◼️ 白洲正子「きもの美」
きものについての熱心な解説と選び方、着方などの指南・意見。きもの愛が微笑ましく感じられる。
着物には詳しくはないが、文豪の小説にはその装いについて詳細に記されているものが多い。大谷崎や川端康成がそうで、興味も湧く。ベスト・エッセイストの幸田文も若者層に着物を薦めるなどの文が散見される。着物を語る人のことばにはなにかしら興味深いものと、愛すべき情感がある。
この本では著者が着物の布地、織り方、染めの種類と手法などについて解説し、さらに選び方、着方に関して流行や趣味への考え方を述べている。
絹、紬、木綿、絣、麻、染では友禅や藍染などについて語るその言葉はシロートにはちと難しかったけども、概要は興味深い。髙田郁「あきない世傳 金と銀」シリーズに木綿や藍染のことがよく出て来たな・・と思い起こしながら読んでいた。
白洲正子や幸田文の着物愛には微笑ましい面があって読み込んでしまう。少しずつ覚える知識や模様、織物の彩り、染めの彩り、化学染料と植物性染料の違いなど色彩の解説もふむふむと読む。
今回は職人さんの、着物は掛けても着ても映えなければいけない、という言葉になるほど、と深く首肯した。
TPOを考え、流行を俯瞰して、選び方着方に著者なりの意見が挟まれる。小さい頃の祖母の着物姿を思い出し、時代の移り変わりを考える。
着物の本は、また読むだろう。一度本格的に覚えることも考えるけれど、ちょっとずつ触れていくのも楽しいかな。
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