2024年4月7日日曜日

4月書評の3

◼️ 野﨑まど「HELLO WORLD」

アニメ映画脚本の原作小説。観に行ったなあ。京都が舞台の高校生恋愛SF。

野﨑まどは「[映]アムリタ」が面白かったので何作か読み、脚本を担当したこの作品を観に行った。ちょうど京都によく行っていた頃でもあった。思い出しながら読む。もう1回観たくなるな。

京都・錦高校に通う堅書直実(かたがきなおみ)は気の弱い読書好きの高校1年生男子。ある日突然現れた10年後の自分に3か月後には同じ図書委員でちょっと変わり者の一行瑠璃(いちぎょうるり)と恋人になると告げられる。先生と呼ぶようになった未来の自分の言うとおり瑠璃にアプローチし、授けられた不思議な手袋で何者かと闘う特訓を始めるー。

いまアニメの情報を見返すと、直実は北村匠海、未来のナオミは松坂桃李、瑠璃は浜辺美波、図書委員会のアイドル・勘解由小路三鈴(かでのこうじみすず)は福原遥となかなかオールスターな声優陣。

未来のナオミは、一緒に行った花火大会で瑠璃が事故に遭う、過去を変えるためにやって来た、と言う。過去はシステムによりすべて記録されていて、記録を改ざんするのだと。しかし阻止しようとするシステムから狐面の刺客が湧き直実たちを襲う。ナオミには、目的があった。

雰囲気ある京都の街、伏見稲荷、鴨川、宇治の花火大会、巨大な京都駅と舞台は抜群。本好きでツンデレのヒロインが恋に目醒める。面映い感覚。高校生はいいな。気弱な男子が恋人のため成長する。妖しい的にヒーローグッズ、狐面や八咫烏という和風な仕掛け。そしてSF風味にデカいスケールでの戦闘、破壊、ホワイトホール。パターンを踏襲してる気もする。でもこうでなくっちゃね。

アニメはどこか唐突感のある場面があったりもしたがまあ面白かった。読んでから観たかった、という気分。うーん、メインとなる強い思い入れをもつほど一行さんが読み手、観客になじまない感覚があるかな。後半も戦闘シーンが目立ちすぎて一行さんどこ行ったのかな、と思ったし。

ただ、サラッとした中で定型に見えつつも、野﨑まどには、何か型にはまらない魅力が感じられるんだよね。会話の妙や、隠されたバランスの良さや発想の小粋さとでもいうか。だから次も読みたく、観たくなる。次は神戸でお願いします。

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