2024年10月31日木曜日

3月書評の7

◼️豊福まきこ「おどりたいの」

かわいいといえばこんなにキャワイイ話もない。シンプルで微笑ましい。感じ入った。

子どもへの読み聞かせから絵本に興味を持ち、大学のテキストという絵本についてまとめた本を読み、絵本というのは1つの表現手段だと思うようになっている。色彩、タッチ、題材、ストーリーの流れ。絵本展に行くのは好きだ。

で、最近行った2つの絵本展でどちらにも展示があったこの作品。発想さえあれば物語は転がっていく。シンプルだけど気に入った。

子うさぎが人間のバレエ教室をのぞきこむ。そして受け入れてもらう。脚はどうしても短いけれど、跳躍力ならうさぎのものだ。ぴょーん!やがてうさぎの仲間たちもやってくる。人間の発表会に私たちも出たい、と希望する、けれど・・

森の中のバレエ教室。少女たちとうさぎ。コミカルで、嬉しそうで、かわいすぎる。いじわるキャラも人喰い怪物も神様も天狗も出てこなくてクセはないけれど、自然と部屋のさまざまな色と白がマッチする。こんな色彩感覚もいいね。

久々にいせひでこさんも読みたくなってきた。次の絵本展が楽しみだ。

10月書評の6

◼️ 千早茜「ひきなみ」

「島」の少女たち、東京の大人たち。特殊状況と邂逅。

最近読み方がちょっと引き気味で、架空の物語に没頭できず、俯瞰というか、穿った見方をしようとし過ぎる傾向にあるというか。

もひとつ、つい過去読了作品に似てる感じがする、と考えてしまう。今作もそうだった。

小学6年生の葉(よう)は祖父母のいる波佐見の島に預けられる。東京から来たというだけで好奇の的になり、男子に携帯電話を持ち去られてしまう。男子を蹴り倒して取り戻してくれたのが、豊かな黒髪、ひょろっと手足の長い、真以だった。

孤独を感じる葉は真以と仲良くなる。しかし真以は、子どもにも大人にも、敬遠され蔑まれていた。ある日、家に鍵をかける習慣もない平和な島に脱獄犯が逃げ込んでくるー。

島、というだけで閉鎖空間というイメージが湧く、また神秘、伝説という雰囲気も自然と醸し出される。著者のデビュー作「魚神」も島の遊郭ものだったかと思う。最近はまた恒川光太郎「南の子供が夜いくところ」が島の異空間ぶりをよく表していた。やはり両方が似ているところもある。

全体は小学校から中学校の島時代と、葉が就職してから10年の月日が流れている東京時代とに分かれている。

島の、古い、いわば男尊女卑社会ぶりは、後段のセクハラ・パワハラ事案に繋がっている。受け入れられない者同士の友情。真以はスタイルが良く、海風に黒髪をなびかせ、颯爽としている。性格は強気でどこか悟ったようなところがあって無口、切れ長の眼とあいまって不思議に惹きつけられる魅力がある。

一方葉は押しも弱く、支えが必要な性格という対照を貫いている。第1部は事件で終わり第2部は30代となった2人の再会。ショッキングな事件で真以と会えなくなった葉は上司から会社でパワハラ、セクハラを浴びて、自分のせいだと思い込んでいる。

たまたま見つけ、再会した真以は、自分の道を見つけて、相変わらず何を考えているのか分からない。それは最後までそう。ただミステリアスな部分も魅力のひとつ、何もかも説明されている葉と、これまた対照だなーと思いつつ読み進めた。

女子の友情、よく描かれる、その時しかない友情。はかなくも、強い想い。少女時代の体験と現在。角田光代の直木賞作品「対岸の彼女」の印象がプレイバックする。先日読んだ朝吹真理子「きことわ」もそういえばそうだった。

鮮烈な体験、強烈な事件だけに、30余年の人生のターニングポイント、少し夢のような、になるのも無理はない。その理由付けはできている。レモンなど柑橘類、さらに真以の母親のステージの色、海、そして引き波の色は全編に薄いイメージとして効いている。

千早茜は「魚神」「あやかし草子 みやこのおはなし」「あとかた」「透明な夜の香り」「赤い月の香り」と読んだ。最も最近の「赤い月」は何か物語を超えたものが匂い、感心した。

そもそも女子の心情を描くのが上手い、側面があるのだろうか。きれいなばかりではない部分、位相が違う怖さ、不思議さの織り交ぜ方も手練れという感じがする。

真以のキャラには惹かれるものがある。構成もおもしろい。ただ今回もひとつ・・設定が準備され過ぎているような気がしたかな。

カバーの写真は、内容を反映してなくてどうももひとつ。引き波の意味が違うでしょ、と思う。少女2人を描いた単行本のほうが良かった。

2024年10月18日金曜日

リンゴにバナナにメロンと言いたかった

◼️ Authur Conan Doyle
"The Cardboard Box"「ボール箱」

ホームズ短編原文読み47作め。第4短編集"His Last bow"「シャーロック・ホームズ最後の挨拶」より。これまで月イチくらいのペースだったのが、6月以来の読了となりました。なにかと立て込んだことは確かではありますが、常にあれこれの事情はあるのでまあスマホ病の影響ということかなと。あとこの話は、長かった。

