2025年4月27日日曜日

黄緑、若葉色、若緑、あさみどり、ひわ色

桜がすぎ初夏にさしかかる時期は、花が一斉に開く。自宅近く公園前の花壇がハート🩷だったのでパチリ。藤棚も最盛期。

山棲みはなんとなく季節感を感じられるのがいいところだったりする。最寄りのバス停のすぐ横に支流の川があって流れ沿いがひとつのネイチャースポット。新緑がワーっと黄緑で埋もれてしまいそう。青紅葉、秋はこれが真っ赤になるのです。

その昔就職した頃、近くの公園の夜桜が360度満開で、立っているだけで鴇色の亜空間を浮遊しているような感覚に陥ったことがある。新緑に包まれてずっと見上げていると視覚がなんか変わって色の見え方が一時的におかしくなる。

でもこの、若葉色、若緑、あさみどり、鶸色はまさにヒーリング空間で、数分の散歩でもめっちゃ癒される。森林浴とはよく言った。

午前だけで帰って本読んでテレビは⚾️、スマホのLIVE配信は🏀、途中うたた寝してバスケの合間にやはりLIVE配信で🎹ショパンコンクール。

順番に⚾️3点以上取れないライオンズ🦁それでもサヨナラ勝ちでカード勝ち越し!うっれしい〜😍

高校🏀飯塚カップはゲームを重ねるごとにテンションが上がって、ラストの福岡第一vs福大大濠ではマックスに。気合い入りまくり、バチバチで、1年生はフィットできない。超人たちの饗宴。その分というか、守り合いで、厳しいディフェンスの中決めきれないロースコアゲーム。最後は残り5.8秒、キャプテンのPGがスローイン後のペネトレイトからフックショット気味のレイアップを決めて福大大濠の勝ち。すぐにインターハイの県大会が始まる。どちらか、勝ったチームだけが全国大会へ行ける。

ショパンコンクール、実力者は順当そう。前川愛実さん、音の大きさと明瞭さに少し驚く。小野田有紗さんのノクターンとスケルツォに拍手。マレーシア🇲🇾のVINCENT ONGくんは聴かせる演奏。みな通って欲しいなあ。前回17歳で出場、煌めく音でファイナルに進んだハオ・ラオはやはりショパンの曲は上手でノリノリ。こんなに叩いてたっけと思わないでもない。

ノクターン、夜想曲は、上手さだけで弾きこなすにはコンステタントが若すぎるかも、とか、エチュードは練習曲だけあってまあ忙しそう。リストが女性的、と評したマズルカが好きかな。ずっと探してたフレーズがマズルカC sharp minor, Op. 30 No. 4と分かり嬉しかった。

ストレスが溜まってもひと晩寝れば忘れるくらいでいたいなと。でも気分転換はやっぱ自然とできちゃうなと実感。楽天家だしね😅😁🤗

4月書評の12

◼️ フランシス・ハーディング エミリー・グラヴェット絵「ささやきの島」

ブックカバーは東郷青児「望郷」

才能の出逢い。死と生の狭間。別れと再生。
考えさせる児童小説。

イギリスで評価の高い児童小説作家と、同国を代表する絵本作家、挿絵画家。2人の女性に編み込まれた作品。人の情に基づいたストーリーとファンタジックな世界観、追跡劇。ふむふむ。

領主の娘が死に、渡し守である父のもとに、娘の母親から死者の青い靴が持ち込まれる。娘と同じ14歳のマイロは父に、渡し守には向いていないと言い渡されており、兄のレイフが主に手伝っていた。死者の魂を、靴とともに船で「壊れた塔の島」に連れて行き昇天させるのが渡し守の役割だ。

領主がマイロの家に来て、靴を返せ、と命じる。魔術師の力で生き返らせようと目論んでいるのだ。領主は力づくで靴を取り上げようとした。揉み合いの中で父は突然死んでしまい、レイフは囚われてしまう。靴を持って逃亡し、初めての航海に出たマイロに、父の霊がピタリと付き添うー。

追跡する領主の船には白と藍の2人の魔術師、首のない鳥を操り、5人の死者の魂を連れて船を動かしているマイロに迫るー。

日本神話のイザナギは、死んだ妻イザナミを追い、黄泉比良坂を越えて黄泉の国に至る。また仏教では三途の川が此岸と彼岸の分かれ目だ。マイロの世界の渡し守の航海はまさに死と生のはざまの旅といえる。霧に覆われた海と島へのアーチ・・物語のテンポの速さとはざまの世界、その掟の想像力に読み手の心を委ねる感覚。

領主は暴力を使う。しかし根底には娘への想いがあり、娘の魂もそれを感じている。マイロには父の魂が寄り添っている。少年の大きな体験、それは不器用な父の仕事を通しての、親子のふれあいでもあった。

やがて島に着き、死者が解き放たれる、その表現もまたどこかで聞いたような、でもああ、と感慨を持って見送るような形だった。近しい者にとって死者との永遠の別れは身体の根っこに堪えるような悲しさがある。死者も生への執着があるだろう。再生の形と、悲しみの中の安堵、その見えるところと見えざる新世界とのあわいの意味深さを想う。

フランシス・ハーディングはオックスフォード大出の英才で「嘘の木」「カッコーの歌」などで数々の賞を受賞している。ググると出てくる、黒いつば広の帽子を被り微笑む写真がいかにもな肖像だなと。絵のエミリー・グランヴェットもまたイギリスを代表する絵本作家で日本でも著書が刊行されているとか。

絵の方は白黒青の3色。版画チックでシンプルにも見えるが、幻想的な世界を実に見事に表している。文章のブロックの間にも、靴やロープや船のマークを入れたりと細かく工夫されていて、気がきいている。

いまショパン国際ピアノコンクールの予備予選が行われている。ショパンは、リストが評したように、アンビバレントな感情をメロディに込める。悲しみと喜び、別れと希望、過去と未来。そしてそのあいだ。

コンテスタントのマズルカやスケルツォをこの作品に重ねながら読み終えた。

2025年4月26日土曜日

青空と藤と新緑の若葉色

大阪市の福島区ではのだふじ祭りというのがあってあちこちに藤棚が設置されている。きょうは下福島公園で鑑賞。天気良し、屋内はやや暑だけど、外は風が吹いて気持ち良いくらいの気候。

