ちょっとコーフンしました。世界のトップヴァイオリニストの1人、ヒラリー・ハーンのリサイタル。
ベートーヴェンのソナタ2曲のほか、アンコールのヴァイオリン単独の演奏、バッハのパルティータ2番よりサラバンド、は深くて綺麗な演奏、全体の輝きとサウンドが響く空間、醸し出す雰囲気までが完璧で、これが世界中に愛されている音なのかと実感、思わずすごい・・と呟いてました。
で、コロナの後だけにまったく予想してなかったサイン会。席が近い男性がダッシュ、これにピンときて、ひそかに追いかけ、早いうちに並ぶことができました。昔、サントリーホールに観に行って、サイン会を横目で見ながら帰ったことを後悔した身としてはこんな嬉しいことはないです。
ずっと好きで、シベリウスのコンチェルトの生演奏に感銘を受け、常々よく聴いているハーン、ファンが多く、きょうもびっしり満員で、サイン会は会場外までものすごい行列。自前の🎻ヴァイオリンケースを持ってきて書いてもらっている人も多かった。緊張してなんとかVERY GOOD!サムアップだけ、でも目の前でチャーミングに笑ってくれました。夢みたいです。
サインは写真左。右はピアニストさん。
これって最強のマーケティング?次も絶対行こうと心に誓ったのでした。
会場全体のハーンを愛する熱気と、触れ合いに少し舞い上がって、駅直結のホール、改札まで50mを走っちまいました。落ち着きがないことで・・😅
気持ち良い気候、すっきりと空には満月前日のキレイな姿。ほんと、いい日でした。
◼️ ピーター・シス
「三つの金の鍵 魔法のプラハ」
緻密で意味深長な描き込みにうなる。東側から亡命、幼い娘へ故郷を伝える絵本。
先日ピーター・シス展に行ってきた。旧チェコスロヴァキア出身でプラハの春を経験し、アメリカに亡命したアニメーション作家であり、絵本作家。自身の体験を作品にしているほか、家族を得て児童向けの楽しい絵本をもものしている。
見出しにある通り、この本はシスが幼い娘マデリンに、自身が育った街、プラハを紹介する本。しかしそこはやはり創作物で、ストーリー、絵がともに幻想的で怪しい表現となっている。
少年に戻った語り手は、誰もいないプラハの街に立つ。かつての自宅には鍵がなくて入れない。そして、昔飼っていたと思われる黒猫の誘いでて市中を巡る。図書館、宮廷、そしてドーム屋根の天文時計の館。
石造の橋、くねくねとした坂道、プラハは美しいと言われる。大きな、麗しい街。人の気配はなく、空、植物などそこここに人面が浮かぶ。不安感を醸し出す暗めのいろも多彩で、そして石畳をはじめとして、あらゆるページの描き込みが細かいこと。シスは1冊の絵本に数年かけると言われているが、丹精めっちゃ×10くらいこもっている。
なんといっても黒猫がいいポイント。想い出の通り、建物を回り、不思議な出会いで鍵をもらい、ふたたび黒猫とともに・・そして鍵が開いた時ー。
「これまでずっと、何日も、何か月も、何年も、ぼくはすべての敷石を、すべての声を思い起こそうとしてきたのだ、もう二度とそれらのかつての姿を目にすることはないのだと思いながら。
つかのま、恐ろしい一瞬、だれも、なにも、ぼくを待っていないんじゃないかという気になる」
故郷を離れて暮らしたことは、あるだろうか。私は体制に死をチラつかされたことはないし、ましてや祖国を失ったこともない。でも、上の言葉は身に沁みた。いわんや、なんだろうなと思う。
この物語の見開きのインパクトある絵、左の下りの坂道が手前中央で曲がり遠近法で画面はるか奥まで伸びている。真ん中にしっぽを立てた黒猫がいる、その絵葉書を買ってきた。長く続く道の上の空には、猫類の顔がこちらを見ている。
また絵本探してみよう。「星の使者ーガリレオ・ガリレイ」が読みたいな。
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