さて「ボール箱」さすがの?私もホームズ譚であまり好きではない話もあって、これはその1つです。なぜなのかは紹介が終わった後に。

序盤は短編中たまにある、ホームズがワトスンに読心術を仕掛ける下りがあるのですが割愛します。8月のうだるように暑い日でした。

ホームズから促されて、ワトスンはある新聞記事を読みます。クロイドンで隠遁生活を送っている婦人、ミス・スーザン・クッシングのもとへ人間の耳が2つ入った小包が届いた、というものでした。

北アイルランドのベルファストから発送され、送り主は不明。茶色の包み紙にボール箱、中には粗塩が詰めてあり、耳はその中に入っていました。記事によれば、ミス・クッシングが以前営んでいた下宿に住む医学生たちがあまりに不品行でミス・クッシングは彼らを追い出したことがあり、うち1人がベルファストの出身であることから、その逆恨みではないかという方向で捜査されているとのこと。

おなじみスコットランドヤードのレストレイド警部から助力の依頼が来ており,2人は出動、駅でレストレイドと待ち合わせ、ミス・カッシング宅へと向かいます。レンガ造りの2階建ての家に、彼女はいました。

She was a placid-faced woman, with large, gentle eyes,and grizzled hair curving down over her temples on each side.

落ち着いた顔つきの、優しいつぶらな瞳をした婦人だった。白髪混じりの髪が巻き毛が、額の両側にかかっていた。

ワトスンのミス・クッシングの描写、これも1つの重要なポイントです今回。椅子のカバーを編んでいる最中でした。

私は隠居暮らしをしている者で、何も知らない。新聞に名前が載って警察が来るだなんて、と戸惑いつつ言い募るミス・クッシング。ホームズたちは納屋に置いてあるというボール箱を調べにいったん出て行きます。

ベージュの箱はもと煙草の箱だった、茶色の包み紙からはコーヒーの匂い、ミス・クッシングによってハサミで切られた紐は結び方が独特だ、とホームズ。そして送り先は

Miss S. Cushing, Cross Street, Croydon

と記されていました。住所は間違って書き直しており、筆跡からあまり教育の素養のない男性でクロイドンのことを知らない。粗塩は生の獣皮などの保存に入れるものと推理していきます。

そして2つの耳。まずホームズは防腐処置がないこと、切れ味の悪い刃物が使われていることなどから医学生のいたずらではない、これは殺人事件だ、と断言します。

1つの耳は女性のもの。小さく、優美な形で、ピアスの穴が空いている、もう片方は男のもので陽灼けして、やはりピアスの穴がある。2人はおそらく殺されている。きょうは金曜日、発送日、到着日などを考えて犯罪は火曜か水曜。

ここでドイルはよくある曜日のミスをしているのですが詳しく指摘するのはやめます。しかしホンマに誰もこの手のことをチェックしなかったんだろか。 

小包の差出人が犯人だ。まぎれもなく受け取る者に見せつけるために。そこに強い動機があったはずだ。しかしミス・クッシングは警察に通報した。つまり、犯人の名前を知らなかった。犯人を知っていて庇おうとするなら隠密裏に処理するはずだし、庇おうと思わないなら犯人の名前を警察に言っているはず。

ホームズは再度ミス・クッシングと会見します。何度も話を聞いているレストレイドは所轄署に帰りました。

これは何かの間違いです、あの小包は私宛てのものではないと何回言っても警察の人は相手にしないんですから、と言い募る彼女のそばに座るホームズ。なだめながら、ワトスンはホームズが彼女の横顔を熱心に見つめ、すぐに驚きと満足の表情を浮かべたのを見て取ります。

マントルピースの写真を見て、2人の姉妹がいらっしゃいますね、顔立ちがそっくりだ、またその横には別の写真が。妹の1人と船のスチュワード、船の客室係らしき制服を着た男性の2ショット、まだ未婚の頃ですね、と話します。

この早わざ、というか1回目に部屋に入った時にすでにホームズは写真を見て推理してしまっていたのですがーの披露にミス・クッシングはびっくり。

"You are very quick at observing."
「素早い観察ですこと」

"That is my trade."
「まあ仕事なものですから」

ワトスンが他の話で述べていた通り、女性嫌いと一般に言われているホームズはその気になれば女性を打ち解けさせるすべに長けていました。こうしてホームズはミス・クッシングから情報を引き出します。

妹たちはセアラとメアリーという名前でした。メアリーは船の客室係のジム・ブラウナーとすでに結婚していました。ブラウナーは南米航路の船に乗っていましたが、メアリーへの思いが強く、長い間離れたくないという理由でリバプールとロンドン間往復の航路の船に乗るようにしたとのこと。

ブラウナーは禁酒の誓いを立て、かつてこのクロイドンの家に来ていた。しかしその後また酒を飲むようになって、酔うと手がつけられなかった。まずミス・クッシングと縁を切った。そしてセアラと大げんかをした。いまはメアリーからの便りも途絶えていてどうしてるのか分からない。いったん喋り出すと、ミス・スーザン・クッシングは饒舌でした。ブラウナーのこと、失礼な医学生のことをまくしたてます。

