2022年12月11日日曜日

12月書評の5

【2022年、映画】

今年振り返りをしてみようかと思い立った。この後、展覧会編、建築探訪編、他遊び編など考えつきはするけども、コンプリートできるか不安。その時はまあええか、やね。

さて、劇場で観たのは15本。いちおう日付と場所もメモっている。

1.「偶然と想像」ピピアめふ1/3
2.「マクベス」シネリーブル梅田1/6
3.「友だちの家はどこ?」2/27
九条シネ・ヌーヴォ
4.「ナイル殺人事件」3/6西宮ガーデンズ
5.「桜桃の味」3/17九条シネ・ヌーヴォ
6.ワンセカンド 永遠の24フレーム」
西宮ガーデンズ
7.「シン・ウルトラマン」
西宮ガーデンズ
8. 「バスカヴィル家の犬」
あまがさきQ'sモール
9.「彼女のいない部屋」9/16シネリーブル神戸
10.「欲望の翼」9/16シネリーブル神戸
11.「線は、僕を描く」10/21西宮ガーデンズ
12.「やまぶき」11/12元町映画館 舞台挨拶、サイン会つき
13.「街のあかり」11/13パルシネマしんこうえん
14.「バグダッド・カフェ」11/13パルシネマしんこうえん
15. 「THE FIRST SLAM DUNK」12/3西宮ガーデンズ

「偶然と想像」は「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督のオムニバス。3つめの、同窓生に久しぶりに会ったとお互い信じて家まで行ったらとんだ勘違いだったという2人の女性の話がすごく良かった。仙台駅のロケーションが印象的だった。

2「マクベス」大好きなシェイクスピア。そこで会うのさ、マクベスに!四大悲劇の怪作。

3と5はイランのアッバス・キアロスタミ監督。良かったなあー。イラン映画はやっぱ好き。4はアガサ・クリスティーシリーズ。

6は「はつ恋のきた道」「あの子を探して」「活きる」などの巨匠チャン・イーモウ監督の最新作。小粒だったかな。いつものテイストは健在。

7「シン・ウルトラマン」懐かしい、ちょっと設定が変えてあるのも良かった。8「バスカヴィル家の犬」はシャーロック・ホームズ人気長編のオマージュ。サイト名やキャバクラ、使用人の名前等小技を楽しむ感じかと。

9「彼女のいない部屋」最初は家出と思わせて・・錯綜させるカンヌ出品作。
10「欲望の翼」はウォン・カーウァイ監督の香港映画リバイバル。あの頃の匂いがプンプンする。
11「線は、僕を描く」人気小説のシネマライズ。横浜流星の演技を初めて観た。水墨画が主題。
12「やまぶき」カンヌでトガッた作品の部門に出品した作品。セリフがヌーヴェルバーグ風?サイン会や舞台挨拶ってあまり行ったことなかったから楽しめた。
13以下はまあ、最近報告したので。

年内にあと2本とスラムダンクのリピート行きたいけれどできるかどうか。うーん😄

テレビで観たのは何本かな?メモってるのは以下。

「紅の豚」

「そして、バトンは渡された」

「竜とそばかすの姫」

「君の名は。」

「天気の子」

「鬼滅の刃無限列車編」

「紅の豚」は懐かしく、「そしてバトン」は瀬尾まいこの本屋大賞。「竜とそばかす」は2回めも号泣。いま折に触れ劇中歌聴いてたりして。鬼滅は、実は1回めの放送は爆睡してしまい、今回初めてこんな話だったかと認識した。

「君の名は。」は3回めだったけどやっぱおもしろいなと。

「ジュラシック・パーク」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「クール・ランニング」「ハリー・ポッター」も息子とテレビで観た記憶があるが記録してない。

