◼️ 髙田郁
「契り橋 あきない世傳 金と銀 特別編 上」
時はあれから数年がー。男女の情、人のゆくたてと道を描いた特別編。
特別編の書評というのはなかなかムツカシイものがあるなと。当然シリーズを読んだ人にしか分からない部分が多いし、入り込めないだろうでしょうし。
取りあえずシリーズの概要を。今の兵庫県、甲子園球場近くで育った幸さちは大阪・天満の呉服商・五鈴屋へ奉公に入り、やがて持って生まれた商才を認められて3代の店主に嫁ぐ。しかし四代目の長兄は放蕩の末頓死、五代目次兄は切れるような才があったものの強引な手法が災いして失態を犯し、幸を離縁、出奔した。六代目は戯作者を目指していた優しい末っ子で幸が商売を切り盛りするのを見守っていたが病死。
七代目となった幸は観察、発想の力、「売っての幸い、買うての幸せ」というモットーで売上げを伸ばし、念願の江戸本店を構えた。幾多の苦難に耐え、様々な試みを成功させ、幸は寄り合いでも顔役になっていた。江戸に来て十数年、劇中でも、時は流れるー。
まずは五代目・惣次が五鈴屋を出て行ってからのことー。両替商の危機を救ったことから病気がちの一人娘をもらって店を継いでくれ、と店主に申し込まれる惣次。江戸でものし上がる手段としての婿入りだった、はずだったがー。
次は支配人・佐助の恋愛譚。颯爽としたおちかが好ましい。昔の純な恋って、読者層を意識してそうな気もする。そして医師に育てられ五鈴屋に託された大七と、すでに70代も後半となり大阪への帰省旅を持ちかけられたお竹どんの物語。
最後は次の五鈴屋大阪本店を継ぐのが既定路線の賢輔と、幸自身のストーリー。3代に嫁いだ幸には後添いなどの引く手もあったが、もう男はいい、と割り切っていた。さて、どうなるかー。
それぞれに、誰しも身につまされる話かもしれない。商い一徹に生きてきた惣次にふっと差した家族の情という光。でも誰も知ってくれる人はいない、話すこともない。若き日の純情は心に残り忘れたくない、と呼ぶ。家事もする女衆でありながら小頭役として幸の参謀格であるお竹どん。加齢、郷愁と情と、割り切らねばならぬもの。
必要な要素で組み立ててあるのだろう。でも冗長だ。それが、わだかまりと、迷いの深さを示す。
下巻どうなるのかな。行ってみよう。
2024年5月29日水曜日
キュビズム展2
もちろん彫刻などもキュビズムあり。面白かったのは下「頭部」という造形に、どこが顔の各パーツなんだろうと観る人みな、くるくる回ってたこと。確かによく観たくなりますね。上はなんか珍しい色彩のピカソ。1コ前の投稿、色彩の散らし方や線にフェミニンさが伺われるマリア・ブランシャールの作品と並んで展示されてました。
作品数も多めで歴史ある建物をぐるりと回るような展示。キュビズム作品だけを観る機会は珍しく、楽しめました😎
作品数も多めで歴史ある建物をぐるりと回るような展示。キュビズム作品だけを観る機会は珍しく、楽しめました😎
キュビズム展@京都
京都のキュビズム展に行ってきました。ピカソ、ブラックによって創造されたキュビズムは、既存の絵画の創作方法から画家たちを解放したとか。常に新しいものを求め、アジア・アフリカ的なものの影響を受けつつあった絵画界には多くのキュビズム作品が生まれたようで、画家たちが水を得た魚のように自分のキュビズムを披露してるかのような熱が感じられました。
ピカソは徹底的に対象を分解、ブラックはどこかを残してる感じ。やがて色のキュビズム、動きのキュビズム、一部取り込み、抽象画ぽいものなど様々な形が表れます。ピカソは機械文明が入ってきた頃から手描きを大事にする絵画に戻るような動きがあったと・・確かにそうかもですね。
上:「色面の構成」フランティシェク・クプカ
下:「輪を持つ子供」マリア・ブランシャール
ピカソは徹底的に対象を分解、ブラックはどこかを残してる感じ。やがて色のキュビズム、動きのキュビズム、一部取り込み、抽象画ぽいものなど様々な形が表れます。ピカソは機械文明が入ってきた頃から手描きを大事にする絵画に戻るような動きがあったと・・確かにそうかもですね。
上:「色面の構成」フランティシェク・クプカ
下:「輪を持つ子供」マリア・ブランシャール
2024年5月26日日曜日
5月書評の10
◼️ 小野雅裕「宇宙に夢はあるのか」
いや〜なんて楽しい本だったか。火星探査運用チームの方、惑星探査の、まぎれもない最前線。ワクワク!
著者はNASAのジェット推進研究所(JPL)で火星に着陸し移動しながら調査を行うローバー、パーサヴィアランスの運用に携わっている方。土星の衛星で地表の分厚い氷の下に液体の海を持ち、表面では氷の割れ目から蒸気を吹いているエンケラドスの、その割れ目の穴からヘビ型の探査機を潜り込ませて生命の兆候を探ろうとしているチームの主任研究員だ。
この本では惑星・衛星探査の最前線を知る著者が、宇宙探査のスタート、アポロ計画、さらに惑星探査の歴史と述べていく。
惑星探査の話は好きで、webで調べたりしてたので今回、より正確な解説の形での記述をかなり楽しめた。ソ連は一時期金星にこだわって、実は何度もの失敗の末金星に着陸して写真も撮ってる、とか、2004年、土星軌道に投入されたカッシーニから降下したヨーロッパ宇宙機関の着陸機ホイヘンスが土星の衛星タイタンの地表に到達しやはり写真を残している、とか。ボイジャー1号2号の姉妹、火星では懐かしいバイキングの初着陸や目の覚めるような火星の画像を残した、比較的最近のオポテュニティ、スピリット、キュリオシティら自走ローバーたち。この時点でかなりワクワク、ホクホク。
宇宙で、地球は孤独なのか、次は現代以降、地球外生命、生命の存在を示唆する証拠、バイオシグネチャーを探す活動の話。過去からの積み重ねの話と解説、そして現代の探査の最前線。当事者が語る言葉はリアルで生々しく、想像力を刺激する。
火星サンプルリターン計画、木星のガリレオ衛星のつぶさに調査、大気が濃く重力が地球の6分の1のタイタンにドローンを飛ばすプロジェクトと先々魅力的な計画が目白押し。
また前述のように著者はエンケラドスの蒸気噴出口から内部の海へ侵入する実践研究開発をしている。眼のライトが光っているヘビ型ロボットのイメージ図もあり実に面白い。
最終章は、我々はどこへ行くのか、地球外生命体の発見、文明の進んだ宇宙人と遭遇できるのかを科学的、確率的に説明する。専門的に言うとこうなのか、というのがよく分かる。
印象に残った話①
著者が火星探査運用チームで、1日が地球より40分長い「火星時間」で勤務していた時、夜の休憩時間、夜空に赤く光る火星を見るのが好きだったと。先ほどまでPC画面には火星の大地が映っていた。そのギャップに、想いを馳せる時間。なんか分かる気がする。羨ましい。
印象に残った話②
電波は宇宙に放射される。人類初のラジオ放送は1907年のクリスマスイブ。内容はクリスマス・キャロル。その時の電波はいま118光年先へと達している。通過周辺には1800の星、しかない。しかし時間によりその範囲は広がり続ける。いつか高度な生命体が、キャッチすることがあるんだろうか、という話。
宇宙の時間軸は長い。子供の頃、当時惑星だった冥王星の外側に海王星が入り込み、20年後くらいにまた内側に入ったこと、また公転周期約165年の海王星は1846年に発見されてから2011年にようやく公転軌道を一周したこと、いずれもニュースで見たり読んだりした。太陽系ですらこのスケール感。そうそう短いスパンでは何も解明できない。そもそもが地球以外の星の岩石は月と、イトカワ、リュウグウなど少数のものしか得ていない。
そして羨望の眼差しを未来に向ける。ボイジャー計画は、1983年、木星、土星、天王星、海王星が並ぶように近くに来るタイミングで決行された。ボイジャーが撮影した天王星、海王星の写真は以後長らく当該惑星の実写画像として重宝された。次のタイミングは2158年。ひ孫の世代だ。その時こそ人類は進んだ科学力を結集して最大の効果を得るべく大探査をするんだな、と思うと、見たいな・・と思う笑。
心が充実した宇宙本。とても、非常に、大変、ホンマにめっちゃおもしろかった!
いや〜なんて楽しい本だったか。火星探査運用チームの方、惑星探査の、まぎれもない最前線。ワクワク!
