「戦場のメリークリスマス」リマスター版を観に行った。テレビで最後に観たのは実家にいた頃だから何十年ぶり。坂本龍一の自伝「音楽は自由にする」でこの時のエピソードも読んだしちょっと感慨深い。
なにせ40年前。たけしが若い。坂本龍一はやはり目立つ風貌だなと。デビット・ボウイとのミュージシャン同士の対峙はすばらしいキャスティングの妙だと思う。
色々考えながら観てた。必ずしものめり込んでいたわけではなかった。でもラストシーンはやっぱりジンときた。
新梅田シティははや七夕の🎋装飾が。最近はいつも観光客がいる。いまあじさいの最盛期。雨が強いのはイヤだけど、落ち着いたとりどりの彩りは嬉しい。今年はあんまりムシムシせず、夜の気温はまだ高くないし寝やすい。やがて熱帯夜が来るのかな。
◼️ 窪美澄「夜に星を放つ」
収まりが良い直木賞の短編集。初期の作品を思ってさまざま思いを巡らした。
窪美澄は初期の「ふがいない僕は空を見た」「晴天の迷いクジラ」が、いずれも息苦しいような現実によって塗りつぶす設定の中で不思議な展開に身を任せていると、最後に沁みるような感動が訪れる、という特徴があったように思う。
何かを持っている、という確信はあった。でも正直そのちょっとしたカタルシスまでがしんどかった。以降「夜のふくらみ」だけ読んだかな。
今回の短編集はそれぞれ、夜空の一等星と月をからめた作品。カストルとポルックス、アンタレス、スピカ、月の「湿りの海」、ベガが出てくる。
妙齢女子の婚活、夏の間の少年の儚い恋、いじめで保健室登校の女子中学生、離婚し妻子と会えない男、父が離婚して再婚し、実の母となかなか会えない小学生の男の子、とそれぞれひねったベースを敷いていて、もう一つ、ふたつの要素が物語に影響を与えていく。
ハッピーエンドではない篇もある。読了しての感想は収まりがよく、上手さが見える、というものではあった。星を物語にどう活かすか、ということには興味あるし。
川端康成がたしか、処女作は超えられない、という意味のことを言っていたと思う。もちろん様々なパターンがあるだろう。そして、川端の言もまた正鵠を射ている面があるなと思う。
初期作品で印象を残す人はそれなりにいて、ただ作家生活、その先も長い。最初のインパクトはどうしても薄れてくるし、ずっと同じテイストや題材の作品を書いていられるわけでもない。ああ、あの作家がこんな話を作るようになったか、ということもよくある。
今回の短編集、中にはせっかくおもしろくなりそうなのに、こう終わるかな・・というものも正直あり、意外性や強烈さはさほど感じられなかった。しかしだからなのか、丁寧な上手さ、というものを味わえた気がしている。死、離別、というテーマを時に副次的に、また直接的に、過剰にならない程度に掘って、浮かび上がらせている。
個人的には、直木賞を獲ってもまだまだ変わっていきそうな気がする窪美澄。次に読むのが楽しみだ。
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