今年は数を見た方かな。見逃した新作もけっこうある。また来年も楽しめるといいなと思ってます。

◼️ Authur Conan Doyle 「The Reigate Squire(ライゲートの大地主)」

ホームズ原文読み27作め。第2短編集「The Memoirs of Sherlock Holmes(シャーロック・ホームズの回想)」に収録されたお話です。

なかなかミステリーらしく、また気も利いている、おもしろい展開の物語です。ドイルは自選12作品なかで12位に選んでます。「まだらの紐」「赤毛組合」「ボヘミアの醜聞」「青いガーネット」「六つのナポレオン」などなどキラ星のような56の短編の中にあって、確かにコンパクトな話ながら、ホームズらしさが出ています。

さてさて、1887年の春、ホームズは

the Netherland-Sumatra Company and of the colossal schemes of Baron Maupertuis
「オランダ領スマトラ会社にからんだモーペルテュイ男爵の大陰謀事件」の激務のため、フランス・リヨンのホテルで倒れたとワトスンに連絡が来ました。

幸い深刻な病状ではなく、ワトスンはベイカー街の部屋にホームズとともに帰ります。

3カ国の警察が失敗した事件を解決し、ヨーロッパ随一の詐欺師をあらゆる意味で出し抜いたことで、

Europe was ringing with his name and when his room was literally ankle-deep with congratulatory telegrams

ヨーロッパ中がホームズの名声で沸き返り、部屋は祝電で文字通りくるぶしまで埋まりそうでした。しかし抑鬱状態に陥ったホームズを、ワトスンは田舎での静養に連れ出します。

ロンドンから南西、サリー州のライゲートへ。ワトスンとアフガニスタンの戦地で一緒だった、独身のヘイター大佐の屋敷に世話になります。

着いた日の夜、銃器室でくつろいでいた時に、大佐から、近くで最近強盗があったと聞かされます。

"No clue?"「手がかりはないのですか?」

"Was there any feature of interest?"
「興味を惹く特徴はありませんか?」

職業病の名探偵。強盗はアクトンという、地域の有力者の老人宅に押し入った、書斎を荒らし、結局本の「ホメロス」、メッキの燭台2つ、象牙の文鎮1つ、小さな晴雨計、麻紐の玉を盗って帰った、犯人はまだ捕まっていない、ということでした。事件について述べようとしたホームズにワトスン、

"You are here for a rest, my dear fellow. For heaven's sake don't get started on a new problem when your nerves are all in shreds."
「あんた休みに来とっとばいホームズ。頼むけんさ、神経がボロボロの時は新しか事件に首を突っ込まんときー」

博多弁です。あしからず。
ホームズはshrugged his shoulders肩をすくめ、この話題は終わります。

ところが翌朝、

"Murder!"

カニンガム老人の家で殺人があったと使用人が知らせてきました。

"Who's killed, then? The J. P. or his son?"
「誰が殺されたんだ?治安判事かそれとも息子か?」

どちらでもなく、the coachman馭者のウィリアム・カーワンが

"Shot through the heart, sir, and never spoke again."
心臓を撃ち抜かれ、即死でした。

とりあえず朝食を食べながら、犯人はアクトン宅に入った強盗と同一かなどと大佐がこぼすと、ホームズはこんな田舎で強盗団が数日のうちに2軒も押し入るなんて不自然だと意見を述べます。会話の中で、アクトンとカニンガムの家がこの付近では突出して大きく裕福であること、さらに両家が土地をめぐり裁判で争っていることが大佐から説明されました。

"All right, Watson, I don't intend to meddle."
「だいじょうぶだよワトスン。おせっかいは焼かないから」

ところが世間はほっときませんでした。舌の根も乾かぬうちに地方警察のフォレスト警部が訪ねてきて

"We thought that perhaps you would care to step across, Mr. Holmes."
「一緒にお越しいただければと思ったのですが・・」

ホームズは笑いながら

"The fates are against you, Watson,"
「運命には逆らえないねえ、ワトスンくん」

こういうとこは意訳の仕方だと思うのですが、逐語訳ではなく、あえてこうしてみました。もしくは「運命ってこんなもんだよね、ワトスン」とか?私が使っている文庫では
「運命は君に味方していないようだね」となっています。

