◼️ 岡田斗司夫「誰も知らないジブリアニメの世界」
ジブリアニメの冷静な評価と込められたもの。それなりに理解が進んだ気がする。
この本を、沖縄アリーナ近くの、明日閉店、というTSUTAYAで買って、帰ってきて地元で「君たちはどう生きるか」を観て来た。宮崎駿としては「風立ちぬ」以来10年ぶりの監督作品。
実はですね、ジブリや「君の名は。」などの有名アニメ映画は、どうせ2年も経てばテレビでやるしと劇場では観ないのです。今回はこの本を買ったこと、10年ぶりなこと、過度にシークレットな意味に多少興味もあってほぼ思いつきで行きました。感想は、結局いつもの感じ、てなとこです。シークレットは意味あったんだろうか果たして。
この本では、ナウシカ、ラピュタ、トトロ、魔女の宅急便、紅の豚、もののけ姫、千と千尋の神隠し、ハウル、ポニョ、風立ちぬと宮崎駿の監督作品にそれぞれ1章を立てて解説している。公開順で、宮崎駿がどんな立ち位置にいた時の作品か、影響を受けている実写・アニメ作品とその監督、内容の変遷などを織り込んでいる。そしてプロット、構成、こだわったものなど、自身もアニメ制作会社社長だった著者が鋭い切り口で深く分析、好みも交えて見解を述べている。
私自身はルパンのカリオストロの城やナウシカには感銘を受けた。しかし周囲との会話についていけないことがあり、そういえばジブリアニメってタイトルは知っているのにほとんど観てないな、と気づいて観るようにした。
いまは宮崎監督のものはたぶん全部、それ以外のジブリ作品も多くは鑑賞済み。ファンの方ごめんなさい、大半の作品はストーリーの過程、描写は興味を惹くものの、物語としてはあまり整っておらず、そんなに感動するものじゃないな、というのが正直な感想だった。
今回、著者の歯に絹着せぬ文調もあって、作品のバックボーンや宮崎監督の傾向などに理解が進み、いくばくかの納得感を得た。まあジブリのアニメについて語るなんていう会話が日常あるものではなし、うつうつと抱えていた考えに多少答えが出た感じかな。
飛行機への偏愛とその理由、至高の水の描写、手書きへのこだわりなども大いに参考になり、「君たちはどう生きるか」に通じるものもあった。また飛行機の小説のネタも仕入れることができた。ぜひ読もうと思う。
やや批判的な論調になってしまった。ジブリアニメを見続けることができたのは、やはり他にはないワクワク感とスケールの大きさ、しっかりはつかめないが深みを感じたからだろうと思う。数々出てくる小道具、乗り物、仕掛け、そして描写の妙など、観ているものの心に響きを産む要因がたくさんある。文学作品へのオマージュ的な味付けも好きだし、ユーモアもしっくりくる。多少ストーリーが力技でも、部分は時として概要よりも心に残るし、理屈通りよりは回り道で何かを感じさせる、という方向性もむしろ好みだ。
願わくば、ドーンとスケールが大きくて、アクションももう少し大画面に映え、SF的要素も取り入れて、ハチャメチャに暴れている作品も、もう一度観たいかな。
ジブリ作品のガイドとして、良い読書でした。たまたま本友と話をしたら、ジブリ好きで関連の本も読み込んでるとのこと。私もゆるゆる読もうかなと思ったのでした。
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