著者はNASAのジェット推進研究所(JPL)で火星に着陸し移動しながら調査を行うローバー、パーサヴィアランスの運用に携わっている方。土星の衛星で地表の分厚い氷の下に液体の海を持ち、表面では氷の割れ目から蒸気を吹いているエンケラドスの、その割れ目の穴からヘビ型の探査機を潜り込ませて生命の兆候を探ろうとしているチームの主任研究員だ。
この本では惑星・衛星探査の最前線を知る著者が、宇宙探査のスタート、アポロ計画、さらに惑星探査の歴史と述べていく。
惑星探査の話は好きで、webで調べたりしてたので今回、より正確な解説の形での記述をかなり楽しめた。ソ連は一時期金星にこだわって、実は何度もの失敗の末金星に着陸して写真も撮ってる、とか、2004年、土星軌道に投入されたカッシーニから降下したヨーロッパ宇宙機関の着陸機ホイヘンスが土星の衛星タイタンの地表に到達しやはり写真を残している、とか。ボイジャー1号2号の姉妹、火星では懐かしいバイキングの初着陸や目の覚めるような火星の画像を残した、比較的最近のオポテュニティ、スピリット、キュリオシティら自走ローバーたち。この時点でかなりワクワク、ホクホク。
宇宙で、地球は孤独なのか、次は現代以降、地球外生命、生命の存在を示唆する証拠、バイオシグネチャーを探す活動の話。過去からの積み重ねの話と解説、そして現代の探査の最前線。当事者が語る言葉はリアルで生々しく、想像力を刺激する。
火星サンプルリターン計画、木星のガリレオ衛星のつぶさに調査、大気が濃く重力が地球の6分の1のタイタンにドローンを飛ばすプロジェクトと先々魅力的な計画が目白押し。
また前述のように著者はエンケラドスの蒸気噴出口から内部の海へ侵入する実践研究開発をしている。眼のライトが光っているヘビ型ロボットのイメージ図もあり実に面白い。
最終章は、我々はどこへ行くのか、地球外生命体の発見、文明の進んだ宇宙人と遭遇できるのかを科学的、確率的に説明する。専門的に言うとこうなのか、というのがよく分かる。
印象に残った話①
著者が火星探査運用チームで、1日が地球より40分長い「火星時間」で勤務していた時、夜の休憩時間、夜空に赤く光る火星を見るのが好きだったと。先ほどまでPC画面には火星の大地が映っていた。そのギャップに、想いを馳せる時間。なんか分かる気がする。羨ましい。
印象に残った話②
電波は宇宙に放射される。人類初のラジオ放送は1907年のクリスマスイブ。内容はクリスマス・キャロル。その時の電波はいま118光年先へと達している。通過周辺には1800の星、しかない。しかし時間によりその範囲は広がり続ける。いつか高度な生命体が、キャッチすることがあるんだろうか、という話。
宇宙の時間軸は長い。子供の頃、当時惑星だった冥王星の外側に海王星が入り込み、20年後くらいにまた内側に入ったこと、また公転周期約165年の海王星は1846年に発見されてから2011年にようやく公転軌道を一周したこと、いずれもニュースで見たり読んだりした。太陽系ですらこのスケール感。そうそう短いスパンでは何も解明できない。そもそもが地球以外の星の岩石は月と、イトカワ、リュウグウなど少数のものしか得ていない。
そして羨望の眼差しを未来に向ける。ボイジャー計画は、1983年、木星、土星、天王星、海王星が並ぶように近くに来るタイミングで決行された。ボイジャーが撮影した天王星、海王星の写真は以後長らく当該惑星の実写画像として重宝された。次のタイミングは2158年。ひ孫の世代だ。その時こそ人類は進んだ科学力を結集して最大の効果を得るべく大探査をするんだな、と思うと、見たいな・・と思う笑。
心が充実した宇宙本。とても、非常に、大変、ホンマにめっちゃおもしろかった!
火の鳥展
宝塚で用事を済ませたその足で手塚治虫記念館の開館30周年企画、20年ぶりという火の鳥展へ。去年は「望郷編」の新作アニメ映画も観に行った。白村江の戦い、壬申の乱、外国の宗教である仏教の伝来とはるか未来がリンクした名作長編「太陽編」をぜひとも映画化してくれないかなと。火の鳥めっちゃ大好き。近々全部読み直そうかな〜。
いつものブラックジャック像に挨拶して帰ってきました。アジア系外国人の団体さんで賑わってました。前はまるでいなかったのに、ジャパニメーション+インバウンドなのかな😎
駅近の名店・サラで濃厚チーズケーキとアイスロイヤルミルクティーで休憩。宝塚大劇場近く、遊歩道の「花のみち」にはベルサイユのばらの像が深紅のバラに🌹囲まれて立ってました。
たまにはいいな、宝塚😆
いつものブラックジャック像に挨拶して帰ってきました。アジア系外国人の団体さんで賑わってました。前はまるでいなかったのに、ジャパニメーション+インバウンドなのかな😎
駅近の名店・サラで濃厚チーズケーキとアイスロイヤルミルクティーで休憩。宝塚大劇場近く、遊歩道の「花のみち」にはベルサイユのばらの像が深紅のバラに🌹囲まれて立ってました。
たまにはいいな、宝塚😆
石上真由子さんのプロコ
地元ホールにてコンサート。指揮者さんは先週と同じ。最初がハチャトゥリアンの仮面舞踏会、マスカレード。浅田真央がキム・ヨナを上回るべくトリプルアクセル2本と後半抜群の長いステップを入れたナンバー。なんかちょっとぐすっと来ちゃいました。生で聴けて良かった。
若手音楽家OF関西出身者のトリプルコンチェルト。まずはホルン協奏曲。これは私も初めて聴いた。ソリストはふだん神奈川のオケで主席の方だった。
続いてソリストとしては私も知ってた石上真由子さんのプロコフィエフのヴァイオリン🎻協奏曲1番。美しいメロディで始まり、プロコらしく間に不協和音っぽいというのか、現代的な和声を盛り込んだり、ピチカートを多用したり、そしてラストはまた綺麗な旋律で締めるというテクニカルな構成で、ソリストも終始凛と弾ききり大歓声。
有名な奏者のYouTube映像で予習していくんだけども、やっぱり生だなぁと今週も再認識。こんなにいい曲だとは思わなかった。プロコって偉大😎
後半は「こうもり」序曲でスタート。トムとジェリーを思い出す。生で聴くとオケのダイナミックさが伝わる。そして「ラプソディ・イン・ブルー」入りのクラリネットや滑稽に音を変えた金管の調べも楽しめる。のだめですねー。楽しい音楽会でした。
コンサートの前に、こないだ本屋カフェで隣の人が食べてて美味しそうだったアイスプリン。カラメルアツアツ、プリンは冷たくシャーベットのよう。美味しゅうございました。
通勤路のクスノキの大樹が花をつける季節、ご近所さんのバラを撮影、あんた写真上手いねえとホメられちょっと嬉しかったりして😆
今週は🏀Bリーグプレーオフにバレーボール🏐ネーションズリーグ、陸上は北口榛花の逆転優勝の最終投擲を観てスカッとした。いいところで活躍できる、その場面を観るのがスポーツの醍醐味やね。
きょう日曜は雨でヒンヤリしてるけれど、次週は暑いとか。いよいよ朝晩も気温が下がりきらない季節がやってくるかな。ワタクシ寒がりでまだ冬毛布冬布団で寝てますが、ぼちぼち片付けどきです。
若手音楽家OF関西出身者のトリプルコンチェルト。まずはホルン協奏曲。これは私も初めて聴いた。ソリストはふだん神奈川のオケで主席の方だった。
続いてソリストとしては私も知ってた石上真由子さんのプロコフィエフのヴァイオリン🎻協奏曲1番。美しいメロディで始まり、プロコらしく間に不協和音っぽいというのか、現代的な和声を盛り込んだり、ピチカートを多用したり、そしてラストはまた綺麗な旋律で締めるというテクニカルな構成で、ソリストも終始凛と弾ききり大歓声。
有名な奏者のYouTube映像で予習していくんだけども、やっぱり生だなぁと今週も再認識。こんなにいい曲だとは思わなかった。プロコって偉大😎
後半は「こうもり」序曲でスタート。トムとジェリーを思い出す。生で聴くとオケのダイナミックさが伝わる。そして「ラプソディ・イン・ブルー」入りのクラリネットや滑稽に音を変えた金管の調べも楽しめる。のだめですねー。楽しい音楽会でした。
コンサートの前に、こないだ本屋カフェで隣の人が食べてて美味しそうだったアイスプリン。カラメルアツアツ、プリンは冷たくシャーベットのよう。美味しゅうございました。
通勤路のクスノキの大樹が花をつける季節、ご近所さんのバラを撮影、あんた写真上手いねえとホメられちょっと嬉しかったりして😆
今週は🏀Bリーグプレーオフにバレーボール🏐ネーションズリーグ、陸上は北口榛花の逆転優勝の最終投擲を観てスカッとした。いいところで活躍できる、その場面を観るのがスポーツの醍醐味やね。
きょう日曜は雨でヒンヤリしてるけれど、次週は暑いとか。いよいよ朝晩も気温が下がりきらない季節がやってくるかな。ワタクシ寒がりでまだ冬毛布冬布団で寝てますが、ぼちぼち片付けどきです。
5月書評の9
◼️ 阿部絢子
「ぶらり、世界の家事探訪 ヨーロッパ編」
家事にテーマを絞ったというタイトルに惹かれるものはある。
これはたしか「古書店でよく売れている本」というテレビの特集で、ある店主さんが挙げていた本。たしかに、旅や現地での交流で料理を紹介する、もしくはホームステイ先の暮らしを記すということはあっても、家事、で軸を作る本というのはちょっと興味深い。ヨーロッパ編だから想像でき、たぶん真似したくもなってしまうだろう。
著者は現役の薬剤師で家事や生活に関する本を出している。で、家事を覗いてみたい、と各国にショートホームステイ(1週間ほど)する活動を始めたのは48歳からで、70代後半の執筆時現在でも続けているらしい。行動派、エネルギッシュである。ふむふむ。
フランスのナント、ポーランド・トルン、フィンランド・インゲルマニンキュラ村、ノルウェー・トンスベルグ、イタリアのジェノヴァ、スペインのマドリッドなどでの体験を綴る。
日本の国際生活体験協会という機関に申し込みホストファミリーを決めてもらう手続きをするそうだ。マッチングがあるのだろう、多くは、子育てが終わっている家庭である。
町に近いナントから、自然豊かな北欧まで。土地土地の風情と料理、買い物などいわゆる旅味的なものからキッチンのごみ処理、洗濯など暮らしぶりの視点まで、軽いタッチの記録。
