2025年12月13日土曜日

11月書評の9

◼️ 泉鏡花「怪談女の輪」

不定期に読む、泉鏡花の超短編。コ、コワイ。

幽玄、異世界感、エロティックは泉鏡花の特徴で様々なブレンドのパターンがあると思う。今回はショートショートっぽくてある意味珍しく、ドンっとした直接的な怪談。

17歳の少年は、築何百年もの屋敷を利用した塾に寄宿していた。もうホントおんぼろで、まったく整備されておらず、ネズミだらけ、ホコリだらけ、草だらけ。

襖で仕切られた部屋数は17あるが、塾生と大家家族を合わせても3、4部屋しか使っていないうら淋しい屋敷。

主人公の少年は、夜の自室で教師に見つかると取り上げられてしまう「美少年録」などを読んでいると、パラパラ、という音がする。あられの音か、とも思うが、外は月夜。断続的に、だんだん音は激しくなる。山田という塾生、乳飲み子を抱えた家の奥さんが少年の部屋に集まる。外から帰ってきた教師はなんだか家の屋根の上を礫が駆けていくようだったと。この夜は音はしなくなった。

山田が吹聴し、正体を見てやろうと通学生が張り込んだがその後4、5日は何も起こらず。

ある黄昏時に発熱し悪寒を覚えた少年は押し入れで寝ていた。するとバタバタ、しとしとと何かが近づいてくる足音がする。当夜は山田も不在。やがて押さえつけらるような空気感があり、耐えきれずふらふらと立ち上がって部屋から移ろうとして後ろを見ると、薄紅の絹にからまって蒼白い女の脚が歩いてくる。思わず駈け出すと壁の行き止まり。追い詰められて、なんとかして開かないかと押す。必死。もがく。なんと壁は引いてみると開いた。

すると明るい、十畳ばかりのその部屋にはー。

屋敷はかつて女に悲劇が相次いだ場所だった。

たとえ住宅街の家でも、暗い中に音がすればゾワッとくる。うら淋しい屋敷ならなおさら。怪談えほんシリーズにうってつけのようなお話。子供が喜びそうないかにもの怪談。

いつものように少しずつ怪異の要素や社会状況、ほのかなエロチシズムを散らしてはいるが、圧倒的に芯の話が目立つ物語だった。

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