2022年7月25日月曜日

7月書評の7

7月7つめで!七夕♡

人気の絵本作家、イラストレーター、ヨシタケシンスケの展覧会に行ってきました。

つい最近まで知らなかったんだけども、友人に話を聞き本屋図書館でも人気のほどを確認、がぜん興味が。先の3連休では長い行列ができるほどの人気、平日午後で1時間後入場の整理券でした。

「りんごかもしれない」などで発想絵本を展開。絵は特に凝っておらずアイディア勝負。「りんご」や「りゆうがあります」などおもしろい。受付けから写真の遊び方で、オブジェ、アイディアスケッチ、造形など豊富な展示物がうまく配置され、とにかく楽しませようという意図に溢れている。

会場は女性とお子さまばかりで、みな本当に熱心に観てました。写真OKなのでこちらもテンション上がって撮りまくってしまいました。

大判の紙に描かれたアイディアスケッチは絵本作品の流れに沿って何枚もあり、一部の作品は読み下しました。全部読むと時間がかかりそうだけどそれも楽しそう。

売店で買ってきた本と絵はがき。「あるかしら書店」は絵本というよりは絵入りの書籍らしい。楽しみ。ひさびさに、もう1回行こうかな〜という展覧会でした。今度はマグカップ買ってしまうかもしれない。

◼️ 北村薫「中野のお父さんは謎を解くか」

文学探偵、リテラリー・デテクティブ。好きよねえ、というネタが今回も炸裂。

北村薫といえば、推理小説、というイメージもある。私的には「円紫さんと私」シリーズで、日常に潜む深い謎、そして文芸的な謎、を解く楽しみを知った作家さん。さらにその向きが強い中野のお父さんシリーズ第2弾。

大学までバスケットボールの強豪チームに在籍した美希は某出版社の編集者。著名な作家さんとの仕事や、関係者とのやりとりの中で不思議な現象やちょっとした謎に突き当たる。そんな時頼りにするのが中野の実家にいる、もと国語教師のお父さん。文芸オタクで何でも知ってるお父さんは、今回も謎をスラスラと解いてゆくー。

入っているはずの特典映像がなかったのはなぜなのか、はたまた、病に倒れた夫が一命を取り留めた時、付き添った妻にキミはキュウリだな、となぜ言ったのかー。

ちょっとややこしすぎるかな、というネタもなくはないが、お父さんに、いや分身の北村薫に解題してもらうと、不思議と腑に落ちる感覚がある。

おもしろかったのが芥川龍之介「春の盗賊」に出てくる

「やって来たのは、ガスコン兵」

のガスコン兵ってなに?という謎。この短編は読んで書評も書いた。太宰は忍び込んできた泥棒の手を握り、頬ずりしたくなる衝動を覚えたと書いていて、さすがになんでやねん!とツッコみたくなる。まるで吉本新喜劇で、独特のコミカルな作品。

その中で調子良く、上のフレーズが出てくるのだが、探しても注釈が出てこないらしい。どうやら大きなブームを巻き起こした物語に関係があるようだ。私はかつてネタの映画を観て、今でもシーンが思い浮かぶくらい印象深かったので、結末が心のいいところに落ちて嬉しかった。

尾崎紅葉が亡くなった際の2人の弟子、泉鏡花と徳田秋声のエピソード話も楽しい。いかんなく文学探偵ぶりが発揮されている。小ネタの、鮎川哲也のペンネームには思わずニヤリとしてしまった。

美希を取り巻く同僚や同業者は魅力的で、やっぱり体育会系の美希の仕事ぶりも読んでいて清々しさがある。バスケット好きの私には田臥勇太のノールックパス、が出て来たのも良かった。

さて、すでに大作家の風情ある著者、リテラリー・デテクティブものも好きでよく読んでいる。編集者ものが多いのも特徴かと思える。私的には、もう1回、文学探偵にもういくつかプラスアルファを載せた、これだーという大作を読みたい気がしている。