ともかく捜査に乗り出すことになります。警部はアクトンの件と同一の犯人という前提のもと、目撃証言を並べます。

夜中の12時近くの犯行で、老カニンガムは寝室の窓から、息子のアレックは屋敷の通路から犯人を見た。

助けを呼ぶ声を聞き、アレックが駆け降りてきた時、裏口のドアの外で馭者と犯人が格闘しており、やがて犯人が拳銃を撃ち、すぐに庭を横切って生垣を越え逃げて行くのを目撃したとのこと。老カニンガムも男が道に出るのを見たとのことでした。

警部はウィリアムはある紙片を握っていたと、ホームズに見せました。

'at quarter to twelve
learn what
may'

どうやらもっと大きな紙からちぎり取られたようでした。約束があったかのように読めました。警部は、実はウィリアムは強盗と通じていて、カニンガム邸に押し入る手引きをしたが、仲間割れした、という仮説を述べます。たしかに、そんな深夜にウィリアムが家を出てうろついていた理由になりますね。

"These are much deeper waters than I had thought."
「これは思っていたよりもかなり底が深い事件だ」

ホームズは紙片を食い入るように見てつぶやきます。警部は、名探偵が食いついたのに満足だったのか微笑します。ホームズの瞳には、以前のような輝きが戻りました。ホームズと警部は、ワトスンとヘイター大佐を残して、捜査に出かけます。

1時間半して警部だけが戻り、みなさんとカニンガム邸に行きたいというホームズの要望を伝えます。ちょっと当惑ぎみのinspector。

"Between ourselves, I think Mr. Holmes has not quite got over his illness yet. He's been behaving very queerly, and he is very much excited."

「ここだけの話ですが、ホームズさんは病気から完全に回復なさってないようですね。とてもおかしな行動をされますし、非常に興奮されています」

ワトスン、いやいや、それフツーだから、いつものこと、と返します。おかしい。

ホームズは犠牲者の死体を検分、犯人が逃走時に抜けた生垣を調べたと、大佐とワトスンに話します。手紙の紙片の残りの部分は、おそらくはそれが有罪の決め手となるから、誰かが持ち去った、しかし犯人は被害者の手にちぎられた紙片があることは知らないだろう、と。

ウィリアムはきのうの午後郵便を受け取っていたことを、警部は突き止めていました。

"Excellent!"

It is a pleasure to work with you.
「君と仕事ができるのは楽しいよ」

ホームズはフォレスト警部の肩をたたきながら上機嫌に褒めます。ホームズは各種の事件でスコットランドヤードや地方警察の警部と仕事をしますが、敵意をむき出しにする者も、あなたは理論家、私は実務家、とあざける者もいます。しかしおおむね、地方の警部や若い警察官は優秀に描かれてることが多いな、という印象です。

といううちにカニンガム屋敷へ。ここが現場で、あそこがアレックが見ていた裏口のドア、あの窓に老カニンガムがいた。アレックは駆け出し、ウィリアムのそばに膝を下ろした、地面は固く足跡はない、などと説明しているところへカニンガム親子がやってきます。

老カニンガムは目つきの鋭い人、息子アレックは明るく微笑んだ派手な服装、まあ好対照です。

"Still at it, then?"「まだ調べてたんすか?」
"You don't seem to be so very quick, after all."
「結局、そんなに手際がいいというわけではなさそうですね」

息子カニンガム、なかなか挑発的です。訳によっては頭の回転が速くない、とかもあります。

ホームズはかるーくいなします。老カニンガムが手がかりが全くないから時間が欲しいでしょうな、と言うと、警部は

"There's only one,"「1つだけあるんですよ」

その時、ホームズの顔は突然ものすごい表情になります。目は裏返り、苦痛にゆがみ、前のめりに倒れてしまいました。運ばれて、大きな椅子で休み、しばらくしてようやく回復します。

"I am liable to these sudden nervous attacks."
「時々こんな神経の発作を突然起こすんです」

ホームズは最近重い病気から回復したばかりでして、と言い訳し、ところでウィリアムは賊が押し入る時ではなく、押し入った後に出会ったのかも、確かめたいと言い出します。

どちらも起きていた時間で何かあったら気づくでしょう、という老カニンガムが意見を述べると、経験ある強盗が、ランプがついていて家人が何人も起きてるのが分かっているのに入ったのはおかしい、と反論します。