年配のご夫婦もしくは独身者の生活ぶりには年齢特有の割り切り、思想も見られる。中にはビジネス夫婦もいて、時間を大事に毎日を組み立てていたりしてバリーエション豊か。やはり北欧は福祉も手厚くて独特だ。地元もせめて図書館もう少し立派にならないかな。
さて、著者はつぶさに見てきたヨーロッパの生活をもとに総括する。家事男子にフォーカスしたりして時代観も見える。筆致の割り切りはいっそ気持ち良いほど。聞くのを忘れた、スポーツには興味ないから、アイロンはかけない、などなかなか正直で赤裸々。ややふりかぶり気味ではあったけれどもまあ、サラサラと読み終えた。
「ぶらり、世界の家事探訪 ヨーロッパ編」
家事にテーマを絞ったというタイトルに惹かれるものはある。
これはたしか「古書店でよく売れている本」というテレビの特集で、ある店主さんが挙げていた本。たしかに、旅や現地での交流で料理を紹介する、もしくはホームステイ先の暮らしを記すということはあっても、家事、で軸を作る本というのはちょっと興味深い。ヨーロッパ編だから想像でき、たぶん真似したくもなってしまうだろう。
著者は現役の薬剤師で家事や生活に関する本を出している。で、家事を覗いてみたい、と各国にショートホームステイ(1週間ほど)する活動を始めたのは48歳からで、70代後半の執筆時現在でも続けているらしい。行動派、エネルギッシュである。ふむふむ。
フランスのナント、ポーランド・トルン、フィンランド・インゲルマニンキュラ村、ノルウェー・トンスベルグ、イタリアのジェノヴァ、スペインのマドリッドなどでの体験を綴る。
日本の国際生活体験協会という機関に申し込みホストファミリーを決めてもらう手続きをするそうだ。マッチングがあるのだろう、多くは、子育てが終わっている家庭である。
町に近いナントから、自然豊かな北欧まで。土地土地の風情と料理、買い物などいわゆる旅味的なものからキッチンのごみ処理、洗濯など暮らしぶりの視点まで、軽いタッチの記録。
年配のご夫婦もしくは独身者の生活ぶりには年齢特有の割り切り、思想も見られる。中にはビジネス夫婦もいて、時間を大事に毎日を組み立てていたりしてバリーエション豊か。やはり北欧は福祉も手厚くて独特だ。地元もせめて図書館もう少し立派にならないかな。
さて、著者はつぶさに見てきたヨーロッパの生活をもとに総括する。家事男子にフォーカスしたりして時代観も見える。筆致の割り切りはいっそ気持ち良いほど。聞くのを忘れた、スポーツには興味ないから、アイロンはかけない、などなかなか正直で赤裸々。ややふりかぶり気味ではあったけれどもまあ、サラサラと読み終えた。
5月書評の8
◼️ 青谷真未「読書嫌いのための図書室案内」
ニッポンのラノベはおもしろい。王道の設定に文豪と謎。安部公房が効いている。巧みな作品。
読書が苦手な高校生・荒坂浩二は、同じ図書委員のクラスメイトで本の虫女子の藤尾蛍と図書新聞を作ることに。教科書の「舞姫」の感想文を頼んだ同級生の脳天気くん・八重樫はもうすぐ帰国してしまう留学生・アリシアに気持ちを伝えるかどうか悩んでいた。荒坂が美術部にいた頃の先輩・緑川には感想文だけ渡され、本のタイトルを当てないと載せられないという条件を課され、生物の樋崎先生に頼むと、安部公房「赤い繭」の感想文を先に書いたら書くと言われるー。
まずは、ヒロインが本の虫で活字好きでおとなしく、唯一本の話になるとハキハキして口数多く熱を帯びるというのはどこかのシリーズでも見た王道ですねー。それと本を読まない男子。ふむふむ。しかし荒坂はどうやら絵の才能があるらしく、謎めいた、少し剣呑な事件の当事者であり、緑川先輩はかなり強く負い目を感じているようだ。八重樫編には実際には出演しないアリシアと2人ともの「舞姫」感想文があり、藤生を特別扱いし藤生もシンパとなっている定年間際のダンディ樋崎先生はかなり怪しい役どころ。
少しずつ謎が、なかなか魅惑的に撒き散らされ、状況証拠の発見もやや劇的。読者の予想通りにはならなくて、とテクニカル。
荒坂も藤生との活動で読書に興味を持ち、藤生も成長する。王道。
文豪ものの解釈、ツッコミがもさることながら、安部公房に行っているのは感覚的になかなかナイス。「箱男」ってストーリー自体はどれかというと副次的で、読んでいるとダンボールを被ってみたいなという気にさせる名作だと思う。
読んでいると色々なところに仕掛けがあり、符合があるのが分かる。無理なく進行され、大ネタがあって、気持ちよく終わる。その中にはけっこうな量の知識があるし、推敲があると感じる。ニッポンのライトノベルはレベルが高いと思う瞬間。かゆいところに手が届く。
今回谷崎訳の「源氏物語」出てきてそれなりに賑やか。確かに有名著作に関して、感想文、口コミは大いに参考になるし、切り口も興味深いよね。なるほど。続編があったらおもしろいけど、多分ないのかな・・。
ニッポンのラノベはおもしろい。王道の設定に文豪と謎。安部公房が効いている。巧みな作品。
読書が苦手な高校生・荒坂浩二は、同じ図書委員のクラスメイトで本の虫女子の藤尾蛍と図書新聞を作ることに。教科書の「舞姫」の感想文を頼んだ同級生の脳天気くん・八重樫はもうすぐ帰国してしまう留学生・アリシアに気持ちを伝えるかどうか悩んでいた。荒坂が美術部にいた頃の先輩・緑川には感想文だけ渡され、本のタイトルを当てないと載せられないという条件を課され、生物の樋崎先生に頼むと、安部公房「赤い繭」の感想文を先に書いたら書くと言われるー。
まずは、ヒロインが本の虫で活字好きでおとなしく、唯一本の話になるとハキハキして口数多く熱を帯びるというのはどこかのシリーズでも見た王道ですねー。それと本を読まない男子。ふむふむ。しかし荒坂はどうやら絵の才能があるらしく、謎めいた、少し剣呑な事件の当事者であり、緑川先輩はかなり強く負い目を感じているようだ。八重樫編には実際には出演しないアリシアと2人ともの「舞姫」感想文があり、藤生を特別扱いし藤生もシンパとなっている定年間際のダンディ樋崎先生はかなり怪しい役どころ。
少しずつ謎が、なかなか魅惑的に撒き散らされ、状況証拠の発見もやや劇的。読者の予想通りにはならなくて、とテクニカル。
荒坂も藤生との活動で読書に興味を持ち、藤生も成長する。王道。
文豪ものの解釈、ツッコミがもさることながら、安部公房に行っているのは感覚的になかなかナイス。「箱男」ってストーリー自体はどれかというと副次的で、読んでいるとダンボールを被ってみたいなという気にさせる名作だと思う。
読んでいると色々なところに仕掛けがあり、符合があるのが分かる。無理なく進行され、大ネタがあって、気持ちよく終わる。その中にはけっこうな量の知識があるし、推敲があると感じる。ニッポンのライトノベルはレベルが高いと思う瞬間。かゆいところに手が届く。
今回谷崎訳の「源氏物語」出てきてそれなりに賑やか。確かに有名著作に関して、感想文、口コミは大いに参考になるし、切り口も興味深いよね。なるほど。続編があったらおもしろいけど、多分ないのかな・・。
5月書評の7
◼️千早茜「赤い月の香り」
調香師・小川朔シリーズ。読み終わった時、・・名作かも、と少しく高揚した。
体調、男女の付き合い、これからの天気、そして、嘘。香りで、分かる。丘の上、森に囲まれた洋館に住む若い男、小川朔は調香師。依頼により唯一無二の香りを作るのが仕事。トップ女性シンガーの望みを叶えたり、昔の校舎の匂いを再現して欲しい、という要求にも応えてみせる。
朝倉満は施設で育ち、過去警察のやっかいにもなっていた。目つきに迫力があり、人には怖いという印象を与える。アルバイト先のカフェで満は朔に声を掛けられる。「うちで働くといい」。洋館で調理など家事をし、朔のマネージャーをしている探偵で粗っぽい男・新城や庭師の源さんを手伝い、朔の助手のような仕事もこなす生活が始まったー。
シリーズ1作めである「透明な夜の香り」はもひとつ慣れなかった。書評にも
「すべてに卒がなく、スーパーな探偵のような主人公。その如才なさ、きれいさにちょっと引く」
とか
「それぞれ危うい、ちょっと外れた残酷さ、エロチシズムが匂う。必要なノイズであるかのように」
と、特徴を認めつつも、
「だけれども私にはもうひとつ響かなかった」
なんて書いている。
だがしかしけれども、今作はなんかハマってしまった感がある。
満の過去や、現在の性格はどこか見えない。カッとすると抑制が効かない、どこか壊れたようなイメージ。かと思うと朔の作った香りを盗み、それをネタに女と付き合うという大胆さも併せ持つ。
何があったのか?もちろん朔はすべて分かっている。再会したかつての同級生のため、大金をかけても朔の香りを欲しがったセールスマンの持田と、満は友達付き合いを始める。またセックスの時男の血を求める女、妊娠を望んでいるというが、心からの希望ではないように見える女、など少し常軌を逸した人々を出しながら、ミニ・ミステリのような雰囲気も漂わせながら・・満月の晩、満を外に連れ出し、その過去を思い出させようとする。
香りの魅力、そして魔力を最大限引き出した千早茜ワールド、植物の詳しい知識も心地よく小粋。そして必ずしも解決するわけではない要素を積み重ねていって物語をうまく揺らし続けて満にフォーカスする環境を整え、怪しく、赤く、ルナティックに決める。
この筆致には唸らされる。そもそも千早茜の「魚神」「あやかし草子 みやこのおはなし」などライトホラーファンタジーのようなジャンルもお得意。勝手な憶測ではあるが、1作めをブラッシュアップさせることを考えたのではないか。しかも千早茜らしい方向に。
花もたくさん出てくるが、物語として決して彩り豊か、といったイメージはしない。モノクロの世界に赤、という感覚がある。
コンパクトでテクニカルな内容、豊かなまとまり。良い読書でした。まだ続きがありそうやね。
調香師・小川朔シリーズ。読み終わった時、・・名作かも、と少しく高揚した。
体調、男女の付き合い、これからの天気、そして、嘘。香りで、分かる。丘の上、森に囲まれた洋館に住む若い男、小川朔は調香師。依頼により唯一無二の香りを作るのが仕事。トップ女性シンガーの望みを叶えたり、昔の校舎の匂いを再現して欲しい、という要求にも応えてみせる。
