GWは・・結局とりたてての外出はなし。買い物して、ご飯作って、片付けて、洗濯して掃除、の繰り返しだったかな。その割に本はよく買って積読また増えた😅最後の方は豪雨で台風並みだった。
それもあって、お家時間で、本読んで、テレビ⚾️🏀🎼など見て、息子の後を追っかけてた。
ホットケーキはビジュアル的に好感度高いよね。3段とフランクフルトはホットケーキミックスのあまり使い切りで自分用に。
まあこんな年もいいかと。
◼️ 大下宇陀児「偽悪病患者」
古き良き日本の怪奇、サスペンス小説といったもの。工夫と人臭さ。ふむふむ。
ミステリ好きの先輩からお借りした本。大下宇陀児は昭和初期から戦後の時期に活躍した作家で甲賀三郎、江戸川乱歩と時代を共にしている。
この本には10数ページから長くとも40ページくらいの短編が収録されている。
「偽悪病患者」
「毒」
「金色の漠」
「死の倒影」
「情獄」
「決闘介添人」
「紅座の庖厨」
「魔法街」
「灰人」
なんか、時代らしいおどろおどろしさが漂うタイトルの羅列。この中では「金色の漠」「紅座」が短くてコミカルで、太宰治を怪奇小説の体にしたみたいな印象もある。「紅座」の主人公の働かない胃弱の男なんてイメージが重なる。「魔法街」は近未来SFチックで江戸川乱歩っぽい。星新一風味かなと。
ほかは犯罪小説っぽい味付けもある少々恐く奇体な話。その構成の工夫のバリエーションがおもしろい。
「偽悪病患者」は兄妹の書簡の往復、「毒」は無邪気な子どもの言動がキーになる。「死の倒影」は醜怪な要望をした、多分に承認願望のある若手画家が教師、ライバルと絵の師匠の殺害を告白する。「情獄」は友人を見殺しにしてその妻を奪った男の回顧譚。どちらの話も手紙で罪を書き残そうとしている。
ラストの「灰人」は犬がポイントとなる。土佐犬とイングリッシ・セッターの間に生まれた野良犬ルルウ。老主人に拾われ大事にされたルルウはしかし、主人の妻を奪った敵方の男にも自然になつき、犬として本能通りの行動をする。そして残忍な犯罪が起きるー。
「決闘介添人」は、違う形で手紙が使われる。女を巡って2人の男が双方納得ずくで決闘をするが、片方の男が決闘時の取り決めを破り、私がいない場合は自殺ではなく、もう片方の男に殺されたのだという手紙を書く。その内容を知った第3の男がうまく利用しようとする。
こうして見てみると、なかなか様々な要素を取り込んでいて興味深い。
犯人の描く絵が犯罪を象徴する「死の投影」、キャラは「紅座」の健啖家にして仕事ができ、しかもロクデナシの旦那にも献身的なお咲が印象的。「灰人」のルルウの描き方も好きだなと。
作品は全て昭和ひとケタ年に書かれたもの。たまにはこうした、日本版黄金時代のような時期の小説群を読むのもいいものだ。なぜか憧憬の念を抱いてしまう近代を垣間見たいーこの気持ちの正体は何なのだろう。
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