2026年3月8日日曜日

人生すべて芝居

直木賞受賞作「木挽町のあだ討ち」芝居小屋の裏方たちがあだ討ちを見守った。1年半後、あだ討ちを遂げた少年の藩から来た浪人が、関係者に聞き込みを始めるー。そこには大きな理由があった。

原作を読んで、正直出来過ぎ?という気もあったけども、上手に芝居を活用していて、なにかストーリーを超えて、大きなものが語りかけてくる気がした作品。人情ものでもあるし、なにせ芝居だから色彩も豊か。映画はすごく精巧に、手間をかけて作ってるなという感想。楽しめます。

お客さん多かった。休みの朝イチ9時過ぎからだというのに8割は入ってたかと。人気なのかな。ヒット中?

いちご🍓狩り初体験

🍓いちご🍓狩りに行ってきました。有馬温泉を抜けた神戸電鉄二郎駅近く。ビニールハウス3つになっている「章姫」「紅ほっぺ」30分食べ放題。

目にあやな赤い果実。春告げのような気もする。食べやすいからパクパク。「章姫」は柔らかく甘い、「紅ほっぺ」は歯応えがあって果実を食べてる、という実感がある。

20分ごろにはギブアップ😎でもすでにもう砂糖食べたらお腹の中でいちごジャムできるんちゃうかーという腹具合だった。人生で初めてこんなにたくさんいちご🍓だけを食べました🍓

この辺は気温がかなり低いそうで、寒い週末、北風も強くたしかに一段寒い感覚。まあビニールハウスなんで摘んで食べてる時は暖かい。持ち帰りも購入して帰りました。ミニドライブ。途中内装がきれいな山小屋風レストランでランチもして、いい大人のお出かけでした🍓

直木賞受賞作「木挽町のあだ討ち」芝居小屋の裏方たちがあだ討ちを見守った。1年半後、あだ討ちを遂げた少年の藩から来た浪人が、関係者に聞き込みを始めるー。そこには大きな理由があった。

原作を読んで、正直出来過ぎ?という気もあったけども、上手に芝居を活用していて、なにかストーリーを超えて、大きなものが語りかけてくる気がした作品。人情ものでもあるし、なにせ芝居だから色彩も豊か。映画はすごく精巧に、手間をかけて作ってるなという感想。楽しめます。

お客さん多かった。休みの朝イチ9時過ぎからだというのに8割は入ってたかと。人気なのかな。

さあ、遊びました。春のお仕事にはげまなければ。

3月書評の3

◼️ 梨木香歩「エストニア紀行」

バルト海に面した北の国。読んで字の如く、だけど、やっぱり梨木香歩さんしてます。

バルト三国、リトアニア、ラトビア、エストニア。ゴルバチョフが打ち出したペレストロイカのもと独立の機運が高まり1991年にソ連から独立を果たした。ちょうど学生時期で新聞によく載っていたので、なぜか南からの順番で覚えた。

今回の舞台は北の果て・・梨木香歩は最初は首都・タリンで昔の地下通路などを訪ねる。まさに紀行ものらしい。建物や人の機微を心中よく捉えている。

バルト三国最北の国、というのは知ってた。でもさすがになじみのない国、タリンではもう一つ想像しにくいな、と感じたが、北部、湾を隔ててスカンジナビア半島のフィンランドと向かい合っている首都タリンから、ずっと南東部のヴォルに移動して、ホテル近くの厚い森に1人入ったころに、ナチュラリスト・梨木香歩らしさが出た。

「じっとしていると、ときどき自分が人間であることから離れていくような気がする。人が森に在るときは、森もまた人に在る。(中略)何か、互いの浸食作用で互いの輪郭が、少し、ぼやけてくるような、そういう個と個の垣根がなくなり、重なるような一瞬がある」

茸取り名人のおばあさんの話を興味深く聞く。梨木香歩も相当の知識がある人で、その会話はけっこうディープ。茸は首都タリンの近くでもちょっと郊外に出れば取れるそうで、国民にはポピュラーな食材のようだ。アンズダケが食べてみたくなる。

西部キヒヌ島は男性たちが漁に行ってしまうため、家に残った妻たちはパンを焼き、魚を捕って焼き、畑を耕す。機織り機で作られた暖色系統の縦縞スカートが鮮やか。著者は女たちを「なんてかっこいいんだろう」と涙さえ浮かべながら感激している。

北西部の大きな島、ムフ島とサーレマー島訪問。サーレマー島はソ連時代、軍事拠点だったから、生態系がそのまま保たれているらしい。ムース一万頭、オオカミ、オオヤマネコ、クマ、カワウソなどがいると知り梨木氏は夢見心地。

