◼️リチャード・フィリップス・ファインマン
「ご冗談でしょう、ファインマンさん」上下
理系的内容、だけの本ではないが、分からないのもおもしろい。ノーベル賞学者の活動記。
物語が好きな人が頬を半ば上気させながら、好きな本を読むのを見たことがある。仲間うちで水族館に行った時、大学で生物専攻の者が目をキラキラさせていた。こないだご飯食べた時、おもしろい理系本は、と訊いて出てきた作品名のうちの1つがこのファインマンさん、だった。
ノーベル賞受賞の理論物理学者、ファインマン。厳重に秘密が管理された原爆の製造に携わり、経路積分やファインマン・ダイアグラムにより量子力学の発展に貢献した。アインシュタインやオッペンハイマーとも仕事で関係している。
この本には、これらに関する体験や経緯も含まれている。が、専門的なことはほとんど載っていない。確率論を駆使して金庫破りの名人になったり、ラスベガスで負けない男のカラクリを理解したり、ドラムに没頭したり、さらには絵を描いて客に売れるほどになったりと才気溢れすぎる性格。しかもオープンで明るく、イタズラ好き。
一方で教科書選定に関しては本気で取り組み、根源的なことを指摘し続ける。権威や威張りに敏感、怯まない。どうやら専門的な分野でも型破りな存在のようで、アプローチが独特らしい。天才的、という言葉が当てはまるような気がする。
原爆を造る側、のレポートはあまり読んだことがなかったし、そもそも理系的、数学的、物理な部分は理解は出来ないんだけれども、その分からなさ加減の感覚が文系脳的には興味深く、おもしろかったりする。
また、理論的、というのは数学的でもあって、ファインマンの言うように、いまの仕事でも実験実証的な観点で行くと、ひょっとして間違っている部分があるかもしれないと身を引き締まる気がしたりする。ちょいこわ。個人的には感覚的、というのはすごく大事と思いたい。
人が本能的に好む、というのを傍から見るのは、人間の奥を見る気がする。誰にも変えられない、自然なもの。ファインマンも、私に教えてくれた友人も、なんか理系人って特にそういうのがあるようにも思える。
来日したファインマンは、フランク・ロイド・ライト設計の帝国ホテルに泊まることになった時、日本に来たならこんな西洋のホテルじゃなくて旅館に泊まりたい、と強く要望したという。いいよね。でも私はライトの帝国ホテルに泊まれるのがホンマうらやましいな、とちょっと微笑してしまった。
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