2024年12月7日土曜日

12月書評の2

◼️「谷川俊太郎詩集」

詩人の足跡を、初読み。時にふむ、と。

谷川俊太郎氏は、翻訳の絵本「スイミー」以外読んだことがなかった。オリジナルの詩に触れるのはこれが初めて。書店が前面に置いてたのを入手した。

詩そのものも文豪作品と、いただいた吉野弘「二人が睦まじくいるためには」くらいなのであまりなじみがない正直。ただ多くの方に支持されているので興味津々。

児童もの、言葉遊び、世界、シェークスピア、モーツァルト・・「二十億年の孤独」にあるような宇宙的視点、とても言い尽くせないが、1940年代から1990年代までの詩をセレクト収録した1998年出版の本だ。

かあちゃん
たいようはどうしてわらっているの
たいようがかわをくすぐるからよ

ではじまる「川」には思いやりと想像力を感じる。

(何処)は散文のような小説のような・・「2交合」では私は羊歯と一体化し、羊歯が土壌から吸い上げる養分が身内に流れ込むという幻想SF的な短い作品。恒川光太郎のライトホラー小説にも似たような感覚があり、影響あったのかな、などと考える。

まっさらみたいに思えても
今日には昨日のしみがある
すんだことさの一言を
漂白剤には使えない

言ってしまったこと、やってしまったこと、の中には取り返しのつかないこともある。もとに戻りようのないことは確かにある。気にしない、と言っていても、自分でそう思っていてもどこかに傷、ダメージとして残る。「昨日のしみ」という短い作品には唸らされた。

ごめんなさいの一言を
鎮痛剤には使えない

明日があるよの一言を
ビタミン剤には使えない

シンパシー、共感。これが人生だと、読み手が思う表現。全体にやはり昭和的な色がある中で、歌謡曲で出てきそうな部分だ。

巻末のコラムも購買欲を惹起するものだろうと思った。けど、予想よりおもしろくなかったかな(小声)

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