2022年12月27日火曜日

12月書評の12

【2022年、スイーツ】

いやー写真が40枚超えましたねー。おしゃれカフェのカンバンスイーツからコンビニスイーツまで。近代建築や美術館に行っては食べてました。

ベスト3は、

・桃とナッツとアイスクリームのせパンケーキ@神戸・六甲アイランド小磯良平美術館喫茶
・京都・平安神宮近くラ・ヴァチュールのタルトタタン
・サヴァラン@ビゴの店

そして大阪市立図書館のカッチョいいカフェのいちじくスムージーと、地元の西宮大谷記念美術館へイタリア・ボローニャ国際絵本原画展を観に行った時のアフォガート。

来年も思い出になるような、美味しいスイーツを食べたいね🍰

◼️柄刀一「御手洗潔対シャーロック・ホームズ」

クリスマスに、ホームズを。今回はダブルパスティーシュ。

パスティーシュやパロディというのは、それなりの進行のさせ方があるんだな、というのが長年読んだ感想。有り体にいえば、原典に沿ったホームズらしさを全編に配しなければならない。そのことと、ミステリとしてのおもしろさを両立させるのは難しいのかもしれない。


今作はパスティーシュ・パロディの中でもミステリ部分が響いたものとして白眉だと思う。


御手洗潔は島田荘司の探偵で、私も「斜め屋敷の犯罪」「占星術師殺人事件」「暗闇坂の人喰いの木」などよく読んだ。今回は島田氏の依頼で柄刀一が書いたようだ。御手洗潔と、ホームズの二重のパスティーシュというパロディになっている。

収録作品は以下。
「青の広間の御手洗」
「シリウスの雫」
「緋色の紛糾」
「ボヘミアンの秋分」
「巨人幻想」
「石岡和己対ジョン・H・ワトスン」

冒頭は御手洗がノーベル賞対象の研究をリードしたとして石岡と一緒にスウェーデンへ向かう話。理論的にチョー優秀な頭脳と、ゆえに口数が多いといった御手洗の特徴を醸し出す。

「シリウス」は御手洗潔単独の事件。謎の設定、解決と興味深く、また妖精、飛行、巨人、というこの本の種を蒔いている。

続く2つはホームズとワトスンが現代の日本で活躍する。タイトルが語る通り、原典有名作のパロディ。少しジグザグし過ぎている感じかな。まあ楽しい。

「巨人幻想」はこの本を数年に一度は読み返そうと思う篇。霧のウェールズ、遺跡、巨人伝説などただでさえ怪しくファンタジックな舞台。そして巨人の咆哮が聴こえ、すぐ屋外を地響きが通過し、大きな足跡のようなものが石の通路を砕いて残されていた。そして窓から巨大な顔が覗き、火の玉が上がるー。

ここで現代に甦ったホームズ&ワトスンと御手洗&石岡といった、2組の名探偵&ボズウェル役が邂逅する。一瞬の緊迫はあるものの、基本的には、協力して複雑な謎を解いていくー。

壮大な謎のトリックがストーリーより先行、という、ままある傾向。しかしこの篇にはいつもながら唸らされる。特に御手洗潔ものの特徴を活かしたミステリの佳作だと思う。

最後のコーナーは、まあ慇懃な、ワトスンと石岡くんの手紙のののしりあい。微笑ましいこの部分は島田荘司が書いている。なかなか楽しいけども、島田氏はやっぱりヘビはミルクを飲まないとか、長身のホームズが老婆に化けるのはおかしいとか、同じことを今回も書いてるなと。

「緋色の研究」を「緋色の習作」というのにこだわる人もいて、まあこれもシャーロッキアン・ラプソディーの一部でなかなかオモロカシイ。総じて日本人はミステリの構築は緻密で、ちょっとだけひつこいかな^_^

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