2024年11月28日木曜日

11月書評の7

◼️原研哉「白」

グラフィックデザイナーが説く白、とは。経験と考察からー。

先日ハン・ガン「すべての、白いものたちの」を読んだ際、白といえば、と読書友が教えてくれた本。

白とは、日本の伝統色における白、たとえば「白は混沌の中から立ち上がってくる最も鮮烈なイメージの特異点」といったような白の印象、位置付け、そして紙の白と文字。加えて茶室や絵画の空間におけるエンプティネスと白との関係、最終章では清掃や未知化に言及し、慈照寺銀閣での白砂と月の光で締めている。

経験と知識からくる考察の叙述で、後半は英文であり、日本語部分は80ページくらいの本。

白につながるものをさまざまに挙げて、伝えるべく表現していくのはなかなか興味深かった。

個人的には最終章にある、白い髪に筆で書くことの不可逆性、がどこかしっくりきた。もちろん書き損なえば紙を替えて書けばいいのかも知れないが、失敗できない文書や紙、絵画もやはりあっただろうし、いまもある。その点データとの違いが際立つのもなるほど、と思った、でもそれ以上に感覚的に刹那、という単語が頭に浮かび、ストンと落ちた気がする。

ぎゅっと詰まった短い作品は好み。良い読書でした。

0 件のコメント:

コメントを投稿