ホームズが、セアラとどうして一緒に暮らさないんですか、と訊くと、2か月前までこの家にいたけども、気難し屋でお節介でとてもうまく行かなかったと。セアラは妹夫婦と一時仲が良くて、リバプールの彼らの家の近くに住んでいた、しかし決裂したのか、姉のスーザンのところへ来てからはブラウナーの飲酒癖や態度の悪さのことばかり言い立てていた、いまはウォーリントンに住んでいるとのことでした。

ホームズは短い電報を打った後、セアラに会うべくウォーリントンに向かいます。ところが当のセアラは重病で面会謝絶だと出てきた医師に告げられます。仕方がないとランチしてからレストレイドのいる警察署へ着くと、ホームズ宛に電報が来ていました。

文面を見るやホームズ、

"That's all right,"
「うまく行った」

Lestrade:"Have you found out anything?"
レストレイド「何か分かったんですか?」

Holmes"I have found out everything!"
ホームズ「すべて分かったんだよ」

L:"What!You are joking."
レ「何ですって!ご冗談でしょう」

H:"I was never more serious in my life.
A shocking crime has been committed,
and I think I have now laid bare every detail of it."

ホ「人生史上最高に真面目だよ。ショッキングな犯罪がなされた。ぼくは詳細をすべてはっきりさせたと信じている」

ほんで犯人は?と勢いこむレストレイドにホームズは名刺の裏に走り書きして警部に放りました。それが名前だよ、ぼくの名前は出さないようにしてくれたまえ、行こうワトスン、とひらりと帰ります。

夜、ベイカー街の部屋で、ホームズは述懐します。ミス・クッシングは秘密を持っていそうにはとても思えない、穏やかで上品な女性だ、写真で2人の妹たちを見て、ボール箱はこのどちらかに送られたのかも知れないとひらめいた。

長姉はSusanスーザン・クッシング、上の妹はSarahセアラ・クッシング、そして宛名は

Miss S. Cushing

となっていましたね。

くだんのボール箱、紐や結び方は船員がよく使うものでした。包みは港町のベルファストで投函された、また切り取られた男の方の耳には船乗りに多いピアスの穴が空いていた。

その後ミス・クッシングのそばに座った時、ホームズは送られてきた女の方の耳とミス・クッシングの耳が、専門的、解剖学的に見てもそっくりだと発見します。人間の耳はそれぞれ独自の特徴があり、ホームズはこの点に関して人類学ジャーナルに論文を書いているとか。ともかく偶然の一致はありえない。犠牲者はミス・クッシングに極めて近い親族だー。

最近までセアラはクロイドンに住んでいた。リバプールに住んでいてブラウナーとケンカをしてから連絡を取っているとは思えない。ブラウナーはセアラがクロイドンの家を出て行ったことを知らない。だからセアラ宛のはずの悍ましい贈り物は姉スーザン・クッシングの下へ届いた。

ホームズは推理を進めます。ブラウナーは待遇のいい職場を妻と一緒にいたいばかりに投げ打ち、禁酒もしてしまう。しかし呑んだら手のつけられない。情熱的で破滅的。彼の妻と船乗りらしい男が殺された。原因として考えられるのは嫉妬ー。まだ死んだ男がメアリーの夫という可能性もある。

ホームズはリバプール警察の友人に電報を打ってブラウナー夫人が家にいるか、ブラウナーは自分が乗る予定の船で出発したかどうかを訊きました。ウォーリントンのセアラ宅に行くと、当人は脳炎で倒れていた、つまりクロイドン中が大騒ぎとなった事件を知り、小包の中身、その意味を真に理解したから倒れたと見ることができる。ブラウナー夫人宅は3日前から不在だった。ブラウナーは予定通り船に乗っており、明日の夜にはテムズ川に着く。埠頭でレストレイドが待ち構える。

ホームズは珍しく?^_^レストレイドを褒めています。推理力には欠けているが、

"he is as tenacious as a bulldog"
「ブルドッグのように粘り強い」

この粘り強さが彼をスコットランドヤードのトップ警部にさせている、と。
さんざんやり合ってきた仲、でも結局レストレイドもホームズに頼る、ホームズも、「空き家の冒険」「バスカヴィル家の犬」ほかのように、助っ人や警察力が必要な時はレストレイドを筆頭とした警部陣に頼る、という図式でした。長年の信頼関係を感じさせますね。

さて、首尾よくブラウナーを捕らえたレストレイドから供述調書入りの報告が届きました。犯人はブラウナーでした。で、物語はこの後ブラウナーの話が長々と続くことになります。が、端折ります。

ブラウナーとメアリーは仲の良い夫婦で問題は何もなかった。そこへセアラが近くに住むようになった。セアラはブラウナーに好意を持ち、2人になりたがった。その気のないブラウナーはきっぱり拒絶した。するとセアラがメアリーに何かいい含めたのか、メアリーが何かと夫に疑念を抱くようになり、夫婦の諍いが増えた。

