2024年4月21日日曜日

4月書評の9

年に2回春秋開催の「北浜蚤の市」に行ってみました。スタートの11時ごろに着いたのに、すでにものすごい人が詰めかけててびっくり。スタイリストの私物やヴィンテージものが出品されているとかで各テントすごい熱気でした。食器やミニ絵画には惹かれるものもありました。次は何か買ってもいいかな😎


◼️ 三上延「ビブリア古書堂の事件手帖Ⅳ
〜扉子たちと継がれる道〜」

鎌倉文庫の膨大な量の稀覯本をめぐる令和、昭和、平成の物語と、智恵子、栞子、扉子、本に魅入られた3世代の女たち。

シリーズ久々の新刊は90歳を超す老人から現代の高校生世代にわたる壮大な古書ミステリー。長い黒髪、セーラー服。同じ高校に在籍した祖母であり母の智恵子、母であり娘の栞子、娘であり孫の扉子。女性たちが三重写しとなる。

令和、戸塚夏目漱石の「鶉籠」という古い本。古書店・虚貝堂店主の孫、樋口恭一郎は先日の古本市で同じ高校の先輩であるビブリア古書堂の娘・篠川扉子と知り合う。夏目漱石の稀覯本「鶉籠」。この本が元で扉子は、もぐら堂の娘・戸山圭という親友を失っていた。ある週末、恭一郎は藤沢の高級住宅街に篠川智恵子の屋敷で扉子と待ち合わせる。「鶉籠」からの仲違い、その理由を聞くためだったー。

ずっとシリーズを読んできた身としては興味ある設定ではある。目的のためには手段を選ばない智恵子、おとなしく聡明さがより光る栞子、それぞれのもはや遠い少女時代が初めて?物語になる。後半の多くが栞子の亡き父のモノローグなのも新たな視点だ。オチとは別のところに楽しむ要素があったかな。

3世代の謎を追いつつ夏目漱石をそれとなくひもといていく。川端康成ら鎌倉文士が本を持ち寄ったという鎌倉文庫。土地の魅力、文芸的な香りも濃厚に漂う。

この物語は昭和の人間臭さがリアルに感じられる点が大きな特徴だと受け止めている。今回もそうではある。ただちょっと破天荒なきらいと謎の動きが強すぎるか。何人もいると都合よくなるかも。

おもはゆく恥ずかしい恋がまだ始まってなく、世代の谷間でキャラの魅力が後退している部分も正直ある。次はどうなるかな。

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