朝倉満は施設で育ち、過去警察のやっかいにもなっていた。目つきに迫力があり、人には怖いという印象を与える。アルバイト先のカフェで満は朔に声を掛けられる。「うちで働くといい」。洋館で調理など家事をし、朔のマネージャーをしている探偵で粗っぽい男・新城や庭師の源さんを手伝い、朔の助手のような仕事もこなす生活が始まったー。
シリーズ1作めである「透明な夜の香り」はもひとつ慣れなかった。書評にも
「すべてに卒がなく、スーパーな探偵のような主人公。その如才なさ、きれいさにちょっと引く」
とか
「それぞれ危うい、ちょっと外れた残酷さ、エロチシズムが匂う。必要なノイズであるかのように」
と、特徴を認めつつも、
「だけれども私にはもうひとつ響かなかった」
なんて書いている。
だがしかしけれども、今作はなんかハマってしまった感がある。
満の過去や、現在の性格はどこか見えない。カッとすると抑制が効かない、どこか壊れたようなイメージ。かと思うと朔の作った香りを盗み、それをネタに女と付き合うという大胆さも併せ持つ。
何があったのか?もちろん朔はすべて分かっている。再会したかつての同級生のため、大金をかけても朔の香りを欲しがったセールスマンの持田と、満は友達付き合いを始める。またセックスの時男の血を求める女、妊娠を望んでいるというが、心からの希望ではないように見える女、など少し常軌を逸した人々を出しながら、ミニ・ミステリのような雰囲気も漂わせながら・・満月の晩、満を外に連れ出し、その過去を思い出させようとする。
香りの魅力、そして魔力を最大限引き出した千早茜ワールド、植物の詳しい知識も心地よく小粋。そして必ずしも解決するわけではない要素を積み重ねていって物語をうまく揺らし続けて満にフォーカスする環境を整え、怪しく、赤く、ルナティックに決める。
この筆致には唸らされる。そもそも千早茜の「魚神」「あやかし草子 みやこのおはなし」などライトホラーファンタジーのようなジャンルもお得意。勝手な憶測ではあるが、1作めをブラッシュアップさせることを考えたのではないか。しかも千早茜らしい方向に。
花もたくさん出てくるが、物語として決して彩り豊か、といったイメージはしない。モノクロの世界に赤、という感覚がある。
コンパクトでテクニカルな内容、豊かなまとまり。良い読書でした。まだ続きがありそうやね。
再5月書評の6
間違えた。こちらが正です。って誰も読んでないけどー😎だからいいんだね。にしては病んだ言葉を吐かないな😌
◼️ ポール・オースター「幻影の書」
追悼ポール・オースター。謎の失踪を遂げたサイレント映画俳優の人生。偶然と創造、映像の叙述。
ポール・オースターは「ムーン・パレス」「シティ・オブ・グラス」「幽霊たち」「最後の物たちの国で」「闇の中の男」と読んできた。今回は読書番組で、芥川賞作家九段理江がおもしろいと言っていたこともありチョイスした。
飛行機事故で妻子を失った大学教授・ディヴィッド・ジンマン。絶望感のさなかで、たまたまテレビで観たサイレント俳優・監督のヘクター・マンの作品に興味を惹かれる。ヘクターは短い期間ハリウッドで名を成した後、突然失踪し、いまだ行方は分かっていなかった。ディヴィッドは現存する作品を猛烈に研究して本を出版した。ある日、ヘクター・マン夫人と名乗る人物からヘクター本人が会いたいと言っている、という手紙が届くー。
偶然と成り行き、その創造。ヘクターの謎とされている人生は流転を重ねるドラマである。加えてヘクター作品の長い映像描写は、見えない謎へ冷たい鍵や過去の遠さ、さらにはヘクターの人生ドラマを支えたり効果を加えたり、といった色合いがある。のだが、監督・脚本を担当して自作を映画化している著者はその部分、後世の冷静さと、だいぶ熱がこもって少々興奮しているようなものが同居している、と思える。
「闇の中の男」でも日本の小津安二郎の作品を長く熱く語っているシーンが目立っていた。読んでて少し微笑ましくなってくる。
人生の謎の期間が伝聞形態で語られる時、そこには独特の深さと月日を感じさせる彩りが加わる気がする。もちろん小説とはそもそもそういった性質を備えているものではある。ただ、今では推しはかり切れない出来事を、伝聞という形でもうひとつフィルターをかける手法には特有の陰の部分があるのかもしれない、そしてやはり劇的でなければいけない。少々偶然、過剰演出かな・・という感もよぎったりするけども、人間の壊れた部分、また常識通りにはいかない、理解できない点を創造しているのはストーリーテリングの妙と取るべきかなと。人の行動心理は不思議な面も多いし。
最近でいえば平野啓一郎「ある男」もそんな感じだった。
ロマンス、セックス、悲劇・・地域性含めアメリカ、を感じさせる作品でした。また読むだろう。
◼️ ポール・オースター「幻影の書」
追悼ポール・オースター。謎の失踪を遂げたサイレント映画俳優の人生。偶然と創造、映像の叙述。
ポール・オースターは「ムーン・パレス」「シティ・オブ・グラス」「幽霊たち」「最後の物たちの国で」「闇の中の男」と読んできた。今回は読書番組で、芥川賞作家九段理江がおもしろいと言っていたこともありチョイスした。
飛行機事故で妻子を失った大学教授・ディヴィッド・ジンマン。絶望感のさなかで、たまたまテレビで観たサイレント俳優・監督のヘクター・マンの作品に興味を惹かれる。ヘクターは短い期間ハリウッドで名を成した後、突然失踪し、いまだ行方は分かっていなかった。ディヴィッドは現存する作品を猛烈に研究して本を出版した。ある日、ヘクター・マン夫人と名乗る人物からヘクター本人が会いたいと言っている、という手紙が届くー。
偶然と成り行き、その創造。ヘクターの謎とされている人生は流転を重ねるドラマである。加えてヘクター作品の長い映像描写は、見えない謎へ冷たい鍵や過去の遠さ、さらにはヘクターの人生ドラマを支えたり効果を加えたり、といった色合いがある。のだが、監督・脚本を担当して自作を映画化している著者はその部分、後世の冷静さと、だいぶ熱がこもって少々興奮しているようなものが同居している、と思える。
「闇の中の男」でも日本の小津安二郎の作品を長く熱く語っているシーンが目立っていた。読んでて少し微笑ましくなってくる。
人生の謎の期間が伝聞形態で語られる時、そこには独特の深さと月日を感じさせる彩りが加わる気がする。もちろん小説とはそもそもそういった性質を備えているものではある。ただ、今では推しはかり切れない出来事を、伝聞という形でもうひとつフィルターをかける手法には特有の陰の部分があるのかもしれない、そしてやはり劇的でなければいけない。少々偶然、過剰演出かな・・という感もよぎったりするけども、人間の壊れた部分、また常識通りにはいかない、理解できない点を創造しているのはストーリーテリングの妙と取るべきかなと。人の行動心理は不思議な面も多いし。
最近でいえば平野啓一郎「ある男」もそんな感じだった。
ロマンス、セックス、悲劇・・地域性含めアメリカ、を感じさせる作品でした。また読むだろう。
5月書評の6
◼️ 伊坂幸太郎「逆ソクラテス」
唐突で意外な展開。伊坂テイストの会話。小学校が舞台の、私花集ともいうべき作品。
伊坂幸太郎はバラバラと読んでいて、そもそも作品数も多いし何を読んだか全部は分からない。ふと読みたくなる時がある作家さん。この短編集はバスケットが題材の「アンスポーツマンライク」というタイトルの篇があると聞き、興味を持っていた。
小学生6年生の加賀と転校生・安斎の2人の男子は、担任で中年の男性教師・久留米が同じクラスの草壁に対し「女子みたいな服を着ている」などと見下したような態度を取ることを不満に思い、その先入観をひっくり返そうと作戦を立てる。途中からは優等生の女子・佐久間も加わって知恵袋の安斎を中心にあれこれと策を考案し実行する。(表題作)
テスト作戦、美術館作戦、噂作戦に野球選手へお願い作戦。楽しくも可愛らしい。セリフも決まってて、プロローグも生きている。そして通り過ぎた子供の頃を追想する、少しの哀しさと悦び。あまり衝撃の場面はないけれど、よくできた表題作。
ほか、「スロウではない」「非オプティマス」「アンスポーツマンライク」「逆ワシントン」が収録されている。
小説の醍醐味の1つは、いわゆるどんでん返しかと。予測もつかない展開を味わうのが読み手の楽しみでもある。そしてその場面のためにこれまでのストーリーに置かれている演出、仕掛けを知る。突飛な出だし、コミカルさ、暗澹さ、単調さ。下地から物語を作っていき、びっくりするような逆転、衝撃的な突発、へいきなりつなぐ。伊坂幸太郎はまさにその名手、旗手で今回も想定外の成り行きがGOODだった。
会話には薄く笑うようなギャグセンスが漂う。またとうとうと自説を説くシーンもよくある気がする。今回も伊坂モード全開、小学生ならではの未熟さ、発想の可愛らしさがミックスされていて微笑みを生む。1回どこかで吹き出したな。どこかは、忘れた。でも物語を編み込む力は独特であり、魅力的。
今回は子どもに対する親やスポーツクラブのコーチ、周囲の大人たちの態度に、意見を発している。名作「チルドレン」「サブマリン」のシリーズを思い出したりなんかする。
表紙絵はjunaida。原画展で買ってきた。熟練の作家といまをときめく絵本作家。快くカッコいい組み合わせ。楽しい読書でした。
唐突で意外な展開。伊坂テイストの会話。小学校が舞台の、私花集ともいうべき作品。
伊坂幸太郎はバラバラと読んでいて、そもそも作品数も多いし何を読んだか全部は分からない。ふと読みたくなる時がある作家さん。この短編集はバスケットが題材の「アンスポーツマンライク」というタイトルの篇があると聞き、興味を持っていた。
小学生6年生の加賀と転校生・安斎の2人の男子は、担任で中年の男性教師・久留米が同じクラスの草壁に対し「女子みたいな服を着ている」などと見下したような態度を取ることを不満に思い、その先入観をひっくり返そうと作戦を立てる。途中からは優等生の女子・佐久間も加わって知恵袋の安斎を中心にあれこれと策を考案し実行する。(表題作)