まあまあともかく言う通りにしましょう、と老判事も折れます。

"In the first place,"
"I should like you to offer a reward "
「まず初めに、懸賞金を出していただきたい」

文書は簡単に走り書きで作っておきました、とホームズは紙と鉛筆を手渡します。しかしー、
12時15分前のところを、1時15分前と書き間違えていました。カニンガムに指摘され、ホームズはまごつき、ワトスンは胸を痛め、警部は眉を上げ、アレックはゲラゲラ笑いました。判事は間違いを訂正書きしてホームズに返します。

一緒にこじ開けられた、というか破壊された錠を見て、家の中に入ります。使用人は、普段は10時には寝るとのことでした。屋内を検分する時、親子はいくぶんイライラしていました。それでもアレックの部屋を見た後、老カニンガムの部屋へー。ホームズは、オレンジの入った皿とガラスの水差しが置いてある台を突然ひっくり返します。ガチャーン!そして、

"You've done it now, Watson,"
「やっちゃったね、ワトスン」

ホームズが意図あって自分のせいにしたことが分かったので、ワトスンくんオレンジを拾い始めます。

ふと気づくと、ホームズがいません。アレックと父親は探しに出ます。ワトスンと警部、大佐は残されました。次の瞬間、

"Help! Help! Murder!"

「助けてくれ!助けて!人殺し!」

ホームズの切迫した声でした。みなは、声がしたアレックの部屋へ行きます。そこでは、カニンガム親子がホームズを押さえつけて、息子は両手で喉を締め、父親は手首を捻り上げていました。

ようやく親子をホームズから引き離し、ホームズが立ち上がって言うことには、

"Arrest these men, Inspector,"
「彼らを逮捕しろ、警部」
"On what charge?"
「何の容疑です?」
"That of murdering their coachman, William Kirwan."
「馭者のウィリアム・カーワン殺害容疑だよ」

2人の顔には罪を自白しているかのような陰鬱、凶悪な表情が浮かんでいました。警部は半信半疑。しかしー

"Ah,would you? Drop it!"
「あっ、何をするんだ?捨てろ!」

その時、アレックが拳銃を取り出して撃ちそうになったのでその手を咄嗟に打ち付けます。転がった拳銃。

"you will find it useful at the trial. But this is what we really wanted."
「その拳銃は法廷で役立つだろう。しかし、本当に欲しかったのはこれだった」

ホームズの手には、被害者が握っていた紙片、その残りの部分がありました。

大佐とワトスンを先に返し、ホームズは残りました。そして昼食の頃、アクトン氏とともに大佐邸に戻ってきました。種明かしの時間です。

"I am afraid, my dear Colonel, that you must regret the hour that you took in such a stormy petrel as I am."

「大佐、こんな事件を呼ぶ客に時間を使ってしまって、後悔してらっしゃらなければいいのですが」

stormy petrelはもめごとを起こす人、という意味らしいです。もちろん大佐はとんでもない、あなたの捜査を見たのは特権だ、と答えます。

さて、まずホームズは、犯人がウィリアムを撃って直ちに逃げたとすると、被害者の手から紙を奪ったのは射殺した男でなく、アレックということになる、というところからスタートしていました。

そして当の手紙の紙片の文字を見て、

"there cannot be the least doubt in the world that it has been written by two persons doing alternate words."

