2023年5月13日土曜日

5月書評の5

GWの料理ー。まあ牛肉を焼肉のタレで炒めるのは王道やね。ふつうのおかずやん!と息子から賛辞をいただく。クリームシチューもうまく出来ました。やっぱ肉と野菜は分けて炒めたほうがいいね。水を入れて、具が多すぎるかなと思っても、最後はうまく収まった感じだった。すばらしいのは日本のシチュールー、やね。
チキンライスもどき、チキンの代わりにポークソーセージ。やっぱり最後に塩コショウで味を整えるのすごい大事。ケチャップもベタっとならずまずます。こどもの日に柏餅を2人で食べました。

◼️ 西加奈子「炎上する君」

やっぱりちょっと変わってて、でもそこはかとなく真ん中に寄ってて、おもしろいよね、西加奈子。

本読みとしての自分に人が抱くイメージは面白くて、けっこうなミステリ好きだと思われたり、書評をよく見る友人からは逆に、推理小説って、読まないよねー東野圭吾とか、なんて言われたり。国内外ともにそんなにミステリは読んでるわけではなく、でも東野圭吾はまあまあ読んでて、と、話し出すとややこしいから結局黙ったりする。何書いてんだか。

というわけで、西加奈子、いくつか読んだよね、とwikiで既読を数えてみたら小説の本23のうち確実に読んだのは11。まあ約半分なのでそこそこかと。印象に残っているのはほっこりとした「円卓」、なにわな可笑しさが好きな「通天閣」、作中の絵をよく覚えている「白いしるし」。少し変わった設定と日常、おかしみなどが特徴かなと思う。

今回の短編集は、発想が飛び跳ねている。主人公はすべて妙齢の女性。

最初の「太陽の上」は中華料理店のおかみのアノ声を聴きながら部屋で過ごすひきこもりの女性が、ある日天啓を得る。
次の「空を待つ」は女性作家が拾った携帯に届くメールに返信しやがてその会話と相手との関係性にのめり込む話。

そして「炎上する君」はなんと、炎上ってそんな?という人間が登場する。モテない道を歩み女をやめたくでも自分達を蔑んだ男にもなりたくない親友同士のできる女性2人が、君、と遭遇し、目覚める。もうとにかく男の本質を辛辣に衝いていて、2人がコミカルで、なんかハチャメチャで、楽しい。

「私のお尻」はなんか川端康成の「腕」を思い出すな、という、微笑まし怪しい小篇、ファンタジックな癒しの世界が出てくる「舟の街」のどこか壊れているような優しさに恒川光太郎を想像したりする。そして19世紀の外国の不思議なナラティブのような「ある風船の落下」のラストにホッとする。

江國香織が好きな、私の文芸の師匠の女子に昔訊いたことがある。自分は長編物語かシャーロック・ホームズのような推理短編しか読んでない。短編小説はどう読めばいいんでしょうか、と。

それからいくつもの短編集を読み、本に横たわるテーマ、思い切った設定やストーリーの成り行き、突然の終わり、暗喩と噛み合わせ、心理的効果、など、短編ならではのワクワクするようなおもしろみが少しずつ分かってきた、つもり。不思議は不思議のままでいい、というのも短編ならば、という味かと思う。

この短編集は、いっぷうも二風も変わったシチュエーションが楽しいが、より伝えたいものがむき出しになっている気もする。言葉を使い、言葉でないものを。心情としては、真ん中寄り、という感触だ。

師匠はひとこと、余韻です、と答えた。さらに余韻もたっぷりのコント集、良い読書でした。

0 件のコメント:

コメントを投稿