創作寓話。笛は妖しを誘う。
出かけるのに本を忘れて、青空文庫。先日観たドキュメンタリー映画「ブーニン 天才ピアニストの沈黙と再生」でブーニンが日本の小説では芥川龍之介に影響を受けた、と話していたな、と芥川からタイトルで選んだ。ちなみにブーニン夫人は日本人。
大和の国、葛城山の麓ー。髪が長く女のような顔立ちをした髪長彦という若い木こりは笛が上手で、仕事の行き帰り、合間に音楽を奏でていた。
ある日から連日、足一つの神、手一つの神、目一つの神が現れて笛の音を楽しんだ礼に望みを叶えてやると告げる。髪長彦はいずれも「犬を一匹ください」と望み、どんな遠い所でも嗅が出してくれる白犬、背中へ乗って飛べる黒犬、どんな鬼神でも噛み殺すまだらの犬をもらいうける。
さてある日、髪長彦は弓矢に身を固めた侍2人と行き会い、飛鳥の大臣のお姫様姉妹が行方不明だと聞く。髪長彦は犬たちに命じ、姫を探索に行くー。
悪者として八岐大蛇を飼っている食唇人と土蜘蛛が出てくる。食唇人はどうやら芥川の創作した怪物らしい。無事姫たちを救い出すものの、手柄を侍たちに横取りされる。侍、という言葉で考えてしまうものの、舞台といい記紀っぽい演出といい、古代の話のようだ。あまりややこしくもなく、最後は報われる。児童向けの話、寓話かなと。
笛で思い出すのは陰陽師安倍晴明の親友、源博雅。夢枕獏の作品ばかりでなく、当人がどうかは忘れたが千早茜も「あやかし草子」で魅力的な短編を書いているし、ほかの京都を舞台にしたライトノベルでも出てくる。笛の音に引き寄せられる鬼、魔物、ここでは自称・神。不思議な力。鬼からもらいうけた名笛「葉二(はふたつ)」の話は十訓抄にあるらしい。今昔物語集や能にも博雅は出てくるようなので、古典に材を取る名手、芥川も読んでいたのであろう、か?
児童向けの昔話。でもけっこう好きな雰囲気だった。
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