神戸モダン建築祭
安藤忠雄設計 リランズゲート
◼️原田ひ香「古本食堂」
神保町ってほんとにねえ、関西にも欲しいし九州にも欲しい。
神保町の名店ボンディのカレーは東京を離れた今でも出張時食べに行く。この本の最初の方に日本一のビーフカレーとある。気に入った笑
北海道・帯広で暮らしていた独り身の中年女性・珊瑚は神保町で古書店を営んでいた兄の滋郎が亡くなり、東京へ出て兄の家に住みながら店を開ける。生前滋郎の店を訪ねていた、親戚で文学専攻の大学院生・美希喜がアルバイト店員として手伝うことになった。日々本をめぐる出来事が起こり、人間関係が出来ていくー。
介護ヘルパーをしていた珊瑚さんは意外に?本に詳しく、困りごとの相談に見事に答える。進路について悩んでいる美希喜はまた院生で本の知識が豊富。出版社社員や作家の卵の若者も出演、人間関係が出来上がっていく。ボンディのカレー、ピロシキ、池波正太郎の愛した上海式肉焼きそば、若者と、滋郎の恋、そして珊瑚さんにも想い人が・・
多重で楽しい展開、積み重ねでちゃんとジーンとするいい読み物。本好き、神保町好きには、これこれ、という柔らかい作品。
続編出てるようだ。文庫になったらまた読もう。
繰り返しのもの、について考える。くだんの作家の卵がこんなことを言う。
「何を読んでも、何を観ても・・・・・・映画やドラマですが・・・・・・ああ、もう知ってる、わかってるって気分になるんです」
彼は不遜なキャラとして登場していて、小説のストーリーはもう出切っていて、新しいネタなんかどこにもないのかな、と思うらしい。
分かる気がする、なんて考えてしまう。簡単に書いてしまえば、例えば前半前向きに人間関係を構築していき、謎を潜ませる。途中で困難、空中分解寸前、というブロックがあり、突破口を見つけ、最後は全てが解けて大団円、とか。先が見えてしまうと少し鼻白む気分にはなる。
まあでも、だ。まずネタはいくらでもある。歴史、美術、音楽etcそれぞれをもっと細かくもできる。知識や味付けの豊富さで差をつけることも出来るし、書き方、は、ー法則を組み立て過ぎてしまい、最近やや画一的にも思えるがー、それこそ川端、太宰、谷崎と名前を挙げるだけでも千差万別。楽しみ方はたくさんあるかなと思う。
もうひとつ、分かってて楽しむ、というのもある、とも考える。今回も先に読んだ「危険球」もやはりクライマックスではホロリときてしまう。
まあ人間のタイプも好奇心旺盛な、とか感受性豊かな、とか同時にその真逆もある。実用本位の人、想像ではなくやってみて初めて分かる、という人など様々だろう。
たまに鼻白む気分にもなりつつ、でも本も映画も相変わらず楽しい、が続いている。
語ってしまった、まあたいしたことではないので読み流していただければ、です。
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