メアリーは、セアラの誘いでその頃家へ出入りするようになったアレック・フェアべアンという小粋な船乗りを気に入ってしまった。また酒に溺れるようになり、昂じたブラウナーはセアラにフェアべアンの出入り禁止を荒っぽく言い渡し、セアラは出て行った。その時あいつがまた顔を見せたら、片耳切り落として送ってやる、と息巻いた。

ある日、7日間の航海のハズが船のトラブルで出航が遅れることになり、ブラウナーは家に帰ろうとした。すると通りかかった辻馬車にメアリーとフェアベアンが乗っているのを見かけた。笑顔で喋っている2人の姿に我を無くしたブラウナーはそのまま尾行した。駅からニューブライトンまで列車に乗り、霧の深い湖で2人はボートに乗った。ブラウナーは自分もボートを借りて追い、彼らの前に霧を割って突然現れ、持っていた重たいオークのステッキで2人を撲殺、遺体は穴を開けたボートに縛りつけて沈めた、その前にセアラへの復讐を思いつき、ナイフで・・。そして小包を作りベルファストからクロイドンのS・クッシング宛に発送した。セアラはすでにいない、スーザンだけが暮らすクロイドンへ向けて。

縛りつける紐やナイフをたまたま持っているのは緊急時で船乗りの装備のまま降りてついて行ったから、との設定を敷いているあたりドイルの周到さが見て取れますね。

さて、実はこの話、1893年と早めに発表されていたものの、不倫が題材ということで短編集に収録されたのは1917年のことでした。収録見送りはドイル自身の判断だったそうです。ただそれはイギリスでの話で、アメリカでは1894年発行の第2短編集に入っています。

題材とはまた別に、残虐なこと、動機が単純、イヤミスっぼいことなどから私的には好きになれません。どうもホームズものの色を逸脱してるというか・・ホームズの推理には見るべき部分もあるものの、もうひとつ乗り切れないですね。

というわけで、ようやく終わりを迎えホッとしています。疲れる話でした。

2024年10月16日水曜日

10月書評の4

◼️朝吹真理子「きことわ」

過去と現在、at the momentとpassedが交錯する。明るさと陰影の幻、いまの重さを計る。

読了後えっこれ芥川賞だったのか、だからか、と思った。東京で文芸サークルをしていた時に仲間内でタイトルが出ていた。当時は文学賞のアンテナは敏感でなく、詩集か歌集かな、なんて感覚で、今からすればちょうど芥川賞を取った時分だった。にぶっ^_^。

年の離れた従姉妹、高校生の永遠子と小学生の貴子は、葉山の別荘で仲良く遊んでいた。それほど頻繁に会っていたわけではない。しかし互いに記憶は鮮烈だった。別荘を売りに出すことになり、片付けのため25年後に2人は思い出の地で再会する。

なんというか、何か大きな事件があるわけでもない。短い小説に様々なものが詰まっている気はする。現実と幻想、子供同士の無邪気な触れ合いとはいえ肉感的なものを感じさせるさま、文学的なことばや自然、食物の知識を使う文調は誰かに似てる、長野まゆみかな。まああれほどクセもないけど、などと考える。

子どもの頃の夏の思い出、象徴するような花、食べ物、お店、水遊び、等々、田舎家で、というのがある人も多いだろう。眩しい明るさの一方、少し谷崎の陰翳礼讃につながるような暗さの体験も。大人になってもふと思い出す、不思議な懐かしい、感性。人との関係性。

月日が経ち、いまの境遇に不満はないけれどもあの時を追体験することで、これまでの人生に起きたこと、現在の座標軸がしみじみと分かることも実感としてある。イメージと実際の違い、記憶違いもよくあること。親世代の登場人物は亡くなり、子は年を取って自分の家庭を作り、多くの過去ができて重なっていく。

オルハン・パムクは小説の価値の尺度として「『人生とはまさにこのようなものだ』という感覚を呼び起こす力をその小説が持っているかどうかです」と言っている。その点は満たしているかなと思う。

昭和の想い出が持つ黒さ、も含めて誰しもがオーバーラップできそうな作品ではある。純文学。好みとしてはも少し波があったほうがいいかもとは思った。

コメットハンター 海浜公園編

地元で彗星が見えたという情報にアンテナを張り、前日は山奥、その後浜でも見えるという情報を得て開けた地元の浜へ。海と山が近く平地が狭い地形😊

スタスタ歩く私に電動自転車の師匠が追いつく。しばらく場所を物色してるといるいる。双眼鏡にカメラ。待ちの人々がたくさん。大阪の天文台の人としばし話す。

肉眼ではとても見えず、位置をつかむのがまず難しい。双眼鏡でも探すのが難航、近くにいた方(訊いてみるときのう同じ山寺で観測していたことが判明。同じ情報を見て、同じように行動したということですね😎)に教えてもらい、ついに写真をゲット。夜景撮ってる時などに自動でなる、数秒かかるモードで撮影しました。ふつうに撮れます!