テスト作戦、美術館作戦、噂作戦に野球選手へお願い作戦。楽しくも可愛らしい。セリフも決まってて、プロローグも生きている。そして通り過ぎた子供の頃を追想する、少しの哀しさと悦び。あまり衝撃の場面はないけれど、よくできた表題作。
ほか、「スロウではない」「非オプティマス」「アンスポーツマンライク」「逆ワシントン」が収録されている。
小説の醍醐味の1つは、いわゆるどんでん返しかと。予測もつかない展開を味わうのが読み手の楽しみでもある。そしてその場面のためにこれまでのストーリーに置かれている演出、仕掛けを知る。突飛な出だし、コミカルさ、暗澹さ、単調さ。下地から物語を作っていき、びっくりするような逆転、衝撃的な突発、へいきなりつなぐ。伊坂幸太郎はまさにその名手、旗手で今回も想定外の成り行きがGOODだった。
会話には薄く笑うようなギャグセンスが漂う。またとうとうと自説を説くシーンもよくある気がする。今回も伊坂モード全開、小学生ならではの未熟さ、発想の可愛らしさがミックスされていて微笑みを生む。1回どこかで吹き出したな。どこかは、忘れた。でも物語を編み込む力は独特であり、魅力的。
今回は子どもに対する親やスポーツクラブのコーチ、周囲の大人たちの態度に、意見を発している。名作「チルドレン」「サブマリン」のシリーズを思い出したりなんかする。
表紙絵はjunaida。原画展で買ってきた。熟練の作家といまをときめく絵本作家。快くカッコいい組み合わせ。楽しい読書でした。
5月書評の5
◼️ 伊坂幸太郎「逆ソクラテス」
唐突で意外な展開。伊坂テイストの会話。小学校が舞台の、私花集ともいうべき作品。
伊坂幸太郎はバラバラと読んでいて、そもそも作品数も多いし何を読んだか全部は分からない。ふと読みたくなる時がある作家さん。この短編集はバスケットが題材の「アンスポーツマンライク」というタイトルの篇があると聞き、興味を持っていた。
小学生6年生の加賀と転校生・安斎の2人の男子は、担任で中年の男性教師・久留米が同じクラスの草壁に対し「女子みたいな服を着ている」などと見下したような態度を取ることを不満に思い、その先入観をひっくり返そうと作戦を立てる。途中からは優等生の女子・佐久間も加わって知恵袋の安斎を中心にあれこれと策を考案し実行する。(表題作)
テスト作戦、美術館作戦、噂作戦に野球選手へお願い作戦。楽しくも可愛らしい。セリフも決まってて、プロローグも生きている。そして通り過ぎた子供の頃を追想する、少しの哀しさと悦び。あまり衝撃の場面はないけれど、よくできた表題作。
ほか、「スロウではない」「非オプティマス」「アンスポーツマンライク」「逆ワシントン」が収録されている。
小説の醍醐味の1つは、いわゆるどんでん返しかと。予測もつかない展開を味わうのが読み手の楽しみでもある。そしてその場面のためにこれまでのストーリーに置かれている演出、仕掛けを知る。突飛な出だし、コミカルさ、暗澹さ、単調さ。下地から物語を作っていき、びっくりするような逆転、衝撃的な突発、へいきなりつなぐ。伊坂幸太郎はまさにその名手、旗手で今回も想定外の成り行きがGOODだった。
会話には薄く笑うようなギャグセンスが漂う。またとうとうと自説を説くシーンもよくある気がする。今回も伊坂モード全開、小学生ならではの未熟さ、発想の可愛らしさがミックスされていて微笑みを生む。1回どこかで吹き出したな。どこかは、忘れた。でも物語を編み込む力は独特であり、魅力的。
今回は子どもに対する親やスポーツクラブのコーチ、周囲の大人たちの態度に、意見を発している。名作「チルドレン」「サブマリン」のシリーズを思い出したりなんかする。
表紙絵はjunaida。原画展で買ってきた。熟練の作家といまをときめく絵本作家。快くカッコいい組み合わせ。楽しい読書でした。
唐突で意外な展開。伊坂テイストの会話。小学校が舞台の、私花集ともいうべき作品。
伊坂幸太郎はバラバラと読んでいて、そもそも作品数も多いし何を読んだか全部は分からない。ふと読みたくなる時がある作家さん。この短編集はバスケットが題材の「アンスポーツマンライク」というタイトルの篇があると聞き、興味を持っていた。
小学生6年生の加賀と転校生・安斎の2人の男子は、担任で中年の男性教師・久留米が同じクラスの草壁に対し「女子みたいな服を着ている」などと見下したような態度を取ることを不満に思い、その先入観をひっくり返そうと作戦を立てる。途中からは優等生の女子・佐久間も加わって知恵袋の安斎を中心にあれこれと策を考案し実行する。(表題作)
テスト作戦、美術館作戦、噂作戦に野球選手へお願い作戦。楽しくも可愛らしい。セリフも決まってて、プロローグも生きている。そして通り過ぎた子供の頃を追想する、少しの哀しさと悦び。あまり衝撃の場面はないけれど、よくできた表題作。
ほか、「スロウではない」「非オプティマス」「アンスポーツマンライク」「逆ワシントン」が収録されている。
小説の醍醐味の1つは、いわゆるどんでん返しかと。予測もつかない展開を味わうのが読み手の楽しみでもある。そしてその場面のためにこれまでのストーリーに置かれている演出、仕掛けを知る。突飛な出だし、コミカルさ、暗澹さ、単調さ。下地から物語を作っていき、びっくりするような逆転、衝撃的な突発、へいきなりつなぐ。伊坂幸太郎はまさにその名手、旗手で今回も想定外の成り行きがGOODだった。
会話には薄く笑うようなギャグセンスが漂う。またとうとうと自説を説くシーンもよくある気がする。今回も伊坂モード全開、小学生ならではの未熟さ、発想の可愛らしさがミックスされていて微笑みを生む。1回どこかで吹き出したな。どこかは、忘れた。でも物語を編み込む力は独特であり、魅力的。
今回は子どもに対する親やスポーツクラブのコーチ、周囲の大人たちの態度に、意見を発している。名作「チルドレン」「サブマリン」のシリーズを思い出したりなんかする。
表紙絵はjunaida。原画展で買ってきた。熟練の作家といまをときめく絵本作家。快くカッコいい組み合わせ。楽しい読書でした。
母の日とクラシック🎺とメキシカン🇲🇽
5/12母の日ケーキ私はオトナの味サヴァラン。
5/11ハイドン中心のコンサートへ。いわゆるハイドンはヨゼフさん。その弟で"ザルツブルクのハイドン"と呼ばれたミヒャエルさんのトランペット協奏曲が興味深かった。ピストンがなく、唇と呼気で音を変えるナチュラルトランペット時代の楽曲だそうで、必然的に高音域になるとか。ソリストさんは大喝采をもらっていました。アンコールはその時のもの。
休憩挟んでヨゼフさんの交響曲第101番「時計」。私の考えではハイドンさん宮廷音楽家なのでベートーヴェンのように劇的な部分は多くないですが、若い指揮者とともに、強弱をつけて、聴かせる演奏をしてくれたと思います。やっぱり音は生だなあとつくづく。来週もありますLIVE♪楽しみ😆
前日金曜ロードショーの「耳をすませば」実写版ではチェロに合わせて「翼をください」を歌うシーンが良くって、「題名のない音楽会」で藤田真央のピアノ🎹を聴いてと音楽に浸る週末。
コンサートの前には近くにできたバスケットショップを偵察。シューズがたくさんあったし、なんかバスケへのリスペクトもあって、経験者はいい気分。
コンサート後は屋外にテーブルが並ぶ通りで一緒の友人とメキシカン🇲🇽料理、ナチョスに肉🍖サボテン🌵入り。気候も良くてにぎやかで。辛いジンジャーエールでバクバク食べて、しゃべって笑って帰りのバス間に合わすためにいっしょに走ってと、楽しい夜でした。ちょっと目が回った😅
近くの公園のジャーマンアイリス(西洋菖蒲)。北海道のおやつも美味しく、合間に本屋併設のカフェで仕切りのある1人席にて1時間半ほど読書を楽しんだりして、目と耳と舌、満足。
5/11ハイドン中心のコンサートへ。いわゆるハイドンはヨゼフさん。その弟で"ザルツブルクのハイドン"と呼ばれたミヒャエルさんのトランペット協奏曲が興味深かった。ピストンがなく、唇と呼気で音を変えるナチュラルトランペット時代の楽曲だそうで、必然的に高音域になるとか。ソリストさんは大喝采をもらっていました。アンコールはその時のもの。
休憩挟んでヨゼフさんの交響曲第101番「時計」。私の考えではハイドンさん宮廷音楽家なのでベートーヴェンのように劇的な部分は多くないですが、若い指揮者とともに、強弱をつけて、聴かせる演奏をしてくれたと思います。やっぱり音は生だなあとつくづく。来週もありますLIVE♪楽しみ😆
前日金曜ロードショーの「耳をすませば」実写版ではチェロに合わせて「翼をください」を歌うシーンが良くって、「題名のない音楽会」で藤田真央のピアノ🎹を聴いてと音楽に浸る週末。
コンサートの前には近くにできたバスケットショップを偵察。シューズがたくさんあったし、なんかバスケへのリスペクトもあって、経験者はいい気分。
コンサート後は屋外にテーブルが並ぶ通りで一緒の友人とメキシカン🇲🇽料理、ナチョスに肉🍖サボテン🌵入り。気候も良くてにぎやかで。辛いジンジャーエールでバクバク食べて、しゃべって笑って帰りのバス間に合わすためにいっしょに走ってと、楽しい夜でした。ちょっと目が回った😅
近くの公園のジャーマンアイリス(西洋菖蒲)。北海道のおやつも美味しく、合間に本屋併設のカフェで仕切りのある1人席にて1時間半ほど読書を楽しんだりして、目と耳と舌、満足。
2024年5月7日火曜日
クリームソーダに悪は存在しない
GW後半はスカッと晴れて暑い。ではということで今年も作りました自家製クリームソーダ。まずはトラディショナルな😎グリーンから。例年通りいずれ青🩵と赤💕もやります。子どもの日に草色つぶあんの柏餅、また季節の和菓子の鮎と、美味しい楽しみが多い初夏なのでした😋
「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督最新作「悪は存在しない」初日満席の初回に観てきました。ベネツィア映画祭はけっこうクセのある作品が上位に来るイメージで、その銀獅子賞、なるほど、という気になりました。
