◼️泉鏡花「蛇くひ」
泉鏡花は幻想、怪奇、色彩、光など様々な要素で話を作り込んでいくことが多い。が、これはうーん、グロい、のみ。
短い小説。時たま青空文庫で泉鏡花を読むのが楽しみだったりする。有名な「高野聖」や「春昼」など幻想的な怪奇、妖しい小エロチックで、色彩にあふれていてなぜか収まりの良い話を書く人だと捉えていた。あまり有名な短編ではないが「紫陽花」なんかもゾクゾクする。やたら蛇好きだったりするのも特徴のひとつ。
しかしこの話は、えもいわれぬ恐怖、はよく表しているけども、ちょっとグロに終始したかな。
北越、立山のふもとの地域に北越に「應」という乞食の一団がやってくる。踵まで伸ばした髪をまとめもせず、裸足で歩き、陰険で鋭い顔つきをしている。金持ちの家や店で食事や銭をせがみ、断られると懐からうねる蛇を出してその場で噛みちぎり吐き出す。この嫌がらせに屈して仕方なく米銭を出す家も多かった。
彼らは爬虫類を食べる。一番のご馳走は蛇のようだ。鍋に笊のようなもので蓋をして蛇を煮る。蛇が苦しがって顔を出すと掴んで引っ張り、骨だけを抜いてむしゃむしゃと湯の中に残った肉を食べる。
神出鬼没で彼らが現れるのが近くなると、子どもらは歌う。
拾乎(ひらを)、ひらを、豆まめひらを、
鬼おにの來ぬ間まに豆まめひらを
親たちがいくら言っても歌うのをやめない。そして子どもらがこの歌を口にしたら1か月以内に「應」は現れる。村は震え上がるー。
うーむイヤミスみたい笑。義賊のようなところもあり、裕福な家しか狙わないようだ。またひどく機敏で奇妙な合い言葉、掛け声で行動している。謎×謎。官憲は人の食のことだけに手出ししないとか、かかわりたくなかったのかも。
やっぱ、蛇、くちなは、長虫好きやね(^▽^;)
泉鏡花の作品は数多い。怪奇的短編のひとつ、と捉えることとしよう。次行こう。
0 件のコメント:
コメントを投稿