2025年12月13日土曜日

11月書評の8

◼️ いしいしんじ「げんじものがたり」

京ことばで、くだけた語りの源氏物語。

関西弁というか、やはり京言葉、そして今ふうの言葉で訳してある源氏物語。大谷崎をはじめ多くの方が現代語訳している源氏物語。専門的なことは知らないが、私的に紫式部は素晴らしい物語作家で、一文が長すぎる人だと思う。特に日本人が訳すと古語の知識にどうしても引きずられてしまう傾向があるかなと。私が通読した与謝野晶子も苦戦している跡が見えた気がした。

まあともかく今作はある意味思い切った、パロディ的な訳。目的が違うかもと思う。

まずは「桐壺」に、「雨夜の品定め」の「箒木」。プレイボーイ光源氏が唯一?逃げられてしまう「空蝉」、そして儚い運命で、怨霊に取り殺される「夕顔」、なんといっても犬君がスズメを逃した「若紫」。光源氏、はっきり言って誘拐犯。ただ、架空の物語ということで、私は若紫をマジっと描いた絵が見たい気もする。そもそも桐壺の更衣〜藤壺〜若紫と続く系譜もなんか絵画化がいいような・・。美人画の大家と呼ばれた鏑木清方が樋口一葉「たけくらべ」のヒロイン美登利を描いたような感じで。

超絶引っ込み思案の「末摘花」、光源氏と藤壺、不義の子が産まれる「紅葉賀」、光源氏が楽器を弾きちょっと舞う「花宴」ではのちに重大な結果を招く朧月夜との出逢いがあり、先へと続く。そして、初めての子が産まれた矢先、光源氏は正妻葵の上に先立たれる。嫉妬した者たち、ことに六条御息所の強力な怨霊が取り憑いたためで、光源氏、娘を失った左大臣家は深い悲しみに包まれる。

特になにも注釈はないが、続く・・んだよね。確かにこの9つの帖はそれぞれアクティブで有名ではあるが、原作に忠実に進んでるし。帖のタイトルはひらがなになってたりしますちなみに。

やはり源氏物語はおもしろい。しかしこう、いわばデフォルメしてあっても、どうも主語や動き、心理が少し分からないところが残るような。それが源氏なのかな。私の理解が悪いんだろうか。

いつもながら、空蝉と繋げないということは君の働きが悪いからちゃうのん?と光にいじめられる空蝉の幼い弟、小君のチーくんが、原作を読んだ時と同じく、ちょっとかわいそう。

古語を現代語に訳すと、やはりマイルドな表現になるし、読み手もそれに慣れちゃっている。おそらく込められた意味を率直に表す言葉遣いのこの訳は、違和感もあるが、痛快なところも多々ある。やっぱこれくらいのものもないとね。こちらの方が言動がよく分かるし。

まだまだ続く。先々を期待します。

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