京都ふたばの豆大福とかモロゾフのプリンとかスイーツ充実中🍮

この土日はバスケの強豪校が集まる飯塚カップ。福大大濠、福岡第一、東山、開志国際といずれ劣らぬ、まさに全国の頂点を狙うチームたち。大濠は去年のウィンターカップ優勝、インターハイ優勝は東山、おととしのウィンターカップは福岡第一、その前年は開志国際、その年のインターハイは福岡第一が優勝。YouTubeでLIVE配信を楽しんでいる。

で、ついにショパンコンクールの予備予選が始まったので連日演奏を観て聴いている。ロン・ティボー優勝の亀井聖矢、前回2次進出の京増修史は余裕を持った演奏、きょうこれからはクララ・ハスキルコンクール優勝の中川優芽花ら日本人奏者が次々登場。GWは家でもそれなりに忙しい🏀🎹

朝晩はちょっと冷えるけど、あすも天気良さそうやね。

4月書評の11

◼️ こがらし輪音
「この空の上でいつまでも君を待っている」

電撃小説大賞。笑って泣いてエンドでほわっと。ニッポンのラノベはレベル高い。

先ごろお隣の市で「ブラインドブックス」企画があった。家から古本を持って行ってプレゼント様に包んでもらい、どんな本かのヒントを表に書く。そして棚に置いて別の本を持って帰る。家に着いてちょっとワクワクして包みをとくとこの本が現れた、というわけです。

ネタは宇宙、ロケット。宇宙好きの私にはベストマッチで天の配剤!と喜んだ。高校生の夢と青春と恋と別れ。おもはゆいけれどもいろんな意味での面白さがそれを上回った。

市塚美鈴は高校の友人たちとそれなりに付き合っているが、心中では周囲を見下していた。期末テスト終了日、カラオケの誘いを適当な理由で断り帰る途中、山の中へ入っていくクラスメイトの男子・東屋智弘を見かけて好奇心から後を追う。草を分け入って見てみると、東屋は粗大ゴミが廃棄されている場所でロケットを造ろうとしていた。美鈴は驚き、小馬鹿にするが、その後は何かと気になり、何度も山に通うようになる。ある夏休みの日、東屋は倒れ、美鈴の手配で救急車で運ばれるー。

まず、美鈴のあけすけな物言い、ポンポンと飛び出すセリフが楽しく、軽快なテンポを生み出す。無垢な少年に、ツンツンしながらも心惹かれ影響を受ける美鈴、そしてブレイク。ラストは未来に飛ぶ。

ラノベといえば何でもできるし、設定、進行が強引めというきらいもないではない、乗るか、斜に構えるか、だいたい私は乗ってしまって楽しむ方だ。美鈴の独走のような思いと斬りまくる言葉に笑い、青春の思い出になんか自分の高校の文化祭も思い出し、別れにこちらもウルウルし、思い切った展開と伏線の回収に、笑いながら感心し、最後にほっこりする。しかも宇宙。楽しめた。

精巧に組みこんであるストーリー、アニメチックなやりとりや立ち回りの中に織り込まれる光る表現。素直に乗っていける作品だと思う。

日本のラノベは見るべきところが多い(外国のは知らないが笑)この感性と細部にこだわる職人的な作り込みはジャパニメーションの隆盛にも大いに繋がっていると思う。

高校の文化祭では「クイズ100人に聞きました」を巨大パネルを造ってやったなあ。まあこんな胸キュン体験はついになかったけども。

アニメ化映画化を望みます。

ちなみに私がブラインドブックスに持ってった本は原田ひ香「古本食堂」。どこかの本好きさんは喜んでくれたかな。

2025年4月24日木曜日

4月書評の10

松の実のパナジェッツ😋スペイン🇪🇸カタルーニャのスイーツ。

◼️ 砂川文次「小隊」

ロシア軍が北海道に上陸・交戦。凄惨な戦闘に訓練しか知らない自衛官たちは・・

著者は元自衛隊員。「ブラックボックス」で3年前に芥川賞を受賞している。

冒頭の表題作ではすでにロシア軍が上陸して攻めてくる前提で、釧路付近で迎え撃つ自衛隊、その大卒中隊長が主人公。敵は地形が変わるほどの圧倒的火力で自衛隊の陣を攻撃し、砲撃や撃ち合いで大勢の兵士が死ぬ。初めての、訓練ではない戦闘、命のやりとりにさらされた隊員たちの姿と、その前夜の、まだ訓練の名残りがあるかのような雰囲気とのギャップが生々しい。

次の作品はイラクでの傭兵たち。こちらは自爆攻撃はあるものの本格的な戦闘はない。

文学界新人賞を受賞したという3作めの「市街戦」。防衛大、一般大学卒の幹部候補生たちの最後の訓練、武装し30キロもの荷物を背負っての100キロの行軍。過去、学生時代の友人、恋人、自宅周辺、東京と夢幻とうつつが交差する作り。訓練。ちょっと昭和の古式ゆかしい構成かも、などと思った。

ふむふむ。専門用語が覚えきれず、この言葉は何やったかいな、などと考えながらそのまま読む。「小隊」はさすがにえぐい迫力があった。ディストピア的に終わり。続きはないの?と。

自衛隊や傭兵の活動を小説に生かしていることはひとつ興味を惹かれるポイントだが、どうにも自己主張が強くかつ他者否定的で、冗長さを巧みな技ではなく手段として使っている印象も受けたかな。

2025年4月21日月曜日

ブラインドブックス

住んでるとこの北東のお隣、兵庫県伊丹市で本のマーケット&イベントがあるとのことでお出掛け。自分の家から本を持っていき、包んでもらって表に本のヒントを書く。そして棚に置いて、他の本を1つ持って帰るという遊び、ブラインドブックス。

私が出したのは原田ひ香「古本食堂」。聖地神保町のグルメも入った連作短編小説。誰が持って帰ってくれたかなあ、喜んでくれたかな😉😎と。

持って帰ったのを家に着いてガサガサと開けると・・はい、喜んで読ませていただきます🙂

知り合いの古書店さんもいてひとわたり古書を見て白洲正子さんの本を買って帰ったのでした。

伊丹はJR伊丹駅と阪急伊丹駅の間がお店が集まり賑わうエリアとして整備されていて歩きやすくなっている。近くにはよく小粋な絵本の展覧会などしてくれる美術館があり、江戸時代の造り酒屋の建築を街に上手くなじませていて、雰囲気が良い。なぎなたも盛んだそう。何かとイベントが多いとか。ブックフェアも、クリスマスには大規模なものがあるそうで、楽しみが1つ増えた。

