人1人の生は、何か大きなものを遺す。そういう小説。
木皿泉といえば夫婦の脚本家で作家さん。「昨夜のカレー、明日のパン」をかつて読んだ。今回も、ちょっと変わった、ホームドラマ。
ナスミがガンで亡くなった。43歳。夫の日出男、姉の鷹子、妹の月子、さらに仕事関係や学生時代でつながった人々の回想で、ナスミの人となりが語られる。
構成としては既視感がある。視点が次々と、大胆に変わっていく。最後は、また未来までジャンプしたな笑という感じ。
ここまでに、身近な人が逝くというのもそれなりに経験した。故人との過去の触れ合いは遺るもので、ふと脈絡なく思い出したりする。葬儀の場で、意外な面が語られることもよくある。
この作品は、生まれ育ったエリア、静岡と働いた東京、ナスミのそれぞれのいわば航跡をたどる旅。ちょっと変わってて、あっけらかんとして、正義感が強く無鉄砲、ものにこだわらない人柄を示している。いくつか彩りのように捻ったエピソードが出てきて、NHKのテレビドラマが頭に浮かぶ。
それなりにおもしろかったし、例え学校や社会で目立った人でなくとも、長い時の流れの間に多くの人と厚く薄く交わり、あまり意味がないと思われることでも、なんらかのエピソード、印象を遺してゆくんだな、ということを思い直したけども、パンチは足りなかったかな。人1人の生とは儚いけれど、深い。ユーミンがCMで言ってる、ライトでディープ?って感覚かな。言い得て妙でもある。
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