2025年12月13日土曜日

12月書評の1

◼️高野和明「踏切の幽霊」

次はどうなる?という畳み掛けはさすが。評判の良い幽霊事件ストーリー。

高野和明といえば佳作「13階段」、本屋大賞2位「ジェノサイド」がすぐ思い浮かぶ。今作は「ジェノサイド」以来の長編だそうだ。SNSの本好きさんの動きを見ていると好評ということが窺えた。

大手新聞の元敏腕記者だった松田。妻の病死が原因で会社を辞め、いまは売れ行きの悪い雑誌「女性の友」の契約記者をしており、評価が良いとは言えない。いまの職を斡旋してくれた井沢編集長からは、次の仕事として心霊特集の取材を命じられる。投稿ネタから拾った下北沢三号踏切の心霊映像や写真を調べるうち、近くで起きた殺人事件に突き当たる。被害者はキャバクラのキャストの女性だった。

ありえない心霊映像、大物悪徳政治家、派手で色気と嘘のあるキャバクラの世界、ヤクザ、と日本映画がよく使う演出のようだ。著者はもともと映画監督を志しており、この作品も、そもそも映画のストーリーとして書いたものだそうで、設定は1994年となっている。

人気のない窪地の廃屋で起きた凄惨な殺人。致命傷を負いながら三号踏切まで歩いた被害者の身元、生い立ちは謎に包まれている。

少しずつ解き明かされていく過程では次は次はと読み込んでしまう。分からない、分からないという感覚が強いからブレイクスルーまで引っ張られる。確かに面白かった。

まあその、明らかになった時、私的には物語の流れを含めて既視感があったかな、という感触だ。意外性がなく、すこうしだけ、物足りない。

ミステリの類には入るだろうけども全てが物理的法則で説明されるわけではない。ファンタジックな要素もある。その扱いはちょい人間味が仄見えつつ、クールである意味残酷。全体に時代感があると言えるだろう。

一気読み、熱中する作品であることは間違い無いです。

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