2024年11月3日日曜日

10月書評の9

◼️ガブリエル・セヴィン
「書店主フィクリーのものがたり」

なにか仕掛けがあるとしたらその良さを見抜けなかったかな。古風な小説という評に1表。

昔「赤ちゃんはトップレディがお好き」という映画を観た。バリバリのキャリアウーマンかつよくモテる女性のところに赤ちゃんが来て育てざるを得ないことに。色々なことがうまくいかなくなる。主演のダイアン・キートンが叫ぶ。

「私は"いい女"だったのに!」

結局はハッピーエンドになっていくのではある。物語は山から谷へ、そしてまた山へ。

こちらは孤独な人が赤ちゃんを引き取るものとしてはもうひとつの種類で、不幸な境遇もしくは偏屈とか乱暴とかの性質の者のところへ赤ちゃんが来て、親としての成長を促していくというパターン。だから巻末の訳者あとがきで読んだ古風な小説という評価には賛成だ。

アリス島唯一の書店の主フィクリーは最愛の妻を交通事故で亡くしてから生活が荒れている。もともとあまり社交的ではなくこだわりが強い性格。ある日店に捨て子のマヤが置かれていた。フィクリーは自分の養女として育てることにする。

亡き妻の姉イズメイや飄々とした警察署長ランビアーズらが何くれと面倒を見てくれる。ランビアーズは署の部下たちと書店で読書会なぞするようになる。そしてフィクリーも恋をする。その成り行きは・・マヤの母親の謎は・・。ラブコメとミステリーの要素も入り物語は進行してゆく。

各章の扉ではフィクリーがマヤに宛てて書いた短編紹介とアドバイスのメモがついている。ほとんど読んだことがない。今作は世界中で翻訳出版されているらしい。この辺がツボなのかな、と憶測。やはり古典的なパターンの話なのでうわーおもしろい!とはなりにくい正直。

最近自分でも辛辣だな、と思ったりする。まあ悩むことはない。小説のいい面も見ていかなくちゃね。

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