旧乾邸外観と、割引券くれたので行ってきたすぐ近くの白鶴美術館。こちらも和洋モダン。廊下や休憩スペースの椅子なんかがカッコよかった。
◼️ 全卓樹「銀河の片隅で科学夜話」
ちょっとだけ専門的な科学のよもやま話をゆるく綴るエッセイ。スっと読めて、おもしろい。
これを書いている今夜は、三日月と金星が接近していて、とてもキレイだった。まるで絵本の夜空だな、なんて思いながらずっと上を見て歩いていた。
読む本のチョイスは、一時は小説ばかりだったが、最近は新書なども読んでいる。特に物語が続いた後は宇宙、地学、生物の本が読みたくなることがある。この本は書評を見かけたり、本屋の店頭に積んであったりで評判の良さを感じていて、図書館も貸出中だったのを先日たまたま見つけて即借りてきた。
著者も記してある通り科学エッセイだ。地球の自転速度から始まり、流星、彗星、カイパーベルトにオールトの雲、巨大ブラックホール、月面売買という宇宙の話が続く。
そして物理に行って真空、放射能、量子力学、数学の確率、多数決、付和雷同の社会学、AIプログラミングにも通じる倫理の世界的実験、そして生物ではアリの生態、蝶の渡りと多岐にわたって短い章立てで語られている。
前世紀以前の発見から、最近の研究成果までを網羅している説明素材は、時に立ち止まって考えてしまう部分はあるものの、読んでいて楽しい知識が多く、ふむふむと思いながらスラスラと読めてしまう。理系の複数の友人から「子供の頃『◯◯のひみつ』シリーズが大好きで読み尽くした!」と聞いたことがある。そんな気持ちなのかな。アダルトな、◯◯のひみつエッセイ^_^
専門知識を分かりやすい本にするのは緊張する、という学者さんの言を読んだことがある。確かにそのあんばいは難しいに違いない。やはり読み手もプロフェッショナルなところをこそ求めているところもあるし、だからと言ってさっぱり分からないでは意味がないし。いくつもおもしろい本は経験したので、科学者さま、今後もがんばってね♪期待してます。
そんな中、科学のトピックを説明しつつ現代の人の世を考える、そんなエッセイを読んでいると、大地と空と地球と宇宙、ホントに広さ、深さをも感じてしまう。ナイスなジャンル創成。
本書にある「アリに心はあるか」ではないが、科学者にも情感は当然あり、名作「星を継ぐもの」のように人の心に大きく強い郷愁を抱かせる力が、科学には絶対ある。バランスよくしたためられた本をまた読みたいものだ。
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