2022年11月27日日曜日

11月書評の10

きょうまでの伊勢物語展を観に大阪・中之島へ。朝イチちょっと早く着いたから1ブロック歩いて御堂筋まで散歩。イチョウ並木に日本銀行大阪支店。明治36年・1903年のもの。きょうもプチ建築沼😎

在原業平を描いたとされる歌物語・伊勢物語は905年以前に成立した。古来絵画の題材として頻繁に描かれ、愛されてきた。鎌倉時代から江戸期まで、大看板の俵屋宗達作と伝えられるもの、土佐家、円山家など名門の作品も残されている。

それぞれの短いエピソードが実に印象的。しかも在原業平の歌がまたすばらしい。帝に輿入れする予定の藤原高子(たかいこ)とされる女を負って逃げたものの、姫を鬼に食べられてしまう芥川、教科書で習った筒井筒、龍田川のからくれない、たえて桜のなかりせば、の交野の花見などなど大好きやね。

地元近くには業平橋、この辺に遊びに来る段もある。そして神戸の布引の滝を観に行って帰りが遅くなり漁火を見て詠んだ歌もある。布引の滝は人気らしくいくつも作品があった。ついこないだ私も行ったから、同じ滝を業平も観てたのかと想像が飛ぶ。また読み返したくなる。

帰りに本屋、その業平が出て来るマンガ「応天の門」と「ブルーピリオド」とシェイクスピア。まだまだ未読の多いシェイクスピアは少しずつ読み進めている。

京都の河井寛次郎記念館で買ったブックカバーで読むのが楽しみだ。

自家製スイーツも美味い晩秋なのでした。


◼️ 北村薫「覆面作家は二人いる」

お嬢様の豹変ぶりがマンガ向き、ドラマ向き。推理と解決の早さが北村作品。

北村薫の作品、3/4くらいは読んでいるけども、覆面作家は読み逃してたたぶん。古いこととて記憶があいまい。

小説を投稿してきた美貌の作者はチョーお嬢様だった。新妻千秋。豪邸ではいつもよそ行きの服を着用している。担当となった編集者の岡部良介は、屋敷の門を出た途端、千秋の性質が激変してしまうことを知るー。

女子高での殺人事件、幼子の誘拐脅迫、不思議な万引き事件。千秋は天才的な推理家で、あっという間に謎を解いてしまう。物語は、劇的かつ鮮やか、コンパクトに解決され、その唐突な提示もまた特質だ。

さらに変わらず北村薫テイスト、というか、コメディーとしてのテンポ、会話のインテリジェンスも大変効いている。小粋だし、落語のようなかけ合いもあり、非常に良い印象を与える。

良介の双子の兄で刑事の優介、先輩編集者の左近雪絵女史、千秋のコワモテ執事・赤沼ら周囲のキャストもそれぞれ楽しい。

先に発表した「円紫さんと私」シリーズは身の周りの日常の謎を解きつつ、文学的な展開があった。こちらは設定からまったくコメディーで、ドラマ化やマンガ化に最適という気がする。

巻末、宮部みゆきの解説がまたすばらしい。もーまた、宮部みゆきうますぎるよ。かなわんね。

読んでなかったかな。覆面作家シリーズも押さえておかねば。

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