たぶんマンションの明かりでオートピントが多少絞り込んだから良かったのかも。

実は今回、私は師匠の専門的な双眼鏡でも見えず、あのへん、と教えられて撮影時にズームしてようやく見えた感じでした。師匠は双眼鏡で見えてたとのことで、面目も立ちました。

教訓。web等の情報はあまり当てにならない、現地の詳しそうな人に訊くのがいちばん。また、その日によって動きます。きょうは昨日よりも金星からずっと北寄り、高度も出てました。

日が経つごとに高さは上がって、つまり日没から出てる時間も長くなりますが、遠ざかっているので光度は落ちて暗くなっていく。もうしばらくはだいじょぶなのだろうか。きのうきょうの経験でいうと星を見る目がいい人は何人かに1人いて、肉眼でも見えるみたいです。しかしたぶんそうでない人は見えない、肉眼では難しいですね。

自転車の師匠と別れて、バス停まで500mをダッシュ💨嬉しい時は足取りも軽い。走らずには、いられない😆😆😆

浜から帰り着いた1時間後には空は一面の雲。運も良かった😉

あー満足。3連休はコメットハンター。最後に報われました。楽しかったぜーd(^_^o)

映画とケーキと彗星への助走

チケット当たった映画を観に神戸三宮。ベネズエラ🇻🇪の指揮者の闘い・・しかし政治的な発言をしただけでツアー中止命令って現代でもあるんだと。貧しくとも少年少女たちに楽器を無償貸与し、音楽で啓蒙しようとする取り組み、リハーサル、ファンサービスなど人柄が滲み出ていて感動した。

で、神戸元町の名店・エビアンでロールケーキセット食べながら、一緒に行ったクラシック師匠と相談。この人は星好きの同志というかこちらでも師匠。昨日の観測も早々に報告済。予想してたのですでにフル装備してきてたところへいまから紫金山・アトラス彗星観に行こうということに。

この時点で16時すぎ。見頃は18時くらいから。時間があるとは言えない。双眼鏡を取りに一旦帰るという師匠と別れ私は早々に現地へ向かったー。

コメットハンター山寺編

紫金山・アトラス彗星がぼちぼち夕方の見頃。私は山住まいなのですが、バスで10分ほど行った見晴らしの良いところで見えるかもという情報があり、ちゃっと行ってきました。

見えるのは日没からホントに夜になる前のわずかな間。バスが1時間に1本ということもあり、だいぶ前に着いたらすでにチラホラと同好の士が・・

しばらく待っていると見えた!という声が上がり、みんな集まってどこどこ、あっ見えた!とまるで学校の天体観測。私は持っていた双眼鏡の倍率が低く、何回見直しても見えなかったので、高倍率の双眼鏡をお借りして視認しました!嬉しい😆😎やった。白く丸い彗星の核の周りに、ロケットの大気圏突入のようにうっすら白い膜のようなものが広がっていました。

そのうち、スマホでも撮れたーと一部の方が。えっえっと私のスマホでは何回写しても映らない。15分くらいで沈んでしまい終わり🔚。

観れてすごく嬉しい。でもスマホで撮りたかった・・と思っていると私の隣でカメラを構えていた方が同じバスに。思わず撮れました?と訊くと、はい、撮れました!と笑顔。いいなあ。

プレビュー画面を撮影させてもらったのが下の2枚。液晶画面は再撮に向いてないかも。でも眼でははっきりと下に向かい、上へと長い尾を伸ばす彗星の姿が写っているのが見えて、さらにうらやましくなったのでした。

はあ、でも、短かかったけどエキサイティングな時間で、帰りの夜道、見えた、やったとちょっと高揚して帰ったのでした。

10月書評3の下

◼️ アンディー・ウィアー
「プロジェクト・ヘイル・メアリー」下

エリディアンにロッキーにエイドリアンにタウメーバ。一気呵成の果てに感動と虚しさ。

地球を取り巻く環境、対策、宇宙船ヘイル・メアリーの特性、異星人との邂逅、までが上巻。となると、だいたい下巻は予想もつく。交流と問題解決までのトラブルと課題と成功、&オチ。とはいえけっこう怒濤の展開でザクザクと読んだ感じだ。

太陽のエネルギーを食べ膨大な熱量をその微小な身体に蓄える地球外生命体アストロファージ。10数年後にはスーパー氷河期が来てしまう。人類はアストロファージを燃料とした宇宙人ヘイル・メアリーを超法規的に最速で準備、片道作戦で乗員3名を乗せて打ち上げる。目的地は近傍の恒星でアストロファージの影響をなぜか受けていないタウ・セチ。距離は11.9光年だ。

地球時間で13年後、相対性理論により宇宙船内では数年後、人工睡眠を耐えた科学者グレースは同じ目的でタウ・セチに来ていた異星人とともについにその原因を突き止める。しかし原因物質の入手は諸刃の剣でもあったー。

順調に行っている中で大きな災難が数回訪れる。主人公と異星人の身体的な特徴の様々な違い、異星人の生存環境などよく作り込んである。科学者グレースとエンジニアである異星人の違い。文化、大きな意味での科学力の相違など興味深い。グレースは言語を分析しラップトップにアプリを作って翻訳していく。

壮大な物語は終わりの付け方がポイントにもなる。今回は1回ひねり、読み手が望むものを見せてくれた感じかと思う。

やはり宇宙空間ではなんというか、動きに大きな制約がかかる分危機感がより強い。だから解決策を模索して光が見えたときはなおのこと爽快感が増す。何度も何回もそんな場面はある。そして最後に安心、達成、望郷の中にどこか達観した、虚無的な雰囲気も漂う。

