2025年4月12日土曜日

4月書評の3

◼️ サラ・パレツキー「サマータイム・ブルース」

ハードボイルド人気シリーズ。まっすぐに闘う女性探偵、ヴィク登場!

サラ・パレツキーというと、このヴィクシリーズで人気が出たころ、5作めの「ダウンタウン・シスター」を人に薦められて読んだ覚えがある。懐かしい大阪の旭屋書店ビルに探しに行ったような。残っていればおそらく名建築の仲間入りをしていたであろう、本が詰まったレトロなビルには推理小説フロアがあり、下りのエスカレーターが無かった。

1982年に発表された、ポーランド系の女性探偵、V.I.ウォーショースキー、通称ヴィクが活躍するハードボイルドもの人気シリーズの初回作品。新装版をたまたま貸してもらった。

大銀行の専務が、行方不明の息子の恋人を探して欲しいとヴィクに依頼する。2人が同居していた住居に侵入したヴィクは息子の銃殺死体を発見する。恋人は姿を消し、手がかりのない状況の中、依頼者と銀行の専務とは別人であることが判明、さらにヴィクはシカゴの街のヤクザにこの件から手を引けと叩きのめされたばかりか、依頼の打切りを宣告される。そして、さらに殺人事件がー。

身長175cmくらい、元弁護士にして空手の達人、ホルスターで拳銃を身にまとう、闘う探偵。依頼料が入る見込みがなくなっても巨悪を暴き少女たちを守るため、敢然と立ち向かう。劇中にはロマンスも盛り込まれ、正統派ハードボイルドエンタテインメントとなっている。

ストレートな行動をし、実力行使にも逃げず、物言いもスカッとしていて、それでいて弱者へのケアもきちんと行う。そんな決然とした姿勢と、良き協力者に恵まれていることやエンタメとして息もつけない展開が物語を彩っている。

これが、女性探偵ブームの先導役のシリーズか、と。5作目の「ダウンタウン・シスター」でイギリス推理作家協会賞シルバー・ダガー賞を、9.11後のアメリカ社会を描いた「ブラック・リスト」でゴールド・ダガー賞を受賞している。

解説で読む限り「ブラック・リスト」は人種差別などにも絡んでいるようで、混沌としたアメリカでのヴィクの活躍は興味深い。ヴィクはシリーズが進むとともに加齢しているとのこと。最新作は2024年に発表されているようで、初登場から実に42年の月日が経っている。果たしてどうなってるか。もう少し読む気になってきた。

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