だいぶ説明を省いています。そういう形なのかなと。以前、外国ものの単館系作品を観て、よく「世界にはこういう形の作品があるんだ」と思ってたころの気持ちを思い出して新鮮でした。ふむふむ。
最近実はズレを感じるようになっていて、以前のように出会うたび、なにかを吸収できているような気がしたものですが、ギャップを感じていました。だからよけい、ですかね。濱口監督はオムニバス作品「偶然と想像」の3話め、仙台駅近辺を舞台にした同窓生との勘違い再会のストーリーがとても良く、何かを心に刻んでくる監督さんですね。パンフの上は映画館の近くの古書店で購入した手塚治虫作品集。安くて状態が良く、読んだことのない話ばかりでラッキー✌️でした。
イベントの合間にやたら本屋に行くので積読が溜まって仕方ない。こないだふと気づくと楽譜コーナーで、目の前にシベリウスのヴァイオリン協奏曲のオーケストラスコアがあったのでつい手に取り、第1楽章のクライマックス部分の音符を追いながら、高揚、熱中してました。買いはしなかったけどもこういう本屋の楽しみ方もあるのです。変わってますよね、はい😅
ランチは神戸本町の老舗エビアン、神戸が舞台の名作マンガ「サード・ガール」にも名前が出てきた名店でミックスサンドとサイフォンの絶品コーヒー。ガイドブックに名前が出てるのか外国人の団体もいました。次は名物というシフォンケーキか、見た目美味しそうなゼリーソフトあたりのデザート系行きたいかと。ホーム神戸の楽しみがまた増えました。
ちょっと山沿い歩き、白い花2種類。房になりまだ花弁が閉じているのは針槐ハリエンジュ、別の名称ニセアカシアらしい。もうひとつのなにやらバラ系の花葉のものは検索するも名称不明。知ってる方コメントください。→植物・花のコミュニティで訊いてみたところ「シナアブラギリ」という種類とのこと。ピンクの花の中の🦋アオスジアゲハたまたま。
サッカー⚽️U-23はアジアカップ決勝を延長まで。ウズベキスタン🇺🇿は強かった。守備のプレッシャーはキツいしカウンターにミドルと、好戦的な匂いのするチーム。粘った日本は11分もあった後半アディショナルタイムに交代出場したばかりの山田楓喜が先制ゴール、その後PKを与えてしまったがなんとGK小久保怜央ブライアンがコースを読み切りストップ!優勝〜🎊喜ばしいですねー。
プロ野球⚾️も昼時間帯だし🏐は黒鷲旗、🏀 Bリーグはリーグ戦生きるか死ぬかの最終節と予定がいっぱいだった。
GW終盤はせっせと昼晩ごはんの用意。男2人、551の餃子🥟30個完食はいつものパターン。最終日の明日は午後から大雨?早めに買い物して、午後は掃除や靴磨きその他この10連休中目をつぶってサボってた😆ものをなんとか消化したく思います。
「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督最新作「悪は存在しない」初日満席の初回に観てきました。ベネツィア映画祭はけっこうクセのある作品が上位に来るイメージで、その銀獅子賞、なるほど、という気になりました。
だいぶ説明を省いています。そういう形なのかなと。以前、外国ものの単館系作品を観て、よく「世界にはこういう形の作品があるんだ」と思ってたころの気持ちを思い出して新鮮でした。ふむふむ。
最近実はズレを感じるようになっていて、以前のように出会うたび、なにかを吸収できているような気がしたものですが、ギャップを感じていました。だからよけい、ですかね。濱口監督はオムニバス作品「偶然と想像」の3話め、仙台駅近辺を舞台にした同窓生との勘違い再会のストーリーがとても良く、何かを心に刻んでくる監督さんですね。パンフの上は映画館の近くの古書店で購入した手塚治虫作品集。安くて状態が良く、読んだことのない話ばかりでラッキー✌️でした。
イベントの合間にやたら本屋に行くので積読が溜まって仕方ない。こないだふと気づくと楽譜コーナーで、目の前にシベリウスのヴァイオリン協奏曲のオーケストラスコアがあったのでつい手に取り、第1楽章のクライマックス部分の音符を追いながら、高揚、熱中してました。買いはしなかったけどもこういう本屋の楽しみ方もあるのです。変わってますよね、はい😅
ランチは神戸本町の老舗エビアン、神戸が舞台の名作マンガ「サード・ガール」にも名前が出てきた名店でミックスサンドとサイフォンの絶品コーヒー。ガイドブックに名前が出てるのか外国人の団体もいました。次は名物というシフォンケーキか、見た目美味しそうなゼリーソフトあたりのデザート系行きたいかと。ホーム神戸の楽しみがまた増えました。
ちょっと山沿い歩き、白い花2種類。房になりまだ花弁が閉じているのは針槐ハリエンジュ、別の名称ニセアカシアらしい。もうひとつのなにやらバラ系の花葉のものは検索するも名称不明。知ってる方コメントください。→植物・花のコミュニティで訊いてみたところ「シナアブラギリ」という種類とのこと。ピンクの花の中の🦋アオスジアゲハたまたま。
サッカー⚽️U-23はアジアカップ決勝を延長まで。ウズベキスタン🇺🇿は強かった。守備のプレッシャーはキツいしカウンターにミドルと、好戦的な匂いのするチーム。粘った日本は11分もあった後半アディショナルタイムに交代出場したばかりの山田楓喜が先制ゴール、その後PKを与えてしまったがなんとGK小久保怜央ブライアンがコースを読み切りストップ!優勝〜🎊喜ばしいですねー。
プロ野球⚾️も昼時間帯だし🏐は黒鷲旗、🏀 Bリーグはリーグ戦生きるか死ぬかの最終節と予定がいっぱいだった。
GW終盤はせっせと昼晩ごはんの用意。男2人、551の餃子🥟30個完食はいつものパターン。最終日の明日は午後から大雨?早めに買い物して、午後は掃除や靴磨きその他この10連休中目をつぶってサボってた😆ものをなんとか消化したく思います。
安近短なんか毎年?
このGWはいわゆる安・近・短ですね。突入するまではほとんど予定を立てていませんでしたが、あれ行きたいな〜というのに足を運ぶうちに、展覧会3つ映画3本、合間に立派なステレオセットのあるクラシックの師匠宅へお呼ばれなど、そこそこ充実してるんちゃう😆という感じで順調に過ごしています。私の自宅は東側の大阪と西の神戸の間、大阪と神戸と少し北東側の伊丹にしか行ってません😎
世界的作家、ポール・オースター氏追悼・・アメリカのポストモダン、純文学の方ですね。「シティ・オブ・グラス」「幽霊たち」「ムーン・パレス」「最後の物たちの国へ」「闇の中の男」など読んできた。これを機会にとまだ未読の2冊を入手、「幻影の書」は読書番組「あの本、読みました?」でゲストの芥川賞作家・九段理江がすごくいいと言っていて興味もあった。「偶然の音楽」はファンの方いわく日本人にウケのいい作品だとか。
大阪・船場の古書店、クローディア書店のオリジナルトートバッグ買っちゃいました。千早茜も読まなければ。コースの近くに古書店やブックオフがあって積読がどんどん増えていきます😵💫
イスラーム映画祭、だいたいお得な3回券を買って3本観るのが例年の常。今日は残り1本、ドイツのコメディ映画「辛口ソースのハンス一丁」。
ドイツへ移民したトルコ人の両親を持つキャリアウーマン・ハディジエは、妊娠してしまった妹の結婚を父に認めてもらうため、自分もなんとか結婚を前提として付き合う恋人を作ろうと苦戦する。もちろん早晩見つかるわけはなく、嘘や無理強い、行き違いが重なり、父と娘の仲がこじれてしまう・・トルコ人のガンコな父。娘3人は年齢の順に結婚しなきゃいけない、相手の他の用事を動かしてでも家へ呼び家族でもてなすべきだー、という古い価値観に囚われている。でも娘が心配で可愛い。そんな父親と勝ち気な娘のドタバタお涙ものの作品。興味深く面白かった。主演は日本で言えば後藤久美子、ゴクミのようなタイプの美人さんでした。
映画の後には国民の30%が移民で、10年前からしても10%も増加したというドイツ🇩🇪の現状、大半を占めるトルコからのムスリム系移民、その2世、3世の特質と社会的影響などを専門家が分かりやすく解説するトークセッションがあり理解が深まりました。
観た3本とも朝に行って並んで40分ほど待ちの、すべて満員札止め。来年も行こうかな。
世界的作家、ポール・オースター氏追悼・・アメリカのポストモダン、純文学の方ですね。「シティ・オブ・グラス」「幽霊たち」「ムーン・パレス」「最後の物たちの国へ」「闇の中の男」など読んできた。これを機会にとまだ未読の2冊を入手、「幻影の書」は読書番組「あの本、読みました?」でゲストの芥川賞作家・九段理江がすごくいいと言っていて興味もあった。「偶然の音楽」はファンの方いわく日本人にウケのいい作品だとか。
大阪・船場の古書店、クローディア書店のオリジナルトートバッグ買っちゃいました。千早茜も読まなければ。コースの近くに古書店やブックオフがあって積読がどんどん増えていきます😵💫
イスラーム映画祭、だいたいお得な3回券を買って3本観るのが例年の常。今日は残り1本、ドイツのコメディ映画「辛口ソースのハンス一丁」。
ドイツへ移民したトルコ人の両親を持つキャリアウーマン・ハディジエは、妊娠してしまった妹の結婚を父に認めてもらうため、自分もなんとか結婚を前提として付き合う恋人を作ろうと苦戦する。もちろん早晩見つかるわけはなく、嘘や無理強い、行き違いが重なり、父と娘の仲がこじれてしまう・・トルコ人のガンコな父。娘3人は年齢の順に結婚しなきゃいけない、相手の他の用事を動かしてでも家へ呼び家族でもてなすべきだー、という古い価値観に囚われている。でも娘が心配で可愛い。そんな父親と勝ち気な娘のドタバタお涙ものの作品。興味深く面白かった。主演は日本で言えば後藤久美子、ゴクミのようなタイプの美人さんでした。
映画の後には国民の30%が移民で、10年前からしても10%も増加したというドイツ🇩🇪の現状、大半を占めるトルコからのムスリム系移民、その2世、3世の特質と社会的影響などを専門家が分かりやすく解説するトークセッションがあり理解が深まりました。
