れるとすごく長くなるのでごかんべんを。これって初めてですな。ウワサの覆面作家、舞城王太郎も初めて。石原慎太郎や宮本輝に酷評されるという名誉に浴している(笑)方である。
これはミステリである。既存の本格ミステリに対して意図的に挑発的な。
これまで何度も書いて来たが、設定、キャラクターが面白く、興味深い謎があり、その手法を取らなければならなかったというのっぴきならない理由付きでの奇想天外なトリックがあり、引くに引けない言い訳なしの動機があり、なおかつ個性的で魅力的な探偵が鮮やかに謎を解いてみせる、推理の材料は出来るだけフェアに読者に示されなければならない、というのがミステリの理想と、目されているだろう(予想)。いやー厳しいですな。
この作品は、福井を舞台とし、方言を駆使した、アップテンポな会話風文章が大きな特徴。どことなく森見登美彦を思い出す。密室の謎はそれなりに面白いが、物語の流れに必然性がなく、犯罪の理由も、最終的な謎解きも・・。こりゃベテランは怒るかな(笑)。
でも、いまのところは、ハチャメチャに突っ走って欲しい。世間には常識があるから、きっと存在価値はある。「阿修羅ガール」も読みたいな。
辻村深月「太陽の坐る場所」
高校生たちの、生々しく、幼く、どす黒く独善的な感情と、振る舞い。10年後の現在にもつながっているものを描く。
一章ずつ主人公が変わり、それぞれの、高校時代の隠されたエピソードを紐解きながら物語が進行していく、という流行りの形である。特に女子にどろどろした感情が多く出てくる。
自分自身の高校時代は、もううすぼんやりとしたもので、部活の仲間とつるんでいた記憶があるばかり。物事を深く考えているわけではなく、田舎からちょっと都会の高校へ行った不安もあり、周囲にうまくなじめない焦りも、確かにあった。ただ多くの高校生の物語に出てくるように、多感でもなかった。
ただ、確かに女子同士の行き過ぎた確執はあったようだ。後から聞いたりしたが、女は、けっこう激しい争いをやっている。自分的には、高校の時は人気者だった男子が、就職して、いまだに、どうしてあの頃のようにうまくいかないのか、と思っているところ、また、詳細は省くが、貴恵の「殴ってやった」の下りは心に残った。
宮下奈都氏が解説で激賞しているが、人の自尊心が高いのもまた確かで説得力はあるような気がする。ただ、まあそこまで考えるか?というのもあり、最後の会話もちと背負い過ぎだな、と思う。「冷たい校舎の時はとまる」の鮮烈さから、私の感性的には、少し停滞期に入っているか。恩田陸のようでもある。しばらく間を置こう。
貫井徳郎「乱反射」
誰しも持っている、少しづつの身勝手さが積み重なって人の命が奪われる。2歳の子供が倒れた街路樹の下敷きになって亡くなった。
推理作家協会賞受賞作。アガサ・クリスティーの「オリエント急行殺人事件」の日本版、という紹介がされていたが、うーん、かなり違うと思う(笑)。
取り組みは斬新で、読む方も身につまされる事が多い、内省を求める小説である。細かな罪だけでなく、それぞれの登場人物について、家庭環境での葛藤も仔細に描きこんであり、濃厚だ。たんたんとした文章が、宮部みゆきにも似ている。事故が起こるまでが長く最初は読む速度が上がらなかった。
正直を言うと、もう少し精巧な推理小説かと思ったが、やはり設定的にフィクションだなと思えてしまう。直接の原因となった理由が・・と感じる。
後半は、前半現れた人に、新聞記者の父親が一人一人当たっていく。そこが迫真の感じを増していて、どんどん読める。微妙なものが、どうなって行くのだろうという期待を持たせて、面白かった。
西加奈子「さくら」
光り輝いていた兄ちゃん、美しくハチャメチャな妹とともに成長する次男・薫。明るかった我が家に、絶望が訪れて・・
