久しぶりのテレワーク。なんとか片付けて、PCスペースを作る。まあ今の時代これもありさととりあえず。あんまりテレワークって好きになれないんだけどね〜。
◼️夏川草介「本を守ろうとする猫の話」
帯の世界35カ国以上で翻訳出版、というふれこみにつられた。もちろん、猫と本にも。
夏川草介氏、渾身の一作かなと。巻末の「解説にかえて」にいまの世相と本に関する矜持がつづってあり、思い入れの強い作品のようだ。
「閉じ込められた本を助け出さねばならぬ、わしに力を貸せ」
2人暮しの祖父が亡くなってしまい、高校生の夏木林太郎は祖父が営んでいた古書店に遺される。叔母に引き取られる話が決まり、学校にも行かなくなる。そんな時、人語を操るトラネコのトラが現れ、力を貸してくれと上から目線で頼み込む。
林太郎はトラに導かれるまま、店の奥、行き止まりのはずがどこまでも続いている通路へ向かい、光に包まれる。着いたところには、1か月で100冊の本を読み、テレビやラジオに引っ張りだこ、既読の5万冊の本をガラスのケースに入れて保管している男がいたー。
全部で4つある話、2つめからは吹奏楽部にして小学校からの知り合い、学級委員長の柚木沙夜が不思議な世界へ同行する。
さて、本を閉じ込めている男、本を切り刻んでいる男、本を売り捌いている男、それぞれの話、そして最後は?
本を大事にしている、本への愛情、というと、絵本作家のヨシタケシンスケの作品「あるかしら書店」や北村薫氏の一連の著作を思い出す。こちらも世界で65万部突破のベストセラー、と帯に出ていた。
ストーリーとしては難解なことはない。全世界に本を愛する人はたくさんいるのは分かるし、個人的には猫も売れるファンジーの必須アイテムかも?なんて思う。
本文中でたびたび出てくる本とは、そのくだり。猫はおじいちゃんの思想を受け継いでいるかのように見える。本と読書について深く考察している部が本読みにはこたえられないのかも。もちろん本の迷宮は憧れ、巨大なビルや豪奢な屋敷にいっぱいの本、さらに本のウォールの通路、やっぱ建造物は大きく、らせん階段や迷い道は長くなくっちゃねー。想像を広げるのが楽しい。
物語の中では世界の名作が多く紹介されている。大半は読んだことないっす。林太郎の古書店には学年トップの成績でバスケ部、裕福で出来る子、ぶっきらぼうだが意外といい奴で林太郎を気にかけている秋葉先輩が常連で通う。秋葉が読んでみたいという、コンスタン「アドルフ」は探してみようかと思う。
名言、名セリフも出てくる。スタインベックの
「頭が鈍くたっていい奴はいる。本当に頭が切れる人に、いい奴はめったにいない」
には深く頷いてしまったりして。まあ頭の切れる人は相応にずる賢くもある、決して悪いこととは思わないけども。
本読みは、本について、読書について考える。自分は読書の何が好きなのか、誰が好きなのか、確固としたものもあれば、変わっていくものもある。年月を経て、整理された嗜好もあれば、バラなところも残されている。同じ作家さんばかりをぐるぐる読んでるな、となぜか落ち込むこともあるし、初めて読む作家の作品やジャンルにはワクワクが抑えきれなかったりする。
小道具と猫、筋立ては嫌いではないが、実はめっちゃ響くというほどではなかったかな。でも楽しんで読めた。目に見える光景、アニメや実写にするとおもしろそうだ。
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