本読みの休日なのでした📚

グリーンアリーナ神戸で緑ユニのチームを応援

空は青く澄み渡り、暑い。七分袖のシャツを着てお出かけ。

SVリーグ女子プレーオフクォーターファイナル、大阪マーヴェラスvsAstemoリヴァーレ茨城

チケプレゲットで行ってきましたグリーンアリーナ神戸へ。神戸三宮の北へ地下鉄でしばらく行った、感覚的にも標高的にも上がったところにある神戸総合運動公園駅、出るとすぐに、環境の良さを感じる広々とした敷地が広がっている。

日韓ワールドカップ2002をきっかけに造られた、いまのノエビアスタジアム神戸ができる前は公園内にあるユニバーシアード記念競技場が⚽️ヴィッセル神戸のホームスタジアムで、それはよく観に行った。駅から左に行けばユニバー競技場、右にはすぐ、かつてオリックスが本拠地を置き、若きイチローが活躍したいまの🏟️⚾️ほっともっとフィールド神戸がある。

野球場の横を歩き、樹木も豊富、ベンチも多い公園の木立ちの間を抜けていくとアリーナ。いやー昔よく来ただけに懐かしい。

試合はリーグ1位のマーヴェラスがリヴァーレを3-0で下して第1戦を取った。日本代表で活躍するアウトサイドヒッター、林琴奈選手は身体能力をめいっぱい使ったサーブ、高いブロックにも向かっていくスパイクでやはり目立っていた。

ワンサイド気味ではあったけども、なかなか興味深いポイントもあった。サーブの種類と狙い方、レセプションの正確さ、サーブ&ブロックの並び方とそのいなし方とか。

気持ちよくひさびさの地を後にして山を下ったのでした。

4月書評の9

◼️ アントニオ・タブッキ
「供述によるとペレイラは・・・・・・」

舞台は1938年のポルトガル・リスボン。独裁政権下で年配の文芸記者・ペレイラは巻き込まれていく。

時代はヒトラーがオーストリアを併合した年で、ポルトガルはドイツとイタリア、さらにはフランコ独裁の隣国スペインの影響でファシズム政権となり、秘密警察が活動していた。

かつて大手新聞社の社会部記者を長く勤めたペレイラ。いまはリスボンの新興新聞社「リシュボア」で1人文芸欄を担当している。亡くした妻の写真に語りかけ、行きつけのカフェで砂糖たっぷりのレモネードを飲むことが多い。昔は活動的だったが現在は肥満、心臓病で高血圧。医者に酒を止められ運動を勧められている。

論文を目にしたのがきっかけで、ペレイラはモンテイロ・ロッシという若者に契約社員としてコラムを書いてもらおうと考え、声をかける。戒厳令の街のカフェで会ってみると、ロッシは前払いを要求した上、反体制的な原稿を書いてきて、ペレイラは即ボツにする。どうやらロッシは彼が好意を持っている赤毛の美女マルタらとともに何らかの闘争に関わっているらしい。ロッシになにかと説教めいた口調と諭す態度をとりながらも、何かと頼ってくる彼らに対して、ペレイラは便宜を図ってやるー。

1994年に出版され人気を博し、多くの賞を受賞したタブッキの代表作らしい。確かに、展開がヨーロッパの単館系映画のようで、結もはっきりしてて面白いと思う。

何より療養の際に出逢ったカルドーソ医師がポイントで、明らかに誘導しているその物言いはしかし、人間世界の普遍的な、シンプルな心理を言い表しているようで、つい支配されてしまいそうになる。毎度ヨーロッパや街のニュースをペレイラに話してくれる、行きつけのカフェの給仕マニュエルもいい味を出している。

さらに、学生時代は活発で女性にも人気があったペレイラ、大手新聞で社会部、おそらくは警察事件や事故を扱う記者として活躍した後、妻を病気で失い、いまやしがない新聞の文芸を担当していて、編集部長にペコペコし、太っていて生死に関わりかねない病気持ち。そんなペレイラの境遇と若さが輝きエネルギーを向こうみずにも反体制運動に投じるロッシやマルタの対比も鮮やかだ。

200ページもない作品でありながら、ペレイラを取り巻く何人ものキャラがそれぞれ際立ち、ドラマに影響を与えている。なにより「供述によると」という言葉が頻繁に出てくる仕掛け。世情は穏やかでないが、何もなかった日常に違和感がまぎれ込み、やがて深みにはまっていく。自分の心の行く先を揺らし、確信し、そして破綻が。その流れも、止められない悲劇が加速して進行しているようで、効果的なBGMが聴こえてきそうだ。オチも明瞭。小説らしい小説、映画化もされたそうで、面白そうだなと思う。

タブッキにしては異質な作品だったようだ。少しこの作家に興味が出てきた。他の作品も読んでみたくなる。

いただいたブックポーチ、かなり重宝してます😊

4月書評の8

◼️ 梨木香歩 小沢さかえ「岸辺のヤービ」

自然を愛する著者が編んだ穏やかな児童小説。湿地森林地帯、小さなヤービたちの生活。

梨木香歩さんは植物や鳥に造詣が深く、彩り深い作品が多い。さて児童小説はー。

三日月湖や川のある湿地帯マッドガイドウォーター。近くのフリースクールの教師・ウタドリさんは湖にボートを浮かべての読書が趣味で、ある日、水辺にカヤネズミほどの大きさの生物が2本足で立っているのを見つけ、ミルクキャンディーを置いてその場を去る。すると次に行った時、お礼がしたい、と持ちかけられる。彼は水辺に住むクーイ族の少年、ヤービといった。あのミルクキャンディーのおかげでいとこが助かったのだという。ウタドリさんは、ヤービたちの世界の出来事を聞くことにしたー。