西加奈子の出世作、である。「円卓」とはまた違った、感性の作品だ。まず会話や例えが現代口語風である。極端に言えば、今月読んだ舞城王太郎を思い起こさせる。
また、はっきりわかる特徴は、明らかに色彩を意識していること。それはまるでチャン・イーモウや北野武の映画のようでもある。表現、表現、という手法はこれまで何人かの作家に見て来たが、例えば宮下奈都に比べればそれはより口語体で思い切った、それでいて暖かいところへ着地する。
全体的に、口語を使用しているので隠れがちかも知れないが、純文学風だ。例えば村上春樹のように、関係性のあるような無いような事柄が、メインの物語を引っ張る。一つの家に起きる様々な苦難に対し愛犬さくらがその象徴として、救いをもたらす作りとなっている。ラストなどまるで芝居のようなセリフ回しである。
斬新で、より大阪チックで、ちょっとした笑いから狂気までさまざまなものをミックスしていて興味深いが、芯のところがもひとつ訴えかけて来ないような気もする。
ウイリアム・アイリッシュ
「幻の女」
アメリカの作家、ウイリアム・アイリッシュの代表作。1991年、入社したて、大阪で暮らし始めたばかりの若い私は、身の回りが落ち着くと、好きなミステリーをたくさん読もう!と心に決め、折良く出版されたハヤカワの「ミステリー・ハンドブック」を読み込んだ。その中の「読者が選ぶ海外ミステリー・ベスト100」で1位を獲得していたのが、「幻の女」だった。ランクには、「偽のデュー警部」「深夜プラス1」なども入っていて、聞いたことも無い未知のミステリーたちに出会ってワクワクしたものである。
日本では江戸川乱歩が原書を読み、「ぜひ日本でも出版すべき」と言った話は有名らしい。また、書き出しの「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった」という粋な文章が、後の日本の作家たちに影響を与えたと言われている。
さて、20ウン年ぶりの再読、中身は、やはりほとんど忘れていた。最後はついに現れた幻の女を、車のヘッドライトがパッと照らして、的な感じだったと確信していたが、全く違ったので笑った。(笑)
スコット・ヘンダーソンがある夜の外出から帰って来てみると、妻が絞殺されていた。現場には彼のネクタイがあり、まずいことに、彼と妻は離婚話でもめていて、当夜も喧嘩していた。さらには彼には愛人がいた。絞殺時刻のアリバイを証明出来るのは、たまたまバーで出会い、食事してショーを一緒に観た、名も知らぬ女だけだったー。
焦れる展開、ヘンダーソンの死刑執行日が迫る!見えない魔の手、そしてきれいなドンデン返し。なるほど、古典的名作なのも分かる気がする。ま、ネタが割れてみれば、というのは有るんだけどね。
再読も、グイグイ進んだ。面白かった。読むべし!
朝井リョウ
「桐島、部活やめるってよ」
朝井リョウ、今年でまだ24歳。男性としては、史上最年少の直木賞受賞者。早稲田大学在学中、弱冠20歳の年にこの作品でデビュー、小説すばる新人賞を獲得した。
もちろん、話題性でチョイスした。前から狙っていて、先日ブックオフに出ていたので即買いしてきた。高校生の話である。
舞城王太郎、西加奈子らと同じく、生々しい面白さを感じさせる会話を織り込んでいるスタイル。しかし、その表現は、両者とはまったく違う、純文学にも近いのではないかと思える美しさ、だということだ。どれかというと宮下奈都とか安達千夏とかが好きそうな世界。彼はもっとピュアに、ストレートに衝いてくる。映画部の章は秀逸だと思う。
ちなみに、同じ高校内のタッチするかしないかの一人ずつが主人公の章立て。手法はよくあるが、ここまで関係性が薄いのも珍しいか。桐島は、各章に噂として出てくるが、桐島本人は一切登場しない。味がありますねえ。評価の高い一冊だ。
さて、6月は出張が多かったせいか、11作品11冊読めた。ではスタート!
