2025年12月31日水曜日

12月書評の9

◼️ 野村泰紀「95%の宇宙」

宇宙に関する物理学の本。パラレルワールドやブラックホール。途中は楽しく、分からないとこはそれなりに。

相対性理論、量子力学、そして2つをつなぐ量子重力論に関係する超弦理論(超ひも理論)。宇宙の謎に迫る物理学の発展の様子がよく分かる。特に超ひも理論は数年前の一時期よく出てきて、なんだろう?と思っていたので、少しでも触れられて良かったかな。

ビッグバンとインフレーション、そしてダークマター、ダークエネルギー。星や星間ガスなど現在の宇宙を構成するエネルギーで分っているものはたった5%で、残りの95%のエネルギーは、何から来ているのか。17種類の素粒子、その中の不思議なニュートリノ。科学学界の研究や理論を紹介しながら、説明していく。

参考書でなく専門書でもない。この辺物理学的でついていけないわけではないが、理解は難しい。

私の場合は途中、二重スリット実験付近で興味を惹かれた。上下2つの穴(スリット)を開けたボードの穴に向かって一発の電子を撃つと穴の向こうのスクリーンに現れる点は常に1つ。しかし電子がたくさん来るところと全く来ないところが交互に現れる縞模様のようになる。この縞模様は2つのスリット両方を同時に通ったものが再び出会ったときに起きる。

つまり、電子が上を通った世界と下を通った世界がパラレルワールドとして同時に存在する解釈が成り立つ、ということだそうだ。このへんから俄然おもしろくなった。

現在の世界は3次元に時間というものを含めた4次元で構成されている。では時間とは何なのか、と突き詰めていく。

そして、宇宙の全てを説明するためには、一般相対性理論と量子力学とを組み合わせ、重力と量子効果を共に統一的に扱うことのできる、量子重力理論の完成が重要になる、とのこと。で、素粒子は点ではなく小さなひも上のもので振動する、という超弦理論(超ひも理論)が最有力候補だそうだ。

ダークエネルギーの件を解決する考え方としてはマルチバース、親宇宙の中に子宇宙がいくつもある、時には生まれる、という考え方で、実は超弦理論にも多くの宇宙を作るメカニズムが組み込まれていると。ふむふむ。

最後の方はブラックホールの話。「特異点」がまた出てきた。マルチバースも特異点も、息子がよく観ていたウルトラマンの映画や仮面ライダーにさりげなく出てきたりして、ヒーローものは科学の感度が高いなと思ったものだ。

ブラックホールからラストまで、また難解になり、ちょっとついていけなかったかな。

有名な理論の名前を知ってはいたが、それがどういう位置付けなのか、が何となく見えた気がしている。

数学や物理学は想像するのが難しい。文系の私はそこが本当に難点。力の方向や同時性は苦手だし、例えばありえない仮定が出てくると想像から先に入ろうとする。どんな感覚か掴みたいからだ。

今回の理論の間には気が遠くなるくらいの、実験と数式の積み重ねがあるはず。結論だけを記載するのはありがたい。ただ中間の解説もこれはこうなってるから、だけでは伝わらないことも多い。その塩梅が難しいんだろうなと思いました。

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