晴れた金曜日、月と木星のランデヴー。最接近翌日の火星も赤く明るい姿。あちこちすっかりクリスマス。
日曜日は🏐インカレバレーの日。5連覇中の早稲田大を準決勝で破った筑波大が、決勝でも東海大を下し優勝。選手たちにとっては在学中初めての優勝となった。上位の大学はだいたい春高バレーオールスターズ。早稲田のオリンピック代表大塚は洛南、対角のアタッカー水町は鎮西のエース、早稲田のセッター前田、日体大の一条は清風と3位決定戦から楽しかった。
決勝戦が終わった後、筑波のエース・キャプテン垂水と、東海のセッター・キャプテン山本という洛南の盟友が健闘を称え合っていた。メダルをキャプテンがかけてあげるのはやっぱりいいよね。
合間に🏀Bリーグ、宇都宮vs横浜ビーコル。昨日敗れて落とせない宇都宮は序盤リードを奪う。しかし河村を中心に盛り返す横浜は3Qで追いつき、4Qも緊張感あふれる激戦。残り1分を切って横浜は5点のビハインド、しかし、スリーを入れた河村は、さらに残り0.5秒、相手ディフェンスのマークに難しい体制から逆転のスリーを決めてみせた。きのうキャリアハイを更新する32得点だったのにきょうは34得点。す、すごすぎる。応援しがいがあるというものだ。これで勝率5割。今後に大いに期待が持てる内容だった。
というふうに、屋内ボールゲームを楽しんだ日曜日。あすは⚽️クロアチアと決戦だー!
N響の日曜の番組はマーラー5番。この運命の動機的なフレーズを持つ第1楽章に、明日へと想いを飛ばすのでした。好きな曲。いい日だったな😄
◼️いせひでこ「大きな木のような人」
パリの植物園に通う少女。名はさえら。
木を観にお出かけしたくなる。視点を変えてくれる絵本。
マイフェイバリットのいせひでこさんの絵本は、月に1冊読みたく思っている。前に読んだ「ルリユールおじさん」には、植物を愛する女の子・ソフィーが出てきた。その続きのような物語。大人になったソフィーも出演している。
植物園には毎日のように通ってスケッチをしている女の子がいた。研究室勤めの学者が名前を訊くと「さえら」と答えた。日本人らしい。
立ち入り禁止の敷地に入ったりモニュメントで遊んだり、職員にとってはトラブルメーカーだったさえらは花を引き抜いて捕まってしまい、学者が諭す。2人はゆっくりと話して仲良くなり、植物園おなじみのメンバーとなっていく。学者が同僚のソフィーと相談して、さえらにあげたひまわりの種。
ーなんてきれいな木。
ねえ、わたしのひまわりも、
あなたのように大きくなると思う?
さえらは育てる。エメラルド色の芽が出て、ふたばに分かれ、やがて美しい花を咲かせる。
しかし別れは訪れた。夏の終わり、日本へ帰るさえらは、書き溜めたスケッチブックを公園に残していったー。
喪失と、残ったもの。ストーリーの流れはシンプルだ。しかしさまざまな木花が本当に美しい。「ルリユールおじさん」でソフィーが好きだった樹齢400年のアカシアの大木も、250年のプラタナス、えんじゅ、メタセコイアなどが印象的に配される。大きく、こんもりと葉を蓄えた巨木は静かに佇む守り神のように人間を包む。各地の巨人伝説さえ思い出す。そして、決して大きくは描かれないさえらのひまわり、木と葉の描写が多い中で、その小さな彩りがどれだけ鮮やかなことか。
「ルリユール」の前に読んだ「チェロの木」は弦楽器製造職人の話。でも楽器に使う木材への愛情も伺えた。植物、本や楽器の手製造、そして自らも奏するチェロ。いせひでこさんの愛情と、大げさに言えば生きていく上で感性が自ら求めてしまうものへの思い入れが、まさに筆に乗っているような気がする。
あとがきに、パリには樹齢400年のアカシアが2つあり、「ルリユール」で描いた市街地のものと、この植物園で大切にされている樹だそうだ。パリの植物園に通い、絵を描く。自分をさえらに仮託、投影した作品だとも言えるだろう。
最近読んだ幸田文の「木」というエッセイ集でも、木、そして木材の生命感が活き活きと描かれていて感心したものだ。
最近はモダンな名建築に凝っていてよく観に出かけている。名木を観に行く旅もおもしろそうだ、なんて思ったりする。
さえらが残したスケッチブック、冬のモノトーンの公園に、春夏の花の彩りが咲く。見事な物語だ。
0 件のコメント:
コメントを投稿