小さなヤービたちは、オオアカゲラが木に作った巣を利用して住んでいる。パパ・ヤービとママ・ヤービがいる。近くに住んでいるいとこのセジロは最近かわいそう、と主食である蜂の子や蟻の子を食べるのをやめて絶食してしまった。よくよく話を聞くと別の一族のトリカの影響を受けたらしい。ヤービは持ち帰ったミルクキャンディーからママに飲み物を作ってもらい、セジロはようやく栄養のあるものを口にした。

ヤービはセジロとともに鳩の背中に乗って移動するトリカに会いに行く。

空を飛んだり、モグラのトンネルを探検したり、ほのおの革命家が帰ってきたりと妖精とも言えるヤービたちの湿地での生活。もちろん著者らしく、ネイチャーの知識がふんだんに散らされ、マッドガイドウォーターでの小さな暮らしは野趣豊かで、活き活きとして見える。

カイツブリ、オオアカゲラ、カワガラス、キジバト、クロウタドリ、オオヒシクイ、カワアイサ・・著者は「渡りの足跡」というエッセイ集で自分で車を運転して鳥を観察しに行く活動的な面を綴っていて、今回舞台の設定から、直接の主役ではないけども、やはり鳥の生息地がベースになっている印象で、名前だけで登場しない鳥もいるけれど、生息の痕跡も含め、なんか感じるものがある。

トリカの家は生活苦を抱えている。ウタドリさんはトリカの一族を救おうと学校である作戦を実行する。その結果は続編のようだ。この巻にも数々の冒険は描かれているけれど、まだ序章で、広いマッドガイドウォーターとその周辺にはまだ見合わないかも。ほのおの革命家の言うことも気になる。これからだな、という雰囲気。

カラーページも含め、1ページ、見開きとふんだんに絵が挟まれている。長いスカート様のものを着て、水薄荷の花のブーケを両手に抱えて、ヤービの家を訪ねたトリカの可愛らしさ!モノクロでシンプルでも本当にすばらしい絵だと思う。

で、どうもやたら美味しそうなサンドイッチを作ったりするウタドリさん。私はてっきり男性かと思っていたら・・最後の方の挿絵で、ひょっとして?と微笑したりする。

たくさんのワクワクするエピソードは詰め込まれているが、物語はまだ編み上げ途上。いずれ続編も読もうかな。

4月書評の7

ラスト寒波時にふったひょう。まあ珍しい現象ではないもののやっぱりうわーっとなって皆見てた。

◼️「梁塵秘抄」

今様、平安時代末期の流行歌謡を集め編まれたもの。楽しさと、うつろい。

仏は常にいませども 
現(うつつ)ならぬぞあはれなる
人の音せぬ暁に ほのかに夢に見えたまふ

今様は歌謡、歌である。平安から鎌倉へ時代の激動を見た後白河院は今様にのめり込み、多くの歌詞を集めた「梁塵秘抄」と歌い方、名人伝などを書いた「梁塵秘抄口伝集」を残した。

先日読んだ村治佳織さんの本で、好きな言葉として挙げられていて、しばらく古典読んでないな、と早速手に取った。

今様は遊女、傀儡、白拍子などが芸の一つとして歌い、「枕草子」「紫式部日記」など1000年代初頭には宮中の貴公子たちが宴会や遊びの時に口ずさんで盛り上がるなどしていた。以後100年の間におそらくは後白河院の傾倒により、内容、歌い方などが真剣に議論されるまでになっていたようだ。

恋ひ恋ひて たまさかに逢ひて寝たる夜の夢は
いかが見る さしさしきしと抱くとこそ見れ

(恋しくて恋しくて、久しぶりにやっと逢って共寝をした夜の夢はどんなだろう。「さしさしきし」と抱きしめると見るだろうよ)

もとは遊びの歌である軽妙であり、人間臭くもある。上品めな和歌に比べ、多少リアルでエッチだったりもする。だからこそ品格やしきたりに縛られた社会ではウケた、という見方もできる。本の解説では、閨の愛撫の悦楽を、擬声語を効果的に用いて濃密に表現している、となっている。

遊びをせんとや生まれけむ
戯れせんとや生まれけん
遊ぶ子どもの声聞けば
わが身さへこそ揺るがるれ

(遊びをしようとしてこの世に生まれてきたのだろうか、戯れをしようとして生まれてきたのだろうか、一心に遊んでいる子どもの声を聞くと、私の体まで自然に動き出してくることだよ)

集中もっとも有名だそうだ。子どもの無垢な活力に引き込まれる大人の心持ち。北原白秋、川端康成ら多くの文人の作品に影響を与えた歌詞とのこと。

このごろ京に流行るもの
柳黛(りゅうたい) 髪々 似而非鬘(えせかづら)
しほゆき 近江女 女冠者 
長刀持たぬ尼ぞなき

(このごろ都に流行るものは、眉墨で書いた眉、さまざまな髪型、ごまかしの鬘、しほゆき、近江の女、男装の女、そして長刀を持たない尼なぞいないことだよ)

しほゆきは意味が不詳、近江女は近江を根拠とする遊女の類か。このように風俗を語呂合わせのように軽く楽しく歌うのも今様の特徴だったようだ。

動物や虫を取り上げた軽妙なものもあり、冒頭の歌のように仏教、人生の悲哀が感じられるものもあったような。

それにしても後白河院、長く院政を敷き、鎌倉幕府成立の前夜の時期に度重なる戦乱を乗り越えて、保元・平治の乱を経験し、源氏平家をいなしながら、時に幽閉されたり、義経を持ち上げて後の確執の種を蒔いたりして、続く乱世の渦中で権力の座にあった人。なのに夜も寝ずに今様を歌っていたとはどこにそんなヒマが・・という、いろんな意味でバイタリティーある人だったんだなと。

今様は流行のもの、口ずさみ、消えていくもの。その点は、儚さが現代の芸能や歌謡にも通じるところがあるような。今様も鎌倉時代には衰退していった。時勢にも沿い、機知に富み、人間臭く、活き活きとして、訓示的でもある。何より口にして楽しい、そして消えゆくもの。いまとなってはそんな今様を膨大な書き物にして残した院は、後世に大きな功績を遺した、とも思える。

白拍子で義経とのロマンスで名高い静御前も今様を歌い、後白河法皇の前でも、頼朝の命でも舞った。歴史ドラマでよく見る光景もまた、今様、と捉えればまた別の側面が見えてくる気がする。