舞城王太郎「世界は密室でできている。」
英語のサブタイトルを入れるとすごく長くなるのでごかんべんを。これって初めてですな。ウワサの覆面作家、舞城王太郎も初めて。石原慎太郎や宮本輝に酷評されるという名誉に浴している(笑)方である。
これはミステリである。既存の本格ミステリに対して意図的に挑発的な。
これまで何度も書いて来たが、設定、キャラクターが面白く、興味深い謎があり、その手法を取らなければならなかったというのっぴきならない理由付きでの奇想天外なトリックがあり、引くに引けない言い訳なしの動機があり、なおかつ個性的で魅力的な探偵が鮮やかに謎を解いてみせる、推理の材料は出来るだけフェアに読者に示されなければならない、というのがミステリの理想と、目されているだろう(予想)。いやー厳しいですな。
この作品は、福井を舞台とし、方言を駆使した、アップテンポな会話風文章が大きな特徴。どことなく森見登美彦を思い出す。密室の謎はそれなりに面白いが、物語の流れに必然性がなく、犯罪の理由も、最終的な謎解きも・・。こりゃベテランは怒るかな(笑)。
でも、いまのところは、ハチャメチャに突っ走って欲しい。世間には常識があるから、きっと存在価値はある。「阿修羅ガール」も読みたいな。
辻村深月「太陽の坐る場所」
高校生たちの、生々しく、幼く、どす黒く独善的な感情と、振る舞い。10年後の現在にもつながっているものを描く。
一章ずつ主人公が変わり、それぞれの、高校時代の隠されたエピソードを紐解きながら物語が進行していく、という流行りの形である。特に女子にどろどろした感情が多く出てくる。
自分自身の高校時代は、もううすぼんやりとしたもので、部活の仲間とつるんでいた記憶があるばかり。物事を深く考えているわけではなく、田舎からちょっと都会の高校へ行った不安もあり、周囲にうまくなじめない焦りも、確かにあった。ただ多くの高校生の物語に出てくるように、多感でもなかった。
ただ、確かに女子同士の行き過ぎた確執はあったようだ。後から聞いたりしたが、女は、けっこう激しい争いをやっている。自分的には、高校の時は人気者だった男子が、就職して、いまだに、どうしてあの頃のようにうまくいかないのか、と思っているところ、また、詳細は省くが、貴恵の「殴ってやった」の下りは心に残った。
宮下奈都氏が解説で激賞しているが、人の自尊心が高いのもまた確かで説得力はあるような気がする。ただ、まあそこまで考えるか?というのもあり、最後の会話もちと背負い過ぎだな、と思う。「冷たい校舎の時はとまる」の鮮烈さから、私の感性的には、少し停滞期に入っているか。恩田陸のようでもある。しばらく間を置こう。
貫井徳郎「乱反射」
誰しも持っている、少しづつの身勝手さが積み重なって人の命が奪われる。2歳の子供が倒れた街路樹の下敷きになって亡くなった。
推理作家協会賞受賞作。アガサ・クリスティーの「オリエント急行殺人事件」の日本版、という紹介がされていたが、うーん、かなり違うと思う(笑)。
取り組みは斬新で、読む方も身につまされる事が多い、内省を求める小説である。細かな罪だけでなく、それぞれの登場人物について、家庭環境での葛藤も仔細に描きこんであり、濃厚だ。たんたんとした文章が、宮部みゆきにも似ている。事故が起こるまでが長く最初は読む速度が上がらなかった。
正直を言うと、もう少し精巧な推理小説かと思ったが、やはり設定的にフィクションだなと思えてしまう。直接の原因となった理由が・・と感じる。
後半は、前半現れた人に、新聞記者の父親が一人一人当たっていく。そこが迫真の感じを増していて、どんどん読める。微妙なものが、どうなって行くのだろうという期待を持たせて、面白かった。
西加奈子「さくら」
光り輝いていた兄ちゃん、美しくハチャメチャな妹とともに成長する次男・薫。明るかった我が家に、絶望が訪れて・・