「私はかなり本気で後半生をこの島で過ごすことを考えた」

んだとか。梨木香歩さん、めっちゃ植生に詳しいし、毎月、季節のゼリーを作っているらしい。渡り鳥の観察のために、自分で車を運転してウォッチしたり、空港でたぶん英語になっているであろうアフリカの本を購入し読む、という、理知的および科学的であり、かつ行動力がすばらしい。

エストニアの1か月前はカムチャツカ半島に行っており、この後はアフリカに行くんだとか。

様々な種類の、この作家特有の要素が散りばめてあり、そのまっすぐさに惹かれてしまう。感性がおもしろい。幽霊騒ぎもなかなか楽しいくだりでした。

梨木さんのエッセイ、GOOD、良い感触。折に触れもう少し読んでみようかな。

3月書評の2

◼️ 芥川龍之介「犬と笛」

創作寓話。笛は妖しを誘う。

出かけるのに本を忘れて、青空文庫。先日観たドキュメンタリー映画「ブーニン 天才ピアニストの沈黙と再生」でブーニンが日本の小説では芥川龍之介に影響を受けた、と話していたな、と芥川からタイトルで選んだ。ちなみにブーニン夫人は日本人。

大和の国、葛城山の麓ー。髪が長く女のような顔立ちをした髪長彦という若い木こりは笛が上手で、仕事の行き帰り、合間に音楽を奏でていた。

ある日から連日、足一つの神、手一つの神、目一つの神が現れて笛の音を楽しんだ礼に望みを叶えてやると告げる。髪長彦はいずれも「犬を一匹ください」と望み、どんな遠い所でも嗅が出してくれる白犬、背中へ乗って飛べる黒犬、どんな鬼神でも噛み殺すまだらの犬をもらいうける。

さてある日、髪長彦は弓矢に身を固めた侍2人と行き会い、飛鳥の大臣のお姫様姉妹が行方不明だと聞く。髪長彦は犬たちに命じ、姫を探索に行くー。

悪者として八岐大蛇を飼っている食唇人と土蜘蛛が出てくる。食唇人はどうやら芥川の創作した怪物らしい。無事姫たちを救い出すものの、手柄を侍たちに横取りされる。侍、という言葉で考えてしまうものの、舞台といい記紀っぽい演出といい、古代の話のようだ。あまりややこしくもなく、最後は報われる。児童向けの話、寓話かなと。

笛で思い出すのは陰陽師安倍晴明の親友、源博雅。夢枕獏の作品ばかりでなく、当人がどうかは忘れたが千早茜も「あやかし草子」で魅力的な短編を書いているし、ほかの京都を舞台にしたライトノベルでも出てくる。笛の音に引き寄せられる鬼、魔物、ここでは自称・神。不思議な力。鬼からもらいうけた名笛「葉二(はふたつ)」の話は十訓抄にあるらしい。今昔物語集や能にも博雅は出てくるようなので、古典に材を取る名手、芥川も読んでいたのであろう、か?

児童向けの昔話。でもけっこう好きな雰囲気だった。

3月書評の1

◼️あさのあつこ「花下に舞う」

「弥勒」シリーズ11作め。あこぎな高利貸し夫婦が殺された。死顔には驚愕の相が張りついていた。過去と現が混ざり合う。

たぐいまれな推理力を持つぶっきらぼうな同心・木暮信次郎、年上の手下で情の厚い岡っ引きの伊佐治親分、元は腕の立つ暗殺者でいまは繁盛する小間物屋の主人・遠野屋清之介が絡むシリーズも10作を超えた。児童小説のイメージがある著者が大人の時代劇を描くギャップに興味を持ち読み始めて長い。登場人物の描き方に人情とクセが見えて、なじんでしまう感覚。

徳重という金貸し、女郎上がりの後妻、お幸が自らの店で斬り殺された。夫婦共に、ひどく驚いた表情を浮かべていた。信次郎と伊佐治は調べを進める。徳重は前妻の兄弟で商売が傾いている今の屋の主・榮三郎に多額の金を貸していたが、その榮三郎が頓死、葬儀の席で悪し様に罵り催促をしたという。そして近くの長屋に住む母子家庭のお高は、恐ろしい目に遭い、恐怖のあまり伏せっていたー。

お高と同じ長屋に遠野屋の奉公人・弥吉が住んでいて、そこから清之介とつながりが出てくる。犯罪自体の下手人を探索する一方で「死の間際になにを見たのであろうか」亡くなった母に聞いた言葉が信次郎に響いてくる。

先代から仕えていた岡っ引き職人、地回りの刑事役の伊佐地はなにかと息子のような年齢の信次郎に小言を言う。清之介は商いに邁進して幸せをも感じている。しかして、2人とも、信次郎の底知れない推理力、すべてを剥がして人間の本性をさらす信次郎の能力ーその矢印は清之介にも向けられるーに魅かれている。

