2024年2月12日月曜日

2月書評の5

前々から欲しいと言ってた、レアル・ソシエダユニ久保建英。スポーツニュースで映った時ミョーに気になるようになったりして。息子は久保の試合の時は来て応援してるそうだ。

◼️藤谷治「あの日、マーラーが」

2011年3月11日、東日本大震災の日、コンサートは開催された。実話に基づくフィクション。

東日本大震災はあの日午後2時46分に発生した。交通網が遮断される中、東京・錦糸町のすみだトリフォニーホールでマーラーの交響曲第5番が予定通り演奏された。新日本フィルハーモニー交響楽団、指揮者は高名なダニエル・ハーディングだった。

楽団のエキストラ演奏者、いわゆるトラの1人と事務局長の女性、そして集まった少数の観客のうち数人にスポットを当て、それぞれの3月11日をオムニバスにした小説。

ヨリを戻そうとすり寄る夫を振り切り聴きにきた女、クラシック音楽のライター・講師、定期会員の年配の女性、楽団のある奏者をアイドル視しているオタクの若者、それぞれの人生が語られて、やがてみな同じホールに集まる。中止にしないことに楽団員もくすぶった想いを抱え、指揮者は自分の仕事を全うする。

私も大好きなマーラーの5番は人気曲。冒頭、トランペットで運命の動機のようなフレーズが印象的に鳴らされる。とかく第1楽章はなにか人生の様々な事情まで含み込んでいるようで惹き込まれるものがある。

ひどい災害に襲われたまさにその日、有名指揮者がタクトを振り、惨状に心を震わされながら、割り切れない気持ちで演奏されたマーラーの5番。曲と2度とないかもしれない演奏、そこに居合わせた聴衆の、それぞれの事情にも踏み込んで、そこにできた、なにかしら不条理の塊のようなものを表現しようとしたのかな。

ちょっと違和感はある。正直、ちょっと思索的すぎてついていけない部分があるかな。どうも本筋に関係ない、やたら小難しい表現が並び、ペダンチックだ。

どちらかというと無理にフィクションにせず、
ドキュメント作品としても良かったかな〜なんて思ったりする。

なんか狙いはわかるような気がするんだけれどもね。それと、けっこうゆかしく読めはした。多くの人がそうであるように、私もあの日東京にいたから。阪神大震災も経験したから、興味はあった。新たな地震災害が起きたいま、色々と考えて感じることはできたかな。

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