観た3本とも朝に行って並んで40分ほど待ちの、すべて満員札止め。来年も行こうかな。
5月書評の4
◼️ 斉藤倫 junaida「せなか町から、ずっと」
童話集。海に浮かぶ大きなマンタの背にできた町。せなか島のせなか町、不思議なお話。
斉藤倫は「ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集」に感銘を受けた。「Michi」「の」などの作品で人気の高い絵本作家、画家、junaidaと。これは無視できない取り合わせだと読むことにした。
大きな大きなマンタ。海の上に浮かんでいるその背には山も川も森もでき、いつしか島と見なされるようになり、町ができて多くの人や動物が住み着いた。そしていくつもの少し不思議なできごとがー。
風があるときは全くはためかず、風のない時にひらひらと揺れるへそまがりのカーテン、突然名前をなくしてしまった元気な女の子、牛を指示通りに動かせる天賦の才ある牛飼い。それぞれが天災や可愛らしい意地悪に出会う。大事な飼い犬をさらわれた幼女の涙はやがて大評判のとなる味を生む。学校には音の鳴らない、奏し方さえわからない、しかし大きな効果を発する楽器がある。
最も長い「はこねこ」では木の根元の箱に潜む猫、はこねこを出てこさせようと町中の人が手を尽くす。ラストでは父を亡くし牛乳配達の仕事をしながら小学校に通う少年の想いがー。
junaidaは表紙絵と挿絵を描いている。前面に出ることはなく、でもところどころにらしさが見える。
可愛さ、やんちゃさ、おもしろさ、にぎやかさに痛快さ、そしてさりげない哀しみに彩られたせなか町の不思議なできごと。そしてマンタは鳥に憧れる。
収まりが良く、楽しい作品でした。
童話集。海に浮かぶ大きなマンタの背にできた町。せなか島のせなか町、不思議なお話。
斉藤倫は「ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集」に感銘を受けた。「Michi」「の」などの作品で人気の高い絵本作家、画家、junaidaと。これは無視できない取り合わせだと読むことにした。
大きな大きなマンタ。海の上に浮かんでいるその背には山も川も森もでき、いつしか島と見なされるようになり、町ができて多くの人や動物が住み着いた。そしていくつもの少し不思議なできごとがー。
風があるときは全くはためかず、風のない時にひらひらと揺れるへそまがりのカーテン、突然名前をなくしてしまった元気な女の子、牛を指示通りに動かせる天賦の才ある牛飼い。それぞれが天災や可愛らしい意地悪に出会う。大事な飼い犬をさらわれた幼女の涙はやがて大評判のとなる味を生む。学校には音の鳴らない、奏し方さえわからない、しかし大きな効果を発する楽器がある。
最も長い「はこねこ」では木の根元の箱に潜む猫、はこねこを出てこさせようと町中の人が手を尽くす。ラストでは父を亡くし牛乳配達の仕事をしながら小学校に通う少年の想いがー。
junaidaは表紙絵と挿絵を描いている。前面に出ることはなく、でもところどころにらしさが見える。
可愛さ、やんちゃさ、おもしろさ、にぎやかさに痛快さ、そしてさりげない哀しみに彩られたせなか町の不思議なできごと。そしてマンタは鳥に憧れる。
収まりが良く、楽しい作品でした。
5月書評の3
◼️ 「手塚治虫名作集6 白縫」
設定にワクワクするライトホラー、SFの作品集。マンガでしかありえない手塚治虫。そこがやっぱりイイ。
昭和43年から50年までの読み切り作品を集めた企画シリーズ。手塚治虫が好きでよく読んでいる私にしても初めて読むものばかりだった。
開発を進める兄と、かつて故郷の浜で見た白縫の火が見えず、環境破壊に反発する弟。そこへ不思議な少女が現れるー(表題作)
ほか、へそのスイッチを押すと爆発する原爆を女外科医が田舎出のゴスケの身体に仕込む「ブタのヘソのセレナーデ」、「コラープス」では力押しの侵略を進める古代リディア王国のニキアス将軍が占い師のこの戦は不吉だとの予言を無視、悲惨な運命を辿る。
「月と狼たち」では地球を脱出したルンペン2人が別々の宇宙人に拾われ、激しい戦闘訓練を受ける。
「ヤジとボク」は高度な知能を得たネズミの話、「シャミー1000」は人間を支配できる能力を持つ猫に似た生物のエピソード。
掲載されたのは週刊、月刊の「ジャンプ」と「シャミー1000」は半年にわたり「高1コース」に集中連載されている。
どれも面白いけれど、私的にはラストの2つかな。医学的だったり科学的だったりしていることに加えて「シャミー1000」は強い超能力を持つ合理的な種族、シャミーがネコ人間の愛情の研究を担当したりといかにもドタバタコメディとして楽しめそうな前提だし。
突飛な設定もむしろしっくりくるような気がする。メインストーリーをつなぐ流れも、登場人物も、かなりマンガ的だと思う。洗練されてはいないが昭和的なテイストが、どこかストンと落ちる感じ。リアルな理論がなく、うるさくない。
私は数年前、宝塚の手塚治虫記念館でバイプレーヤー特集企画を見た。アセチレン・ランプとかハムエッグが出てきてるのを見ると、楽しくなる。手塚治虫の作品を再読、初読していくのもライフワークやね。
設定にワクワクするライトホラー、SFの作品集。マンガでしかありえない手塚治虫。そこがやっぱりイイ。
昭和43年から50年までの読み切り作品を集めた企画シリーズ。手塚治虫が好きでよく読んでいる私にしても初めて読むものばかりだった。
開発を進める兄と、かつて故郷の浜で見た白縫の火が見えず、環境破壊に反発する弟。そこへ不思議な少女が現れるー(表題作)
ほか、へそのスイッチを押すと爆発する原爆を女外科医が田舎出のゴスケの身体に仕込む「ブタのヘソのセレナーデ」、「コラープス」では力押しの侵略を進める古代リディア王国のニキアス将軍が占い師のこの戦は不吉だとの予言を無視、悲惨な運命を辿る。
「月と狼たち」では地球を脱出したルンペン2人が別々の宇宙人に拾われ、激しい戦闘訓練を受ける。
「ヤジとボク」は高度な知能を得たネズミの話、「シャミー1000」は人間を支配できる能力を持つ猫に似た生物のエピソード。
掲載されたのは週刊、月刊の「ジャンプ」と「シャミー1000」は半年にわたり「高1コース」に集中連載されている。
どれも面白いけれど、私的にはラストの2つかな。医学的だったり科学的だったりしていることに加えて「シャミー1000」は強い超能力を持つ合理的な種族、シャミーがネコ人間の愛情の研究を担当したりといかにもドタバタコメディとして楽しめそうな前提だし。
突飛な設定もむしろしっくりくるような気がする。メインストーリーをつなぐ流れも、登場人物も、かなりマンガ的だと思う。洗練されてはいないが昭和的なテイストが、どこかストンと落ちる感じ。リアルな理論がなく、うるさくない。
私は数年前、宝塚の手塚治虫記念館でバイプレーヤー特集企画を見た。アセチレン・ランプとかハムエッグが出てきてるのを見ると、楽しくなる。手塚治虫の作品を再読、初読していくのもライフワークやね。
5月書評の2
◼️ 永井路子「旅する女人」
歴史上、その軌跡が分かる女性たち5人の旅。持統天皇、菅原孝標の女、巴御前ほか。切り口と体験記がおもしろかった。
永井路子さんは歴史小説とともに「歴史をさわがせた女たち」などさまざまな観点からの解説、随筆をものしておられる。特に飛鳥奈良が好きで、これら多くの著書を追いかけるのは私のライフワークになりつつある。
今回は夫の大海人皇子の吉野への逃避に従った鸕野讚良皇女、後の持統天皇の旅、東国から少女の心のまま憧れの京都に移った「更級日記」の著者、菅原孝標の女の旅、歴史上に現れ、すぐに消え去った木曾義仲の幼なじみにして妻の巴御前らを取り上げる。
「とはずがたり」の作者二条は鎌倉期、育ての親のような存在の後深草院を巡る愛憎から都を離れ、やがて出家した後を含め江戸、信州善光寺から厳島神社、四国の足摺岬まで遠大な旅をしている。そしてラスト、江戸時代、造り酒屋の主婦、沓掛なか子は秩父三十四ヶ所の寺をめぐり「東路の日記」という和綴の自家製であろう本を残している。
大海人皇子は謀叛の罪を着せられ殺されるのを避けるため出家して天智天皇が定めた近江大津宮から吉野に下った。もはや戦は必定、鸕野讚良も命を狙われる危険を常に感じながら移動を重ねる。やがて歴史は大海人皇子、後の天武天皇サイドに微笑むのだが、鸕野讚良、のちの持統天皇は何回も吉野離宮への旅を繰り返している。飛鳥斑鳩平城は何度も行っているけれど、実は吉野はまだ未踏。早めに実現させようかなと。
「更級日記」も源平ものも興味深い。でも今回は後深草院の他に幾人かの恋人と愛し合った二条の旅が新鮮でおもしろかった。多くの旅をしながら月日は巡り、後深草院とも再会、その絆を確かめる流れには心惹かれる。「とはずがたり」読む機会があるかなと。
初耳で土地的にもなじみのない沓掛なか子の旅も感じ入った。
この著書で永井さんは自ら多くの旅に出かけている。そこで見た風景と感じたことを、その表現力と哀歓豊かな筆致で、まさに活写している。1972年の発表というのに、その文章は一向に古びておらず、読み手に語りかけてくる。そして、あたかも西行らの歌枕を追いかけて陸奥を旅した松尾芭蕉のような憧れもほの見える。厳島神社にもまた行きたくなった。
さて次はいつどこで出逢うのか。永井さんの著書をまた目にする機会を本当に楽しみにしている。
歴史上、その軌跡が分かる女性たち5人の旅。持統天皇、菅原孝標の女、巴御前ほか。切り口と体験記がおもしろかった。
永井路子さんは歴史小説とともに「歴史をさわがせた女たち」などさまざまな観点からの解説、随筆をものしておられる。特に飛鳥奈良が好きで、これら多くの著書を追いかけるのは私のライフワークになりつつある。
今回は夫の大海人皇子の吉野への逃避に従った鸕野讚良皇女、後の持統天皇の旅、東国から少女の心のまま憧れの京都に移った「更級日記」の著者、菅原孝標の女の旅、歴史上に現れ、すぐに消え去った木曾義仲の幼なじみにして妻の巴御前らを取り上げる。