4月書評の6

ブックカバーはアルフォンス・ミュシャで。
先日の満月。軌道の関係で今年最も離れた、つま最も小さく見える満月だそうだ。

◼️コンチャ・ロペス=ナルバエス
「太陽と月の大地」

スペイン南西の端、グラナダ。モリスコたち、キリスト教徒たちの歴史的摩擦。

かつて歴史の授業で、グラナダにはイスラム王朝があり、キリスト教勢力が1492年にレコンキスタ(国土回復運動)を成し遂げた、と習った。日本語訳は正確じゃないな、なんて思う。

レコンキスタによりモーロと呼ばれたイスラム教徒は去るかキリスト教徒に改宗するかの二者択一を迫られた。改宗した元イスラム教徒はモリスコ、と呼ばれ、キリスト教徒の支配に服した。多くのモーロはまた、対岸、数10キロを隔てて向かい合うアフリカ大陸へと渡った。この物語はレコンキスタ間もない頃の、哀しい物語ー。

グラナダでモリスコとして生活している老ディエゴ・ディアスは古くから親交のあったキリスト教徒の貴族、アルベーニャ伯爵とその一家が当地の城で夏を過ごす間、仕えている。伯爵はディエゴ・ディアスに敬意を払ってくれ、伯爵の娘で17歳のマリアは滞在中、老モリスコの孫であるフェルナンドといつも連れ立って出掛けていた。

しかし伯爵の息子やフェルナンドの父フランシスコ、兄のミゲルには互いへの憎悪がくすぶっていた。やがてミゲルは横暴な貴族と諍いとなって短剣で刺してしまい、山へと逃亡する。やがてモリスコたちの蜂起が起きるー。

やはり日本にいると、文化が混ざり合う場所にはちょっとした憧れと、根源的な畏怖がある。我々自身のアイデンティティにはおそらく入ってこない現実の摩擦や苦悩、悲劇がそこにはある。融合もあるだろう。そこには知りたいという意識も生まれる。

その中で、教科書で読んだ時から、宗教が接している場合の摩擦と成り行きを想像したグラナダ、その物語に出逢った。

やがてディエゴ・ディアス家は大切なものを全て失い、フランシスコとフェルナンドは奴隷となり、伯爵の好意で買い取られる。しかし傷つけられた心は癒えず、やがて迫害のない、対岸のアフリカ、いまのモロッコへと渡り、フェルナンドとマリアは相手の街を見やりながら手紙を送り合い、それぞれの運命を生きることとなる。

歴史に根ざした、スペインを代表する児童文学作家の初期作品。

先祖の土地に住むことを選び、現状を受け入れたディエゴ・ディアスは現伯爵の先代と深い絆で繋がっていた。過激な考え方に追い込まれたミゲル、その父フランシスコも煮え切らない感情を抱き、フェルナンドはマリアを想い、ミゲル以外の者は反乱軍に与しない。母アナはキリスト教徒で、モリスコたちに囲まれて不安な毎日を過ごしている。非常に複雑だ。

ディエゴ・ディアスがいまわのきわ、少年時代の先代伯爵と自分のことを思い出す。ラマダン明けのお祝いのお菓子を2人とも食べすぎたこと、グラナダからアフリカを望む海を眺めている光景ー。近そうで遠い、遠いその距離と喪失感。

興味ある題材。当のスペインの作品に触れられた。私はゴールデンウイークには例年のごとくイスラーム映画祭に行くつもりである。そこでまた文化と宗教と現代のはざまに触れるのが、楽しみでもある。

2025年4月14日月曜日

NG

スタンバッてたものの天候不良により飛びませんでしたブルーインパルス🛫❌残念!

2025年4月12日土曜日

卒業

会社の方のご卒業お祝いを主催。最近開店した地元の店でかつて同じ職場だった先輩方と語り合う。鶏ときのこのピラフが絶品でした。デザート頼みましょー、と提案したのは私です。苺のカタラーナ。カスタードを凍らせたもの。

ここのところスイーツ多いので週末はちと自粛😅

いよいよ開幕

夜景の写真の真ん中あたりが万博会場の夢洲(ゆめしま)のようで、ライトアップしているからか、これまで無かったところに突然島が出現したように見える。大阪市はかつて2008年夏季オリンピック招致を目指しており、夢洲は選手村になる計画だった。施設はあっても街ではないため暗かったようだ。

あすは雨予報の開幕、お昼にブルーインパルスが上空でパフォーマンスするそうなので見えるかどうか見てはみようかな。雨だったら飛ぶのか果たして。

児童文学が読みたくなって図書館。さっそくかつてのイラン映画「少女の髪どめ」のノベライズを見つけてパラパラ。「運動靴と赤い金魚」が人気を博したマジッド・マジディ監督の作品。懐かしい。

スペインのキリスト教徒とイスラム教徒の関係・はざまを描く「太陽と月の大地」、梨木香歩作の「岸辺のヤービ」というとこで。あと読んでない古典のビギナーズクラシックも。リュック重い。

帰って🏀Wリーグのファイナル第3戦を観る。デンソーはよく動くディフェンス、代表の髙田やエブリンが得点を重ねて突き放し年間チャンピオンに王手をかけた。同じく東京オリンピック銀メダリストの町田や林、宮澤のいる富士通、あすは意地を見せてタイに持ち込むか🔥

⚾️きのうあと1アウトで引き分けに持ち込めたところをサヨナラホームランを喰らってしまったわがライオンズは最終回1点差に迫られなおも2アウト満塁というとこまで詰められたもののなんとか逃げ切った。もーやめてよこんなん😵

勝ち越しへ頼むぞ🦁🔥

4月書評の5

◼️町田そのこ「52ヘルツのクジラたち」

網をめぐらした背景とストーリーとの協奏曲。本屋大賞受賞作。

ブックカバーは京都・平安神宮近くの布雑貨さん。行くたびに文庫用を買ってます。中でもお気に入りのカバー。桜にひっかけて。

町田そのこは初読み。先日北九州市の文学館に行って私と同じ福岡出身で在住と知りちょっとシンパシーが。本屋大賞の人気作品。さてさて。

大分の田舎町、海の近く、丘の上の一軒家に住むことになった貴瑚(きこ)。無職の若い女独り暮らし、よそ者ということでさっそく風俗嬢だったのではと近隣に噂が立つ。スーパーで見知らぬお年寄りに説教された雨の帰り道、かつて包丁が刺さった腹部が痛みだし、うずくまっているところに中学生くらいの子が傘を差し掛けてくる。髪が長くきゃしゃなその子は前にも見たことがあった。貴瑚はその身体に、見慣れた色を認める。貴瑚もかつて、虐待されていたー。

