2024年2月18日日曜日

2月書評の7

人気の熊ちゃんキットカット🐻

◼️ 渡辺裕之「砂塵の掟 オッドアイ」

元自衛隊特殊部隊、特別強行捜査班リーダー、オッドアイの朝倉。血湧き肉躍るハードボイルド。

オッドアイシリーズはしばらく前、出張の時に東京駅で買って新幹線で一気に読み切った。けっこうおもしろいなと思ってそれきり。最近目にして入手。今回のは6作め、1年に1冊の割合でもう10作出てるらしい。

自衛隊最強の特殊部隊出身で警視庁の捜査一課にも所属していた朝倉俊暉(しゅんき)は現在防衛省と警視庁の合同チーム、特別強行捜査班のリーダーを務めている。朝倉自身はアメリカ軍のNCIS海軍犯罪捜査局と協力して犯人を逮捕した実績もあった。自衛官時代の事故で、片眼がシルバーグレー、左右の眼の色が違う「オッドアイ」。戦闘力が高くかつ敏腕な捜査員である。

沖縄・宜野湾市のアメリカ軍高級将校の住宅街で切断された人頭が見つかり、沖縄県警が捜査に乗り出すが、ことは軍の住宅のことだからとNCISが乗り出し、県警の捜査介入を拒否する。派遣された朝倉はNCISと交渉、単独という条件付きで捜査への参加を認められる。しかし捜査を始めてすぐに銃撃され、さらに車に跳ね飛ばされるー。

いやーマッチョなストーリーだ。朝倉がいかに戦闘能力があるか、タフなのかがふんだんに誇示される。沖縄から向ったのは紛争中のアフガニスタンで日本人傭兵と合流、拉致されて脱出、砂漠のサバイバル、沖縄へ帰ってきて銃撃戦と血湧き肉躍る展開の連続。ふだんこの系統は読まないけどたまに目を通すとそれなりに楽しい。

著者さんはもともと傭兵もののシリーズを書いていたようで、軍事行動や武器の情報も詳細だ。朝倉とバディとなる傭兵で、ちょっとマヌケだがやる時はやる京介のキャラに好感。はっきり言って主要な展開部分がゴツかったりお堅かったり、ばかりの登場人物たち、その中にマッチするようなユーモラス加減だ。シリーズにもう出ないのかな。

ハードボイルドものの名作といえばロバート・B・パーカーの「初秋」「晩秋」くらいしか知らないかな。こちらは私立探偵ものであるからか、ハードボイルドでありながら硬軟自在、という感じだった。オッドアイ今作は不器用なくらい、いやそれも計算の上で、ずっとラグビーの試合中のようなぶつかり合いが続くイメージ。

たまにはいいなと。またオッドアイシリーズ読もう。

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