映画チラシでブックカバー作成中。夏だし🦖🦕ジュラシック!原作は「アンドロメダ病原体」のマイケル・クライトン。コナン・ドイルの「失われた世界」へのオマージュ的なものもあるとか確か。
「あのこと」はノーベル文学賞、フランス🇫🇷のアニー・エルノーの小説を映画化したもの。
なんか上手くできたかなっ。
◼️ 町屋良平「1R(ラウンド)1分34秒」
終盤のたたみかけが芥川賞っぽいな、とやや既視感。1勝3敗1分の4回戦ボーイの物語。
町屋良平は「ショパンゾンビ・コンテスタント」を読んだ。ぼろぼろと零れてくる気持ちの断片。少々ネタはマニアック、女性が小悪魔的で上手に噛み合わせる、大意はもひとつ不明っぽい感じの話だった。今回はデビュー戦に勝ったものの以後もがき続けるボクサーの話。
ぼくは次の試合の相手、青志くんと空想の中で友だちになる。最初の頃は期待で優しかった周囲も勝てないと微妙に変わっていく。たった1人の友だちは、美術展やちょっと変わった旅行に連れ出しては、ボクサーである僕をiPhoneで撮影し、インタビューをする。映画作品にするつもりらしい。
青志くんとの試合に負け、トレーナーから見捨てられ、みなにウメキチと呼ばれている6回戦の選手がついた。親身に指導してくれるウメキチに敬語を捨て心のままぶっきらぼうに接しつつ、やがて信頼していく。環境を変え、ほとんど狂気に似たものにかられながら、次の試合へー。
それでもと、自分に向き合う。混沌とした日常の出来事の中で、何もないボクサーとしての日々を黙々と過ごす若者の姿。
人は一瞬にして多くの物事を考える。すぐに過ぎ去って忘れてしまうようなことが毎日無数にある。自らもなかなか勝てないボクサーであるウメキチとの、生の心のぶつかり合いと、試合までの作業を丹念に描きながら、両手からこぼれ落ちるような気持ちの断片と体験を綴っていくタイプの物語。
気持ちにはアンビバレントなこと、過剰な自意識、そして個々人ならではの説明できない心象も混ざる。試合が近づくクライマックスの部分では減量の苦しみの中でまさに暑苦しいほどの激白がマシンガンのように連なる。
最後のたたみかけは量こそ違うが昔読んだ藤沢周「ブエノスアイレス午前零時」なんかを思い出したりして。全く違うという方、すみません^_^瞬時に浮かぶ思いの断片を書き連ねるのは他作家さんでも見られる。
計算して構成し、冷静にストーリーを運ぶ筆致とは別の、剥き出しの熱い塊、といったものに好感を覚えた。なんかウメキチの顔をサッカーの前田大然に見立てたりして。映画を撮るちょっと変わった友だちや、彼氏持ちだけど主人公とも付き合う優しいガールフレンドまで、俳優にすれば誰だろうなんて想像しつつ。
年末に、「ケイコ 目を澄ませて」という耳と発語が不自由な女性ボクサーの映画を観た。ボクシングは試合までの過程と選手の心、ふだんの環境に惹きつけられるものを持っているな、と。昔ボクサーの若者とちょっとだけ話をした時、ダウンって、自分の意思とはうらはらに、もう身体が勝手にくずおれてる感じです、という言葉を思い出す。
たまには、こんなのもいいな、と。いろいろ思い出すし考えるね。
余談ですがジュラシック・パークと、ノーベル文学賞作家アニー・エルノー原作の映画「あのこと」のチラシを貼り合わせて作ったブックカバーで読んでたら、電車の斜め向かいの人が一瞬ぎょっとして二度見してました。
そんなこんなで楽しい読書でした。
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