主人公の来し方、なぜ大分に流れ着いたかを、現実と並走させながら語っていく。貴瑚が心に抱くアンさんとは誰なのか、なぜ包丁の刺し傷があるのか。

52ヘルツのクジラの声、妾の子、魂の番(つがい)などの仕掛けやキーワードを交えながら、時折会話のテンポ良さも若者風に、そして物語が進むにつれ貴瑚が環境になじんでいくように。

ストーリーは長く深く。過去のキツい出来事や、訪問者の子との生活が中心で大きな2要素。やがて化学反応を起こして、真っ当なところへと進む。最後の方は少しぐすっとなった。

劇中、北九州って福岡県にあったんだったか、という貴瑚の心の声とか、北九州に行こう、と言われた親友・美晴がどこ、それ、と驚いたりとかこれ自虐っすか?なんて笑えた。

過去といまと物語の陰に忍ばせたもの。よく影響、反響し合っている。特に妾の子、には純和風な不穏な運命、という感覚もした。

さて、という、意外に大きさを感じる物語なのであるが、ひねくれた私はどうも強引なところを探してしまう。ゴールのために少々都合のいい設定を置いているのが見えてしまう。没入せず、少し離れて斜めから見てた。合うか合わないかといえば?でした。

4月書評の4

◼️ 村治佳織「いつのまにか、ギターと」

ギターは不思議に癒される。平易な言葉が息づいて、空気感が伝わる本。

ブックカバーはお手製のヘップバーン😎

先日行ったリサイタルで魅了されてしまい、エッセイ本を借りてきた。いやーギター聞き応えがあって明るくステージ映えしてステキな人やな、というのが正直。奏者の本は楽器や演奏への向き合い方、さらには天啓、というか閃く才能を持つ人は何を考えているのか、などを知りたくてよく読む。

ギターとの出会いや家族、生まれ育った故郷・東京のこと、友人たちとのお付き合いに、ラジオのナビゲーターとしての経験、故障、さらに大きな病気で休養して考えたこと、などなどまさにエッセイ、語りかけるような文調で、心のうちが描かれていると思う。

演奏者の書き手は様々で、熱い思いを書く人もいれば楽曲に対する心酔の境地を綴る人もいる。坂本龍一さんなんかは生い立ちとデビュー以後の来し方がすごく面白かった。だいたいどこかに光る部分や覚えてしまう言葉が潜んでいるもの。

村治さんは前向きで、ナチュラル。そういう書き方の人もいる。平易な言葉で明るく、感謝の念にあふれている。演奏の聴き手に対する意識からか、読者に対してのリスペクトが感じられる。

アランフェス協奏曲を作曲したホアキン・ロドリーゴと会ったこと、吉永小百合夫妻との交流から日常、東京での散歩、大またでぐんぐん歩くことまで、なんというか語りの言葉ひとつひとつが信じられて、空気感が漂う。

好き、ばかり書く人は、実は嫌い、も強かったり、感情が昂ったりもあるかも、なんて想像しがちではあるけれど、素、天然なのかエンターテイナーなのかこの本にはほんと良い気持ちにさせられる。

大病で活動休止したときに、最初はなんで自分が、とかどういう治療をするのか、話を聞いたり調べたり、これからどうなるのか、どうしてそうなったのか、思考がぐるぐる回って前向きになれなかったと。そこで

「なんでそうなったのかは、わからなくていいや」

と割り切ったくだりには感銘を受けた。大病をしたことはないが、悲しいことがあった場合、人間、思考の無限ループに陥りがち。なるほど、だった。

ここ数年で2回、村治佳織さんのステージ演奏を聴いた。1回はピアニストが目当てで、出演することを会場に行くまで知らなかった。でもそこでアランフェス協奏曲を堪能しその弾く姿を見て、今度はリサイタルに行きたいなと強く思った。

まあ中高でギターを齧りしかし上達せず聴く専に回って興味は持ち続けた。15歳でデビューした村治佳織さん、知ってはいたけども、アランフェス協奏曲は大好きだったけども、どちらかというとアコースティックが好きな私はあまり聴いてこなかった。

それが、リサイタルでもう、「ハウルの動く城」の「人生のメリーゴーランド」とか「ニュー・シネマ・パラダイス」の愛のテーマとか「主よ、人の望みの喜びよ」の音に溶かされた。作中では愛用のホセ・ルイス・ロマリニョスのギターに触れられていて、次回また音を確かめたい気持ちにかられる。

YouTubeで演奏を聴きながら読み切った。写真も多くて光あふれるエッセイ集。やっぱりステキやわ😆

4月書評の3

◼️ サラ・パレツキー「サマータイム・ブルース」

ハードボイルド人気シリーズ。まっすぐに闘う女性探偵、ヴィク登場!

サラ・パレツキーというと、このヴィクシリーズで人気が出たころ、5作めの「ダウンタウン・シスター」を人に薦められて読んだ覚えがある。懐かしい大阪の旭屋書店ビルに探しに行ったような。残っていればおそらく名建築の仲間入りをしていたであろう、本が詰まったレトロなビルには推理小説フロアがあり、下りのエスカレーターが無かった。

1982年に発表された、ポーランド系の女性探偵、V.I.ウォーショースキー、通称ヴィクが活躍するハードボイルドもの人気シリーズの初回作品。新装版をたまたま貸してもらった。

大銀行の専務が、行方不明の息子の恋人を探して欲しいとヴィクに依頼する。2人が同居していた住居に侵入したヴィクは息子の銃殺死体を発見する。恋人は姿を消し、手がかりのない状況の中、依頼者と銀行の専務とは別人であることが判明、さらにヴィクはシカゴの街のヤクザにこの件から手を引けと叩きのめされたばかりか、依頼の打切りを宣告される。そして、さらに殺人事件がー。

