2023年5月28日日曜日

5月書評の10

神戸市東灘は御影のお屋敷街にある旧乾邸という名建築の一般公開に行ってきました。アルキメデスの大戦やNHK連ドラのほか数々の映画ドラマのロケ地となり、いまも月1回は撮影が入るそう。

さすがキレイで、大きな色つきの窓ガラス、ゆったりとしたカーテン、西洋モダンと和風のミクスチュア、細かい装飾を施された内装や調度品にテンション上がりました。

いいお天気、テラス席も暑くなく、地元名店のチーズケーキと紅茶、微風。めっちゃ癒されていい気分。応募したら見にいけるもの、というくらいに受け止めていたところ、どうもけっこうな応募数での当選だったようで、ラッキーな至福でした。


◼️ 恒川光太郎/大畑いくの「ゆうれいのまち」

怪談えほんシリーズ。「夜市」などのホラー作家、恒川光太郎はいかに?らしい出来でしたー。

恒川光太郎は現世に隣接する異世界、が得意というイメージがある。ことさら煽るわけではないがやっぱり怖いなあ、という感覚、またいつのまにかページがかなり進んでいた、という読ませる力の高さが好きでいくつか読んでいる。だからずっと読みたかった恒川光太郎バージョン。

ある日友だちが来て、ゆうれいのまちが来るから見に行こう、と誘われ、出かけていく。そしてゆうれいに捕まってしまうー。

絵はなんというか、とても粗くて逆巻く風に暗い色をつけたようなタッチ。人物も描いてあるものも抽象がかっている。不穏なものを感じさせ、沈んだ色彩の中挿入される空が紅いページが効果的だった。

物語は、なんかこどもものだし途中で夢見ていた、ということになるのでは、とも思ったけれども、お母さんとして出てくるゆうれいは本物ではなく、異世界がずっと続いてゆく。

教訓のある寓話っぽくしないのは各作家共通。その中で恒川光太郎は実にらしい、というか。子どもにとっては戻れない、というのも怖いよね。

恒川光太郎の通常の小説にも挿絵が欲しいな、なんて考えちゃったのでした。メディアミックスで漫画化されているのがあれば、それを読むのもいいかも。

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