◼️ あやせそら「選択肢の神様」
神戸市の文芸・雑貨のイベントで出会った作家さんのミニ小説。みずみずしい。
小さいながらすっきりとしたデザインだな、というのが第一印象。詩や旅日記が多い中、手に取りやすい純正の小説、作家さんと話すと内容もおもしろそうだ。2冊買ってきた。
「選択肢の神様」
優柔不断で物事を決めきれない大学生に、いつしか「選択肢の神様」がついて回るようになった。塩ラーメンかとんこつラーメンかを決める時にも、帰り道を選ぶ際にも、向こう側が見えない2つの扉を示して、からかいながら、ツッコミながらどちらかを選択させる。こんな毎日を送るうちに学生はー。
どうしても批評眼で見てしまうのは許していただくとして笑、ストーリーは上手に流れるし、ひとつひとつの場面ははっきりと想像できる。目のつけどころ、発想もふむふむ、となる。なによりみずみずしい。気になるところがあるとすればもうひと言、かなと。
少年の外貌をぼかすのは良いとして、神様に1つだけでも特徴が示されればインパクトはあったかな。ストーリーの流れ、そして結末にももうひとつひねりが欲しかったところ、だろうか。超短編はやはりなにか仕掛けが欲しいかなと。
「目覚ましの君」
朝に弱い社会人1年生のぼく。ある日酔っ払って持って帰って来たアナログ目覚まし時計が朝突然心地よい声でしゃべり出し、たたき起こされる。それから毎朝ぼくと目覚ましは会話を交わしていたがある日ー。
発想がおもしろい。時間制限付きというのもふむ、と思う。慌ただしい時間だけの方が多くを知れないから?出逢いには喪失がつきもので、読み手もそれを待っていたが、その先の意外な展開には希望があった。短編らしくendの切れも良い。なぜ店主がぼくに譲ったのか。絶望感か、パーツがない、とは、肝心のつながりが薄いかも、などなど回収がほんのもう少し欲しかったかなという気もする。まあ短編だし、なんだけどね。
2つの新鮮さに惹かれるものを感じました。独特の、先を読みたくなる空気感を大事にして、もう一段、が感想です。
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