◼️ こがらし輪音
「この空の上でいつまでも君を待っている」
電撃小説大賞。笑って泣いてエンドでほわっと。ニッポンのラノベはレベル高い。
先ごろお隣の市で「ブラインドブックス」企画があった。家から古本を持って行ってプレゼント様に包んでもらい、どんな本かのヒントを表に書く。そして棚に置いて別の本を持って帰る。家に着いてちょっとワクワクして包みをとくとこの本が現れた、というわけです。
ネタは宇宙、ロケット。宇宙好きの私にはベストマッチで天の配剤!と喜んだ。高校生の夢と青春と恋と別れ。おもはゆいけれどもいろんな意味での面白さがそれを上回った。
市塚美鈴は高校の友人たちとそれなりに付き合っているが、心中では周囲を見下していた。期末テスト終了日、カラオケの誘いを適当な理由で断り帰る途中、山の中へ入っていくクラスメイトの男子・東屋智弘を見かけて好奇心から後を追う。草を分け入って見てみると、東屋は粗大ゴミが廃棄されている場所でロケットを造ろうとしていた。美鈴は驚き、小馬鹿にするが、その後は何かと気になり、何度も山に通うようになる。ある夏休みの日、東屋は倒れ、美鈴の手配で救急車で運ばれるー。
まず、美鈴のあけすけな物言い、ポンポンと飛び出すセリフが楽しく、軽快なテンポを生み出す。無垢な少年に、ツンツンしながらも心惹かれ影響を受ける美鈴、そしてブレイク。ラストは未来に飛ぶ。
ラノベといえば何でもできるし、設定、進行が強引めというきらいもないではない、乗るか、斜に構えるか、だいたい私は乗ってしまって楽しむ方だ。美鈴の独走のような思いと斬りまくる言葉に笑い、青春の思い出になんか自分の高校の文化祭も思い出し、別れにこちらもウルウルし、思い切った展開と伏線の回収に、笑いながら感心し、最後にほっこりする。しかも宇宙。楽しめた。
精巧に組みこんであるストーリー、アニメチックなやりとりや立ち回りの中に織り込まれる光る表現。素直に乗っていける作品だと思う。
日本のラノベは見るべきところが多い(外国のは知らないが笑)この感性と細部にこだわる職人的な作り込みはジャパニメーションの隆盛にも大いに繋がっていると思う。
高校の文化祭では「クイズ100人に聞きました」を巨大パネルを造ってやったなあ。まあこんな胸キュン体験はついになかったけども。
アニメ化映画化を望みます。
ちなみに私がブラインドブックスに持ってった本は原田ひ香「古本食堂」。どこかの本好きさんは喜んでくれたかな。
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