おもしろかった。大きな発想、組み立てと科学的知識、へこたれず前向き、楽観さえ漂う姿勢を称賛すべきだろう。

ただ私は異星人、エリドから来たエリディアンのロッキーが短時間でとにかくなんでも造ってしまうのをどうも都合良さが目立つと受け止めてしまったところがあった。後半の一気呵成な進行は意図されたもの。そのぶん無理も見えた感じかな。

エイドリアン、タウメーバの意味は・・まあ読んでみてください^_^

2024年10月12日土曜日

いまだ見えず泣

早暁の紫金山・アトラス彗星、晴れてても見えませんでした。やはり都会で肉眼は限界があるのか・・残念。10日過ぎからは夕刻の空です。なんとか観たいなあ。

先日の神保町、弟が食べてたアップルパイが美味しそうだったので、我が家定番のアップルパイの菓子パンを切ってオーブンで炙ってみました。ウマい!

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鴨ゆずそば、美味かった。

お弔いがあって、なにせ久しぶりなもので喪服や小物を整理してたら出てきたはやぶさキーホルダーつきストラップ。これはたぶん、2011年の夏に筑波のJAXA宇宙センターに行ったとき買ったもの。さっそくビジネスリュックに装着しました。

身近に死があるといろいろ考える、というか心理的に響くことはある。友人とも話す死生観。

想い出には負けたくない。結局のところ後悔はなくいま欲もないっす。長野のジャンセン美術館には行ってみたいかな、というところかな。

はい、今週もがんばろう。

10月書評3の上

食堂の鴨ゆずそば

◼️ アンディー・ウィアー
「プロジェクト・ヘイル・メアリー」上

異星人とのコミュニケーションを現代のテクノロジーで。

高評価の書評をしばしば目にしていた本。おもしろいよ〜!と私に持ってきたのはリケジョの本読み。さてどんなものだろう?なにせ宇宙もの。ワクワクしないわけがない

地球から金星、そしては太陽へと延びる未知の微小生物の帯のため、地球へと届く太陽光が漸減していた。近い将来人類が滅亡の危機を迎える。中学校教師の科学者ライランド・グレースは宇宙船の中で目を覚ます。

彼は超法規的な権限を有した国際機関により抜擢され、原因となった微小生物「アストロファージ」の特性を分析して、数々の対策案を練る。そして近傍の恒星でアストロファージの影響を受けていない星へ向かう使命を徐々に思い出す。グレースは13年という長い宇宙の旅のトラブルを避けるため、他のクルーとともに人工睡眠状態で送り込まれたのだった。

他の乗員2名は死んでいた。グレースが孤独にミッションを遂行する宇宙船ヘイル・メアリーに、異星人が接触してくるー。

えー、科学的な知識がてんこ盛りで、もちろん専門の部分は読者用とに優しくしてあるとは思うが、それでも特に最初の方は理解する、噛み砕くのに時間がかかった。

多くのSFが題材としている、異星人との交流。それを現代の(未来的な?)テクノロジーとボディランゲージ、器具を使った表現で進化させていく。たとえば数、算数、元素、分子、時間、質量などの相互理解を、ラップトップパソコンでプログラミングし、途中からはすらすらと翻訳してみせる。それが中心だ。宇宙船内での生活も絡んで後半は楽しんで読める。上巻はこれらが中心。

かつて天才的、革新的な論文を発表したものの、その内容により科学界に悪名も高いノトリアスなグレースはノリが軽く、明るく、前向きで知的。地球でのコミカルなやり取りや、おもしろ強引でマンガみたいな設定も嫌いじゃない。その中に科学が詰まっている。地球を救うため、温暖化問題対策に逆行した作戦を即時実行したりもする。

異星人の科学技術力は地球人よりはるかに高い。ただ話して行くにつれ、化学的分析については地球のほうが上とも思える。金星っぽい、様々な生育条件が密な星から来ている。さて、共通の目的に向かって手を取り合うことはできるかー。それなりに興味深かった。

10月書評の2

クリスチャン・ダニエル・ラウホ「勝利の女神」大理石
ディテールも素晴らしく、冬に見た日展入賞者の作品とはさすがにレベルが違うな世界、と思った。

◼️ 原田マハ「ユニコーン」

フランスで人気を博した女流作家にしてショパンの恋人でもあるジョルジュ・サンドの不思議なお話。

ここのところ「ユニコーン」といえば大谷翔平のことだ。54本のホームラン、59の盗塁、メジャー初の50-50を達成し、さらにトリプルスリーまで手にした、滅多に目にすることのない逸材。アメリカの実況アナウンサーが大谷の例えとして使ったとかで、まさに当を得た、夢のある言葉だと思う。

よく読む原田マハがこのタイトルの本を書いてると書評で知りすぐ読んでみた。


当初ジョルジュ・サンドは覆面作家で、その小説は最先端の流行で大きな評判を読んでいた。著者が女性と知られ、むしろ人気は高まり、パトロンには困らなかったようだ。この時点ではショパンとの恋の予感を匂わせている。