「とはずがたり」の作者二条は鎌倉期、育ての親のような存在の後深草院を巡る愛憎から都を離れ、やがて出家した後を含め江戸、信州善光寺から厳島神社、四国の足摺岬まで遠大な旅をしている。そしてラスト、江戸時代、造り酒屋の主婦、沓掛なか子は秩父三十四ヶ所の寺をめぐり「東路の日記」という和綴の自家製であろう本を残している。
大海人皇子は謀叛の罪を着せられ殺されるのを避けるため出家して天智天皇が定めた近江大津宮から吉野に下った。もはや戦は必定、鸕野讚良も命を狙われる危険を常に感じながら移動を重ねる。やがて歴史は大海人皇子、後の天武天皇サイドに微笑むのだが、鸕野讚良、のちの持統天皇は何回も吉野離宮への旅を繰り返している。飛鳥斑鳩平城は何度も行っているけれど、実は吉野はまだ未踏。早めに実現させようかなと。
「更級日記」も源平ものも興味深い。でも今回は後深草院の他に幾人かの恋人と愛し合った二条の旅が新鮮でおもしろかった。多くの旅をしながら月日は巡り、後深草院とも再会、その絆を確かめる流れには心惹かれる。「とはずがたり」読む機会があるかなと。
初耳で土地的にもなじみのない沓掛なか子の旅も感じ入った。
この著書で永井さんは自ら多くの旅に出かけている。そこで見た風景と感じたことを、その表現力と哀歓豊かな筆致で、まさに活写している。1972年の発表というのに、その文章は一向に古びておらず、読み手に語りかけてくる。そして、あたかも西行らの歌枕を追いかけて陸奥を旅した松尾芭蕉のような憧れもほの見える。厳島神社にもまた行きたくなった。
さて次はいつどこで出逢うのか。永井さんの著書をまた目にする機会を本当に楽しみにしている。
2024年5月2日木曜日
junaida展②
いろんなテーマの町をめぐって、やがて2人は対称の王城で出会います。出会いの城下の前の町がどちらも同じで、読み手は、えっつながってるの?これまでもつながってたんじゃないの実は?と思って見返します。私はそうでした。コロっと思い通りにされました😆
5月書評の1
人気絵本作家、画家、京都在住の日本人男性、junaidaの展覧会に行ってきました。連休の谷間、雨風吹き降りの日だからか、けっこう空いてて、ゆったり観られました。画像上げます。
◼️ウィリアム・シェイクスピア
「ヘンリー四世」
なんと言ってもフォルスタッフ。シェイクスピア作品No1の人気者。しかしま、セリフが多く長い作品。
サー・ジョン・フォルスタッフ。巨漢にして酒飲み、文無し、大ボラ吹き、臆病者、口から先に生まれたという言い回しがぴったりなほどの口数の中身は、皮肉を散らした、また表現の幅として例え話を多用する道化的な人物造形。でもモテちゃったりもするんだこれが。以下娼婦ドル・ティアシートのセリフ。
「ああ、この小っちゃなごろつき、可愛いったらありゃしない!(中略)ああ、いけない人、大好き!(中略)ああ、この悪党!」
王・ヘンリー四世の嫡男にして皇太子ハルはフォルスタッフを含む荒くれ者たちと付き合い、王を心配させてばかりいた。ハルはフォルスタッフたちの強盗団に加わると見せて抜け出し、金品を手にしたところへ、もう1人とともに変装して襲い掛かりあっさりとお宝を得る。その後酒場で、すぐに逃げ出したフォルスタッフの説明を聞くと、4人の旅人を脅して奪ったことを、やはりというか、100人を相手に大立ち回りをしたとホラを吹き、その後現れたハルたち2人のことも最終的に14人と勇敢に戦ったようにベラベラとしゃべる。ついに王子がネタバラシをすると実はお前だと分かってた、王位継承者を殺せないから逃げた、などと言い訳をする。口は悪くて強気、反面意気地はない、しかし憎めないキャラクターぶり。シェイクスピアものの登場人物のなかでも大人気らしい。
本筋は、王ヘンリー四世は前の王リチャード二世から王位を簒奪、リチャードが王位継承者だと指定していたモーティマーを擁護するノーサンバランド伯やその子ヘンリー・パーシー、あだ名はホットスパー(向こうみずな人の意、ちなみにサッカーチームのトテナム・ホットスパーはこのヘンリー・パーシーから取ったらしい)らと対立する。ノーサンバランド伯は各地の反抗勢力と結びヘンリー四世の国王軍に対抗するものの、反乱軍はまとまらず戦いは国王軍が勝つ。フォルスタッフも王子の軍で役につく。
ヘンリー四世はやがて崩御、ハルが後を襲いヘンリー五世となる。ハルはごろつきたちと付き合っていたのは世間を欺くためだとし、フォルスタッフたちを断罪、追放する。これはどうやらシェイクスピアもの的大事件らしい。
ウェールズ、スコットランドにそれぞれ反抗勢力がいて話はブリテン島ほぼ全土に及ぶ。スケールが大きく、フォルスタッフ以外にもハルやホットスパー、ウェールズの豪族グレンダワーなど個性豊かな登場人物が出てくる。物語自体は430ページ程度とシェイクスピア戯曲としてはかなり長いもの。ただ壮大な成り行きのためというよりは、どうもフォルスタッフという人物の長セリフがホントに多く、彼の個性を大いに表出させるため長くなっている気がする笑。
シェイクスピアは最初期に「ヘンリー六世」を書き、この「ヘンリー四世」は円熟期の作品とされている。前後の物語「リチャード二世」も「ヘンリー五世」も作品となっている。この1300年代後半から1400年代前半あたりの歴史にはこだわりがあるような・・現代日本から江戸時代を書くようなものかな、なんて考える。ちなみにハル、ヘンリー五世は即位後百年戦争を再開させ、ヘンリー六世の治世下では薔薇戦争が勃発している。
まあともかく、ホントかどうか、人気者フォルスタッフについては「ヘンリー四世」を観劇したエリザベス女王が、フォルスタッフを気に入ってしまい「あの男に恋をさせよ」と命じたためシェイクスピアは直ちに「ウィンザーの陽気な女房たち」を書いた、という伝説があるとか。この作品は女たちがフォルスタッフをコテンパンにからかいやっつける話です。
今回は大いにフォルスタッフを堪能した。歴史物語じたいはつながりをもう少し把握したく、「リチャード二世」も読もうかな。しかし長かった。「ヘンリー六世」はもっと長いし、晩年に先送りしようかな、なんて。
◼️ウィリアム・シェイクスピア
「ヘンリー四世」
なんと言ってもフォルスタッフ。シェイクスピア作品No1の人気者。しかしま、セリフが多く長い作品。
サー・ジョン・フォルスタッフ。巨漢にして酒飲み、文無し、大ボラ吹き、臆病者、口から先に生まれたという言い回しがぴったりなほどの口数の中身は、皮肉を散らした、また表現の幅として例え話を多用する道化的な人物造形。でもモテちゃったりもするんだこれが。以下娼婦ドル・ティアシートのセリフ。
「ああ、この小っちゃなごろつき、可愛いったらありゃしない!(中略)ああ、いけない人、大好き!(中略)ああ、この悪党!」
王・ヘンリー四世の嫡男にして皇太子ハルはフォルスタッフを含む荒くれ者たちと付き合い、王を心配させてばかりいた。ハルはフォルスタッフたちの強盗団に加わると見せて抜け出し、金品を手にしたところへ、もう1人とともに変装して襲い掛かりあっさりとお宝を得る。その後酒場で、すぐに逃げ出したフォルスタッフの説明を聞くと、4人の旅人を脅して奪ったことを、やはりというか、100人を相手に大立ち回りをしたとホラを吹き、その後現れたハルたち2人のことも最終的に14人と勇敢に戦ったようにベラベラとしゃべる。ついに王子がネタバラシをすると実はお前だと分かってた、王位継承者を殺せないから逃げた、などと言い訳をする。口は悪くて強気、反面意気地はない、しかし憎めないキャラクターぶり。シェイクスピアものの登場人物のなかでも大人気らしい。
本筋は、王ヘンリー四世は前の王リチャード二世から王位を簒奪、リチャードが王位継承者だと指定していたモーティマーを擁護するノーサンバランド伯やその子ヘンリー・パーシー、あだ名はホットスパー(向こうみずな人の意、ちなみにサッカーチームのトテナム・ホットスパーはこのヘンリー・パーシーから取ったらしい)らと対立する。ノーサンバランド伯は各地の反抗勢力と結びヘンリー四世の国王軍に対抗するものの、反乱軍はまとまらず戦いは国王軍が勝つ。フォルスタッフも王子の軍で役につく。
ヘンリー四世はやがて崩御、ハルが後を襲いヘンリー五世となる。ハルはごろつきたちと付き合っていたのは世間を欺くためだとし、フォルスタッフたちを断罪、追放する。これはどうやらシェイクスピアもの的大事件らしい。
ウェールズ、スコットランドにそれぞれ反抗勢力がいて話はブリテン島ほぼ全土に及ぶ。スケールが大きく、フォルスタッフ以外にもハルやホットスパー、ウェールズの豪族グレンダワーなど個性豊かな登場人物が出てくる。物語自体は430ページ程度とシェイクスピア戯曲としてはかなり長いもの。ただ壮大な成り行きのためというよりは、どうもフォルスタッフという人物の長セリフがホントに多く、彼の個性を大いに表出させるため長くなっている気がする笑。
シェイクスピアは最初期に「ヘンリー六世」を書き、この「ヘンリー四世」は円熟期の作品とされている。前後の物語「リチャード二世」も「ヘンリー五世」も作品となっている。この1300年代後半から1400年代前半あたりの歴史にはこだわりがあるような・・現代日本から江戸時代を書くようなものかな、なんて考える。ちなみにハル、ヘンリー五世は即位後百年戦争を再開させ、ヘンリー六世の治世下では薔薇戦争が勃発している。
まあともかく、ホントかどうか、人気者フォルスタッフについては「ヘンリー四世」を観劇したエリザベス女王が、フォルスタッフを気に入ってしまい「あの男に恋をさせよ」と命じたためシェイクスピアは直ちに「ウィンザーの陽気な女房たち」を書いた、という伝説があるとか。この作品は女たちがフォルスタッフをコテンパンにからかいやっつける話です。
今回は大いにフォルスタッフを堪能した。歴史物語じたいはつながりをもう少し把握したく、「リチャード二世」も読もうかな。しかし長かった。「ヘンリー六世」はもっと長いし、晩年に先送りしようかな、なんて。
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