その黒さ、がシリーズを貫く芯となっている。あこぎさ、むごさがある反面、情も、救いも、不思議な感情も交差する。殺された夫婦には、悪辣さ、意地悪さの面とそうではない部分がないまぜになっていて、ふむ、と思った。

今回は殺人の下手人を突き止めてから、が長い。あれこれと出てくる、一見関係ないような要素はどうつながるのか、母の言葉は?二重三重の底がある物語。

リンクをどう考えるか、ちょっと出来に感じるところもあるが、なんだろういったい、と読ませる力がある作品でした。

2026年3月1日日曜日

ブーニン

ドキュメンタリー映画「ブーニン」を鑑賞。

1985年のショパン国際ピアノコンクールで優勝、日本でも大ブームを巻き起こしたブーニン。しかし当時のソ連国内でKGBの監視、学院のコンサート禁止令など困難が襲い当時の西ドイツに亡命した。

日本人の妻を得て、活動拠点の1つは日本。しかし病魔と怪我による深刻な事態に直面し、9年間もコンサートから遠ざかっていたー。

クラシック界ではソ連からの亡命はよくある話ではある。芸術をもイデオロギーや政治の力でで抑えこもうとするのは健全とは言えない。ブーニンもまた体制末期のソ連で苦しんだ1人だろう。

訥々と過去のことを話すブーニン。少しずつ、謎の過去が明らかになる。そして完全復活を目指す途上、思うようにいかないと、イライラした姿も見せる。日本への愛、夫婦の愛もこぼれる。

ショパンコンクールは2回続けて集中して聴き、その前の会は過去映像をさらった。しかし実はブーニンの映像はほとんど観たことがなかった。単純に画が古いのと、だいぶ叩く人、という妙なイメージがあった。

今作でかなり研究できた気がする。確実で、テクニカルで、自然に打鍵が強い。自然で確固とした音、テクニックと余裕、流れるような麗しくフレーズ、全体の美しさ。ちょっとイメージと違い、研鑽のあとがにじむ。

演奏が長く、インタビューもちょっと考えるところがあったりした。ブーニンが控えめで穏やかな性格で、冷静であまり大げさにならないしゃべりにかえって困難の大きさが見える気もする。

ショパンだけでなくシューマンやプーランクも作中で披露している。若手奏者にレッスン・助言もしていて、桑原志織、反田恭平、亀井聖矢なども登場する。

また公演あるだろうし、考えてみようかな。成熟のショパンが聴きたい気もする。

コルンゴルト&中野りな最高!

仙台国際コンクール史上最年少優勝、中野りなソリスト、コルンゴルトのヴァイオリン🎻協奏曲。コルンゴルトは、軸足はクラシック音楽で、アメリカで1930年代〜50年代に多くの映画音楽を作曲した。

中野りなは写真では幼さも残るけども、演奏中はオーラ、貫禄が漂うくらい颯爽としている。次代の天才としてテレビで取り上げられていて、覚えていたら仙台優勝。まだ学生であまりコンサートの数が多いわけではなく、2年ぶりくらい、2回目の生演奏。

今回はアメリカのジュリアード音楽院で学ぶソリストが、コンルンゴルトがアメリカ映画の自作からも引用して作った曲、というラインでの選曲らしい。

「トムとジェリー」またいくつかの古き良きアメリカ映画で独特の抒情ある楽曲はどう演奏してるんだろう?というところにも大いに興味があった。最近身体の不調からステージ復帰したヒラリー・ハーンでめっちゃ予習した。

いやー中野りなはやはりがっちりとした技術、態度、オーラ、音も大きくすばらしかった。コルンゴルトは映画「E.T」のようなイメージの曲で、ヴァイオリンの聴かせどころも多く、オケとソリストの掛け合いもあり、ラストの決めも鮮やかで大いに盛り上がった。後味が良くて、聴いてる身が幸せな気持ちになる演奏。ブラヴォー👏👏

シューベルトの交響曲5番、コルンゴルトと弦の並びはスタンダード。ところが続くベートーヴェンの8番は下手の第1ヴァイオリンの奥、第2ヴァイオリンの位置にチェロが来て、第2ヴァイオリンは上手のチェロの場所にスイッチ。あれ?と思ったら曲の構成上それがいいんだなと。第1ヴァイオリンとチェロ、第2ヴァイオリンとヴィオラのピチカートのタイミングが同じ、など確かにその方がいいかもと。これはベートーヴェンの仕掛け?やっぱりベートーヴェンはおもしろい。

ソリストの音が天に響く、オケを見ながら曲を愉しむ。やっぱり、クラシックもLIVEに勝るものはない。

ヒラリー・ハーンでコルンゴルト復習しよう!