2024年2月3日土曜日

2月書評の1

◼️瀬川貴次「暗夜鬼譚 春宵白梅花」

節分には鬼もの^_^宮仕えの貴族と陰陽師、2人の美少年が都の御所で怪異に挑む、幻の?ライトノベル復刻版。

闇、というのは京都に似合う。時は平安京遷都から150年ばかり経った貴族文化全盛の頃。1000年以上前の夜の闇はさぞかし深かっただろう。

「いま身を浸している夜は平安時代と地続きなのだ」

ある現代小説で夜の京都御所を突っ切る場面、そんな文章が綴られているのを読んで、ホントにそうかも、と思ってしまった。

梨壺の更衣の女房が宮中で惨殺された。近衛府の武官、15歳の夏樹は同年輩の陰陽生・一条と知り合い、2人で馬の頭部に人間の身体を持つ馬頭鬼をおびき出すー。

「ばけもの好む中将」の著者、90年代に人気だったシリーズの復刻版だという。亡者を責め苛む地獄の獄卒であり筋骨逞しい馬頭鬼、さらに弘徽殿の女房で夏樹のいとこ・深雪など1巻にしてシリーズで活躍しそうなキャラを置いている。明らかに夏樹を狙っている男色の上司、一条の若き師匠など、新たな展開、深掘りもありそうだ。

鬼好きで、京都はお出かけコース。歴史としては京都の前の奈良・飛鳥の方が好みではあるけれど、やはり平安の雅やか、華やかさがあってこそ怪異がよくマッチする。この類のライトノベルは多いが、たまに読みたくなって、いまのところ食傷気味になることはない。京都といえば百鬼夜行。晴明神社や一条戻橋にも行かねば。冥府とつながる井戸のある六道珍皇寺にも行って小野篁にも挨拶を。


会話や行動に好ましい若さが見られる。愛読していた現代ものの作品に似ている気がして、もう少し読んでもいいかなと思う。ぜひ牛頭鬼も出してほしい、というか、出るんだろうな。シリーズ復刊してるみたいだし、次に手に取る機会を楽しみにしよう。

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