実際、サンドは同時期の多くの芸術家らと親しくしていた。作中にも出演するドラクロワ、ギュスターヴ・フローベール、アレクサンドル・デュマ、ヴィクトル・ユーゴー・・ショパンの仲間内の集まりにはフランツ・リストもいた。

そのサンドは、自分のコラム中で2度にわたりタピストリーに触れている。そこに著者は感じるものがあったようだ。

フランスの美術館にある貴婦人、かしずく少女、ライオン、ユニコーンが描かれた赤いタピストリーのデザインを最初の方に紹介するだけでなく、途中ページにもアップ、モノクロ、見開きなどでふんだんに盛り込み神秘性を増していく。

物語中、サンドは朽ち果てていくタピストリーを救うべく、作家で当時フランスの歴史的記念物保護局の視察官でもあったプロスペル・メリメにタピストリーを調査して国が引き取るよう進言してほしいと依頼している。その望みが叶うことはなかった、ようだ。

ユニコーンが象徴するのは力と純潔、無邪気さと純粋さ。そのタピストリーに潜む物語が、サンドを突き動かした。華やかなパリの、芸術家の社交、その中の奇譚、といったところかな。

2024年10月4日金曜日

アーティゾン4

草間彌生とピカソ。なんか取り合わせがいいでしょ。赤のドットの絵は小粋なソファ座ってゆったり鑑賞。ステキやね。




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アーティゾン3


襖絵は畳に座って観る。座敷が組んであり正座してみる円山応挙。この美術館は椅子も多く、作品が家のリビングに飾っていると想定した展示もありました。




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アーティゾン2

藤田嗣治、マティス、マティス、ロートレック、ピカソ。それぞれ存在感がありました。古賀春江、岸田劉生、メアリー・カサット・・絵はその場の雰囲気を作りますね。撮ってませんがセザンヌ、ルノワール、マネあたりの絵も場を引き締めてました。

10月書評の1

当面アーティゾン美術館「空間と作品」展で。

◼️今村昌弘「兇人邸の殺人」

意外な「アレ」が現れる迫力。クローズドサークルで比留子さんと葉村はずっと・・?危機感募る作品。

もうふつうにあらすじは出てるかと思いますがネタを伏せて書きます。何も知らない方が面白いのではという個人的な考えのもと。文庫化を楽しみに待っていたらある日図書館で目の前にあったのでパッと借りた。「屍人荘の殺人」「魔眼の匣の殺人」に続くシリーズ第3作。

剣崎比留子と葉村譲は大学ミステリ愛好会の先輩後輩。比類子は抜群の推理力を持ち、事件を呼び寄せる体質とされる。葉村はワトスン役で様々な葛藤を感じつつ比留子に同行、物語を1人称で語ることが多い。ある日比留子に呼び出された葉山が待合せ場所のカラオケボックスに行くと、大企業成島グループの一族で子会社社長の成島陶次と秘書の裏井が比留子とともに待っていた。

テーマパークの中に班目(まだらめ)機関の元研究者・不木の住まいがある、そこへ資料を奪いに侵入するという成島たちと同行することに決めた比留子と葉村は成島が雇った傭兵たちとともにテーマパーク内の屋敷「兇人邸」へと潜入する。難なく不木の身柄を押さえた一行だったが、予測もしていなかった敵が襲いかかってきたー。

この計画に比留子さんが呼ばれたのは、班目機関絡みの事件を引き寄せる体質を見込んでのことだった。

盛り盛りに盛ってるな、という感触。凶悪な殺人者、狂気の特殊機関に特殊部隊、子ども。殺人形態とその後もまあ残忍でホラー。物理的かつ精神的なクローズドサークル、離れ離れになる比留子さんと葉村。殺人の偽装や疑心暗鬼、効果音や舞台装置も本格的。

次の展開を求めて貪るように読む感覚。物語にハマる。これまでの形態をパワーアップしている第3作。異常空間。

おもしろかった。でも少し比較を。第1作「屍人荘」も予備知識なしで読んで「そ、そうきたかぁー」という驚きがあった。そこは今回もよく似ていた。突然現れたし。

こちらは盛った分、館ものミステリ風味が本格ガッツリで見取り図苦手な身はついて行けなかったところがあったかな。また「屍人荘」はトリックとその説明にストンと落ちる感触があった。加えて犯人の心象が異常と正常の間を揺れ動いて響くものがあった。こちらはどれかというとアトラクション的に楽しんだ感じかなと。ちょっと「わたしを離さないで」を想像もした。

川端康成いわく、処女作を超えるのは難しい。初回作は新鮮さもあるし。あーでも長らく待っていた作品をようやく読めて爽快感もある。物語だし、これくらい思い切ってやってくれるとやはり嬉しい。間違いなく続く終わり方だし、次作をまた楽しみにしよう。

神保町のボンディ!

