2023年5月28日日曜日

5月書評の11

旧乾邸②。乾汽船の始祖の方の家だとか。いまの管理は神戸市。

◼️ 綾辻行人/牧野千穂「くうきにんげん」

新本格の始祖もすでに歴史になった。さてさて、絵本は?

見出しは、綾辻行人の本の解説で、誰かが「最近の若いもんは綾辻行人を知らんのか、新本格の始祖ぞ!現人神ぞ!」とオモロかしく書いてたのを思いだしたので書いてみた。当時の本友から薦められて読んだ「十角館の殺人」。思い切りハッとしてショックを受けた覚えがある。いまでもオススメ本としてよく挙がってて、その、なんというか破壊力には感心するばかりだ。

というわけでアヤツジストとなってしまった私は当然ながらレジェンドの絵本は読んでみたいと思っていた。

「くうきにんげん」は先に読んだ恒川光太郎の本とは対照的に端正な絵で、人間の頭部だけがすべてウサギなどの動物になっている世界。恐ろしい場面はなく、ウサギの顔をした子どもがふうつの生活をしているいくつかのカットで天の声がくうきんげんについてナレーションをする構成が続く。

目には見えない「くうきにんげん」。それは人をくうきにするためいつか2人がかりでおそいかかってくるー。

ぞわっと来る感じの、見えないものへの恐怖に訴えかける絵本かなと。くうきにんげんはなにせ何も見えないし、文面に沿った描き方ができないタイプの作品で、絵の表現力が問われるなと思う。日常のどこかにくうきにんげんはいるのか?と思うと、人の影も、神の視座にも何かが宿っている気がしてくる。

これまで怪談絵本シリーズは

・宮部みゆき「悪い本」
・京極夏彦「いるの いないの」
・小野不由美「はこ」
・佐野史郎「まどのそと」
・有栖川有栖「おろしてください」
・あさのあつこ「いただきます。ごちそうさま。」

と読んできた。13作中いま半分といったところ。宮部みゆきが反則的にいっちゃん怖くて、次が京極夏彦かな。

次は皆川博子か恩田陸を読みたいな。

ゴメン始祖さま。絵本それほどこわくはなかった・・。

0 件のコメント:

コメントを投稿