中秋の名月は快晴にて銀の光が降りそそぐ。まことに春は花夏ほととぎす秋は月🌕
ひさびさ映画のはしごを。リバイバルとデジタルリマスター。
フィンランド🇫🇮の名匠アキ・カウリスマキ監督がめっちゃふざけた「レニングラードカウボーイズ・ゴー・アメリカ」
髪の毛をとんがらせてダークスーツに身をつつみサングラスの8人バンド、レニングラードカウボーイズ。酷寒のツンドラからアメリカへ、さらにメキシコへ、おとぼけ風味満載の旅。途中のカーディーラー役、シブい顔つきで見たことあるなと思ったらなんとジム・ジャームッシュだった😎😎
次は「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」で多くの関係者に影響を与えてきた台湾の故エドワード・ヤン監督。20代、社会人の男女が繰り広げる恋愛模様。私はヤン監督お初。なるほど、フレームをかなりきっちり作る人で、影と光、照明を使いこなすんだなと。別の監督がヤン監督の照明技術に触れていて今回ふむふむとなった。
検診終わりのシフォンケーキでスイーツ補充した後は薄暮時涼しい河川公園のベンチでしばし読書した。
きょうからまたバレーボール沼。日本男子🇯🇵、パリオリンピックへ向けての戦い。燃えるー🔥😎
◼️ ロアルド・ダール「飛行士たちの話」
極限状態の戦闘機乗りたち。その心の旅路。
虚しい話、バカ騒ぎの武勇伝、ファンタジックな篇とバラエティに富む短編集。
先日読んだ「単独飛行」は戦闘機乗りだったロアルド・ダール本人の、中東からギリシア戦線における体験談だった。
今回、1946年に発表された初短編集は創作の気味が強いが、実話、戦地での伝聞をもとにした小説だと思われる。ベースは対ナチスドイツと降伏したフランス軍を相手にするイギリスの空軍部隊。
「単独飛行」を先に読んでいたから、どのエピソードをもとにしているか分かるものもあった。たとえば、"A Piece of Cake"「ちょろい任務」ではかつてダールが不時着して頭部骨折した時の生々しい体験が元になっている。
冒頭の「ある老人の死」は戦闘機同士の空戦がのっけから迫力とスピード感ある描写で綴られる。そしてパラシュートで脱出、落下した先でのむごい現実、運命。
爆撃で家族を失った少女が部隊のマスコット的存在となる「カティーナ」は鮮烈。優しくしてくれたパイロットが欠けていく状況、気高さと悲しさ。
非番のパイロット3人組がおかしな計略で売春宿の娼婦たちを解放する「マダム・ロゼット」悲惨さが横溢する短編たちの中での、いかにも男くさいバカ騒ぎ。
最悪の毒蛇、ブラック・マンバが牝牛の乳房から乳を飲む話「あるアフリカの物語」。思い出すのはシャーロック・ホームズで、コナン・ドイルは短編「まだらの紐」で、犯人が毒蛇をミルクで飼いならすという設定にして批判を浴びた。同時代のキプリングの「ジャングル・ブック」でもミルクを与えられる蛇の話が出てくる。蛇はミルクを飲まない。しかし解説によればアフリカでは蛇が牛乳を好むという俗信があるそうで、ひょっとして、これらの著者はみな耳にしたのかもしれない。ふむふむ。面白い。
そして「彼らは歳をとるまい」は短編集に何度か出てくるフィンという名のパイロットが飛び立ってから2日間も帰って来ず、死んだと思われていたころなんのケガもなく帰還したという話である。フィンはしばらくして、その間のファンタジックな体験を突然思い出し語りだす。飛行機を偏愛し、ダールを愛読する宮崎駿が「紅の豚」や「風立ちぬ」でこのシーンを挿入した、不思議な話。たしかにジブリに合ってるような気がする。
最終話に"Someone Like You"「あなたに似た人」が入っている。ダールの背景を知らずに最初読んだ時は分からなかった。まあ全部分かるような小編ではないけども、ここまでダールの戦闘パイロットとしての険しい道のりと、そこから生まれる、ただ直接的なわけではない、全体として大きな何かを感じさせる筆致を追った後で読むと、やはり染み入るように感じるものはあった。
「単独飛行」はそれこそ毎日何度も物量で勝るドイツの多くの敵機を相手にして命のやりとりをしていたダールの姿が、びっくりするほどサラッとした感じで書かれていた。今回の小説はやはり感情的なものを増幅させているな、という感触はあった。1つの理解が進んだ。もう少し読みたいと思っている。
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