◼️ ブレイディみかこ「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2」
やっぱりおもしろい。イギリスの教育と社会の現実。親近感を感じさせる語り口に才が光る。
けっこうな評判となった第1作からしばらく、文庫になった2を見つけて即入手。サラサラと読める。中2になった息子の、なんというか愛らしさあふれる成長過程を、社会的に、かつ母親としての目線で見つめる著者の筆致には鋭さを感じる。
鉄屑を拾って生活の糧にする近所のルーマニア移民、アフリカ移民の同級生のスカッとする歌姫ぶり、著者の住むブライトンの、いわゆる元底辺中学校のノンバイナリーやLGBTQの教育、福祉政策から福祉切り捨ての現実、ブレグジットの影響など様々なイギリスの生活光景が切り取られる。
息子は中2、いわゆる思春期を迎え、バンドのリードギターをやっているようだ。
やはり当地の学校に用意されている教育の幅の広さには驚く。シティズンシップ、経済、芸術&デザイン、ダンス、映像、エンジニアリング、宗教、ビジネスなどなど。社会的なテーマで5分間スピーチするなど課題も、まるで日本の大学みたいだ。
当然ながら、人間の社会には微妙な歪みがある、病気もある、想いの強さもある。そこはイギリスも同じ。貧富の差が激しかったり、福祉の削減にすさむ当地で、地域社会でも学校にも不条理と人間の感情がにじむ。
ユーモラスに、敏感に、息子の言動に愛を寄せ、様々な悲哀と希望を描く著者の筆は微妙で、知的で、程よく思い切りもいい。今回も言葉は通じないのに妙にウマの合う著者の父親と孫の触れ合いも微笑ましく織り込まれている。遠いヨーロッパのことなのに、絶妙に親近感を抱かせるエッセイ。才が光る。
著者は福岡の人なのでまた違う親近感も持ってたりする。
続き・・はもうないのかな。高校生編、読みたいな。
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