「これは間違いなく、2人の人間が交互に一語ずつ書いたものです」

この特徴を一瞬で見てとります。よく見てみると、tの字は力強い筆跡と弱い筆跡の2つがあることが分かります。強い筆跡の男が先に余白を空けて書き、弱い筆跡の者が後で埋めていったので、窮屈になっている単語もありました。強い筆跡が首謀者である、また筆跡により書いた人の年齢は分かるようになっていて、力強いのは青年、もう一方は年配、と言える、さらにはこの2つの筆跡には共通点もあり、それは血縁関係を示しているとのこと。その他の専門的な点もカニンガム親子が書いたのではという印象を強めるものでした。悪事に手を染めるのに同等の責任を示したものとホームズは推理します。

死体の検分では、服に焦げ跡がなかったことから4ヤード以上離れたところから撃たれたもので、格闘中に発砲したという証言は否定されます。犯人は街道へ逃げたと親子が口を揃えて言ったその地点は幅の広い側溝があり、底がぬかるんでいました。その辺りには足跡がなく、ということは親子の証言はうそで、押し入った第三者の強盗なんていないということをホームズは確信しました。

この犯罪の動機を考えるために、アクトン邸への、珍妙なものしか盗んでいかなかった強盗の理由を考えました。この犯人は、カニンガム家との訴訟に重要な書類を盗むために書斎に押し入ったのではないかー。アクトン氏は請け合いました。ただおそらく標的となった書類は弁護士の金庫の中でした。

おそらく強盗はアレックが首謀者で、何も見つけられず、泥棒の仕業に見せかけるために荒らしてテキトーなものを盗んで行ったことがはっきりしました。せめてお金でも盗ればよかったものを・・なんて思わないでもないですね。

重要な、手紙の残りの部分については、おそらくアレックのドレッシングガウンのポケットにあると考えられました。入手することが必要でしたが、情報を漏らすと処分を急がれてしまう、警部がカニンガム親子の前で紙片のことを口にしようとした時、

"when, by the luckiest chance in the world, I tumbled down in a sort of fit and so changed the conversation."
「まったく幸運なことに、発作が起きて私は倒れ、話題をそらすことが出来たのです」

ホームズが探偵になったことでイギリスは最高の俳優を失ったとは、どこで出てきた言葉だったか・・とっさの発想にはワトスンも感心。

そして懸賞金の文書をわざと間違えて、老カニンガムにtwelveという単語を書かせ、紙片のtwelveと比べられるようにしたのでした。

"Oh, what an ass I have been!"
「ああ、なんて僕はばかだったんだ!」

ワトスンが叫びます。胸を痛めさせて悪かったとホームズが詫びます。

さらに息子の部屋でドレッシングガウンを見つけたので、次のパパカニンガムの部屋でオレンジ・水差しが載った台をひっくり返し、みなの注目が集まっている時にこそっと息子カニンガムの部屋に戻り、ドレッシングガウンの手紙をゲットしたところに親子が踊りかかってきたというわけでした。

犯罪の動機について、老カニンガムは従順に話したとのこと。親子でアクトン邸を襲撃した時、ウィリアム・カーワンはこっそりついてきていて、バラすぞと彼らをゆするようになりました。

"Mr. Alec, however, was a dangerous man to play games of that sort with. "

「しかしアレックは、このような取り引きをするには危険な男でした」

この地方の強盗騒ぎを利用してウィリアムをもっともらしく葬り去るというのは天才的な思いつきでした。こうしてウィリアムを誘い出し射殺したのです。手紙の全文は

「もしお前が1人で東門に12時15分前に来れば、とても驚くようなことを教えてやるぞ。お前にもアニー・モリスンにもたぶんとても役に立つことだ。だがこのことは誰にも話すんじゃないぞ」

というものでした。これで事件は終了です。

さて、冒頭にも書いたように、ホームズものらしさがよく出た短編です。最初にいかにもに見えた形からのどんでん返し、見抜いた理由は証言のディテールと手紙の不自然な文字。しかも、病気を装ったホームズの完璧なお芝居とウィットが効いていますね。やっぱちゃめっ気がないと、ですね。

物語のスケールは大きくはないし、証拠をストーリーに合わせていて、やや都合良すぎる気もするからか、人気投票ではそこまで上位に来ることはないのですが、良質なナラティブだったと思います。

ホームズの最後のセリフで締めにしようかと。

"Watson, I think our quiet rest in the country has been a distinct success, and I shall certainly return much invigorated to Baker Street to-morrow."

「ワトスン、田舎での静養は大成功だったよ。明日にはきっと大いに元気を回復してベイカー街に戻れるだろうさ」

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