◼️ アンディー・ウィアー
「プロジェクト・ヘイル・メアリー」下
エリディアンにロッキーにエイドリアンにタウメーバ。一気呵成の果てに感動と虚しさ。
地球を取り巻く環境、対策、宇宙船ヘイル・メアリーの特性、異星人との邂逅、までが上巻。となると、だいたい下巻は予想もつく。交流と問題解決までのトラブルと課題と成功、&オチ。とはいえけっこう怒濤の展開でザクザクと読んだ感じだ。
太陽のエネルギーを食べ膨大な熱量をその微小な身体に蓄える地球外生命体アストロファージ。10数年後にはスーパー氷河期が来てしまう。人類はアストロファージを燃料とした宇宙人ヘイル・メアリーを超法規的に最速で準備、片道作戦で乗員3名を乗せて打ち上げる。目的地は近傍の恒星でアストロファージの影響をなぜか受けていないタウ・セチ。距離は11.9光年だ。
地球時間で13年後、相対性理論により宇宙船内では数年後、人工睡眠を耐えた科学者グレースは同じ目的でタウ・セチに来ていた異星人とともについにその原因を突き止める。しかし原因物質の入手は諸刃の剣でもあったー。
順調に行っている中で大きな災難が数回訪れる。主人公と異星人の身体的な特徴の様々な違い、異星人の生存環境などよく作り込んである。科学者グレースとエンジニアである異星人の違い。文化、大きな意味での科学力の相違など興味深い。グレースは言語を分析しラップトップにアプリを作って翻訳していく。
壮大な物語は終わりの付け方がポイントにもなる。今回は1回ひねり、読み手が望むものを見せてくれた感じかと思う。
やはり宇宙空間ではなんというか、動きに大きな制約がかかる分危機感がより強い。だから解決策を模索して光が見えたときはなおのこと爽快感が増す。何度も何回もそんな場面はある。そして最後に安心、達成、望郷の中にどこか達観した、虚無的な雰囲気も漂う。
おもしろかった。大きな発想、組み立てと科学的知識、へこたれず前向き、楽観さえ漂う姿勢を称賛すべきだろう。
ただ私は異星人、エリドから来たエリディアンのロッキーが短時間でとにかくなんでも造ってしまうのをどうも都合良さが目立つと受け止めてしまったところがあった。後半の一気呵成な進行は意図されたもの。そのぶん無理も見えた感じかな。
エイドリアン、タウメーバの意味は・・まあ読んでみてください^_^
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