身長175cmくらい、元弁護士にして空手の達人、ホルスターで拳銃を身にまとう、闘う探偵。依頼料が入る見込みがなくなっても巨悪を暴き少女たちを守るため、敢然と立ち向かう。劇中にはロマンスも盛り込まれ、正統派ハードボイルドエンタテインメントとなっている。

ストレートな行動をし、実力行使にも逃げず、物言いもスカッとしていて、それでいて弱者へのケアもきちんと行う。そんな決然とした姿勢と、良き協力者に恵まれていることやエンタメとして息もつけない展開が物語を彩っている。

これが、女性探偵ブームの先導役のシリーズか、と。5作目の「ダウンタウン・シスター」でイギリス推理作家協会賞シルバー・ダガー賞を、9.11後のアメリカ社会を描いた「ブラック・リスト」でゴールド・ダガー賞を受賞している。

解説で読む限り「ブラック・リスト」は人種差別などにも絡んでいるようで、混沌としたアメリカでのヴィクの活躍は興味深い。ヴィクはシリーズが進むとともに加齢しているとのこと。最新作は2024年に発表されているようで、初登場から実に42年の月日が経っている。果たしてどうなってるか。もう少し読む気になってきた。

2025年4月6日日曜日

侍タイムスリッパーと季節感

当初1館だけの上映だったというインディーズ状態からスタート、やがて評判が評判を呼び、先日ついに日本アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた「侍タイムスリッパー」を観てきました。

武士のタイムスリップはストーリー的にもはや古典。ドタバタも胸キュンもありもの。ようはその前提から中身をどう展開するか、がポイントと思います。

京都の時代劇撮影所を舞台にして幕末の志士が「斬られ役」になるのが斬新。宿命の再会から、研ぎ澄まされた末のギリギリの勝負。観ている方はわかっていても手に汗を握る。さらに日本映画の変遷までとらえ、気概を強く感じさせる。笑って泣いて、のおもしろい作品でした。

桜はもう、例年通り。今週末がピークとあって、日本の桜100選に入っている地元は一気に人が増え、スーパーは食べ物飲み物を求める人でレジ長蛇の列。近場でパチリと撮って即離脱😎。

帰りの石段、毎年咲く小さくかわいいヒメオドリコソウに季節を感じる。

土曜は晴れていたものの風が冷たく長袖Tにポリエステルのうっすいパーカー重ね着で出て後悔。おまけに映画館でエアコンの風が集まる席だったし。日曜は同じカッコで暑すぎる気候。まだまだ朝晩冷えるけども、もう寒の戻りはないかな。早ければGWには夏日だったりする。

20時ごろきぼうが、西に傾いたシリウスを横切っていった。

ホンマの季節の変わり目ですな。

満足スイーツ行

Pudding a la mode🍮🍨

水日だけ開店のカフェへ、スペシャルメニューの🍮プリン・ア・ラ・モードを食べにお散歩。かためプリンは濃厚でいい感じに甘くなく、食べ終わるのが惜しくて最後刻みきざみちょっとずつ食べました。

ジェントル&ムジカな夜

淀屋橋かいわいの名建築の1つ大阪倶楽部でコンサート。外からは何回も見てたけど入るのは初めてで嬉しい。いわゆる西欧風のクラブ、という雰囲気は東京の学士会館でも味わったことがあり、当時の風潮が偲ばれます。

コンサートはヴァイオリン4、ヴィオラ、チェロ各2、コンバス1にチェンバロの小編成。でもこんなに厚い音が出るのか、と。すぐ近くからのポリフォニーが腹に響く。

前半はテレマンやヴィヴァルディ、バロック期のコンチェルト。ヴィオラは、去年の東京出張時たまたま上野文化会館に観に行ったヴィオラ単のリサイタルで、ヴァイオリンよりかなり重い音に惹かれていた。そんな経緯もあってヴィオラ協奏曲にはやっぱりいいな、と。一般にチェロの音は男声に近いとして、その深みにも人気がある気がするけども、ヴィオラも表現の幅が広そうに思える。

後半は、楽しみにしていたチャイコフスキーの弦楽セレナーデ。なんといっても最初の入りがキャッチーで、厳しさと優しさ哀しさ、アンビバレントな感覚が押し出されてて、何かを掻き立てる。来て良かった。これを聴きたかった。

良い気分で風格ある階段を駆け降り、バスに間に合わすべく急いで地下鉄。ストレス溶けた。

後ろで演奏中話す人がいたのと、プログラムがオーボエ協奏曲となってたのでめっちゃ予習してきたら変わってた😅という残念な点はあったけども楽しい夜だった。

クラブ寄って楽しんで帰った。紳士な感じ?😎

4月書評の2

◼️青木奈緒「幸田家のきもの」

文筆の妙は世代を超えて。幸田文の孫が綴るきものの話はこっくりとして心になじむ。

数少ない写真のきものが艶やか鮮やか、粋で決まっている。文が見立てた、白地に芯がぽつっと黄色い紅梅が埋め尽くしたものの品の良さ、カッコ良さ。フランスのイベント会場で大評判になったという明るい濡れ描きの花のきもの。著者の着姿で本当に目を惹く。文が残した蕨の描き帯も眼福。渋くすっきりとして大人の和ファッションそのもの。

きものの種類と質感、季節の装い、きものの言葉は分かはないが、よくある分からないことに感じる魅力、目に見えない、内在だからこその響きもある。文の言葉と、散らされる日本語の味わい深さ。

雑誌の取材で玉と奈緒が一緒にきものの写真を撮ることになった。何を着ようか箪笥からあれこれと出して、母娘は思い出に浸る。

「献上の伊達締めや三鱗(みつうろこ)を小さく絞った帯揚げ、次々に目になつかしい小物が出てくる。帯枕は使っているうちに角がすれ、母があまり布でくるみ直してくれたもの。紐類もなん本か。手でさわる紐はいつのまにかうす汚れ、きたなくなったことに意外と気づかない。『いつでもきれいな紐を身につけておいとくれ』目の前の紐が遠くなった祖母の声を呼び覚ます」

そして撮影が終わった後の表現。

「撮影が終わり、一行が去ったあとの座敷を開け放してひとしきり、きもののままの母と話した。お客が残していった活気が縁側の明るい陽だまりに留まり、ひっそりした玄関からはさあーっと軽い風が流れこんで常普段の静けさが戻ってくる」