西加奈子の出世作、である。「円卓」とはまた違った、感性の作品だ。まず会話や例えが現代口語風である。極端に言えば、今月読んだ舞城王太郎を思い起こさせる。
また、はっきりわかる特徴は、明らかに色彩を意識していること。それはまるでチャン・イーモウや北野武の映画のようでもある。表現、表現、という手法はこれまで何人かの作家に見て来たが、例えば宮下奈都に比べればそれはより口語体で思い切った、それでいて暖かいところへ着地する。
全体的に、口語を使用しているので隠れがちかも知れないが、純文学風だ。例えば村上春樹のように、関係性のあるような無いような事柄が、メインの物語を引っ張る。一つの家に起きる様々な苦難に対し愛犬さくらがその象徴として、救いをもたらす作りとなっている。ラストなどまるで芝居のようなセリフ回しである。
斬新で、より大阪チックで、ちょっとした笑いから狂気までさまざまなものをミックスしていて興味深いが、芯のところがもひとつ訴えかけて来ないような気もする。
ウイリアム・アイリッシュ
「幻の女」
アメリカの作家、ウイリアム・アイリッシュの代表作。1991年、入社したて、大阪で暮らし始めたばかりの若い私は、身の回りが落ち着くと、好きなミステリーをたくさん読もう!と心に決め、折良く出版されたハヤカワの「ミステリー・ハンドブック」を読み込んだ。その中の「読者が選ぶ海外ミステリー・ベスト100」で1位を獲得していたのが、「幻の女」だった。ランクには、「偽のデュー警部」「深夜プラス1」なども入っていて、聞いたことも無い未知のミステリーたちに出会ってワクワクしたものである。
日本では江戸川乱歩が原書を読み、「ぜひ日本でも出版すべき」と言った話は有名らしい。また、書き出しの「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった」という粋な文章が、後の日本の作家たちに影響を与えたと言われている。
さて、20ウン年ぶりの再読、中身は、やはりほとんど忘れていた。最後はついに現れた幻の女を、車のヘッドライトがパッと照らして、的な感じだったと確信していたが、全く違ったので笑った。(笑)
スコット・ヘンダーソンがある夜の外出から帰って来てみると、妻が絞殺されていた。現場には彼のネクタイがあり、まずいことに、彼と妻は離婚話でもめていて、当夜も喧嘩していた。さらには彼には愛人がいた。絞殺時刻のアリバイを証明出来るのは、たまたまバーで出会い、食事してショーを一緒に観た、名も知らぬ女だけだったー。
焦れる展開、ヘンダーソンの死刑執行日が迫る!見えない魔の手、そしてきれいなドンデン返し。なるほど、古典的名作なのも分かる気がする。ま、ネタが割れてみれば、というのは有るんだけどね。
再読も、グイグイ進んだ。面白かった。読むべし!
朝井リョウ
「桐島、部活やめるってよ」
朝井リョウ、今年でまだ24歳。男性としては、史上最年少の直木賞受賞者。早稲田大学在学中、弱冠20歳の年にこの作品でデビュー、小説すばる新人賞を獲得した。
もちろん、話題性でチョイスした。前から狙っていて、先日ブックオフに出ていたので即買いしてきた。高校生の話である。
舞城王太郎、西加奈子らと同じく、生々しい面白さを感じさせる会話を織り込んでいるスタイル。しかし、その表現は、両者とはまったく違う、純文学にも近いのではないかと思える美しさ、だということだ。どれかというと宮下奈都とか安達千夏とかが好きそうな世界。彼はもっとピュアに、ストレートに衝いてくる。映画部の章は秀逸だと思う。
ちなみに、同じ高校内のタッチするかしないかの一人ずつが主人公の章立て。手法はよくあるが、ここまで関係性が薄いのも珍しいか。桐島は、各章に噂として出てくるが、桐島本人は一切登場しない。味がありますねえ。評価の高い一冊だ。
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