2023年5月7日日曜日

5月書評の2

混む前にGW前の京都。四条河原町、昭和9年創業、レトロ喫茶の「築地」でここ発祥というウインナーコーヒーと、京都スイーツ特集に出てきそうなムースケーキ。こないだ「ソワレ」には行ってゼリーポンチ食べたし、次は「フランスア」でチーズケーキかな。

◼️ 伊坂幸太郎「フーガはユーガ」

たまに読みたくなる伊坂幸太郎。仙台と、とぼけた味と、エンタテインメント。ちょっと余韻哀しい。

いつだったか宮部みゆきさんが、凄惨な事件が現実に起きているなか、ハードなミステリーを書くのが辛くなった、という意味のことをインタビューで話していた。直接的な関連はないかもだが、年を経るにつれて特に子どもがかわいそうな話は精神的に辛いな、とちょうど思っていた時期で、どこか意識の一部が重なった気がした。なんかわかる、と。

この話のベースはひどい親、親族。風我と優我の双子兄弟は父親に日常的に暴力を振るわれ、母親は見てみぬふり、という家庭に育った。ある日2人は、特定の日時に互いが身体ごと場所を入れ替わる、ということを知るー。

やはり家庭に問題を抱えている同級生のワタボコリがいじめられていたり、風我の彼女、小玉もまた叔父に酷いことをされていたり、少しだけ関わりを持った家出少女が本当に非道な目に遭ったりとけっこうキツい。

風我と優我は、ユーモアとなにがしかの諦念、そしてしたたかさを持って行動していく。ワタボコリを助けたり、非合法イベントに乗り込んだり、入れ替わりをうまく使うなどして敵に対抗していく。アクションも結構ハデだ。

細かい伏線を回収したり、シンパシーの存在を感じさせたり、会話に独特のユーモアがあふれていたりダイナミックだったりと、今回も伊坂幸太郎らしさを楽しんだ。

悲惨なペースだからこそ、その強さ、明るさ、切なさが光る、浮かび上がる、という感覚を覚えた。

にしても、ちょっと優我、かわいそうかな・・この小説に流れる諦念のようなものがまた最後にもあった。

最初は音楽のフーガとなにか関係があるのかなと。そう思わせるのも狙いかな?^_^

0 件のコメント:

コメントを投稿