この、きもの知識を散らした、流れるような、さりげなく滋味深い感じにじわっとくる。この感覚は文も、玉も持っていて、いま奈緒で10回めくらいの再会をしている。いやー好きですねある意味マニアックなのかな。

幸田文は幸田露伴の娘で離婚して嫁ぎ先から戻り、43歳で父・露伴のことを書き始めて人気作家となった。幸田文の娘・青木玉も母の死後、実母・文について筆をふるい始めた。そして4代めというか、露伴のひ孫の青木奈緒は祖母と母をしたためる。何度読んでも佳い。

幸田文は大のきもの好きで、そのものの「きもの」という、装丁も素敵な作品をものしている。

私の中では幸田文はベスト・エッセイスト。教養豊かで、感じ方が多彩で、言葉のチョイスも文芸的でなおかつ平易。たまに江戸弁っぽい感じも見え、チャキチャキしてなおかつチャーミングでこっくりとしている。

数年前に青木玉の「幸田文の箪笥の引き出し」という本を読んで衝撃を受けた。知識の豊かさ、判断の速さ、趣味の良さが並外れていた母のもとで育った青木玉もまた、見識と筆の確かさを受け継いでいた。きものの知識、表現力などが味わい深く、また幸田文の思い出話が微笑ましくまた構成もドラマティックに組まれていて、なにより説明を受けてきものの写真を見るとものすごく小粋でかわいらしく見えたりする佳作だった。

正直きもののことはわからない。今回もたっくさんのきもの言葉の意味はほぼスルー。でも良い。言葉と文と写真と。大好きなテイストだ。また文、玉、奈緒を読もうと思う。

4月書評の1

◼️ ロバート・J・アンダーソン
ウィリアム・A・アダムズ 
「成長する組織とリーダーのつくり方」

啓発された。リーダーシップ分析の本。チームワークのために自分はどうあるべきか・・?

高創造的リーダーシップ>高反応的リーダーシップ

という大きな構図をもとにそれぞれを構成する要素を対比的に羅列し、リーダーとしてどういう影響をグループに与えるか、という分析をしていく。この2つは両極であって、膨大なアンケートデータにより中間にいる層についても言及している。

おおざっぱに言うと、いくつもの項目のスコアを円グラフにして分かりやすく表している。

クリエイティブ、創造的な要素で目が行くのは協働、無私、勇気ある本質、持続可能な生産性、など。

逆にリアクティブ、反応的な要素には完璧主義、過度な意欲、傲慢、受け身、などが並ぶ。高反応的な性質にも成功への強い意欲など強みはある。人間はやはり単純ではなく、クセがある人にはものすごく鋭い知性があったりする。ただそれをマイナス要素が打ち消してしまいがちだという。

ホントよくありますよね、頭が良くて仕事もできる、だけど抱え込んだり、他人に対して冷たかったり、感情的になりがちだったり。またプレーヤーであった時のやり方をリーダーになっても押し通したり、チームを継続的に運営していくリーダーとしてそれでは難しい、という流れだ・・と思います。

対象は西洋の企業ということだが、特にマイナス面として出てくることが・・長年会社というものに勤めている中で出会うリアクション、性質に思い当たるフシがリアルにありすぎだ。

過去ぶつかってきた様々な人たちや自分に投影してしまうなあと。これは思うに上位のリーダーたちを前提に置いた本であるのを差し引いても考えることが多い。

そういうことを想像しつつ、なかなか噛み砕くのに時間がかかる本で内容も繰り返しのようでいて多岐にわたる。

ひとつなるほど、と思ったのは良い特質としての「人間味」「根本的に人間らしい」というイメージ。これが人間性、でないのがいいかなと。

高位につくと、人はやはり慎重になり、ややいかめしくもなり、きれいな言葉を使い、笑顔を意識する、という実感がある。人間性。

人間味、というのは親しみやすく、またよい聴き手である。自分が知らないこと、失敗したことを認めたりする、これは私の印象だが、笑顔でごめーんこれやっといて、とかるっと分業したりとかが出来る、というようなことを指しているのかなと。操作・支配するのではなく、エンパワーする。

仕事で部署のチームワーク、という点で考えることがあり、コンサルタントの友人や勧められた本などを参考に対処して改善した経験から、リーダーシップについても興味があった。この本も専門家の友人が日本語訳に携わったから読む気になり、大いに啓発された。

もちろん本は原則。グループを構成するメンバーの個人的事情もあるし現実への対処はまた違う。ただ、心から褒める、ほめるにはその人の仕事をよく見なければいけない、それでより理解が深まる、だとか、よく話をする、聴く、とか、言葉だけではなく実践してみると意外とうまくいく、という経験があったりするので、その延長線上に、また新たな知見を得た思いだ。

私流の解釈だけども合ってるかな苦笑。

新規開拓スイーツ

お散歩がてら、記事で見て気になっていたカフェへ。早朝開店、朝ごはん、ランチ、そして魅惑のスイーツのお店。席は少なく狭いけども、だからなのか店主さん、常連さんが話しかけてくれたりして、明るくてアットホーム、居心地がいい。目の前でコーヒーを淹れる、むらす?ジュジュ〜っという音がほわっと耳になじむ。

悩んだ末チョイスしたのはガトーバナナ。これが・・ひと口めを咀嚼した瞬間、思わず「うまっ」😳と声が出てしまい、店主さんとお隣のお客さんに笑われた😅最高のリアクションありがとうございました、って。ガトーバナナ、人気らしい。

バナナケーキ好きとはいえ我ながらほんと自然な反応。絶品でした😋次はごはん食べて、デザートにかためプリンかレモンケーキを食べようと。再訪必ず😎スコーン買って帰りました。

帰りはこれもお初の、高い木立が電車からいつも見える公園に寄り、夙川で五分咲きの桜を眺めてと、春らしく気温は上がって風は冷たくて、という気候の中のんびりと。よい散歩でした。

今週はCHIHIROのフィナンシェも食べたし、スイーツ的に満足なウィークエンドやね。

昼に帰ってセンバツ⚾️決勝。横浜は松坂時代以来の公式戦負けなし継続で優勝。ライオンズ⚾️は開幕3連敗・・😵‍💫

さあこれからフィギュア⛸️世界選手権の放送に、ロン・ティボー国際ピアノコンクールのファイナルLIVE配信だ。