◼️谷川俊太郎「夜のミッキーマウス」
タイトルに惹かれて。思ったより生の人間感が強い。
前に初めて読んだ詩集の書評でも書いたが、実は谷川俊太郎の詩はあまり読んだことがなかった。今回タイトルに惹かれて読んで、けっこう生の人間味が出ているなと。
「夜のミッキーマウス」「朝のドナルド・ダック」「詩に吠えかかるプルートー」「百三歳になったアトム」
がキャラクターの詩で真実のねずみに戻ったミッキーはホーチーミンへ、ドナルドは手前のアヒルに語りかけるような微笑ましいテイストで、プルートーはなんか社会に出た者にある心の闇のような感覚で、アトムは魂を探してジェット噴射する。
以降の収録作品は人間的なけっこう肉体、セックスの表現も多い。演歌のようなねとっとした言葉の連なりもあるかなと。
途中ひらがなばかりの詩がいくつか。
ひとごみのなかひとびとのあたまのうえを
わになってとぶあどけないものたちのうたの
つかのまのなぐさめにみみをすませば
からだのおくにとぐろまくへびがめをさます
つみをおそれていきるよろこびがあるだろうか
このちじょうはかがくのおしえるほしではない
しすべきものたちのおどる
つかのまのあれちなのだ
(「ちじょう」より部分)
うーん手法はまあ、だが、真ん中のからだのおくにとぐろまくへび、という言葉に感じるものがあった。
さらさらと読め、日常を掘り下げ別の視点から定義づけているような作品が多い。厭世的にも見えるのは気のせいか。
この人の場合はすすっと読んで自然と目が立ち止まるのを待つのがいい接し方かも知れない。
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