東京の夜は弟と神保町カレーの名店ボンディでビーフカレー。いつものようにじゃがいも2つ付きチーズを垂らしたライス、ザクっと角切りのビーフ。めっちゃ満足。やっぱボンディのカレーたまには食べないと。その後レトロ喫茶ミロンガ・ヌオーバでレコードのタンゴを聴きながらチーズケーキ、弟はアップルパイ。この夏私は帰省し彼は帰れなかったので福岡の話などネタは尽きません。ぼくら仲良し兄弟。

充実した日曜東京半日でした。

アーティゾン

アーティゾン美術館初訪問で空間と作品展。広々としていて、作品が飾られるシチュエーションにこだわった展示も多く工夫してるなと感じた。

はるか紀元前4000年紀からの出土品から近代まで、和洋取り揃えた作品群にも感じるところ多々でした。味のある作品が多いって印象。かなり楽しめました。写真フリーだからと撮りすぎて整理できてません😎

女流画家ベルト・モリゾのトートバッグ買っちまいました。メアリー・カサット展は京都で観た。ベルト・モリゾ展もぜひやってほしい。

9月書評の13

◼️辻村深月「闇祓」

ふむふむ。闇ハラ、ふむふむ。いくつかの作品を思い出す。

辻村深月は何を読んだっけと思い出す。「冷たい校舎の時は止まる」「凍りのくじら」「太陽の坐る場所」「島はぼくらと」「朝が来る」「かがみの孤城」思ったより読んでる。「凍りのくじら」は傑作で人によく薦めている。「孤城」は鍵がよく考えられていて、アニメ映画を観に行った。

さて、「闇祓」はらしい面もあり、そして私には、いくつかの作品を思い出させた。人と人との機微。たとえ小学生であってもさまざまあり、神経を使うのは想像できる。ましてや学校のママ同士のつきあいはいかにも色々ありそうだ。高校の憧れの先輩との恋、小学校の読み聞かせグループ、会社の人間関係、小学校のクラス、歪む。なにかがおかしくなって走っている。そこには人智の及ばぬ原因があった。

高校生の幼い心持ちを掘ることは著者の得意とするところだと思う。ママ同士の関係性は角田光代さんを思い出す気がする。いかにも良い人間と見えた隣人の豹変は、えー、サスペンスドラマにもなった作品があった。そして小野不由美「残穢」で感じたゾクリとする衝動がある。

うまく行っていると表面的に見えている、それが暗転する。なぜか、ひどくおかしくなる。その点は現実の世にもありそうなこと。しかし元凶を退治する、となるステージはファンタジーの部類に入ってくる。興味深いミックスかな。現代的なハラスメントにも踏み込んでおり、意欲的、チャレンジングな面もある。

人間社会のひずみを詳細に描き出し、そこにホラーファンタジーを載せる。グイグイと読ませたし、ねじれた関係性が明らかになっていく点はそうなのか、なるほど、と思ってしまった。

ただまあイヤミスのような向き、特に導入はあまり乗り切れなかったかな。先も見えるし。ただ読むにつれバリエーションの豊かさ、画家のデッサンのような描き込みを感じた。

見えないなあ

10月に肉眼でも見えるようになると言われる紫金山・アトラス彗星を見ようとここ数日毎朝早起きして日の出前の空を観察している。

かなり縮めてこの紫彗星、10月上旬までは日の出前の東低空に見え、一時見えなくなり、10/10くらい以降は日没直後の西の低空に見えるようになる。

いまの前期の明るさは3等くらいかな?という感触だ。彗星がどれくらい明るくなるかは予測が難しいらしい。そもそも紫彗星は当初マイナス5等級くらいにはなって(金星より明るい)昼間でも見えるかも、という希望的予測もあって、今年最大の天文イベントと目されていた。しかし一度崩壊の可能性が高いとの報告がなされ、最近になって、やっぱりだいじょぶみたいという観測が出たばかり。ただ、最大光度はぐっとトーンダウンして2等星〜3等星の間というのが現在のカタい線の予想。いまだマイナス等級の期待もあるようだ。

9月末は世界各地、国内から撮影画像がSNSを賑わせている。思ったより明るそう、長い尾を曳いたものもある。そりゃ観たくなるのが天文ファンというものだ。

もともと私は丸腰。天体望遠鏡🔭もないし、双眼鏡は古くてさして倍率高くないし、撮影機材なんてまったく持っていない。でも見つめてしまう。3日続けて夜明け前の低空は雲に覆われていた。切れ目から見えた、という報告もあるのでなんとかならんかと40分くらい粘って、諦めて、二度寝する。けっこう気持ちいい😎

暗い時に起きると、冬の星座の中のクレッセントムーンが観れてそれはそれできれいだった。ふたご座カストルとポルックスの近くにある月、すぐ右横に火星、同じ側斜め上には雄々しい木星の明るい光、その下にはオリオン。さらに下にはシリウスが見える。小学生の頃、たまたま夜中トイレに起き、真夏のオリオンを観て衝撃を受けたのを思い出す。

最近健康診断があり、大幅ではないが体重増&腹囲減だった。測ってくれた小柄な看護師さんが

「筋トレやってます?」と。はいしてます、と言うと

「筋肉は重いから体重増で腹囲減はよくあるんです」

と説明してくれた。ともかくも終わって定番のラーメンこの日は和歌山豚骨しょうゆで。

で、今夜は京都の名店中華サカイのお取り寄せ冷やし中華。何度も掲載してるけどもやっぱりウマイ!お腹いっぱいで、観測を楽しむぞ。