2024年9月25日水曜日

9月書評の9

◼️ くどうれいん「桃を煮るひと」

盛岡在住の若い著者、料理・食べ物に関する短いエッセイ集。ナチュラルで、瑞々しい。

X、Twitterでよく著者の本が上がっている。そのうち読んでみようかと気にしてて、ある日図書館に行ったら目に留まったのでパッと手に取った。

食べ物に関する1〜数ページのエッセイが連なる。料理好きが伝わってくる。盛岡ならではの食材の紹介も盛り込まれている。でもグルメでも料理本でも観光本でもない。

ざっと挙げると、

カリカリ梅、即席オニオンスープ、ミニトマト、じゃがいもの味噌汁、もずく酢のサラダ、ファミチキ、生春巻き、とろろ、など。必ずしも作り込んだり、高級なものでもない。

地元特有はいくつか。盛岡冷麺と梨、柿、くるみ餅などなど。

小気味よく、おいしそうに、をじわりと出すのは腕だなと思う。各話が必ず想い出、過去の出来事に結びついている。そこがみそっぽいかな。

「迷ったら炒飯」は大賛成、表題作「桃を煮る人」と次の「焦げちゃった」そしてさらに次の「ねずみおにぎり」が3つともよく出来てて面白かった。炊き立てのごはんで塩おにぎり、かなりそそられる米のごはん好き。

声を出して笑ったのは「どら焼きの女」なんでそう追い込まれるかな笑^_^

なんか、ナチュラル。1994年生まれの女性の手からは恋愛のテイストも散らされている。

なるほど、ほどよく気持ち良い筆致。長く重い小説の後にでもまた読んでみよう。

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