◼️今村夏子「むらさきのスカートの女」
むらさきのスカートの女は憧れだった。
ある女が、商店街で、公園で、小さな街で有名なむらさきのスカートの女の存在感に惹かれている。
肩まで伸びたパサパサの髪とシミのある肌。さして若くはないが、むらさきのスカートの女は商店街の人混みの中でも決してぶつからず、すいすいと歩く達人。よく決まった店でクリームパンを買い、公園のベンチの決まったシート「むらさきのスカートの女専用シート」で食べてる。子供たちはじゃんけんして負けた者がむらさきのスカートの女に挨拶したり、肩をポン!と叩いて逃げるなどの遊びをしている。
商店街でインタビューしたら、誰もがむらさきのスカートのオンナを知ってる!と言うだろう。
観察者はむらさきのスカートの女と友だちになりたいと思い、家から行動から調べて、働いたり、働かなかったりするむらさきのスカートの女が長く職に就いていないタイミングを見抜き、ついに自分の職場への誘導に成功、同僚となることが出来たのだった。
正直このパターンは、どこかで読んだことあるような既視感を覚える。うーんどこだったっけ。
ある種、超然としているように見えたむらさきのスカートの女、いわば目の前の社会で動く生身の実態は、そして行く末は・・どこで語り手が接触するのかがポイントで、そしてここまでむらさきのスカートの女にこだわる理由がほんのりと醸し出されるようになっている。
惹かれるタイトル、話題の本。そこまで長くなくてさらりと読める。もう少し妖しくミステリっぽいかと思い込んでた。ちょっと予想を外されたかも。
ふむふむ、でしたね。
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