どうかな?なんにしろまだまだ唸らせてもらうことを楽しみにしている。

でもなんでこのタイトル、謎を解くか、なんだろう。どこかに引っ掛けてて、読み逃してるのかなと不安になったりする。


◼️ 甲斐みのり
「歩いて、食べる 京都のおいしい名建築散歩」

京都の街並みに、時に違和感をもって現れるモダン建築の意味が分かる。

同タイトルの東京版の著者が、若い頃暮らした京都を題材に近代建築とひと味を紹介したもの。建築、スイーツなど私の関心のバスケットをスリーポイントシュートで射抜いた感じだった・・ムリあったかな。バスケ好き、いま日本代表のアジアカップを応援する日々なのです。

さて、私は長年関西に住みながら京都はシロートさんで、ちょいちょい美術展には行っていたけどもあまり地理も覚えず、ゆっくり楽しむこともなく、だった。それがコロナ2年前くらいに立て続けにお客さんを案内する件があり、急速に関心を高めて今に至る。

で、よく観察するようになってみると、四条河原町や祇園あたりに見かけるモダン建築が、平安時代や室町時代のイメージからは異質な感があった。

この本には、四条河原町のランドマーク東華菜館や対岸のレストラン菊水、祇園にある、船をイメージして設計された「ぎおん石」のビルなども解説してあって、謎が解けた笑。まあそりゃ文明開化の波は京都にも来るし、近代建築物も建つよね。それなりに歴史があった。

東華菜館は阪神間にも多く作品を残すウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計だそうで、がぜん興味が湧いてきた。これは一度食べに行かねば。スパニッシュ・バロック様式だそうで、ここは関西学院大学などをスパニッシュ・ミッション、つまりカトリックの修道院風に設計したヴォーリズの方式にも関係しているのだろうか。

このへん、森見登美彦の小説に出てくるような、古都の妖しい?モダン風味が味わえるような気もする。レストラン菊水のプリンローヤル、プリン、フルーツ、アイスクリーム、ホイップクリームが踊る盛り付けが美味しそう。ぎおん石喫茶室の、目の覚めるような酸味があるというレモンゼリーも舌がうずく。

ほか、平安神宮近く、京都の文化ゾーンで私もよく行く岡崎公園から、新装なった京都市京セラ美術館、一度劇場に入ってみたいロームシアター京都が紹介されている。どちらもカフェレストランは行ったことないし、あまりゆったりしたことがないので、次は建築のほうもゆっくり堪能して、ロームシアターの広いレストラン、京都モダンテラスでスイーツ食べようかという気になる。

表紙のクリームソーダは烏丸の、歴史ある小学校を改築した京都芸術センター、喫茶店チェリーのクリームソーダ。烏丸線と東西線が交差する烏丸御池あたりには、これも新装でおしゃれになった新風館。先日行ってきた。新風館のアーティスティックなエースホテル。泊まってみたい・・。ちなみに新風館の店舗たちの中には、本屋と野菜販売とレストランをミックスさせた楽しい店もあります。

同じく烏丸御池、元は日銀京都支店、東京駅丸ノ内本屋を設計した辰野金吾が手がけた。いまは京都文化博物館。元金庫室、分厚い扉を開けて入る喫茶でのウインナーコーヒーに、コーヒーゼリー、クッキー、カプチーノソフト、バニラアイスのミニパフェも良さそうだ。

近くの元島津製作所、フォーチュンガーデン京都の蛇腹扉のエレベーターも乗ってみたい。また出町柳の、フランスと関西の架け橋、アンステイチュ、・フランセ関西は、映画にもなったロダンの女性の弟子、カミーユ・クローデルの弟ポール大使が深く関わり、カミーユが作ったポールの銅像がある。この白亜の洋館もぜひ訪ねてみたい。

七条の開化堂カフェ、金閣寺へ向かう途中のお気に入りエリア紫野にあるさらさ西陣も行きたい。

この本はやばい。いっそ1時間くらいで行けちゃう京都に1週間くらい泊まり込んで極めようか、なんて考えてしまうのでした。

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