2023年9月20日水曜日

9月書評の8

京都でルーブル展。美術館のある岡崎公園ではコスプレの大イベントやってました。ほとんど分かんないけど、SPY×FAMILYのヨルさん女子多かった。

ルーブル展は18世紀以前の作品が多く、フラゴナール、そしてシャーロック・ホームズの宿敵モリアーティ教授が好んだジャン=バティスト・グルーズの作品もあり、認識を新たにした部分もありました。イエスを抱くマリアの慈愛こもった顔、サッソフェラート「眠る幼子イエス」と、ダンテの神曲からモチーフを得たというアリ・シェフェール「ダンテとウェルギリウスの前に現れたフランチェスカ・ダ・リミニとパオロ・マラテスの亡霊」が良かった。


◼️ 河邉徹「流星コーリング」

高校の天文部員たちは、人工的に発生させるという流星群を観に行く。それぞれのドラマと秘められた事情。広島本大賞。

星好き、ブックオフでなんの予備知識もなくタイトルだけで買った本。りょうと詩織、仲の良い天文部のカップル。広島市が舞台で、会話は広島弁。進路に悩む主人公のりょうは東京の大学の指定校推薦に合格、しかし詩織に打ち明けられないでいた。詩織も、なにかりょうに言わなければならないことがあるようで・・。

最初はよくある青春小説かなと思った。ところが、物語は中盤に突然、りょうが人工流星が流れる日をループしてしまう、という仕掛けが出てくる。相談する部員たちにもそれぞれ悩みがあって、と上手な構成だなと感心。

初歩的な知識から、お泊まり観測会、全国の高校天文部が集まりプレゼンをするジュニアセッション、野辺山天文台行ってみたいなあ、それに文化祭のプラネタリウムなど、楽しそうで知的好奇心を刺激する活動を盛り込んでいて、星好きにはおもしろく読める。小学校の先生が熱心な人で、よく学校で天体観測会をしたことを思い出す。中高は運動に明け暮れたから、兼部とか出来なかったかな・・といまさら思ったりする。

人工流星計画は、本当にあるんだそうだ。ロケットから流星のもととなる物質を放出し、広島・瀬戸内の空に人工流れ星を降らせるシューティングスターチャレンジ。この物語にあるように2020年の実施を目指していたが諸般の事情で中止、見直しとなっている。まだ諦めたわけではないようだ。なんてステキなイベントなんでしょう。もし再度やるとなったら観に行くぞー。

著者はバンドのドラマーさんで、小説タイトルの曲も作っているとか。あとで聴いてみよう。真相が明らかになった後の、詩織の言葉が切なく輝く。センス良い締めに悲しくも読後感はエクセレントだった。たまたま手にして良かった。

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